弁護士法人金法律事務所

コラム

代襲相続が発生するタイミングとは?条件や注意点を徹底解説

相続

昨今、高齢化や家族構成の変化により、代襲相続が関わるケースが増えています。
相続における「代襲相続」とは、財産を相続するべき人が相続の開始前に死亡した場合、代わりにその相続人の子や孫が財産を相続する制度です。
本記事では、代襲相続が発生する具体的なタイミングや条件、注意点について解説します。

代襲相続とは

代襲相続とは亡くなった人(被相続人)の財産を相続するはずだった人(法定相続人)が先に死亡している場合、または何らかの理由により相続する権利を失っている場合に、その財産を相続するはずだった人の子(被相続人の孫)が代わって相続する仕組みです。
民法に基づいた制度であり、法定相続人に代わって相続権を継承します。

代襲相続が発生するタイミング

代襲相続が発生するタイミングとして、以下の3つの場合があります。

  1. 被相続人の子が死亡している場合
  2. 被相続人の兄弟姉妹が死亡している場合
  3. 法定相続人が欠格または廃除された場合

1.被相続人の子が死亡している場合

相続順位として第1順位である被相続人の子(法定相続人)が相続開始前に死亡していた場合、その法定相続人の子や孫が財産を代襲相続します。
たとえば、被相続人が死亡した時点で長男がすでに死亡していた場合は、長男の子や孫が代襲相続人となります。
死亡した相続人の子や孫(直系卑属)については何代でも代襲相続が発生し、仮に死亡した相続人の孫が亡くなっていた場合は、そのまた子である相続人のひ孫が代襲相続することになります。

2.被相続人の兄弟姉妹が死亡している場合

被相続人に配偶者や子がなく、相続順位として第2順位である父母も他界していた場合、第3順位である兄弟姉妹が相続人となりますが、その兄弟姉妹も死亡していた場合はその子(被相続人の甥姪)が代襲相続人となります。
ただし、直系卑属の場合と異なり、兄弟姉妹の子に関しては何代も代襲相続が続くわけではなく、被相続人の甥姪が死亡していた場合は代襲相続は発生しません。

3.相続人が欠格または廃除された場合

欠格または廃除とは、ともに相続する権利を失った状態のことを指しますが、相続欠格は遺産を不正に入手するための不法行為や犯罪などがあった場合に強制的に相続権をはく奪された状態を言い、相続廃除については、被相続人を虐待したなどの非行があった場合に、家庭裁判所へ申し立てることによって相続権をはく奪された状態を指します。
このように、相続する権利を失った相続人がいた場合でも、本来の相続人の子などが代襲相続の対象となることがあります。

代襲相続で知っておくべき注意点

ここからは、代襲相続で知っておくべき注意点について説明します。

相続人が相続放棄した場合には代襲相続は発生しない

相続放棄とは、相続人が自ら財産を相続する権利を放棄するものであり、被相続人が借金などの負債を抱えていた場合は、その負債を引き継がないよう相続放棄を選択することができます。
財産を相続するはずであった人が生前に相続放棄していた場合、初めから相続人ではないとみなされるため、相続放棄をした人に子がいたとしても代襲相続は発生しません。

配偶者の連れ子は代襲相続の対象にならない

通常の相続では被相続人の配偶者は常に相続人となりますが、代襲相続は被相続人の直系卑属や甥姪が対象範囲です。
被相続人が再婚した相手に連れ子がいたとしても、連れ子との間に自動的に戸籍上の親子関係が生じるわけではないため、代襲相続の権利はありません。
ただし、その連れ子が養子縁組により被相続人と戸籍上の親子関係がある場合は、この限りではありません。

代襲相続と法定相続分

法定相続分とは、民法で定められているそれぞれの相続人が取得する相続財産の割合です。
代襲相続が発生した場合でも、通常の相続と同様に財産を相続するはずだった人の法定相続分を引き継ぎます。
たとえば、死亡した長男に子が2人いる場合、長男の相続分を2人で分割することになります。
ただし、遺言書がある場合はその内容が優先されるため、内容次第では代襲相続の発生が制限される可能性があります。

まとめ

代襲相続が発生するタイミングについて、条件や注意点を中心に解説しました。
代襲相続は、相続における重要な仕組みであり、条件や対象者を正確に理解することが求められます。
トラブルを防ぐためには、代襲相続の対象者や相続分を明確にする必要がありますが、法的な知識を必要するため、専門家への相談を活用して適切に対応することが望ましいでしょう。
代襲相続に関して不安なことがある場合は、早めに弁護士へ相談することもおすすめです。

債務整理を弁護士に相談・依頼するメリットとは?安心して借金問題を解決するために

債務整理

借金問題に直面すると、解決方法が分からず不安を抱える方も多いかと思います。
債務整理は借金問題を解決するための有効な手段であり、弁護士に依頼することで安心して進めることができます。
本記事では、債務整理を弁護士に相談・依頼するメリットを詳しく解説します。

債務整理とは

まずは、債務整理とは何かについて説明します。

債務整理の種類

債務整理とは、裁判所に申し立てるなどして借金返済の負担を軽減し、支払計画を見直すための手続き全般を指します。
債務整理には、次の4つの種類があります。

  1. 任意整理
  2. 個人再生
  3. 自己破産
  4. 特定調停

この4つのうち、任意整理は裁判所を通さずに話し合いによって解決するものに対し、個人再生、自己破産、特定調停については、裁判所を通じて手続きすることで借金問題を解決します。
債務整理で対応できる借金の額に制限はなく、収入制限も特にありません。
また、未成年者や高齢者など年齢制限もないため誰でも利用することが可能ですが、状況に応じて4つの中から最適な方法を選択することが重要です。

