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コラムカテゴリー: 離婚

単独親権が共同親権になったことでの変更点は?

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2026年4月1日より改正民法が施行され、離婚後も父母双方が親権を持つ共同親権を選択できるようになりました。
これまでの単独親権と比べ、親権の決め方や子どもの進学・医療など重要事項の決定方法が変わっています。
本記事では、共同親権導入による主な変更点を解説します。

単独親権から共同親権への制度変更の概要

2026年4月1日に施行された改正民法により、離婚後の親権制度が大きく変わりました。
これまでは、離婚後は父母のどちらか一方だけが親権者となる単独親権しか認められていませんでした。
現在は、離婚後も父母双方が親権を持つ共同親権を選択することが可能です。
ただし、共同親権が原則になったわけではなく、単独親権と共同親権のどちらも選べる制度です。
父母の協議や家庭裁判所の判断により、子どもの利益に最も適した形が選択されます。
また、既に離婚して単独親権となっている場合でも、自動的に共同親権へ変更されるわけではありません。必要に応じて家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。

親権の決定方法と選択基準の変更点

共同親権が導入されたことで、離婚時に父母が選べる親権の形が広がりました。
ただし、どのような場合でも共同親権が認められるわけではなく、子どもの利益を基準に判断されます。

協議離婚における親権の決め方

協議離婚の場合、父母は話し合いによって共同親権か単独親権かを選択します。
共同親権を選ぶ場合は、離婚届にその旨を記載する必要があります。
父母双方が共同親権に同意し、子どもの利益にかなうと判断できる場合に共同親権を選択できます。
一方、父母間で合意できない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることになります。
最終的には、家庭裁判所が共同親権にするか単独親権にするかを判断します。

家庭裁判所が判断する際の基準</H3>

家庭裁判所は、子どもの利益を最優先に考えて親権の形を決定します。
具体的には、父母が離婚後も協力して子育てができるか、子どもの意向、これまでの養育状況などを総合的に考慮します。
父母間のコミュニケーションが比較的良好で、養育について協議できる関係であれば、共同親権が認められる可能性があります。
一方で、DVや虐待がある場合、父母間の対立が激しい場合、連絡が困難な場合などは、単独親権が選択される可能性が高くなります。

共同親権における意思決定の方法と範囲

共同親権では、すべての事項について父母双方の同意が必要になるわけではありません。
日常的な事項と重要事項で、決定方法が区別されています。

日常的な事項の決定

日常生活に関する事項は、父母のどちらか一方が単独で決定できます。
たとえば、食事内容、服装、就寝時間、短期間の旅行、予防接種、習い事、日常的な医療機関の受診などが該当します。
また、風邪をひいた際の病院受診や、学校行事への参加なども、主に子どもと同居している親が単独で判断できます。
これにより、共同親権であっても日常生活に支障が出にくい仕組みとなっています。

重要事項の決定と父母の協議

子どもの将来や生活環境に大きな影響を与える事項については、父母双方の協議が必要です。
具体的には、進学先の決定、転校、長期の海外渡航、重大な手術や医療行為、氏の変更、財産管理などが該当します。
これらについて意見が一致しない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることができます。
裁判所は子どもの利益を考慮しながら、必要に応じて専門家の意見も踏まえて判断します。
なお、DVや虐待から逃れるための避難や、緊急の医療行為が必要な場合は、一方の親が単独で親権を行使できます。

共同親権における子の居所指定と監護の実務

共同親権であっても、子どもは通常どちらか一方の親と同居して生活します。
そのため、親権と監護の役割分担をどのように行うかが重要になります。

子の居所指定権の行使

子どもの居所は重要事項に該当するため、父母の協議によって決定します。
通常は、どちらか一方の親が主たる監護者となり、子どもと同居して日常的な養育を担います。
転居によって転校が必要になる場合などは、父母双方の協議が必要です。
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所が通学環境や友人関係、父母との交流状況などを考慮して判断します。

監護権と親権の関係

改正後も、親権と監護権を分けることは可能です。
たとえば、一方の親が親権者、もう一方の親が監護者となる形を選ぶこともできます。
監護権者は、子どもと同居し、日常的な養育や教育を担います。
一方で、進学や医療など重要事項については、親権者の同意が必要になります。
親権と監護権を分ける場合は、父母間で役割分担を明確にしておくことが重要です。

まとめ

2026年4月1日の改正民法施行により、離婚後も父母双方が親権を持つ共同親権を選択できるようになりました。
ただし、共同親権は義務ではなく、父母の関係性や子どもの状況に応じて単独親権を選択することも可能です。
日常的な事項は一方の親が単独で決定できますが、進学や重大な医療行為などの重要事項は父母双方の協議が必要になります。
また、DVや虐待がある場合、父母間の対立が激しい場合には、単独親権が適切と判断される可能性があります。
制度の運用は個別事情によって異なるため、親権について不安がある場合は、早めに弁護士へ相談することが重要です。

財産分与の請求が認められている期間は何年?請求方法も解説

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離婚する際、共有財産を清算する財産分与は、離婚後の生活基盤を整えるうえで重要な手続きです。
しかし、離婚時の話し合いが曖昧なまま時間が経過してしまったり、離婚後しばらく経ってから財産分与を請求したいと考えたりした場合、時効が問題となることがあります。
今回は、財産分与における請求権の時効や、財産分与を請求する方法などについて解説します。

財産分与とは?

