弁護士法人金法律事務所

コラム

遺留分侵害額請求の手続きの流れを解説

遺留分侵害額請求の手続きの流れを解説

被相続人の兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分といって、最低限度の遺産の取り分が保障されています。
今回は、遺留分が侵害された場合の手続きの流れなどを解説します。

遺留分侵害額請求とは

遺留分侵害額請求とは、贈与や遺贈により自己の遺留分を侵害された場合に、その侵害額に相当する金銭の支払いを求める権利です。
遺留分侵害額請求権には時効があり、遺留分権利者が相続の開始を知り、かつ、遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年間行使しない場合、時効によって消滅します。
また、相続開始の時から10年を経過した場合も、権利が消滅します。

遺留分侵害額請求の流れ

遺留分侵害額請求を行う場合、次のような流れで手続きを行います。

①遺言や生前贈与の確認を行う

遺留分を請求する場合、遺言書を確認し、ご自身の遺留分を誰がどの程度侵害していることを特定する必要があります。
また、遺言書だけでなく、被相続人が生前に行っていた贈与についても確認が必要です。
遺留分を算定する際には、原則として、相続開始前の1年間にされた贈与が対象となります。
ただし、相続人に対する贈与については、相続開始から遡って10年間にされたものであれば、遺留分侵害額を算定する際の基礎財産に含まれます。
したがって、まずは遺言書や、遡って10年間の生前贈与の記録を収集し、ご自身の遺留分が具体的にどれだけ侵害されているのかを正確に計算する必要があります。
この計算には、専門的な知識が必要となるため、弁護士に相談して進めることを検討してください。

②遺留分を侵害した者に請求の意思表示を行う

遺留分の侵害額が確定したら、その遺留分を侵害している者に対して、金銭の支払いを請求する意思表示を行います。
遺留分の権利を行使するためには、侵害された方の意思表示がなければ効力を生じません。
口頭での意思表示でも法的には有効ですが、後の水掛け論を避けるため、書面による意思表示を行った方が良いといえるでしょう。
遺留分の請求をしても相手方から返事がないような場合には、配達証明付きの内容証明郵便を送付してください。
これにより、いつ、どのような内容の意思表示を行ったかという証拠を残すことができます。

③遺留分を侵害した者と話し合いを行う

遺留分侵害額請求に相手方が応じた場合には、話し合いによって解決を目指すことになります。
算定した侵害額の根拠を示し、支払い方法や支払い期限などについて当事者間で合意を目指します。
話し合いがまとまり、遺留分を侵害した者から実際に金銭の支払いを受ければ、この段階で遺留分の請求は完了となります。
なお、話し合いにより合意した場合でも、遺留分の支払いが分割になったり、合意した日から払い込みの日まで期間が開く場合には、未払いを防ぐために強制執行のできる公正証書で合意書を作成するといいでしょう。

④遺留分侵害額調停を行う

話し合いによって合意が得られない場合や、相手が話し合いに応じようとしない場合は、家庭裁判所に遺留分侵害額調停を申し立てます。
調停では、裁判官と調停委員が間に入り、当事者双方の主張を聞きながら、合意による解決を目指して調整を行います。
調停はあくまで話し合いの場であるため、双方が納得できる和解案が見つかれば解決となりますが、相手方が頑なに請求を拒否したり、請求額について折り合いがつかなかったりした場合は、調停は不成立となり終了します。

⑤裁判で争う

遺留分侵害額請求調停が不成立に終わった場合は、最終手段として遺留分侵害額請求訴訟を地方裁判所に提起し、裁判で決着をつけることになります。
裁判では、双方の主張と提出された証拠に基づき、裁判官が遺留分侵害の有無や正確な侵害額を判断し、判決を下します。
判決は法的な拘束力を持つため、判決が確定すれば相手方はその判決に従って金銭を支払う義務を負います。

遺言自体の有効性を争うとき

遺留分侵害額請求の手続きを進める中で、遺言書の内容自体がおかしいと感じたり、被相続人の最終的な意思ではなかったのではないかという疑念が生じたりすることがあります。
たとえば、被相続人が認知症などで判断能力を欠いていたときに作成された遺言書であったり、形式的な要件を満たしていない遺言書であったりする場合です。
このようなときには、遺言無効訴訟を提起するという方法もあります。
遺言無効訴訟は、遺言書が法律上有効ではないことを裁判所に認めてもらうための手続きです。
遺言書が無効と認められれば、その遺言書に基づく遺贈はなかったことになり、遺産分割協議によって分割方法を決めることになります。

まとめ

今回は、遺留分侵害請求の手続きの流れや、遺言自体の有効性を争うときなどの解説をしました。
相続の問題は、家族関係を壊しかねないトラブルに発展することがあります。
火種が小さいうちであれば、不利益を最小限に抑えられる可能性があるため、お困りの方は弁護士にご相談ください。

自己破産しても奨学金の返済義務は残る?

自己破産しても奨学金の返済義務は残る?

多額の借金に苦しみ、最終手段として自己破産を検討する際、奨学金の返済義務がどうなるのかは大きな懸念材料です。
奨学金には保証人がいることが一般的であるため、保証人などへの影響も懸念になります。
この記事では、自己破産が奨学金の返済義務や保証人に及ぼす影響について解説いたします。

自己破産とは?

自己破産とは、借金の支払い義務を免除してもらうための法的な手続きです。
多額の借金を抱え、自身の財産や収入をもってしてもすべてを返済することが不可能になった場合に、裁判所に申し立てを行い、認められれば債務が免除されます。
この手続きは、債務者の経済的な更生、すなわち生活の再建を図ることを目的としています。
自己破産が認められるためには、支払不能の状態であることなど、いくつかの要件を満たす必要があります。
裁判所に申し立てを行い、免責決定が下されることで、原則としてすべての借金の支払い義務がなくなります。

自己破産した場合奨学金の返済義務はどうなる?