債務整理の目的

債務整理は、借金返済の負担を軽減することで生活を立て直すことが目的です。
具体的には借金の元本を減らしたり、利息を減額、免除したりすることで毎月の返済が減ったり、なくなったりする可能性があります。
一方、債務整理を行うことで、借金の減額や免除を受けたという事実が信用情報機関に登録されるため、一定期間は住宅ローンを組んだり、クレジットカードを作成したりといったことが難しくなるというデメリットもあります。

弁護士に相談・依頼するメリット

ここからは、債務整理を弁護士に依頼するメリットについて解説します。
弁護士に依頼するメリットとして、次の3つがあります。

  1. 債権者との直接交渉を代行してくれる
  2. 手続きの専門知識を活用できる
  3. 個々の状況に応じた最適な方法を提案

1つずつ見ていきましょう。

1.債権者との直接交渉を代行してくれる

債務整理を弁護士に依頼することで、債権者との直接交渉を代行してもらうことができます。
弁護士に直接交渉を代行してもらうことで、依頼者は債権者からの督促や取り立てから解放され、生活の立て直しに注力することができます。
また、プロの交渉により、より有利な条件で債務整理が可能になる場合もあります。

2.手続きの専門知識を活用できる

債務整理には法的な手続きや書類作成が多いため、専門知識が必要不可欠です。
その点、弁護士は法律のプロであり、債務整理の手続きを弁護士に依頼することで、ミスを防ぎながらスムーズに進めることができます。

3.個々の状況に応じた最適な方法を提案

先述したように、債務整理には複数の選択肢があります。
弁護士に依頼することで、依頼者の状況に応じた適切な方法の提案が期待できます。
また、借金の額や収入状況に応じて、長期的に無理のない返済計画のアドバイスを受けることもできます。

弁護士に依頼する際の費用について

最後に、弁護士に依頼する際の費用についてご紹介します。

1.費用の種類

債務整理を弁護士に相談・依頼する場合の費用として、以下のようなものがあります。

  • 相談料
  • 着手金
  • 成功報酬
  • その他実費

相談料は法律相談にかかる費用で、1時間につき1万円程度が相場ですが、初回相談のみ無料という場合もあります。
また、着手金とは実際に依頼した場合の費用で、結果に関わらず基本的には返金されません。
成功報酬については、案件が解決した際の解決報酬、借金の減額に成功した際の減額報酬、過払い金の回収に成功した際の過払い金報酬などに分かれている場合があります。
その他実費については、必要書類の作成や取得、郵便代や弁護士の交通費などが含まれます。

2.費用が負担に感じる場合の対処法

弁護士費用がすぐに用意できない、支払えないといった場合でも、以下のような方法で対処できる可能性があります。

  • 特定調停を利用する
  • 法テラスの利用

特定調停とは、借金返済が困難な債務者が、簡易裁判所を介して債権者と話し合うことで借金を整理する手続きで、弁護士に依頼せずに申し立てることができます。
また、法テラス(日本司法支援センター)は国によって設立された法的トラブルを解決するための機関で、弁護士との無料相談が利用できるだけでなく、弁護士費用の一部や全額を立て替えてくれる制度があります。

まとめ

今回は、債務整理を弁護士に相談・依頼するメリットについて解説しました。
債務整理を弁護士に依頼することで、適切な手続きと借金問題の解決をはかることができるだけではなく、債権者の督促などから解放されて生活の立て直しに集中することができます。
借金問題を早期に解決し、生活を立て直す第一歩として、弁護士に相談することを検討してみてはいかがでしょうか。

交通事故の加害者がすべき対応とは?法的手続きや被害者対応のポイントを解説

交通事故

交通事故は誰にでも起こり得るトラブルであり、加害者になってしまう可能性があります。
加害者として適切な対応を取ることが、被害者への誠意を示すだけでなく、自身の法的リスクを軽減する重要なポイントになります。
本記事では、交通事故を起こしてしまった際に取るべき行動とその注意点を詳しく解説します。

【初期対応】事故直後にすべきこと

まず、交通事故の直後に加害者がすべき初期対応を説明します。
対応を怠ると、被害者への損害賠償額が大きくなったり刑事罰が重くなったりするため注意が必要です。

1.負傷者の救護と安全確保

交通事故を起こしたら、まずは直ちに運転を停止し、負傷者の有無を確認します。
二次被害を防止するため車を安全な場所に移動し、道路上に停車した場合にはハザードランプや発煙筒、三角表示板などを使用して周囲に注意を促します。
負傷者がいる場合はすぐに救護、救急車を呼び、応急処置を行う場合は被害者の状態を悪化させないよう慎重に対応しましょう。
被害者に目立った外傷が見当たらない場合でも、外からは見えない場所を負傷している恐れがあります。
負傷者の救護は道路交通法で義務づけられており、加害者の判断で救護の必要はないとしてその場を立ち去ると、救護義務違反(ひき逃げ)として刑事罰を受ける可能性があるため、十分な注意が必要です。

2.警察への報告

事故の大小にかかわらず、必ず警察に通報しましょう。
負傷者の救護同様、事故を起こしたら必ず警察へ報告することが義務づけられており、報告しなかった場合は3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。
通報時には、以下の内容を正確に伝えます。

  • 事故が発生した日時と場所
  • 死傷者の数と負傷の程度
  • 損壊した物と損壊の程度
  • 積載物
  • 事故について講じた措置

警察が到着した後は、実況見分や聞き取り捜査に協力します。

3.情報交換と証拠保全

被害者と連絡先の交換をし、保険情報を伝えます。
決してその場で解決しようとせず、冷静にやり取りしましょう。
また、可能であれば事故現場の写真を残しておきます。
たとえば、信号の有無や見通しなどの道路状況、車両や周辺の破損状況などの写真を撮っておくと、証拠として損害賠償の額に影響する可能性があるためです。
また、目撃者がいる場合はその方の住所や氏名、連絡先、目撃内容などをメモしたり、録音したりしておくことも重要です。