財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産を、離婚に伴ってそれぞれの貢献度に応じて清算する制度をいいます。
財産分与の請求権は民法によって認められており、原則として夫婦の寄与度は2分の1ずつとされています。
離婚の方法には、お互いの話し合いによって決める協議離婚や、調停・裁判などの法的手続きを経て成立する裁判離婚がありますが、いずれの場合であっても財産分与の請求は可能です。

財産分与の対象となる財産

財産分与の対象となるのは、基本的に婚姻期間中に夫婦が協力して取得・維持した共有財産です。
具体的には、次のような資産が共有財産に該当します。

  • 夫婦の預貯金
  • 婚姻期間中に購入した不動産
  • 自動車
  • 有価証券
  • 退職金
  • 生命保険の解約返戻金
  • 婚姻期間中に増やしたマイナスの財産

退職金については、将来受け取る予定のものや、すでに受け取ったもので婚姻期間に対応する部分のみが対象となります。

また、婚姻期間中に増やした住宅ローンや借金などのマイナスの財産は、プラスの財産から差し引かれます。
一方で、夫婦の一方が結婚前から所有していた財産や、婚姻中であっても相続や贈与によって個別に取得した財産は特有財産と呼ばれ、原則として財産分与の対象外です。
夫婦の一方が浪費した個人的な借金なども分与の対象にはなりません。

財産分与の請求が認められている期間

財産分与を請求することができる期間は、離婚成立日から5年間と定められています。
離婚が成立してから財産分与を請求しないまま5年が経過すると請求権が消滅してしまうため、注意してください。
この期間は除斥期間と呼ばれ、延長することはできません。
離婚後5年間で取り決められた財産分与について相手方からの支払いが滞っている場合の請求権については、消滅時効が定められています。
消滅時効とは、一定の期間行使されなかった権利が消滅する制度です。
具体的には、 家庭裁判所の調停や裁判によって離婚した場合は確定したときから10年間、夫婦間の話し合いによって離婚した場合は合意したときから5年間の消滅時効が適用されます。
消滅時効においては、一定の手続きを踏めば期間の更新が可能です。

財産分与の請求方法

財産分与の請求方法は、以下の通りです。

相手方との協議によって取り決める

まずは、相手方との間で財産分与についての話し合いを行います。
お互いに連絡が取れる状態であれば、どの財産をどのように分けるか、割合や支払い方法について合意を目指しましょう。
合意に至った場合は、将来的なトラブル発生や未払いのリスクを防ぐために、内容の文書化が推奨されます。
「本契約に定めるもののほか、互いに債権債務が存在しないことを確認する」という旨の清算条項を盛り込んだ財産分与契約書を作成してください。
さらに、財産分与契約書を公正証書にしておくと、未払い時に相手方に対して強制執行の手続きをとることが可能になります。

財産分与請求調停を家庭裁判所に申し立てる

話し合いではまとまらない場合や、相手が話し合い自体を拒絶している場合には、家庭裁判所に財産分与請求調停を申し立てます。
調停では、裁判官1名と調停委員2名以上が間に入り、双方から主張や財産資料を聴き取りながら、中立的な立場から妥当な解決案を提示して話し合いによる合意へと導いてくれます。
調停でもまとまらなかった場合は自動的に審判へ移行し、裁判官が一切の事情を考慮して分与割合や方法を決定することになります。
調停・審判をしている間に離婚から5年の期間が経過しても、財産分与の請求権が消滅することはないため、協議による合意が難しい場合には、早めに裁判手続きに移行することが推奨されます。

まとめ

今回は、財産分与の請求が認められている期間や、財産分与を請求する方法などについて解説しました。
離婚後に財産分与を取り決める際の期限は、離婚から5年間です。
そして、5年の間に取り決めた財産分与の未払いに対する請求については、離婚方法によって5年または10年の時効が定められています。
財産分与を請求する方法としては、まず相手方との交渉が挙げられます。
当事者での協議で合意が得られない場合には、調停や審判に移行することになります。
財産分与について相手方との交渉や裁判手続きに不安を感じられている方は、弁護士への相談をご検討ください。

【2026年4月施行】民法改正による養育費制度の変更点とは

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2026年4月に施行された改正民法により、法定養育費制度や先取特権が導入され、養育費に関する制度が見直されました。
本記事では、改正内容や公正証書の重要性、確認しておきたいポイントについて解説します。

法定養育費制度が導入された背景

これまで養育費は、父母間の協議や家庭裁判所での調停などを通じて決める必要がありました。
しかし、話し合いがまとまらないまま養育費が支払われず、子どもの生活に影響が及ぶケースもありました。
こうした状況を踏まえ、養育費の取り決めがない場合でも、一定額を請求できる仕組みとして法定養育費制度が導入されています。
法定養育費については、子ども1人あたり月額2万円を基準とする制度運用が示されています。
もっとも、この金額は最低限の生活保障を目的とした基準です。
実際の養育費については、父母双方の収入や子どもの年齢、教育費などを踏まえて個別に決める必要があります。
そのため、法定養育費制度が導入された後も、具体的な養育費について十分に協議することが重要です。

先取特権の創設で養育費回収がしやすくなる可能性

今回の改正では、養育費債権について一般先取特権が認められました。
先取特権とは、一定の債権について、他の債権者より優先して弁済を受けられる権利を指します。
これまで養育費の未払いが発生した場合には、強制執行までに時間や手続き負担がかかるケースもありました。
改正後は、養育費債権の保護が強化されたことで、従来よりも回収手続きを進めやすくなる場面が増える可能性があります。
また、改正後は、一定範囲で債務名義なしに差押えが可能となる場面も想定されています。
もっとも、実際の回収手続きでは、公正証書や調停調書を作成しておくことで、手続きを進めやすくなる場合があります。
さらに、相手方の勤務先や預貯金口座などの財産状況を把握する必要が生じることもあります。
そのため、制度改正だけに頼るのではなく、未払い時に備えた準備をしておくことが大切です。