自己破産の手続きを行い、裁判所から免責が決定された場合、奨学金の返済義務も原則としてなくなります。
奨学金は、法的には一般的な借金として扱われるため、自己破産による免責の対象となります。
ただし、奨学金には通常、連帯保証人または保証人が設定されています。
自己破産によって債務者本人の返済義務が免除されたとしても、その奨学金の残額は、連帯保証人や保証人が代わりに全額を返済する義務を負うことになります。
また、保証人は、債務者に代わって支払った返済分を本人に請求する権利(求償権)を持っているため、自己破産手続きにおいて債権者として扱われ、債務者の財産の分配を受けることができます。

自己破産した場合の影響

自己破産手続きを行うと、借金の支払い義務が免除されるという大きなメリットがある一方で、様々な制約や影響を受けます。

連帯保証人や保証人が返還請求を受ける

自己破産によって債務者本人の奨学金の返済義務が免除されても、その債務は連帯保証人や保証人に引き継がれます。
奨学金の貸与元である日本学生支援機構(JASSO)などは、債務者本人から返済を受けられなくなると、連帯保証人や保証人に対して、奨学金の残額の全額を一括で返済するよう請求します。
このため、奨学金の自己破産は、保証人に多大な経済的負担をかけることになります。

クレジットカードの契約ができなくなる

自己破産の手続きが完了すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。 この情報は約5年から10年間登録されたままとなります。
その結果、新たなクレジットカードの新規契約や、現在利用しているクレジットカードの更新ができなくなります。
クレジットカード会社は審査の際に信用情報を参照するため、事故情報が確認されると、審査に通ることは困難になります。

新たな借入れができなくなる

信用情報機関に事故情報が登録されている間は、銀行や消費者金融からの新たな借入れや、住宅ローン、自動車ローンなどの契約が一定期間できなくなります。
金融機関は、債務者の返済能力に対する信用が低くなるため、融資を拒否します。
この制約は、信用情報機関から事故情報が削除されるまで続きます。

一定の職業に就労できなくなる

自己破産手続き中は、法律によって一定の職業や資格が必要な業務に就くことが制限されます。
これを資格制限と呼びます。
具体的には、弁護士、税理士、司法書士といった士業や、生命保険の外交員などが該当します。
これらの職業は、他人の財産や信用を扱うため、破産手続き中の人はその資格や業務が一時的に停止されます。

奨学金の返済が難しい場合の対応

自己破産という最終手段を選ぶ前に、奨学金の返済が困難になった場合には、日本学生支援機構が提供する制度を利用すべきです。

返還期限猶予制度

返還期限猶予制度とは、災害、傷病、経済困難、失業などの事情により、奨学金を期限までに返還することが難しくなった場合に、返還期限を猶予してもらう制度です。
この制度を利用すれば、最長10年間まで返還を待ってもらうことができます。
猶予期間中は、利息の支払いは発生しません。
猶予が認められるには、以下の要件のいずれかを満たしている必要があります。

  • 給与所得者の場合年収が300万円以下である
  • 給与所得者以外の場合年収が200万円以下である
  • 前年度よりも収入が減ったことにより上記の基準に該当している

減額返還制度

減額返還制度とは、奨学金の返還を継続しているものの、経済的な理由で月々の返還額を減らしたい場合に、返還額を一定期間減額してもらう制度です。
月々の返還額を2分の1または3分の1に減額することができます。 減額された期間に応じて、全体の返還期間は延長されます。
この制度は、一時的に収入が減少したり、予期せぬ出費があったりした場合に、返済の負担を軽減するために有効な制度です。
制度を利用するための要件は以下の通りです。

  • 給与所得者の場合年収325万円以下
  • 給与所得者以外の場合年収225万円以下
  • 申請と審査の時点で返済を延滞していない
  • 口座振替加入者である

まとめ

自己破産によって奨学金の返済義務はなくなりますが、連帯保証人や保証人に全額の返済義務が移ります。
自己破産は、信用情報への影響や職業の制限といったデメリットを伴います。
奨学金の返済が難しい場合は、自己破産よりも先に、返還期限猶予制度や減額返還制度といった公的制度の利用を検討しましょう。
自己破産を検討される際は、ぜひ弁護士にご相談ください。

後遺障害認定に不満をもった場合の対応とは?

後遺障害認定に不満をもった場合の対応とは?

交通事故における後遺障害は、等級によって受けられる補償が大きく異なります。
今回は、後遺障害認定の結果に不満をもった場合の対応について解説します。

交通事故における後遺障害認定とは?

交通事故による怪我の治療を続けたにもかかわらず、これ以上治療しても症状の改善が見込めない状態を症状固定といいます。
この症状固定になった時点で身体に残ってしまった障害を後遺障害と呼びます。
後遺障害認定とは、自動車損害賠償保障法に基づいて、この後遺障害が労働能力の喪失につながるものとして、法律で定められた等級に該当するかどうかを審査し、認定する手続きのことです。
後遺障害の等級は、最も重い第1級から最も軽い第14級まで細かく分かれています。
後遺障害等級が認定されることにより、被害者は加害者側に対して後遺障害慰謝料や逸失利益を請求する権利を得ることができます。
逸失利益とは、後遺障害が残ったことによって、将来にわたって得られるはずだった利益(収入)であり、等級認定が示談交渉や裁判において賠償額を決定する際の重要な根拠となります。
認定の手続きは、加害者側の任意保険会社を通じて行うのが一般的ですが、被害者自身が直接、自賠責保険会社に申請することも可能です。

後遺障害認定が不満なら異議申し立てを行うべき

後遺障害認定を申請したにもかかわらず、非該当と判断されたり、予想よりも低い等級に認定されたりする場合があります。
認定結果に納得ができない場合、その決定に対して異議申し立てを行うことができます。
異議申し立てとは、1度くだされた審査結果について、その判断が間違っていることを主張し、改めて再審査を求める手続きのことです。
最初の審査で提出した資料が不十分であったり、症状の重さを正確に伝えきれていなかったりした場合に、新たな医学的資料や詳細な証拠を提出することで、より適切な等級認定を得られる可能性があります。