4.保険会社への報告

事故の初期対応が終わったら、自身が加入している保険会社に連絡します。
連絡の際には、以下の内容を伝えることでスムーズな対応が可能となります。

・契約者情報と保険証券の番号
・事故日時と詳細
・双方の車両の損傷程度および負傷の程度
・病院名

【被害者対応】誠意を持った対応の重要性

次に、被害者に対して加害者としてすべきことをご紹介します。

1.被害者へのお見舞いと謝罪

被害者が怪我を負った場合は、謝罪の意味を込めてお見舞いに行きます。
謝罪する際は責任を認めすぎない、事実を冷静に伝えるといったことが大切であり、加害者として真摯に謝罪し、被害者の心情に寄り添うことが重要です。
ただし、お見舞いに行く場合は自身の保険会社などを介して事前に確認し、拒否された場合は無理に行くことのないようにしましょう。

2.被害者との適切なコミュニケーション

加害者が被害者に支払う損害賠償金や慰謝料の額は、示談交渉によって決まります。
また、示談交渉については、自身が加入する任意保険の担当者が行ってくれることが基本ですが、必要な情報やサポートを提供するなど、被害者との適切なやり取りを心がけることが重要です。
保険会社に任せ切りにするなど、不誠実な対応は示談交渉に影響を与える場合があるため、丁寧な対応を意識しましょう。

交通事故の加害者が直面する責任

最後に、交通事故の加害者が直面する3つの責任について解説します。

1.民事責任

民事責任とは、他人の権利や利益を不法に侵害した者(加害者)が、被害者に対して損害を賠償する法律上の責任です。
具体的には、加害者が被害者の治療費や修理費、慰謝料などの損害を賠償しなくてはなりません。

2.刑事責任

重大な過失がある場合は、刑事責任が問われる可能性があります。
刑事責任とは、犯罪行為に対して刑罰などの制裁を受ける法律上の責任で、民事責任や行政責任と比較して、違法行為に対する法的制裁としては最も強力な制裁とされています。
具体的には、運転ミスなどによる人身事故の場合は「過失運転致死傷罪」、飲酒運転や信号無視など悪質な運転による場合は「危険運転致死傷罪」が問われます。

3.行政責任

行政責任とは、ある行政行為の結果として、人や物、自然などの環境に損害や被害が生じ、それが法的または社会的な基準から許容できないと判断される場合、その行為に対する法律上の責任を指します。
具体的には、事故の種別、責任や負傷の程度に応じて違反点数が加算され、所定の点数に達すると運転免許の停止や取り消しなどを受けます。

まとめ

交通事故は予期せぬ出来事ですが、加害者として適切な対応をとることで、被害者とのトラブルや法的責任を最小限に抑えることができます。
法律の知識を正しく理解し、保険会社や専門家のサポートを活用することが重要と言えます。
加害者として対応に不安がある場合は、早めに弁護士など専門家に相談することが肝要です。

就業規則はなぜ必要なのか?その意義と役割を徹底解説

企業法務

会社運営において、就業規則は欠かせない存在です。
就業規則の存在が労使間のトラブルを防ぎ、従業員の安心感を高める役割を果たすため、企業への信頼感、優秀な人材の確保や定着につながると言えます。
本記事では、就業規則の必要性やその重要性について詳しく解説します。

就業規則の基礎知識

まず、就業規則とは何かについて、順番に説明します。

1.就業規則とは

就業規則とは、労働者の労働時間や賃金、休暇などの労働条件、職場内の規律について定めたもので、職場のルールブックと言えます。
労働基準法第89条に基づき、常時10人以上の労働者を雇用する企業(事業場)での作成が義務づけられたおり、就業規則を新しく作成したり変更したりした場合には、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。

2.就業規則に記載すべき項目

就業規則に記載すべき項目として、以下の3つの項目に分けることができます。

  1. 絶対的必要記載事項
  2. 相対的必要記載事項
  3. 任意的記載事項

絶対的必要記載事項には労働基準法に定められた記載項目として、労働時間、賃金、休暇、退職や解雇事由などを明記します。
相対的必要記載事項とは、制度を設ける場合には必ず記載しなければならない項目で、たとえば退職手当や福利厚生、評価制度などを記載します。
また、任意的記載事項には服務規程や試用期間、休職についてなど、企業で任意に定めた規則を記載することができます。

3.就業規則が対象とする範囲

就業規則は、正社員はもちろん契約社員や派遣社員、パートタイムやアルバイトなど、その企業に雇用されている労働者すべてを対象とします。
原則として、会社役員や業務委託(外注)スタッフには適用されませんが、就業規則の適用範囲についても明確にしておくことが重要です。

就業規則が必要な理由

次に、就業規則が必要な理由について3つ解説します。

1.一定の条件を満たす企業では作成する義務がある

まず1つ目として、一定の条件を満たす企業では就業規則を作成する義務があります。
上述したように、常時10人以上の労働者を雇用する企業(事業場)での作成が義務づけられており、10人という人数は、正規雇用者だけではなくパートタイムやアルバイトなどの非正規雇用者も含みます。
ただし、本社とそれぞれの支店の従業員を合わせると10人以上になるといった場合は作成の義務はありませんが、職場の規律とトラブル防止のため、作成することが望ましいでしょう。

2.労働者保護と権利の明確化

就業規則には、労働時間や賃金といった従業員の労働条件が記載されており、労働者の権利などが明確になることで、従業員が安心して働くことができます。
また、賃金や休暇などのルールが統一されることで従業員の安心感が生まれ、従業員間の公平を実現することにもなります。

3.労使間のトラブル防止

就業規則は、労働者側だけではなく使用者(企業)側も遵守する必要があります。
たとえば残業代を支払わない、休暇を取得させないといった不当な扱いの防止につながり、労使間のトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。