改正後も公正証書が重要とされる理由

法定養育費制度や先取特権の導入によって、公正証書は不要になると考える方もいるかもしれません。
しかし、改正後も公正証書を作成する重要性は変わらないと考えられています。
法定養育費の基準額は最低限の水準とされており、実際には進学費用や医療費、習い事など、家庭ごとに必要となる費用は異なります。
公正証書を作成しておけば、養育費の金額だけでなく、支払期間や支払方法、進学時の費用負担などについても具体的に定めることができます。
また、強制執行認諾文言付き公正証書を作成しておくことで、未払い発生時に強制執行の手続きを進めやすくなる場合があります。
これは、先取特権を活用する場面でも重要となる場合があります。
さらに、公証役場で正式な書面として合意内容を残すことで、後日の認識違いやトラブル防止につながることも期待できます。
養育費は長期間にわたる支払いとなるため、口約束だけではなく、内容を明確に残しておくことが重要です。

改正後に確認しておきたいポイント

2026年4月に施行された改正民法のもとでは、これから離婚協議を行う方だけでなく、すでに養育費を取り決めている方も制度内容を確認しておくことが大切です。
特に、現在の取り決めが口約束のみとなっている場合には注意が必要です。
未払いが発生した際、取り決め内容を証明できず、請求や手続きが難しくなる可能性もあります。
また、現在作成している離婚協議書や公正証書についても、制度改正を踏まえて見直した方がよいケースがあります。
制度変更による影響は家庭ごとに異なるため、不安がある場合には、早い段階で弁護士などの専門家へ相談し、状況に応じた対応を検討することも選択肢の1つです。

まとめ

2026年4月に施行された改正民法では、法定養育費制度や先取特権の導入により、養育費に関する制度の見直しが行われました。
これにより、従来よりも養育費を請求しやすくなることが期待されています。
もっとも、法定養育費の基準額は最低限の生活保障を目的としたものであり、実際には家庭ごとの事情に応じた協議が重要になります。
また、未払い時に備えるためには、公正証書などによって取り決め内容を明確に残しておくことが大切です。
養育費は子どもの生活や将来に関わる重要な問題であり、家庭ごとに適切な対応方法も異なります。
制度改正を踏まえ、現在の取り決め内容や書面の有無について一度確認しておくとよいでしょう。
特に、養育費の金額や支払方法、公正証書の作成、未払い時の対応などに不安がある場合には、早めに弁護士へ相談し、ご自身の状況に応じた対応を検討することも重要です。

有責配偶者でも離婚が認められるケース

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有責配偶者からの離婚請求は、裁判所によって認められにくいとされています。
今回は、有責配偶者の定義や、有責配偶者からの離婚が認められるための要件、および離婚請求を進めるための方法について詳しく解説します。

有責配偶者とは?

有責配偶者とは、自身の不法な行為によって婚姻関係を破綻させた原因を作った側の配偶者のことを指します。
不貞行為やドメスティック・バイオレンスを行った場合、有責配偶者とみなされます。

有責配偶者でも離婚が認められるのか?

有責配偶者からの離婚請求は、特定の厳しい要件をすべて満たした場合に限り認められます。
裁判所が判断の基準とする、有責配偶者からの離婚請求を認める3つの要件は以下の通りです。

相当長期の別居期間があること

有責配偶者からの離婚が認められるための判断材料のひとつは、別居期間の長さです。
必要とされる期間は婚姻期間や夫婦の年齢などによって変動しますが、一般的には8年から10年程度となっています。

未成熟の子が存在しないこと

夫婦の間に、まだ経済的に自立していない未成熟子がいないことが有責配偶者からの離婚請求が認められる条件のひとつです。
未成熟子は、未成年だけではなく大学生のように経済的な援助が必要な状態の子どもも含む場合があります。
離婚によって子どもの養育に支障が出ることを防ぐための配慮です。
ただし、有責配偶者が十分な養育費を支払い続ける体制を整えている場合には、この要件を緩やかに解釈する事例もあります。

離婚によって相手方が過酷な状態に置かれないこと

有責配偶者からの離婚請求が認められる要件として、相手方配偶者が過酷な状態におかれないことがあります。
過酷とは、おもに経済的に困窮しないかどうかが考えられます。
たとえば、長年専業主婦として家庭を支えてきた配偶者が離婚によって生活保護を受けざるを得なくなるような場合は、離婚の請求が認められる可能性は低いといえます。
この要件を満たすためには、有責配偶者の側から財産分与や慰謝料、あるいは離婚後の生活を支えるための金銭的な補償を十分に提示することが求められます。

有責配偶者が離婚請求する方法

有責配偶者から離婚を請求する方法は以下の通りです。

離婚協議

有責配偶者が離婚請求を行う方法として、当事者間の協議が考えられます。
離婚協議は双方の合意によって成立するため、相手方が離婚に納得する条件などを提示すれば有責配偶者であっても請求が通りやすいです。

離婚調停

当事者間の協議で有責配偶者の離婚請求が通らなかった場合は、離婚調停で成立を目指す方法が考えられます。
離婚調停は離婚裁判とは異なり、有責配偶者であるかどうかは関係なく申し立てを行い、成立を目指すことができます。
ただし、あくまで話し合いによる解決を目指す手続きであるため、相手方が離婚条件に同意しない場合や、離婚請求を拒否するときには不調に終わる可能性が高いです。