後遺障害認定の異議申し立ての流れ

異議申し立ての手続きは、請求者が新たな証拠を準備し、保険会社を通じて書類を提出し、再審査を受けるという段階を経て進められます。

書類を準備

異議申し立てを行うためには、最初の審査結果が不当であることを裏付けるための新たな書類を準備することから始めます。
最初の申請時には提出しなかったり、必要性が認識されていなかったりした資料が中心となります。
具体的には、事故後に受けてきた専門的な検査結果の画像や、新たな医師の意見書などが該当します。
単に同じ書類を提出しても結果は変わらないため、なぜ最初の判断が誤りであったのかを明確に示す資料が必要です。

後遺障害認定の異議申立書の作成

後遺障害認定の異議申立書は、審査結果に対する不服の理由や、提出する新たな証拠の内容、そして希望する等級を具体的に記載する文書です。
この書類では、医学的根拠や法的根拠に基づいて、後遺障害診断書の記載内容がなぜ不十分なのか、症状がなぜその等級に該当するのかを論理的に主張しなければなりません。
曖昧な感情論ではなく、提出する新たな証拠と症状との因果関係を明確にすることが、申立書作成において非常に重要になります。

保険会社に書類を提出

異議申立書と準備した新たな証拠書類一式を、自賠責保険を管理する損害保険料率算出機構に提出します。
通常は、加害者側の任意保険会社を経由して提出を行います。
提出後、申立書と証拠書類は損害保険料率算出機構の専門部署で審査され、再度の医学的な検討が行われます。

再審査

書類が提出されると、損害保険料率算出機構の再審査部門によって、資料の追加・変更点を含めた再検討が実施されます。
この再審査には、新たな資料の精査が必要となるため、最初の審査よりも時間を要する場合があります。
審査の結果、異議申し立てが認められれば、後遺障害の等級が変更・認定されることになります。
変更が認められなかった場合でも、再度、異なる根拠に基づいて異議申し立てを行うことが可能です。

後遺障害の異議申し立てを成功させるには?

異議申し立てを成功させるためには、単に再審査を求めるだけでなく、戦略的な準備を行うことが重要となります。

失敗した理由を分析する

最初の認定で希望する等級が得られなかった理由を、客観的に分析することが大切です。
認定機関が出した文書には、なぜその等級になったのか、または非該当となったのかの理由が記載されています。
たとえば、症状の医学的な裏付けが足りなかったのか、日常生活や労働への影響が具体的に示されていなかったのか、など、認定機関が重視した点を特定します。
この分析結果に基づき、新たな資料作成の方向性を定める必要があります。

再申請で提出する書類収集を行う

後遺障害認定の失敗理由を分析した後、不足していた証拠を補うための書類収集を行います。
画像鑑定書や、主治医以外の専門医によるセカンドオピニオンとしての意見書など、客観性と専門性の高い資料を集めることが、再審査で認められる可能性を高めることにつながります。

医師と打ち合わせる

異議申し立てを行う際には、主治医や診断書を作成する医師と密に連携を取ることが大切です。
弁護士が症状の法的な側面を医師に説明し、認定機関が求める医学的な記述を診断書や意見書に盛り込んでもらうよう、医師紹介を通じて依頼を行うことも有効な手段のひとつです。

まとめ

今回は、交通事故の後遺障害認定に不満をもった場合の対応について解説しました。
後遺障害認定の異議申し立てを認めてもらうには、失敗した理由を分析し、医療機関の協力を得て、さまざまな書類を収集しなければなりません。
自力で行うことは難しいため、弁護士に相談することをおすすめします。

債権回収を弁護士に依頼すべきケースとは?

債権回収を弁護士に依頼すべきケースとは

企業間取引や個人間の貸し借りにおいて、売掛金や貸付金が期日通りに回収できないことは、事業の存続に関わる深刻な問題です。
債権回収は、内容証明郵便の送付といった交渉から始まりますが、債務者が支払いに応じなかったり、無視を続けたりすると、法的手段が必要になります。
この記事では、債権回収の方法と、弁護士に依頼すべきケースについて解説いたします。

債権回収の方法

債権回収とは、取引先や個人に売掛金や貸付金が期日までに支払われない場合に、その支払いを促し、最終的に代金を回収するための手続きです。
これは、事業の資金繰りを安定させ、経営リスクを回避するために不可欠です。
債権回収の方法は、大きく分けて交渉による回収と法的な手段による回収の2つがあります。
どちらを選択するかは、債務者の支払い意思や資産状況によって判断します。

交渉により回収する

債権回収の最初の、そして最も円満な手段は、債務者との交渉による回収です。
まず、電話やメールで催促することから始めます。
この段階では、相手の支払い遅延の理由を確認し、具体的な支払い予定日を取り決めることが重要です。
次に、内容証明郵便を用いることが有効です。
内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文書を、誰が誰に送付したかを郵便局が公的に証明するものであり、単なる催促以上の強い督促の意思表示となります。
時効の完成を一時的に中断させる効果もあります。
債権の時効は、権利を行使できると知ったときから5年、権利を行使できるときから10年です。
交渉を通じて、債務者と具体的な支払い計画について合意し、それを公正証書などの文書に残すことも重要です。

法的手段により回収する

交渉による回収が困難な場合や、債務者が支払いに応じない場合は、裁判所の手続きを利用した法的な手段に移行します。
まず、裁判所に支払い督促を申し立てる方法です。
これは、裁判所書記官が債務者に支払いを命じる手続きで、簡易かつ迅速な解決を目指せます。
次に、民事調停手続きを申し立てる方法です。
調停委員が間に入り、当事者間の話し合いで和解を目指します。
訴訟よりも柔軟な解決が期待できます。
最後に、訴訟を提起する方法です。
裁判官が双方の主張や証拠を吟味し、判決を下します。
勝訴判決を得た場合、強制執行として債務者の財産を差し押さえることができます。

債権回収を弁護士に依頼すべきケース

債権回収を弁護士に依頼すべきケースは以下の通りです。

債務者が支払いに応じない

債務者が内容証明郵便による催促にもかかわらず、支払いに応じない場合や、連絡が取れない場合は、弁護士に依頼すべきです。
弁護士は、依頼者の代理人として、債務者との交渉を粘り強く行い、法的な圧力をかけることができます。
また、債務者の資産状況を調査し、回収の見込みがあるかどうかを判断してくれます。
感情的な対立を避け、冷静な話し合いを進めるためにも、弁護士に依頼した方が良いでしょう。