就業規則の作成・運用時の注意点

次に、就業規則の作成・運用時の注意点について解説します。

1.法律に準拠した作成

就業規則の作成にあたっては、社内の人事部や総務部などが作成する以外に、社会保険労務士や弁護士など、人事労務の専門家に依頼する方法があります。
どちらの場合についても、労働基準法や関連法規に沿った就業規則の作成が重要です。
自社で作成する場合は、厚生労働省のホームページで「モデル就業規則」を公開しているので、自社の実情に応じた就業規則作成の参考にすると良いでしょう。

2.従業員への周知が必須

就業規則は新規作成後、または変更後に全従業員に周知されることが法律で義務づけられています。
周知の方法としては社内の見やすい場所に掲示する、電子的データとしてパソコンで閲覧できるようにする、書面で配布するなどがあり、その内容を従業員がいつでも確認できる状態にしておく必要があります。

3.実態との乖離を防ぐ

実際の運用と就業規則に記載された内容とが一致しているかどうか、定期的に確認することが重要です。
不一致がある場合は、労務トラブルの原因となる可能性があります。

就業規則の見直しが必要なタイミング

最後に、就業規則の見直しが必要なタイミングについて簡単に解説します。

1.法改正があったとき

たとえば、働き方改革関連法や育児介護休業法の改正など、労働に関する法改正があったときは、必ず見直しが必要なタイミングと言えます。
なぜなら、労働基準法92条1項により法律に違反した就業規則は無効になることが定められており、就業規則で定めたルールが法律違反にならないか、定期的に見直す必要があります。

2.社内制度の変更時

人事評価制度や労働時間制度の変更など、社内の仕組みに変化が生じた場合は、それに合わせた規則の見直しが必要と言えるでしょう。
また、事業規模が拡大し、さまざまな働き方が求められるようになれば、それに応じた就業規則も必要になります。

まとめ

就業規則は従業員だけではなく、雇用側である企業にとっても重要な役割を果たします。
法律に準拠し、実態に即した内容で作成・運用することで、労務トラブルを防止することが期待できます。
就業規則の作成にあたってはさまざまな関連法規に沿った作成が必要となるので、弁護士への依頼を検討することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

離婚調停が不成立になったらどうする?その後の手続きと注意点

離婚

離婚調停が成立しないケースは珍しくなく、その場合にどのように対応すべきか悩む人も多いと思います。
いきなり離婚裁判に進むのは抵抗がある場合でも、検討すべき選択肢があります。
本記事では、離婚調停が不成立になった後の選択肢や対応方法について詳しく解説します。

離婚調停とは

離婚調停とは、夫婦間の話し合いだけでは離婚について合意できない場合に、家庭裁判所で話し合うことで双方が合意、円満に解決することを目指す手続きです。
離婚は、夫婦の間で離婚に関する条件を話し合い、合意した上で離婚届を提出する形式(協議離婚)が一般的ですが、夫婦間での話し合いがまとまらなかったり、話し合いができない状態であったりした場合は、家庭裁判所での調停手続きを利用することができます。
裁判を回避し、夫婦間の問題は話し合いによって双方が納得して解決するのが望ましいという考えから、裁判に進む前に調停手続きを行うことが法律で義務づけられています。
離婚調停では調停委員が間に入り、双方の意見を聞くことで財産分与や養育費など、離婚の条件について調整を行います。

離婚調停が不成立になるケース

家庭裁判所が公表している司法統計では、離婚調停を実施した件数に対する不成立の割合は約16~17%となっています。
離婚調停が不成立になる主な原因としては、以下のようなものがあります。

  • 相手が離婚を拒否している
  • 離婚理由に納得していない
  • 財産分与や養育費などの離婚条件で折り合わない
  • 調停に出廷しない

これらの理由により、裁判官が離婚が成立する見込みがないと判断した場合は、調停が不成立となります。

離婚調停が不成立になったら取れる選択肢

それでは、離婚調停が不成立になったらどのような選択肢があるのでしょうか。
順番に見ていきます。

1.協議離婚への再挑戦

まずは、再び夫婦間で話し合いを試みることが考えられます。
夫婦の話し合いによる協議離婚は裁判所の手続きが必要なく、時間や費用などを削減できるというメリットもあります。
また、離婚調停を経たことにより、より相手の意見や主張がわかるようになり、当初の話し合いよりスムーズに進む可能性があります。
ただし、感情的な対立が強く冷静に話し合うことが困難な場合は、弁護士を介して協議する方法もあります。

2.ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する

家庭裁判所の調停では解決できなかったが、裁判へ進むのはハードルが高いと感じるようであれば、ADRの利用も視野に入れると良いでしょう。
ADRとは、法務省が管轄する民間の調停機関です。
ただし、ADRを利用して合意に至った場合に作成する合意書には、法的な効力がありません。
取り決めた内容が履行されない場合の強制執行などはできないため、注意が必要です。
なお、ADRを利用して離婚した場合は調停離婚ではなく、協議離婚となります。

3.離婚裁判を申し立てる

離婚裁判は、裁判所が判決によって強制的に離婚を成立させる方法なので、夫婦で合意していなくても離婚が可能ですが、一方で法律により定められた離婚理由に当てはまらない場合は離婚できません。
裁判による離婚は、最終手段と考えておきましょう。

離婚裁判に進む場合の注意点

最後に、離婚裁判を選択した場合の注意点を解説します。

1.離婚裁判は調停以上に時間や費用がかかる

離婚裁判には、離婚調停以上に時間と費用がかかります。
離婚裁判では訴訟の提起後、審理において主張や反論などを行いますが、この期間は1年以上かかる場合があります。
裁判費用については、1万6,000円~2万円程度かかり、訴訟費用の他、財産分与や養育費などについて請求する場合の費用、裁判所からの書類送付に必要な費用などが含まれます。
また、弁護士費用として60~120万円程度必要ですが、弁護士に依頼せず自ら裁判で争うことは現実的ではありません。
基本的に裁判費用を相手に請求することはできないため、注意が必要です。