離婚裁判

調停でも決着がつかない場合、有責配偶者が離婚裁判を起こすことになります。
裁判で先述した3つの要件を満たしていると認められるためには、有責配偶者側が立証しなければなりません。
特に別居期間の正確な記録や、相手の生活を支えるための具体的な経済的提案が重要になります。
要件を満たしていると認められれば、裁判官の判決によって強制的に離婚を成立させることができます。

まとめ

今回は、有責配偶者でも離婚が認められるケースや、離婚請求の方法について解説しました。
日本の法律実務において、有責配偶者からの離婚請求には厳しい制限が課せられています。
有責配偶者からの離婚請求を検討している際には、弁護士に相談し、客観的なアドバイスを受けることが効果的です。

離婚が認められる別居年数とは?目安や準備すべき証拠について解説

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日本では、夫婦の一方が離婚を拒否している場合、最終的に離婚を成立させるためには家庭裁判所での手続きが必要となることがあります。
このとき、別居期間の長さは離婚が認められる判断材料のひとつとなります。
今回は、離婚裁判における別居年数の目安、別居を示すために準備すべき証拠などについて解説します。

離婚裁判において別居年数が担う役割

離婚裁判で離婚を認められるには、法定離婚事由のいずれかに該当していることを証明しなければなりません。
法定離婚事由とは、不貞行為や悪意の遺棄などといった婚姻を継続しがたい重大な事由のことを指します。
理由のない別居は、夫婦が双方に負う同居義務違反に当たるため、状況によっては婚姻を継続しがたい重大な事由に当たることがあります。

離婚が認められる別居年数の一般的な目安

離婚が認められる別居年数について明確な基準は定められていませんが、一般的な目安は3年から5年となっています。
ただし、婚姻期間の長さによってこの目安にも変動があることには注意が必要です。
なお、婚姻関係を壊す理由を作った側である有責配偶者から離婚を求めることは、原則として認められていません。
また、別居以外の離婚事由が併存している場合には、別居期間が1年未満であっても離婚が認められる可能性が高まります。

離婚裁判において別居しているとみなされるための条件

離婚裁判において別居年数としてカウントされるためには、住居を別にしていることに加えて、夫婦としての経済的・精神的な依存関係が断絶されている必要があります。
別居期間であるとみなされるための具体的な条件は、以下の通りです。

住居の完全な分離

別居期間を証明するためには、住居を完全に別にしていることが求められます。
同じ家に住みながら別々に生活する家庭内別居のようなケースは、完全な分離とはみなされないおそれがあるため、注意してください。

連絡を絶つ

別居による離婚は、法律上の夫婦であっても実態としてすでに婚姻関係が破綻しているときに認められます。
そのため、離婚を認められるためには、別居期間中に相手方と必要以上の連絡を取らないことが有効です。

性的交渉を断つ

別居期間中に夫婦で性交渉を持つと、関係を修復しようとしたと解釈され、別居期間のカウントがリセットされるおそれがあります。
そのため、離婚を目指す際には、配偶者との接触を避けることが求められます。

別居期間を証明するための具体的な証拠

離婚裁判において、いつから別居が始まったかを正確に立証するための準備は欠かせない役割を担っています。
具体的には、以下のものを証拠として準備することを検討してください。

  • 住民票の履歴
  • 賃貸借契約書
  • 引越し業者の領収書
  • 別居の開始を宣言する知人へのメール
  • 通帳の履歴

離婚を見据えて別居を選択する際に起こりえるリスク

離婚を目指している場合、事前に計画することなく別居を選択すると、離婚裁判において自分の立場が不利になるおそれがあります。
別居を検討する際には、次のことに注意してください。

悪意の遺棄とみなされるリスク

正当な理由なく配偶者を一方的に残して家を出ることは、夫婦の同居義務に違反する悪意の遺棄とみなされるおそれがあります。
悪意の遺棄を行った側は有責配偶者として扱われ、離婚が認められにくくなるリスクがあります。
対策としては、置き手紙やメールで合意形成を試みた記録を残すことが有効です。

共有財産を処分されるリスク

別居後、家に残った配偶者が無断で預貯金を引き出したり、家財道具を処分したりするリスクが想定されます。
そのため、家を出る前に通帳のコピーや不動産の権利証などといった記録を確保しておくことが重要です。
証拠がなければ、後の財産分与で正当な取り分を主張することが難しくなる可能性があることに注意してください。

まとめ

今回は、裁判離婚における別居期間の重要性や、具体的に必要とされる年数、別居を選択するうえでの注意点について解説しました。
別居を理由に裁判を経て離婚する場合、認められるまでに数年単位の時間が必要です。
したがって、早期に離婚を成立させたいのであれば、協議による離婚を目指したほうが良いといえます。
配偶者との離婚を検討している場合には、弁護士に相談することを検討してください。

選択共同親権とは?単独親権とはどう違う?

選択共同親権とは?

日本では、離婚後に親権をどちらか一方の親が持つ単独親権が原則でした。
しかし、民法の改正により選択共同親権が今後導入されます。
この記事では、共同親権がどのような制度で単独親権とどう違うのか、また共同親権のメリットやデメリットについて解説いたします。

選択共同親権とは?

選択共同親権とは、2024年5月に成立した改正民法によって導入される新しい制度です。
父母が離婚した後も、父母の協議によって、親権を共同で持つか、または従来の単独親権とするかを選択できるようになります。
これにより、離婚後も父母双方が、子どもの養育や教育、医療などに関する重要な事柄について共同で決定する権限を持つことになります。
この制度の目的は、離婚後も父母が協力して子育てに関わる環境を整備し、子どもの利益を最大限に守ることにあります。
父母が合意できない場合は、家庭裁判所が子の利益を考慮して親権を定めることになります。

選択共同親権はいつ施行される?