法的手続きによって債権回収する

支払督促、民事調停、訴訟提起、強制執行といった法的手続きによって債権回収を行う場合は、弁護士に依頼することが不可欠です。
これらの手続きは、法律や裁判所の運用に関する専門知識が必要であり、書類の作成や裁判所への出廷など、多くの時間と労力がかかります。
弁護士は、これらの手続きをすべて代行し、依頼者の負担を軽減します。
また、法的な主張を適切に行うことで、債権回収を成功させる可能性を高めます。

債権回収を弁護士に依頼するときの費用

債権回収を弁護士に依頼する際の費用は、主に着手金と成功報酬に分かれます。
着手金は、依頼時に支払う費用で、回収の成否にかかわらず発生します。
成功報酬は、実際に債権が回収できた場合に、回収額に応じて支払う費用です。
費用は、請求額の大小や、依頼内容の複雑さによって変動します。
弁護士によっては、回収の見込みが薄い場合は着手金を低く設定したり、完全成功報酬制を採用したりすることもあります。
相談無料を実施している弁護士事務所もあるため、まずは事情を相談し見積もりを出してもらいましょう。

まとめ

債権回収は、交渉から始まり、支払督促や訴訟といった法的手続きへと段階的に進みます。
債務者が支払いに応じない場合や、法的手続きを行う場合は、弁護士に依頼すべきケースと言えるでしょう。
債権回収でお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。

選択共同親権とは?単独親権とはどう違う?

選択共同親権とは?

日本では、離婚後に親権をどちらか一方の親が持つ単独親権が原則でした。
しかし、民法の改正により選択共同親権が今後導入されます。
この記事では、共同親権がどのような制度で単独親権とどう違うのか、また共同親権のメリットやデメリットについて解説いたします。

選択共同親権とは?

選択共同親権とは、2024年5月に成立した改正民法によって導入される新しい制度です。
父母が離婚した後も、父母の協議によって、親権を共同で持つか、または従来の単独親権とするかを選択できるようになります。
これにより、離婚後も父母双方が、子どもの養育や教育、医療などに関する重要な事柄について共同で決定する権限を持つことになります。
この制度の目的は、離婚後も父母が協力して子育てに関わる環境を整備し、子どもの利益を最大限に守ることにあります。
父母が合意できない場合は、家庭裁判所が子の利益を考慮して親権を定めることになります。

選択共同親権はいつ施行される?

選択共同親権を導入する改正民法は、2024年5月に成立しました。
この改正法は、公布の日から2年以内に施行されることが定められています。
したがって、具体的な施行日はまだ確定していませんが、遅くとも2026年5月24日までには施行される予定です。

単独親権との違い

単独親権とは、離婚後に父母のどちらか一方のみが親権を持ち、その親が単独で子どもの監護、教育、財産管理といったすべての親権を行使する制度です。
これに対し、選択共同親権は、親権を父母双方が共同で持つため、離婚後も父母2人が協力して重要な事柄を決定します。
単独親権では、親権を持たない親は、財産管理や監護などにおける法律行為の代理権・同意見を持ちません。
共同親権では、離婚後も父母の双方が子どもの成長に責任を持ち続けることになります。

選択共同親権のメリット

選択共同親権は、子どもの養育環境や父母の関係性に多くのメリットをもたらします。

離婚時の親権を巡る対立が緩和される

離婚時において、親権をどちらが持つかを巡る争いは、夫婦間の対立を激化させる大きな原因でした。
選択共同親権が導入されることで、親権を共同で持つという選択肢ができるため、親権をめぐる激しい争いが緩和されることが期待されます。
どちらか一方が親権を失うという認識が薄れることで、冷静な話し合いが進みやすくなります。

親子間の交流が増える

共同親権となることで、両親がともに子どもの養育に関する意思決定に関与できるようになります。
これにより、単独親権の場合に親権を持つことができなかった親が、子どもの生活や教育に積極的に関わる機会が増え、親子間の交流が増加することが期待されます。
子どもが両親から愛情とサポートを受けやすくなるという利点があります。

選択共同親権のデメリット

一方で選択共同親権はメリットばかりではありません。
ここからは選択共同親権のデメリットを見ていきましょう。

共同親権者がもめる可能性がある

共同親権では、子どもの進学や医療など、重要な事柄について父母双方が合意する必要があります。
しかし、離婚後も父母間の対立が残っている場合、意見が対立し、重要な意思決定が滞る可能性があります。
父母の協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に申し立てて判断を仰ぐことになります。

離婚後も父母同士で関わる必要がある

共同親権を選択した場合、離婚後も子どもの養育に関する協議のために、父母同士で継続的に連絡を取り、意思疎通を図る必要があります。
これは、離婚によって相手と関わりたくないと考えている一方の親にとって、精神的な負担となる可能性があります。
協力関係が築けない場合、共同親権の運用が困難になります。

共同親権を選択できないケース

改正民法で共同親権が導入されても、特定の状況下では共同親権を選択できず、単独親権となる場合があります。
共同親権を選択できないケースとして、虐待やDVが挙げられます。
父母の一方から子に対する身体的虐待やネグレクトなど、子の心身に有害な影響を及ぼす言動のおそれが認められる場合、子の安全確保が不可能となるため、共同親権は選択できません。
また、父母の一方から他方の配偶者への暴行、脅迫、暴言といったDVのおそれが認められる場合も、単独親権となります。
DVの存在は、父母間で冷静な協議を行うことが困難であると判断されるためです。
これらの状況では、たとえ父母が共同親権を望んでも、裁判所は子の利益を害すると判断し、単独親権を命じることが義務付けられています。

まとめ

選択共同親権は、離婚後も父母の協議により共同で親権を持つことができる新しい制度です。
親権争いの緩和や親子交流の増加といったメリットがある一方で、父母間での対立継続や、離婚後も関わり続ける必要があるといったデメリットもあります。
離婚トラブルでお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。