2.離婚理由を証明する必要性

上述したように、裁判による離婚は強制的に離婚を成立させる方法なので、民法770条に規定された「法定離婚事由」のいずれかに該当する必要があります。
法定離婚事由は以下の5つです。

  • 不貞行為(浮気・不倫)
  • 悪意の遺棄(正当な理由なく同居義務や協力義務などを履行しない)
  • 相手の生死が3年以上明らかではない
  • 相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
  • その他、婚姻を継続しがたい重大な事由がある

その他、個別の事情により離婚できるかどうかが決まるため、裁判を起こしたからといって必ず離婚できるわけではない点に留意しておく必要があります。

まとめ

離婚調停が不成立になった後の選択肢や対応方法について解説しました。
調停の不成立は離婚が成立しないことではなく、次の手段を選ぶタイミングであるとも言えます。
裁判や再交渉など、最適な方法を選ぶために専門家の助けを借りることも重要です。
離婚問題においては冷静な対応と適切な次へのステップのために、弁護士への相談も検討してみてはいかがでしょうか。

孫に自己の財産を相続などにより渡す方法を解説

相続

自己の財産を孫に譲り渡したいというニーズがある場合があります。
しかし、遺産相続や贈与に関する手続きは法律や税制の影響を受けるため、事前の計画が欠かせません。
そこで、本記事では、孫に財産を相続などにより渡す方法を具体的に説明し、それに伴う注意点を詳しく解説します。

孫への遺産相続

孫に財産を譲り渡す手段として、孫への遺産相続があげられます。
孫への遺産相続は、さまざまな手段を用いて実現することができます。
以下が、孫へ遺産を相続する方法です。

遺言書による指定

孫へ遺産を相続する方法として、遺言において、財産の受取人を孫とする方法があげられます。
遺言書で孫を受取人に指定することが、孫に直接遺産を相続させる最も確実な方法です。
遺言書を作成することで、通常の法定相続人(配偶者や子)を介さずに孫を受取人として指定できます。
しかし、法定相続人が存在する場合は、法定相続分の遺留分を侵害しないような態様で、遺言を作成する必要があります。
遺留分は、法定相続人の相続分の3分の1もしくは2分の1です。
仮に、遺留分を侵害する態様で遺言を作成してしまうと、法定相続人から遺留分侵害請求をされてしまい、せっかく渡した財産の一部が法定相続人の元へ渡ってしまうからです。

孫と養子縁組を行う

次に、孫へ遺産を相続する方法として、孫と養子縁組を行う方法があります。
養子は、法律上親子関係を結ぶ制度です。
したがって、孫と養子縁組をすることにより、法律上、孫と親子関係になります。
そして、子は、配偶者と並んで、優先的に相続人となるため、孫と養子縁組することにより、孫を第一順位の相続人とすることができます。
しかし、孫を養子にすることにより、税制上の負担が生ずるため、注意が必要です。

その他の孫に財産を渡す方法

相続以外で孫に財産を渡す方法として、以下の方法があります。

生前贈与

生前贈与は、その名の通り、生きている間に孫に金銭を贈与する方法です。
生前贈与は、年間110万円まで相続税がかからないため、前々から計画的に行うことにより、効率よく孫に財産を渡すことができます。

教育資金贈与の非課税制度

教育資金贈与の非課税制度は、その名の通り、教育資金として、金銭を贈与する方法です。
祖父母が孫に対して教育資金を贈与する場合、1500万円まで非課税となります。
この制度を利用することで、教育費を孫に贈与しながら節税効果も得られます。

孫に財産を渡す際の注意点

孫に財産を渡す方法はさまざまありますが、これらの手段を使う際には注意点もあります。
注意点は以下の通りです。

税金の負担

孫に財産を渡す際の注意点として、税金の負担を考慮する点が挙げられます。
贈与や相続には、適切に計画しないと高額な税金が発生する可能性があり、かえって孫の負担になる場合があります。
したがって、あらかじめ、税金負担について考慮する必要があります。

遺留分の侵害

遺留分とは、相続の場合に、法定相続人を保護するために、相続財産の一定額を保証する制度をさします。
具体的な遺留分は、直系尊属のみが相続人である場合は相続財産の3分の1、その他の場合は2分の1に、各自の相続割合を乗じて算出します。
孫を受取人に指定する場合、他の法定相続人(配偶者や子)が遺留分侵害額請求を行うリスクがあります。
遺留分侵害請求がされると、孫に渡した財産が他の相続人に渡ることに加え、法定相続人と孫とのトラブルに発展しかねません。
したがって、遺言により財産を孫に渡す場合は、他の相続人を考慮した内容にする必要があります。

弁護士のアドバイスを受ける

孫に財産を渡す際には弁護士に相談するべきであるといえます。
弁護士に相談することで、法的トラブルを回避し、最適な方法で財産を移転できる可能性が高まります。
特に、相続関連の法律は複雑なため、より慎重に手続きを進めるには、弁護士からのアドバイスを受けるべきであるといえます。

まとめ

本記事では、孫に自己の財産を相続などにより渡す方法を解説しました。
自己の財産を孫に渡す方法はさまざまありますが、それぞれ注意点もあります。
したがって、孫への財産移転を検討している方は、弁護士に相談し、手続きを進めることをおすすめします。

法人破産における債権の種類とその優先順位について解説

債務整理

法人破産は、企業が多額の債務を返済できず、裁判所に破産を申立てる手続きです。
破産手続きでは、法人が持つ資産を現金化し、債権者に公平に配分します。
この際、債権には法的な優先順位が定められており、その順番に従って弁済が行われます。
本記事では、法人破産における債権の種類とその優先順位について詳しく解説します。