選択共同親権を導入する改正民法は、2024年5月に成立しました。
この改正法は、公布の日から2年以内に施行されることが定められています。
したがって、具体的な施行日はまだ確定していませんが、遅くとも2026年5月24日までには施行される予定です。

単独親権との違い

単独親権とは、離婚後に父母のどちらか一方のみが親権を持ち、その親が単独で子どもの監護、教育、財産管理といったすべての親権を行使する制度です。
これに対し、選択共同親権は、親権を父母双方が共同で持つため、離婚後も父母2人が協力して重要な事柄を決定します。
単独親権では、親権を持たない親は、財産管理や監護などにおける法律行為の代理権・同意見を持ちません。
共同親権では、離婚後も父母の双方が子どもの成長に責任を持ち続けることになります。

選択共同親権のメリット

選択共同親権は、子どもの養育環境や父母の関係性に多くのメリットをもたらします。

離婚時の親権を巡る対立が緩和される

離婚時において、親権をどちらが持つかを巡る争いは、夫婦間の対立を激化させる大きな原因でした。
選択共同親権が導入されることで、親権を共同で持つという選択肢ができるため、親権をめぐる激しい争いが緩和されることが期待されます。
どちらか一方が親権を失うという認識が薄れることで、冷静な話し合いが進みやすくなります。

親子間の交流が増える

共同親権となることで、両親がともに子どもの養育に関する意思決定に関与できるようになります。
これにより、単独親権の場合に親権を持つことができなかった親が、子どもの生活や教育に積極的に関わる機会が増え、親子間の交流が増加することが期待されます。
子どもが両親から愛情とサポートを受けやすくなるという利点があります。

選択共同親権のデメリット

一方で選択共同親権はメリットばかりではありません。
ここからは選択共同親権のデメリットを見ていきましょう。

共同親権者がもめる可能性がある

共同親権では、子どもの進学や医療など、重要な事柄について父母双方が合意する必要があります。
しかし、離婚後も父母間の対立が残っている場合、意見が対立し、重要な意思決定が滞る可能性があります。
父母の協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に申し立てて判断を仰ぐことになります。

離婚後も父母同士で関わる必要がある

共同親権を選択した場合、離婚後も子どもの養育に関する協議のために、父母同士で継続的に連絡を取り、意思疎通を図る必要があります。
これは、離婚によって相手と関わりたくないと考えている一方の親にとって、精神的な負担となる可能性があります。
協力関係が築けない場合、共同親権の運用が困難になります。

共同親権を選択できないケース

改正民法で共同親権が導入されても、特定の状況下では共同親権を選択できず、単独親権となる場合があります。
共同親権を選択できないケースとして、虐待やDVが挙げられます。
父母の一方から子に対する身体的虐待やネグレクトなど、子の心身に有害な影響を及ぼす言動のおそれが認められる場合、子の安全確保が不可能となるため、共同親権は選択できません。
また、父母の一方から他方の配偶者への暴行、脅迫、暴言といったDVのおそれが認められる場合も、単独親権となります。
DVの存在は、父母間で冷静な協議を行うことが困難であると判断されるためです。
これらの状況では、たとえ父母が共同親権を望んでも、裁判所は子の利益を害すると判断し、単独親権を命じることが義務付けられています。

まとめ

選択共同親権は、離婚後も父母の協議により共同で親権を持つことができる新しい制度です。
親権争いの緩和や親子交流の増加といったメリットがある一方で、父母間での対立継続や、離婚後も関わり続ける必要があるといったデメリットもあります。
離婚トラブルでお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。

子どもの連れ去りは早期に対応すべき理由

子どもの連れ去りは早期に対応すべき理由

離婚を意識した配偶者が、同意なく子どもを連れて行ってしまい、別居することがあります。
このような子どもの連れ去りは違法行為といえるのでしょうか。
今回は子どもの連れ去りを早期に対応すべき理由について解説します。

子どもの連れ去りとは?

子どもの連れ去りとは、親権を持つ者または監護権を持つ者が、相手方の同意を得ずに子どもを現在の居住地から連れ出す行為を指します。
この行為は、未成年者誘拐罪に問われる可能性もある重大な問題ですが、夫婦間の問題であるために、連れ去り行為の違法性については、離婚や別居の状況によって判断が分かれることがあります。

離婚前の監護者の場合違法性が低いとされる

夫婦がまだ離婚に至っておらず、共同生活を続けている段階で、一方の親が子どもを連れて別居を開始するケースは多くみられます。
このような場合、連れ出した側の親が、事実上、子どもの生活を監督・保護する監護者として適切であったと判断されることがあります。
夫婦の共同生活がすでに破綻している状況下において、子どもの養育環境を確保するという目的が重視されるためです。

別居後の子どもの連れ去りは違法性が高い

夫婦がすでに別居しており、どちらの親が子どもを監護するかについて合意が成立している、または裁判所の判断が出ている状況下での連れ去り行為は、違法性が高いと判断されます。
別居が長期化し、子どもが一方の親との生活に慣れ、その環境が安定している場合、その安定した環境を破壊する行為は、子の福祉に大きく反するとみなされます。
特に、面会交流の日程を利用するなどして、監護権を持つ親の合意なく子どもを連れ去り、監護親と子どもとの交流を遮断する行為は、悪質性が高いと評価されます。
裁判所は、別居後に安定した監護体制を奪う行為に対しては、子の引渡しを命じる審判や、間接強制などの強力な手段を用いて、早期に元の状態に戻す判断を下す傾向があります。
別居後の連れ去りは、刑事上の未成年者誘拐罪にも該当する可能性があり、連れ去った親は民事や刑事の両面で責任を問われることになります。

年齢によっては子どもの意思で付いてきた場合はどうなる?