相続手続きの後に借金が発覚した場合の対処法

相続手続きの後に借金が発覚した場合の対処法

相続手続きが完了した後に、被相続人の借金が突然明らかになることがあります。
この場合、相続人はその借金をどうすればよいのでしょうか。
借金が発覚したタイミングによっては、とるべき対応が大きく異なり、対応を誤ると、自身が借金を背負ってしまうリスクがあります。
この記事では、被相続人に借金がある場合の一般的な対処法から、相続手続き後に借金が発覚した場合の対処法までを解説いたします。

被相続人に借金がある場合の一般的な対処法

被相続人に借金などの負債がある場合、相続人はその負債を背負うリスクに直面します。
借金のリスクを回避し、自身の財産を守るためには、法律で定められたいくつかの対処法を選択する必要があります。
主な対処法としては、負債を一切引き継がない相続放棄と、プラスの財産の範囲内で負債を引き継ぐ限定承認があります。
これらの手続きは、原則として相続が開始したことを知った日から3カ月以内に行う必要があります。

相続放棄

相続放棄とは、家庭裁判所に申述することで、被相続人の遺産を一切受け継がないという意思表示をする手続きです。
この手続きが受理されると、その人は最初から相続人ではなかったものとみなされます。
相続放棄は、借金などのマイナスの財産だけでなく、預貯金や不動産といったプラスの財産もすべて引き継がないという包括的な効力があります。
これにより、相続人は、被相続人の負債を相続する義務から解放されます。
負債が明らかに資産を上回っている場合、有効な対処法となります。

限定承認

限定承認とは、相続したプラスの財産の範囲内でのみ、借金などのマイナスの財産を弁済するという条件付きの相続方法です。
この方法を選べば、もし借金が遺産を上回ったとしても、相続人が自身の固有の財産から超過分を支払う義務はありません。
限定承認は、相続財産の総額が不明確で、プラスとマイナスのどちらが多いか判断できない場合に有効な選択肢です。

相続手続き後に借金が発覚した場合に相続放棄や限定承認はできる?

相続手続き後や、相続が開始したことを知ってから3カ月の熟慮期間を過ぎた後では、原則として相続放棄や限定承認はできません。
また、熟慮期間内であっても、すでに被相続人の預貯金を使ったり、不動産を売却したりといった相続財産の処分行為を行っている場合も、単純承認とみなされます。
これらの事由を満たしていると、借金もすべて承継したことになり、相続放棄や限定承認は不可能となります。
ただし、処分行為を行っていない場合、熟慮期間を過ぎたとしても相続放棄が認められる可能性があります。

相続手続き後に借金が発覚した場合の対処法

単純承認が成立した後で借金が発覚した場合、相続放棄や限定承認はできないため、それ以外の対応を取る必要があります。

借金を返済する

単純承認が成立すると、借金を含めてすべての権利義務を承継したことになります。
そのため、相続人は自己の財産から借金を返済しなければなりません。
相続人が複数いる場合は、法定相続分に応じて借金を承継するため、承継した分の借金を返済します。

借金の消滅時効を援用する

被相続人の借金であっても、その借金が消滅時効にかかっている可能性があります。
借金の時効は、原則として債権者が権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年で成立します。
時効が成立している場合、相続人は債権者に対して時効の援用を行うことで、借金の支払い義務を免れることができます。
時効の中断事由がないかを慎重に確認する必要があります。

任意整理を行う

借金の総額が、自力での返済が困難な水準であれば、任意整理を検討します。
任意整理は、裁判所を介さずに、弁護士が債権者と直接交渉し、将来の利息をカットしてもらったり、返済期間を延長してもらったりして、月々の返済額を減らす手続きです。
これにより、無理のない返済計画を立て直すことができます。

自己破産や個人再生を行う

借金があまりにも多額で、任意整理でも解決が難しい場合は、自己破産や個人再生といった裁判所を介した債務整理手続きを検討します。
自己破産は、借金の全額免除を目指す最終手段であり、個人再生は、借金を大幅に減額しつつ、マイホームなどの資産を残せる可能性がある手続きです。

まとめ

被相続人に借金がある場合、相続放棄や限定承認という方法で対処できますが、相続手続き後に借金が発覚した場合、原則としてこれらの手続きはできません。
その場合は、借金の消滅時効の援用や、任意整理、自己破産といった債務整理手続きによって、借金問題の解決を目指すことになります。
相続トラブルでお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。

任意整理をすると保証人に影響はある?

任意整理をすると保証人に影響はある?

任意整理は、借金を減額してもらう方法として知られています。
裁判をせずに債権者と交渉して返済条件を変更するため、多くの方が利用を検討します。
しかし自分以外に保証人がいる場合、「任意整理をすると迷惑がかかるのではないか」と心配になることもあるかもしれません。
今回は、任意整理をした場合に保証人へどのような影響があるのかを解説します。

任意整理とはどのような手続きか

任意整理とは、弁護士や司法書士が債権者と直接交渉し、将来の利息カットや返済回数の見直しをしてもらう手続きです。
裁判所を通さないため、比較的早く手続きが終わるとされています。
あくまで本人と債権者との間で交渉するため、保証人がいる場合でも、保証人が関与しないまま話が進むケースもあります。
しかし保証人は、法的に強く関係してくる立場です。
「任意整理では保証人に影響が出ない」と安易に考えてはなりません。

保証人とは

保証人とは、借りたひとが返済できなくなったときに、代わりに返済義務を負うひとです。
「連帯保証人」の場合は、借主と同じように支払い義務を負います。
債権者の視点で考えればわかりやすいですが、借主が任意整理をした場合、「どうにかして保証人から回収できないか」と考えるのが自然です。
つまり保証人は、債権者から「借主が任意整理をしたから、あなたが代わりに返してほしい」と請求される可能性があります。
任意整理を検討する際は、保証人の存在を考慮する必要があります。