法人破産における債権の種類

法人破産手続きで取り扱われる債権は、以下のような種類に分類されます。

  • 財団債権 
  • 優先的破産債権
  • 一般破産債権 
  • 劣後的破産債権
  • 約定劣後破産債権

これらの債権は、法的な優先順位に従って配分されます。

法人破産における債権の優先順位

法人破産において、優先的に充当を受けることができる債権は、優先度が高い順に、財団債権、優先的破産債権、一般破産債権、劣後的破産債権、約定劣後破産債権となります。
破産をする法人が有していた財産については、上記優先順位にしたがって充当されるため、財団債権の債権者は充当を受けやすく、約定劣後破産債権の債権者は、充当を受けにくいといえます。

各債権の特徴の解説

法人破産における各債権には、それぞれ特徴があります。
以下で、各債権の特徴を解説します。

財団債権

財団債権とは、法人破産という手続きとは別で、破産財団から支払いを受けることができる手続きであり、もっとも優先的に支払いを受けることができます。
財団債権に当たるか否かは、政策的観点から決せられます。
財団債権にあたる例としては、破産管財人の報酬や破産にかかる登記費用などといった破産手続きに必要な費用や、破産手続開始決定前3か月分についての従業員の給料債権があげられます。
また、納期限から1年間を経過していない租税債権についても、財団債権となります。

優先的破産債権

優先的破産債権は、法律で特に保護されている債権であり、一般破産債権よりも優先的に配分されます。
優先的破産債権の例として、財団債権にあたらない未払い賃金や、財団債権にあたらない租税債権があげられます。
賃金は、当該企業に属する従業員の生活の基盤となるため、重要な債権といえます。
したがって、賃金債権を優先的破産債権とし、破産債権の中で優先的に充当を受けることができるようにすることで、従業員の生活を保護するという趣旨で、賃金債権が優先的破産債権に該当します。
優先的破産債権の中でも優先順位があり、租税債権がもっとも優先され、賃金債権などの私債権はもっとも劣後します。

一般破産債権

一般破産債権は、優先的破産債権に該当しない通常の債権です。
これは破産手続きにおける配分の対象となる資産が残っている場合に、割合に応じて弁済されます。
一般的破産債権の主な例としては、金融機関や取引先からの借入金や商取引に基づく未払い債務といった、通常の商取引による破産企業に対する債権がこれにあたります。
一般破産債権は財団債権や優先的破産債権に比べ、配分の優先順位が低いため、破産財団に十分な資産がない場合は、全額が弁済されないこともあります。

劣後的破産債権

劣後的破産債権は、一般破産債権よりもさらに優先順位が低い債権です。
この債権は、一般破産債権までのすべての他の債権が弁済された後、残った資産がある場合に限り配分されます。
劣後的破産債権該当する主な債権は、破産手続開始決定後の遅延損害金や利息といった元本に付随する債権や、延滞税や加算税などがあげられます。
実際には、破産企業に十分な資産がない場合が多く、劣後的破産債権が弁済されるケースは稀です。

約定劣後破産債権

法人破産において、もっとも配当の優先順位が低い債権は、約定劣後破産債権です。
約定劣後破産債権は、債権者と法人の間で、法人破産の場合に、劣後的破産債権よりも配置順位を低くする点について合意した債権を指します。
約定劣後破産債権は、劣後的破産債権まですべて配当が完了した時にはじめて弁済がされますが、法人破産の場合に劣後的破産債権に配当があるまで財産が残っていることは珍しく、約定劣後破産債権の配当まで行われることはほとんどありません。
したがって、約定劣後破産債権を有している場合には、当該債権に対する配当はないと考えても問題はないといえます。

まとめ

本記事では、法人破産における債権の優先順位と各債権の内容について解説しました。
法人破産における債権の優先順位は、財団債権、優先的破産債権、一般破産債権、劣後的破産債権の順に定められており、さらにそれぞれの債権には特徴があり、どの範囲で弁済が行われるかが明確に規定されています。
法人破産をする際は、これらの債権の性質を理解したうえで、会社の財産状況を理解して手続きを進める必要があるため、法人破産を検討する際は、弁護士に相談することをおすすめします。

死亡事故における慰謝料の算定基準とは

交通事故

交通事故による死亡事故は、被害者とその家族に計り知れない悲しみと影響をもたらします。
その損害を補うため、加害者やその保険会社から慰謝料が支払われますが、金額は一定ではなく、さまざまな基準や条件によって変わります。
そこで、本記事では、死亡事故における慰謝料の算定基準や、その金額を決定する要素について詳しく解説します。

慰謝料の役割とは?

死亡事故における慰謝料は、被害者の命を失ったことで遺族が受けた精神的苦痛に対して支払われる金銭です。
これは被害者の命の価値を直接的に評価するものではなく、家族の精神的損失を金銭的に補償するためのものです。

慰謝料の算定基準

死亡事故の慰謝料は、以下の3つの基準に基づいて算定されます。

自賠責基準

自賠責保険は、すべての車両に加入が義務付けられている最低限の保険です。
この基準で支払われる慰謝料は、あくまで最低限の補償であり、3つの慰謝料算定基準の中で最も低額です。
自賠責基準による、被害者本人の死亡慰謝料は400万円となっています。
なお、交通事故により被害者が即死した場合、被害者本人の慰謝料請求権が発生しないのではないかと疑問に思う方もいるかもしれませんが、被害者即死の場合でも、本人の慰謝料請求権が発生し、それを遺族が相続することとなることが裁判例で示されたため、被害者本人の慰謝料請求も相続人が受け取ることができます。
これに加え、被害者遺族固有の、精神的損害を補償する慰謝料額を加えて、合計の慰謝料額を算定します。