子どもの連れ去りの問題において、子どもの意思は非常に重要な要素となります。
連れ去り行為があったとしても、子ども自身の自由な意思に基づいて、連れ出した親と一緒にいたいと望んだ場合、法的な判断に影響を与えることがあります。
ただし、子どもの意思が尊重されるかどうかは、子どもの年齢と発達段階によって異なります。
一般的に、裁判所は10歳から15歳程度以上の子どもの意思については、その形成過程を慎重に調査した上で、子の福祉の観点から尊重する傾向があります。

子どもが連れ去られたときの対処法

子どもが連れ去られたときの対処法として、次のようなものが考えられます。

子の引渡しの調停・審判を行う

子どもが連れ去られた場合、まず家庭裁判所に対し、子の引渡しの調停または審判を申し立てます。
これは、子どもを監護している相手方に対し、子どもを元の生活環境に戻すよう裁判所が命じることを求める手続きです。
基本的には、話し合いから始まる手続きですが、DVなど状況によって話し合いが困難な場合は、最初から審判を申し立てることも可能です。
審判では、裁判官が提出された証拠や、家庭裁判所調査官の調査結果などに基づいて判断を下します。
子の引渡しを求める親は、自分が監護親としてふさわしいことや、連れ去られた状況が子の福祉に反することを主張し、証明する必要があります。

審判前の保全処分を行う

子の引渡しの調停や審判には時間がかかることが多く、その間に子どもの生活環境が固定化されてしまうリスクがあります。
これを防ぐために、本案の審判が下されるまでの間、子どもを一時的に元の親に引き渡すよう命じる審判前の保全処分を同時に申し立てることができます。
保全処分は、緊急性が高いと裁判所が判断した場合に発令されるものであり、子の福祉を一時的かつ緊急に確保するための非常に強力な手段です。
申立ての際は、連れ去りによる子どもの心身への影響や、生活環境の急変による不利益などを具体的に示す証拠を提出することが重要となります。

相手が引き渡しに応じない場合は強制執行できる可能性もある

子の引渡しを命じる審判や、審判前の保全処分が下されたにもかかわらず、相手方が子どもを引き渡しに応じない場合があります。
この場合、子どもが連れ去られた親は、強制執行の申立てを行うことが可能です。
強制執行は、裁判所の命令を強制的に実現する手続きであり、執行官が相手方の居所に立ち入り、子どもを引き渡すという方法が取られます。
ただし、子の強制執行は、子どもの心身に大きな負担をかける可能性があるため、裁判所は慎重に判断するため状況によっては難しい場合もあります。

まとめ

今回は、別居時などに子どもを連れ去られた場合の対応について考えていきました。
子どもを連れ去られた場合、時間がたつほど、引き渡しが難しくなります。
そのため、迅速に法的手続きを行うべきです。
とはいえ、自力での手続きは難しいため弁護士に相談することをおすすめします。

養育費の取り決めを公正証書にすべき理由と手続きの流れ

養育費の取り決めを公正証書にすべき理由と手続きの流れ

離婚をした後、子どもの将来を考える際に重要になるのが「養育費」です。
とはいえ、口約束だけで養育費を決めてしまうケースも少なくありません。
今回は、養育費の取り決めを公正証書にしておくべき理由と、その手続きの流れを解説します。

養育費とは

養育費とは、子どもが社会的・経済的に自立するまでに必要な費用です。
離婚した後も、親には子どもを育てる責任があります。
どちらか一方が子どもを引き取った場合、もう一方の親が養育費を支払う義務があります。
養育費に含まれるのは、以下のような費用です。

  • 食費、衣類、住居費などの日常生活費
  • 医療費や通院費用
  • 保育園や学校などの教育費
  • 習い事や塾などの課外活動費

子どもの年齢や進学希望によって必要な金額は変わります。
そのため、将来も視野に入れ、十分に話し合うのが大切です。

口約束では不十分な理由

養育費の支払いに関して、離婚の際に話し合って決めても、文書にしなかったり口約束だけだったりするケースがあります。
しかし文書化しないと、さまざまなリスクがあります。

  • 支払いが滞るリスクが高い
  • 証拠が残らない
  • 子どもが不利益を受ける

それぞれ確認していきましょう。

支払いが滞るリスクが高い

養育費の取り決めが口頭だけだった場合、支払いが止まっても法的に強制できません。
仮に一度は約束を守っても、再婚や転職、収入の変化などを理由に支払いをやめる可能性があります。

証拠が残らない

「養育費を支払う」と口約束をしても、文書がなければ後からその約束を証明できません。
仮に裁判になった場合、証拠がないと養育費を請求するのが難しくなるリスクがあります。

子どもが不利益を受ける

養育費の支払いが止まると、子どもの生活や教育環境に直接的な影響を与える可能性があります。
必要なサポートが受けられず、将来の進路が制限されることも考えられます。
養育費の取り決めは、強制執行が可能な「公正証書(強制執行認諾文言付き)」として残すのが重要です。