任意整理をすると保証人にどんな影響があるのか

任意整理は、基本的に本人と債権者のあいだで話を進める手続きです。
しかし保証人がいる場合は、いくつかの影響があります。

  • 保証人へ一括請求が行く可能性がある
  • 信用情報に傷がつくわけではない
  • 家族や知人との関係が悪化することも

それぞれ確認していきましょう。

保証人へ一括請求が行く可能性

任意整理では、借金の返済額や返済期間について交渉をします。
しかし債権者からすれば、その条件を飲むかどうかは自由です。
債権者が「借主にはもう返済させない」と判断した場合、保証人に対して一括で残金の支払いを請求する場合があります。
特に連帯保証人であれば、本人と同じ義務があるため、即座に全額の請求をされることもあります。

信用情報に傷がつくわけではない

任意整理をしたひとは、信用情報に事故情報が登録されます。
保証人が影響を受けるのはあくまで「返済義務」の面であり、信用情報そのものに傷がつくわけではありません。
ただし保証人自身が代わりに返済した場合、その情報が信用情報に登録されるケースがあります。

家族や知人との関係が悪化することも

保証人になっているのが家族や親しい知人である場合、任意整理によって急に一括請求が届き、関係性にヒビが入ることもあります。
「勝手に手続きを進めた」「相談もなく迷惑をかけた」といった不満を抱かせてしまう可能性もあるため、慎重な対応が求められます。

任意整理をする前に知っておくべきこと

任意整理を進める前に、以下のようなポイントを確認するとトラブルを避けやすくなります。

  • 保証人がついている借金かどうかを確認する
  • 保証人に事前に説明をして理解を得る
  • 場合によっては、保証人の変更や免除の相談をする

保証人がついている借金については、債権者との交渉によって保証人に請求が行かないようにできる可能性もゼロではありません。
しかしそのためには、弁護士などの専門家を通じて、丁寧な交渉を進める必要があります。

保証人付きの借金は任意整理に含めないという選択肢も

任意整理の大きな特徴は、自分が選んだ債権者に対してだけ手続きをするという点です。
そのため保証人付きの借金は除外し、保証人が関係ない借金だけを任意整理の対象にすれば、影響を最小限に抑えられます。

【具体例】
保証人がついていないカードローンや、キャッシングの借金を任意整理の対象とする。
保証人が関係する住宅ローンや自動車ローンは通常どおり返済する。
上記のようにすれば、保証人に迷惑をかけず、自分の債務負担を一部だけ軽減できます。
ただし一部の借金だけを任意整理する場合でも、債務全体のバランスを見て判断しなければなりません。
特定の借金だけ減らしても、残った借金が返済困難なままであれば、根本的な解決にはならないからです。
任意整理を検討する際は、専門家とともに家計の見直しを行い、今後の返済計画を立てるのが重要です。

任意整理を保証人に相談するタイミング

任意整理をすると決めたら、なるべく早い段階で保証人に説明してください。
保証人がその事実を知らされていない状態だと、「なぜ自分に請求がきたのか」「今すぐ払わないといけないのか」と混乱する原因になります。
任意整理の意思や予定を話せば、保証人も急な請求に備えられます。
また、保証人が家族や親しい知人である場合、任意整理を無断で進めると「勝手に自分を巻き込んだ」と不信感を抱かれるかもしれません。
事前に相談すれば、保証人との関係性を良好に保ちながら手続きを進められます。

まとめ

今回は、任意整理をすると保証人に影響があるのかどうかを解説しました。
保証人がついている借金を対象に任意整理をすると、保証人に対して一括請求が発生するリスクがあります。
保証人の有無を確認し、必要なら対象から外す判断も重要です。
必要に応じて弁護士などの専門家に相談し、慎重に手続きを進めてください。

交通事故による休業損害の計算方法と請求方法

交通事故による休業損害の計算方法と請求方法

交通事故で怪我を負った際、治療のために仕事を休んだことによる収入の減少分を補うのが休業損害です。
休業損害の計算には複数の基準があり、どの基準を適用するかによって受け取れる金額が大きく変わってきます。
適切な算定を行わないことで、本来受け取れるはずの休業損害額よりも少なくなってしまうことがあります。
この記事では、休業損害の基本的な計算方法と請求方法について解説いたします。

交通事故の休業損害とは?

交通事故による休業損害とは、交通事故で負った怪我の治療のために仕事を休んだことによって生じた、収入の減少分を補填する賠償金です。
この賠償金は、事故がなければ得られたであろう収入を保障することを目的としています。
休業損害の対象者は、給与所得者だけでなく自営業者や、主婦などの家事従事者も含まれます。
減収の対象期間は、事故日から治療終了日までです。
この休業損害は、加害者側の保険会社に請求することになります。

交通事故による休業損害の計算方法

交通事故による休業損害は、以下の計算式で算出されます。

■1日あたりの基礎収入額 × 休業日数

この計算式が休業損害を算出する上での基本となります。
1日あたりの基礎収入額は、事故前の収入をベースに計算され、休業日数は、怪我の治療のために実際に仕事を休んだ日数を指します。
正確な休業損害額を算出するためには、基礎収入と休業日数を客観的に証明することが不可欠です。

休業日数の算定方法

休業日数の算定は、怪我の治療のために実際に仕事を休んだ日数や、遅刻・早退した時間に基づいて行われます。
休業日として認められるのは、原則として医師の指示や治療のために休業が必要と判断された期間に限られます。
土日祝日などの元々休日の日については、その期間中に労働の意思と能力があったと認められれば、休業日数に含まれることがあります。
特に自営業者や主婦・主夫の場合、実際に仕事を休んだことを客観的に証明することが難しくなるため、詳細な記録が求められます。

基礎収入の算定方法

基礎収入の算定方法は、被害者の職業や収入形態によって異なります。
給与所得者、自営業者、そして主婦・主夫では、それぞれ異なる基準を用いて算出します。

自賠責基準

自賠責基準における基礎収入額は、原則として1日あたり6100円と定められています。
ただし、実際の収入がこの金額を上回ることを客観的に証明できる場合には、1日あたり最大19000円を上限として認められることがあります。
この基準は、自賠責保険が最低限の補償を目的としているため、3つの基準の中で最も低額になっています。
給与所得者、自営業者、主婦・主夫のいずれにも適用される統一的な基準です。