任意保険基準

任意保険基準は、加害者が加入している保険会社独自の基準に基づいて算出されるものです。
自賠責基準よりも高額になり、以下で解説する弁護士基準より低額になる場合が一般的ですが、会社によって基準が異なります。
任意保険基準の慰謝料額の相場は約1400万円~約2000万円とされていますが、あくまでも目安であり、保険会社によって異なるため、確認が必要です。

弁護士基準(裁判基準)

弁護士基準は、裁判所が過去の判例をもとに決定する基準です。
この基準は自賠責基準や任意保険基準と比べて最も高額になることが多く、遺族にとって有利な結果をもたらす可能性が高いといえます。
弁護士は、この弁護士基準を使って、相手方に慰謝料請求をしていくため、高額の慰謝料を受け取りたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
死亡事故における、弁護士基準による慰謝料請求の相場は、約2000万円から2800万円であり、高額といえます。

慰謝料の金額に影響を与える事情

慰謝料の金額は一律ではなく、以下の事情が金額に影響を与えます。

被害者の年齢

被害者が若いほど、残された家族の精神的苦痛は大きいと判断されるため、慰謝料が高くなる傾向があります。
また、被害者が若いと、失われる時間が長く、得られるはずであった労働による利益が大きくなるため、逸失利益の額も高額になりやすいです。
したがって、被害者の年齢が慰謝料の金額に影響を与えるといえます。

扶養関係

被害者が家族を養っていた場合、一家の大黒柱を失ったという遺族の経済的苦痛も考慮され、慰謝料が高額になることがあります。
特に、未成年の子どもがいる場合は、慰謝料が高額になる傾向があります。

過失割合

被害者に一定の過失があれば、過失相殺として、その分が減額されます。
一方、加害者側が危険な運転をしていたり、飲酒運転をしていたりといった、加害者側に重大な過失がある場合は、慰謝料額が増加する場合があります。

慰謝料の請求方法

慰謝料を適切に受け取るためには、以下の手順を踏むことが重要です。

保険会社との交渉

まずは、加害者が加入している保険会社と交渉し、提示された金額が適正であるかを確認します。

弁護士への相談

保険会社の提示額が不適切と感じた場合や、交渉が難航する場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
特に、弁護士に依頼することで、弁護士基準により交渉が進むため、高額の慰謝料を受け取ることができる可能性が高まります。

裁判での解決

交渉で合意に至らない場合は、裁判に発展することがあります。
この場合、弁護士基準が適用されるため、より高額な慰謝料が期待できます。

まとめ

本記事では、死亡事故における慰謝料の算定基準について解説しました。
死亡事故における慰謝料請求の基準は、自賠責基準、任意保険基準及び弁護士基準があり、慰謝料の算定基準もそれぞれ異なります。
中でも、弁護士が使う弁護士基準がもっとも高額になるため、交通事故にあった際は、弁護士に相談することをおすすめします。

企業法務相談とは?よくある相談内容について解説

企業法務

企業法務相談とは、企業の担当者や代表が、事業に当たっての法律に関する疑問や問題を専門家に相談し、解決の糸口を見つけるためのものです。
企業運営や事業の進行において、法的トラブルを未然に防ぐことや、既存の問題を迅速に解決することが主な目的です。
そこで、本記事では、企業法務相談の概要や、よくある相談内容を詳しく解説します。

企業法務相談の概要

企業法務相談は、事業内容や会社の運営の際に生じる、法律上の問題点について弁護士などの法律専門家に相談し、相談を受けた弁護士が、適切な法的助言や手続きを提供することにより、当該会社の法的な問題点を解決に導くサービスです。
相談の範囲は幅広く、あらゆる事業において、あらゆる法的問題が対象になります。
特に、企業法務相談の内容として多いのが、契約書の中身の話や、労務管理に関するものです。
この、企業法務相談を利用することで、問題が深刻化する前に対処することができる可能性が高まるため、早めの相談が推奨されます。

よくある相談内容

企業法務相談において、よくある相談内容は以下の通りです。

契約書の作成・チェック

契約書は、企業間の取引において、必ずと言っていいほど作成するものであり、業務委託契約書や秘密保持契約書など形態もさまざまです。
この契約書に不備があると、契約当時は想定していないようなトラブルが生じる可能性があります。
特に「または」や「並びに」といった、ちょっとした言葉遣いの違いによって、トラブルが生じる事例もあります。
したがって、取引先との契約書が不備だったためにトラブルに発展するケースを防ぐため、契約書の作成やリーガルチェックを専門家である弁護士に依頼し、アドバイスをもらう企業が増えています。

労務管理

従業員とのトラブル、残業代請求、ハラスメント問題への対応など、労務に関する相談は中小企業を中心によく見られる相談内容です。
特に、労働基準法に定められている残業代の支払いの方法については、さまざまなパターンがあり、複雑なため、従業員との間でトラブルが生じやすく、これに関する労務相談が増えています。
また、日本の労働法上、解雇や懲戒についてのハードルも高く、この点についても弁護士に相談し、解雇や懲戒が適法なのかについて助言をもらうことも重要であるといえます。

知的財産権について

特許権、商標権、著作権などの知的財産権の保護や侵害対応もよくある企業法務相談の分野です。
知的財産権については、新たな製品やサービスを展開するときに、必ずと言っていいほど問題となりますが、内容が難しく、法律の専門家である弁護士を通さずに解決することは難しい分野です。
したがって、知的財産権について、企業法務相談を行い、問題点をクリアにする企業が増えています。

取引先とのトラブルについて

取引先とのトラブルについてもよくある企業法務相談のひとつです。
一見、取引先とのトラブルは法律には関係なく、企業法務相談の内容にはなりえないと思う方もいるかもしれません。
しかし、取引先とのトラブルの中には、契約の解釈に基づくトラブルも多くあります。
このようなトラブルの際は、弁護士に相談することにより、問題点がクリアになり、会社として解決に向けた方向性を見つけやすくなります。
したがって、取引先とのトラブルが生じた際に、企業法務相談を利用することも一つの手であるといえます。