公正証書とは

公正証書とは、公証役場で公証人が作成する、法的な効力を持つ文書です。
離婚の際に養育費や面会交流、財産分与などを取り決める場合、公正証書を作成するのが推奨されます。
特に重要なのが、「強制執行認諾文言」が付いた公正証書です。
養育費の不払いが起きた場合、訴訟を経ずに、裁判所を通じて差し押さえの手続きができます。

公正証書を作成する手続きの流れ

公正証書を作成するには、一定の手順があります。

①内容の合意
②必要書類の準備
③公証役場に相談・予約
④作成・署名
⑤正本・謄本の受け取り

それぞれのステップを確認します。

①内容の合意

まず、養育費の金額、支払い方法、支払期間などの詳細について、当事者同士で合意します。
以下のポイントを話し合っておくと安心です。

  • 毎月の支払金額
  • 支払日
  • 支払い方法
  • 支払いの終了時期
  • 将来的に収入が変動した場合の対応

必要に応じて、弁護士や行政書士への相談も検討してください。

②必要書類の準備

次に、公証役場に提出する書類を準備します。

  • 離婚協議書(養育費の内容が記載されたもの)
  • 身分証明書
  • 戸籍謄本
  • 不動産の登記簿謄本
  • 固定資産税納税通知書もしくは固定資産評価証明書

年金分割も行う場合や、代理人に依頼する場合などで、内容が若干異なります。

③公証役場に相談・予約

公正証書の作成は、原則として公証役場で行います。
事前に電話などで予約を取り、必要書類や内容を確認しましょう。
不明点がある場合には、相談に応じてもらえるケースもあります。

④作成・署名

公証人の面前で内容を確認し、問題がなければ当事者が署名・押印を行います。
公正証書が完成し、法的効力が生じます。
なお公正証書の手数料は、取り決める金額によって異なるため、事前に確認してください。

⑤正本・謄本の受け取り

公正証書の原本、正本、謄本の違いは以下の通りです。

種類説明
原本大元の書類。公証役場に保管されるため、当事者は持ち帰れない
正本原本をもとにして作成される「正規の写し」。原本とまったく同じ内容で、法的な効力がある
謄本証拠や参考資料として使うためのコピー。法的な強制力はない

公正証書が完成すると、正本と謄本が発行されます。
養育費などで将来の強制執行に備えるなら、「正本」は必須です。
内容を確認したり保管したりするために「謄本」も持っておくと安心です。
特に養育費など継続的なお金の支払いがある場合は、正本を適切に保管してください。

公正証書の内容の見直しはできるのか

公正証書は、「一度作成したら永久にそのまま使い続けなければならない」というわけではありません。
子どもの成長や親の収入状況の変化など、環境の変化によって、養育費の内容を見直す必要が出てくる場合もあります。
当事者同士が合意すれば、公正証書の内容の変更が可能です。
ただし、口頭での約束やメモ書きだけでは、法的効力を持ちません。
変更内容について新たに修正後の合意書を作成し、それをもとに公正証書を再作成する必要があります。

まとめ

今回は、養育費の取り決めを公正証書にするべき理由と、手続きの流れを解説しました。
公正証書にすれば、養育費の支払いに法的な裏付けを持たせられます。
作成には一定の手間・費用がかかりますが、長期的に見ると安心して子育てを進めるための大切な備えになります。
不安があれば、弁護士や司法書士などの専門家に相談してください。

離婚調停を有利に進めるためのポイント

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夫婦間の話し合いだけでは離婚の条件がまとまらないとき、家庭裁判所での「離婚調停」を選ぶ方法があります。
とはいえ、調停の場では感情的になりやすく、冷静な判断を欠いて不利な結果につながる可能性もあります。 
今回は、離婚調停を少しでも有利に進めるために押さえておきたいポイントを解説します。

離婚調停とは

離婚調停は、家庭裁判所で行う法的な手続きです。 
夫婦双方の話し合いを、裁判官と調停委員の立ち会いのもとで進める形式となります。

離婚調停の流れ

離婚調停の流れは、以下の通りです。

①申立書および必要書類の提出
②初回の調停期日の通知
③調停
④調停調書の作成・調停の終了

それぞれ確認していきましょう。

①申立書および必要書類の提出

まずは、家庭裁判所に調停申立書と必要書類を提出します。
提出先は、相手方(配偶者)の住所地を管轄する家庭裁判所です。

②初回の調停期日の通知

申立てを受けた裁判所は、調整後に初回の調停期日を指定し、当事者双方に通知します。
調停は裁判所が開廷している時間、つまり平日の昼間に行われるのが原則です。
仕事や育児があっても、都合を調整して出席しなければなりません。

③調停

調停当日は、夫婦が別々の待合室で待機し、交互に調停委員と話すのが一般的です。
いわゆる「非対面方式」であり、相手と直接顔を合わせずに話ができるため、冷静なやりとりがしやすくなります。
調停委員2名(男女1名ずつが多い)と、家庭裁判所の裁判官が対応するのが基本です。
まずは申立人から意見を聞き、次に相手方の意見を確認するという流れで話が進みます。
調停委員は中立の立場から、事実関係や希望条件を整理し、妥協点を探ります。

④調停調書の作成・調停の終了

複数回の期日を重ね、双方が合意に達すれば「調停調書」が作成されます。
調停調書は、裁判所が作成する正式な文書です。
確定判決と同じ効力を持つため、離婚届を提出せずに離婚が成立します。
一方で、意見が折り合わず合意に至らない場合には、調停は不成立となります。
上記の場合、家庭裁判所が職権で判断を下す「審判」に進むか、あるいは当事者が改めて「離婚訴訟」を起こします。