任意保険基準

任意保険基準における基礎収入額は、加害者側の任意保険会社が独自に定めている基準です。
この基準は、自賠責基準よりも高い金額が設定されていることが多いですが、具体的な計算基準は公開されていません。
被害者が保険会社と直接示談交渉を行う際に提示される金額は、通常この基準に基づいています。
多くの場合、実際の収入を基に算出されますが、その金額は後述する弁護士基準よりも低く抑えられる傾向があります。

弁護士基準

弁護士基準における基礎収入額は、過去の裁判例に基づいて算定される、最も適正な金額です。
裁判基準とも呼ばれ、被害者の事故前3ヶ月間の平均収入をベースに、より実態に即した金額が算出されます。
たとえば、給与所得者の場合は、事故前3ヶ月の平均給与額を1日あたりに換算した金額が基礎収入額となります。
この基準は、3つの基準の中で最も高額な金額となる傾向があり、弁護士に依頼することで適用が期待できます。

休業損害の請求方法

休業損害の請求は、まず加害者側の保険会社に連絡し、休業損害を請求する意思を伝えることから始まります。
給与所得者の場合は、勤務先に休業損害証明書を作成してもらい、保険会社に提出します。
自営業者の場合は、事故前の確定申告書の控えなどを提出します。
保険会社は、提出された書類を基に休業損害額を算定し、示談交渉を通じて支払います。 治療期間中、生活費に困る場合は、保険会社に休業損害の一部を内払いしてもらうことが可能です。

まとめ

交通事故による休業損害は、治療のために仕事を休んだことによる減収分を補填する賠償金です。
休業損害は、基礎収入に休業日数をかけて計算されます。
基礎収入の算定には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準があり、弁護士基準が最も高額になる傾向があります。
適切な休業損害を受け取るために、休業損害の請求でお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。

【2026年1月施行】下請法が取適法になる!何が変更されるのか

【2026年1月施行】改正下請法とは?何が変更されるのか

2026年から下請業者の取引環境の適正化などを目的に、下請法が取適法になります。
今回は、取適法になったことによる、適用対象などの変更点について解説いたします。

下請法が取適法になった理由は?

下請法が改正され、取適法へと名称が変更された理由には、取引の公正性を確保するための規制範囲と実効性の強化が強く求められたことがあります。
長らく、下請法は、親事業者と下請事業者との間の優越的な地位の差を利用した不当な取引を規制し、下請事業者を保護する役割を担ってきました。
しかし、経済社会の変化やサプライチェーンの複雑化が進む中で、従来の法律では対応しきれない新たな問題が次々と顕在化しました。
法律の名称を変更したことは、単なる下請けの保護に留まらず、すべての事業間取引における公正かつ健全な取引慣行の確立を目指すという、法律の目的と役割の拡大を象徴しているといえるかもしれません。

取適法のおもな改正ポイント

取適法の施行により、取引の公平性を高めるために、主に四つの重要な改正が行われます。
これらの改正は、従来の法律の隙間を埋め、より多くの事業者と取引行為を規制対象に含めることを目的としています。

①適用対象が拡大された

これまでの下請法では、親事業者と下請事業者の区分を資本金の額を基準として行っていました。
この基準は明確である一方で、一部の企業が資本金を意図的に減額することで下請法の適用を逃れるという事例が指摘されていました。
こうした適用逃れの問題を解消し、規制の実効性を高めるために、資本金に加えて従業員数を新たな基準として追加しました。
具体的な基準として、製造委託や修理委託などの場合は従業員300人、情報成果物作成委託や役務提供委託などの場合は従業員100人が基準のひとつとなります。

②下請業者が買いたたかれないように規制が強化された

取適法では、買いたたき規制が強化されました。
現行法においても、親事業者が不当に低い価格で下請事業者と契約する行為は規制されています。
しかし、物価や人件費、原材料費が高騰している状況下で、親事業者が契約価格を据え置くことにより、下請事業者が実質的に買いたたかれているのと同じ状態になっていることが大きな問題とされてきました。
下請事業者が親事業者に対して価格の見直しを求めても、親事業者がその協議に応じないという行為が、不公正な取引として指摘されていたのです。
価格変動が生じた際に親事業者が下請事業者からの価格協議の申し出に応じない行為も規制対象に追加されます。
これは、親事業者に協議に応じる義務を負わせるものであり、下請事業者が適正な対価を得るための機会を保証し、取引の透明性と公平性を高めるための重要な措置となります。

③報酬の支払い条件が見直されることとなった

下請事業者の資金繰りの改善は、事業の安定性にとって非常に重要です。
従来、親事業者による支払手段として広く利用されてきた約束手形は、現金化までに時間がかかることや、手形割引料というコストを下請事業者が負担することになる点から問題視されていました。
政府は、こうした約束手形の利用を全面的に廃止することを目指しており、今回の改正案では、手形による支払いを認めない方向性が示されています。
電子記録債権やファクタリングを利用する場合も、下請事業者が支払期日までに満額の現金との引き換えができることが条件となります。
これにより、手形発行や決済に伴う下請事業者の資金繰りの不安を解消し、迅速かつ確実な現金収入を保証することが期待されています。

④適用対象が物流分野へも適用拡大された

サプライチェーンの維持に欠かせない物流分野においても、発荷主企業と運送事業者との間で、親事業者の優越的地位を利用した不当な取引が行われている事例が問題となっていました。
運賃の不当な買いたたきや、不必要な付帯業務の無償強要などです。
現在、発荷主から運送事業者への委託取引は下請法の規制対象外ですが、改正案ではこの取引も下請法の規制対象に追加されることになります。

取適法が施行されることによる注意点は?