企業法務相談を利用するメリット

企業法務相談を利用するメリットは以下の通りです。

問題の早期解決

法律の専門家が状況を正確に分析し、適切なアドバイスを行うため、問題が拡大する前に解決できる可能性が高まります。
特に、企業法務相談を受けずに、対応が後手に回ることにより、問題が拡大したり、不利な地位に追い込まれたりすることもあります。

リスクの回避

契約書のチェックや法的助言を受けることで、トラブルの発生を未然に防ぐことができる可能性が高まります。
特に企業の場合、法律違反による罰則や損害賠償リスクを軽減できます。

まとめ

本記事では、企業法務相談の概要や、よくある相談内容について解説しました。
企業法務相談は企業が抱える法的な問題を解決するための重要なサービスであり、さまざまな相談内容があります。
法的な疑問点が生じた場合は、早めに専門家に相談することで、問題の拡大を防ぎ、スムーズな解決を図ることが可能になるため、法律問題に直面した際は、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。

親権の決め方と流れについて解説

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親権は、離婚の際に子供の生活や成長を守るために考える必要がある事項です。
親権の取り決めは子供の福祉を第一に考えたうえで、両親が話し合いや裁判所の介入によって決定します。
本記事では、親権の決め方や手続きの流れについて詳しく解説します。

親権とは?

親権とは、子供の身上監護(生活の管理や教育)と財産管理を行うための権限のことをさし、子が未成年の時に、発生します。
日本の親権では、2つの権利があります。

1つ目が、財産管理権です。
財産管理権は、その名の通り、子の財産を管理したり、子の財産に関する法律行為について、子を代理したりする権限をさします。

2つ目が、身上監護権です。
身上監護権は、子の職業について許可したり、身分行為を代理したりする権利であり、子の監護をする権利といえます。

通常、これらの2つの権利の双方を持つことが多いですが、親権者が子とは離れて暮らしているというような、事情がある場合、親権者とは別で、身上監護権のみを持つ場合もあります。
親権は、夫婦が婚姻中であれば、夫婦が共同して親権を行使することとなっており、家庭裁判所の許可や、夫婦間の合意によって、夫婦のどちらか一方が親権を行使するといったような規定はありません。
したがって、婚姻中であれば、親権を決めるといったような手続きは発生せず、親権を決める必要があるのは、夫婦が離婚した時になります。

親権の決め方

ここからは親権の決め方を解説します。
上記のように、親権の帰属が問題となるのは、夫婦が離婚した時です。
この際、親権は、子供の利益を最優先に考えたうえで決められます。
決定方法には以下のステップがあります。

話し合いによる合意

離婚協議の場で、夫婦間で話し合いを行い、親権者を決めます。
この方法が最も円滑で、費用や時間もかからないため、この方法が、もっともおすすめの方法です。
しかし、実際には、お互い親権を譲らないケースが多く、また離婚により、夫婦の関係が破綻している場合も多いため、話し合いにより親権が決まらないケースも多くあります。
そのような場合でも、話し合いの場でむきにならず、冷静に相手と話し合うことが重要です。
また、場合によっては、夫婦の二人だけではなく、中立な第三者を交えて、話し合うことも重要といえます。

家庭裁判所での調停

夫婦間の話し合いで合意に至らない場合、家庭裁判所での離婚調停が行われる場合があります。
離婚調停は、離婚調停の申し立てにより開始され、調停委員が双方の意見を聞き、調整を試みます。
離婚調停は、夫婦間での任意の話し合いとは異なり、調停委員が夫婦の双方から話を聞き、話し合いを取りまとめます。
したがって、夫婦は直接話し合う必要はないため、心理的な負担は少ないです。
また、調停がまとまった場合は、裁判所の判決と同様の効果を得ることができるため、これに基づき強制執行を行うことも可能です。
しかし、調停は、通常の裁判とは異なり、双方が合意をしなければ、調停が成立しないため、どちらかが合意をしなければ、調停によっても親権が定まらないことになります。

裁判での決定

調停でどちらかが調停に合意せず、調停でも親権が決まらなかった場合は、裁判に進み、最終的に裁判官が親権者を決定します。
この離婚裁判での親権の判断基準は、もっぱら子の利益に着目して判断がなされます。
具体的には、夫婦双方の経済状態や健康状態などといったさまざまな事情を考慮します。
また、これらの判断要素を考慮しても判断が難しい場合は、母親が優先されることが多いです。

親権決定の手続きの流れ

親権決定の手続きの流れは以下の通りです。

離婚協議の開始

まずは夫婦間で親権について話し合い、合意を目指します。
このとき、子供の生活環境や将来の教育方針なども考慮し、子にとって適切な判断をすることが重要です。

家庭裁判所への申し立て

話し合いで解決できない場合、家庭裁判所に調停を申し立てます。
申立書を提出することにより、調停が開始されます。

調停の進行

調停では、調停委員が双方の主張を聞き、子供の福祉を重視した解決策を提案します。
調停で合意に至れば、親権が正式に決定します。
調停は、双方が別々に調停委員に呼び出され、それぞれ約30分、調停委員と話し合いをします。
場合によっては、これを数回繰り返すことがあります。

裁判の実施

調停でも解決しない場合、裁判に進みます。
裁判所は証拠や証言をもとに親権者を決定し、判決を下し、判決が確定したら、これに従わなければなりません。

まとめ

本記事では、親権の決め方や親権決定の流れについて解説しました。
親権の決定に当たっては、相手の態度により進め方や手続きが大きく変わるため、手続きの概要や親権の内容を抑えておくことが重要です。
しかし、これらは法律的に複雑なため、親権に関する問題を抱えている場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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