取適法が施行されることによる最大の注意点は、法律の適用を受ける親事業者の範囲が大きく広がることです。
適用基準に見直しが入った結果、特に情報サービス業や役務提供を主とする業種において、従来は下請法を意識する必要がなかった企業が、新たに親事業者として規制対象となることが見込まれます。
企業は、この改正内容を深く理解し、自社の取引全てについて、下請法が求める義務を遵守できているかどうかを徹底的に見直すことが求められます。
具体的には、取引先に発注書を交付する義務、代金の支払期日を守る義務、そして特に重要なのが、価格協議に真摯に応じる体制を社内に整備することです。
価格転嫁を円滑に行うためのガイドラインを参照し、取引先からの価格見直しの申し出に対して、部門間で連携して透明性のある対応ができるように、社内体制の整備や教育が急務となります。
新たな規制対象となる企業は、コンプライアンス違反による指導や勧告を受けないよう、改正法施行に向けて準備を進める必要があります。

まとめ

今回は、2026年1月より施行される取適法について考えていきました。
取適法の施行により、契約書の見直しなどをしなければならない可能性があります。
見直さない場合、会社の信用を下げてしまう可能性もあるため、不安な方は弁護士に相談することを検討してください。

子どもの連れ去りは早期に対応すべき理由

子どもの連れ去りは早期に対応すべき理由

離婚を意識した配偶者が、同意なく子どもを連れて行ってしまい、別居することがあります。
このような子どもの連れ去りは違法行為といえるのでしょうか。
今回は子どもの連れ去りを早期に対応すべき理由について解説します。

子どもの連れ去りとは?

子どもの連れ去りとは、親権を持つ者または監護権を持つ者が、相手方の同意を得ずに子どもを現在の居住地から連れ出す行為を指します。
この行為は、未成年者誘拐罪に問われる可能性もある重大な問題ですが、夫婦間の問題であるために、連れ去り行為の違法性については、離婚や別居の状況によって判断が分かれることがあります。

離婚前の監護者の場合違法性が低いとされる

夫婦がまだ離婚に至っておらず、共同生活を続けている段階で、一方の親が子どもを連れて別居を開始するケースは多くみられます。
このような場合、連れ出した側の親が、事実上、子どもの生活を監督・保護する監護者として適切であったと判断されることがあります。
夫婦の共同生活がすでに破綻している状況下において、子どもの養育環境を確保するという目的が重視されるためです。

別居後の子どもの連れ去りは違法性が高い

夫婦がすでに別居しており、どちらの親が子どもを監護するかについて合意が成立している、または裁判所の判断が出ている状況下での連れ去り行為は、違法性が高いと判断されます。
別居が長期化し、子どもが一方の親との生活に慣れ、その環境が安定している場合、その安定した環境を破壊する行為は、子の福祉に大きく反するとみなされます。
特に、面会交流の日程を利用するなどして、監護権を持つ親の合意なく子どもを連れ去り、監護親と子どもとの交流を遮断する行為は、悪質性が高いと評価されます。
裁判所は、別居後に安定した監護体制を奪う行為に対しては、子の引渡しを命じる審判や、間接強制などの強力な手段を用いて、早期に元の状態に戻す判断を下す傾向があります。
別居後の連れ去りは、刑事上の未成年者誘拐罪にも該当する可能性があり、連れ去った親は民事や刑事の両面で責任を問われることになります。

年齢によっては子どもの意思で付いてきた場合はどうなる?

子どもの連れ去りの問題において、子どもの意思は非常に重要な要素となります。
連れ去り行為があったとしても、子ども自身の自由な意思に基づいて、連れ出した親と一緒にいたいと望んだ場合、法的な判断に影響を与えることがあります。
ただし、子どもの意思が尊重されるかどうかは、子どもの年齢と発達段階によって異なります。
一般的に、裁判所は10歳から15歳程度以上の子どもの意思については、その形成過程を慎重に調査した上で、子の福祉の観点から尊重する傾向があります。

子どもが連れ去られたときの対処法

子どもが連れ去られたときの対処法として、次のようなものが考えられます。

子の引渡しの調停・審判を行う

子どもが連れ去られた場合、まず家庭裁判所に対し、子の引渡しの調停または審判を申し立てます。
これは、子どもを監護している相手方に対し、子どもを元の生活環境に戻すよう裁判所が命じることを求める手続きです。
基本的には、話し合いから始まる手続きですが、DVなど状況によって話し合いが困難な場合は、最初から審判を申し立てることも可能です。
審判では、裁判官が提出された証拠や、家庭裁判所調査官の調査結果などに基づいて判断を下します。
子の引渡しを求める親は、自分が監護親としてふさわしいことや、連れ去られた状況が子の福祉に反することを主張し、証明する必要があります。

審判前の保全処分を行う

子の引渡しの調停や審判には時間がかかることが多く、その間に子どもの生活環境が固定化されてしまうリスクがあります。
これを防ぐために、本案の審判が下されるまでの間、子どもを一時的に元の親に引き渡すよう命じる審判前の保全処分を同時に申し立てることができます。
保全処分は、緊急性が高いと裁判所が判断した場合に発令されるものであり、子の福祉を一時的かつ緊急に確保するための非常に強力な手段です。
申立ての際は、連れ去りによる子どもの心身への影響や、生活環境の急変による不利益などを具体的に示す証拠を提出することが重要となります。

相手が引き渡しに応じない場合は強制執行できる可能性もある

子の引渡しを命じる審判や、審判前の保全処分が下されたにもかかわらず、相手方が子どもを引き渡しに応じない場合があります。
この場合、子どもが連れ去られた親は、強制執行の申立てを行うことが可能です。
強制執行は、裁判所の命令を強制的に実現する手続きであり、執行官が相手方の居所に立ち入り、子どもを引き渡すという方法が取られます。
ただし、子の強制執行は、子どもの心身に大きな負担をかける可能性があるため、裁判所は慎重に判断するため状況によっては難しい場合もあります。

まとめ

今回は、別居時などに子どもを連れ去られた場合の対応について考えていきました。
子どもを連れ去られた場合、時間がたつほど、引き渡しが難しくなります。
そのため、迅速に法的手続きを行うべきです。
とはいえ、自力での手続きは難しいため弁護士に相談することをおすすめします。

  • Search

  • カテゴリー一覧