離婚調停を有利に進めるためのポイント

離婚調停を有利に進めるためには、以下のポイントを意識してください。

  • 事前に目的と優先順位を明確にする
  • 証拠や資料を準備する
  • 調停委員には丁寧に接する
  • 調停の記録は自分でも残す
  • 調停中の言動には注意する

それぞれ確認していきましょう。

事前に目的と優先順位を明確にする

調停を始める前に、自分が「何を一番重視するのか」を整理するのが重要です。 
「親権を得たい」「養育費を確実に取り決めたい」など、希望内容を紙に書き出します。
すべてを主張すると対立が激しくなるため、譲れない点と妥協できる点の線引きをすると、より柔軟に交渉を進めやすくなります。

証拠や資料を準備する

主張を裏付けるためには、客観的な証拠が欠かせません。 
以下のような資料を整理すると効果的です。

  • DVやモラハラの証拠(録音データ、LINE、診断書など) 
  • 夫婦共有財産の資料(通帳、不動産登記簿など) 
  • 収入を示す資料(源泉徴収票、給与明細など) 
  • 子どもの養育状況に関する記録(学校の連絡帳、写真など)

調停委員はあくまでも第三者として関与する存在であり、一方に肩入れするわけではありません。
しかし当然、人間としての好感や嫌悪感を抱くのも事実です。
調停委員たちの心証を良くするのも、調停を有利に進めるうえで重要です。

調停委員には丁寧に接する

調停の進行役を担うのが調停委員です。 
調停委員に対して高圧的な態度を取ると、話し合いが進まず、結果的に自分に不利な展開になる可能性があります。 
たとえ相手側の主張に納得できない場面でも、礼儀ある対応を心がけましょう。

調停の記録は自分でも残す

調停は複数回にわたって行われるのが一般的です。
自分自身でも、できる限り毎回のやりとりを記録してください。
調停の内容をノートにまとめたり、話し合いで合意した内容を書き留めたりすれば、次回以降の方針が立てやすくなります。
相手側の主張が変わったときにも、過去の記録があれば主張の矛盾を指摘できるかもしれません。

調停中の言動には注意する

調停の場だけでなく、その前後の言動にも注意が必要です。 
たとえばSNSで相手を非難するような投稿をしたり、感情的なLINEを送ったりすると、その内容が調停に持ち出される可能性があります。
子どもが関わる離婚の場合、親としてのふるまいも評価の対象になるため、節度ある行動が求められます。

弁護士に依頼すべきかの判断ポイント

離婚調停は自分だけでも対応可能ですが、状況によっては弁護士への依頼を検討する価値があります。
たとえば、以下のようなケースです。

  • 相手が弁護士を立てている
  • 複雑な財産分与や借金問題がある
  • DVや精神的虐待を受けている
  • 親権や面会交流について争いがある
  • 精神的に不安定で自分では交渉が難しい

弁護士に依頼すれば、調停への同行だけでなく書類作成や主張の整理も任せられるため、心理的な負担が軽くなります。

まとめ

調停は法的な手続きでありながら、個人のふるまいなどで結果が変わる可能性もあります。 
証拠の整理を徹底し、当日は冷静な対応を心がけてください。
自分だけで対応できない場合は、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。

離婚時に不動産を財産分与する際の注意点

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離婚する際には、通常、夫婦で協力して築き上げた財産を夫婦間で公平に分配します。
このとき不動産があり、なおかつ住宅ローンが残っている場合には、分配が複雑になります。
この記事では、不動産を財産分与する際の注意点を解説します。

財産分与とは

財産分与とは、夫婦の共有財産を清算することです。
原則として、夫婦間で2分の1ずつ分配します。
たとえ夫婦どちらかの単独名義の財産であったとしても、夫婦の協力のもと築いてきた財産は共有財産です。
婚姻期間中に蓄えた預貯金や購入した不動産も共有財産となります。
現金はそのまま分配できますが、現金以外の財産は評価額などを参考にして分配しなければいけません。
現物をそのまま分けるほか、売却したのち現金を分配する方法もあります。

不動産の財産分与

不動産は夫婦の共有財産のうち、非常に大きな価値を持つものです。
通常、どちらかが住み続けたり、売却して売却益を分配したりする方法をとります。
どちらの場合でも、財産分与の際には、まず不動産の価値を把握しなければいけません。
このとき、住宅ローンの有無も考慮する必要があります。

不動産評価額

不動産の評価は売買時の時価で判断することが一般的です。
不動産業者に依頼し、査定してもらうことで判断できます。
住宅ローンが残っている場合には、評価額からローンを差し引くことで不動産の価値を算出します。
たとえば評価額1,500万円の不動産があり、住宅ローンが1,000万円残っている場合には、財産分与におけるその不動産の価値は500万円となります。

ただし状況によっては、不動産評価額よりも住宅ローンの方が高額になっていることもあります。
評価額1,500万円の不動産の住宅ローン残高が2,000万円だった場合、たとえ住宅を売却しても借金が500万円残ります。
財産分与において、売却後もローンが残ってしまう不動産の価値は0円とみなされることが一般的です。
この場合、価値のない不動産は財産分与の対象として取り扱わず、ローンの名義人がそのまま不動産を所有し、ローンを返済していく方法をとることがあります。

売却して得た金銭を分配する

財産分与の際に不動産を売却する場合には、ローンを完済しているか、ローンよりも評価額が高額であることが前提となります。
不動産には抵当権が設定されており、ローンを完済することが売却の条件になるためです。
ローンを完済している場合は売却して得た金銭をそのまま分配します。
ローンが残っている場合には、売却益でローンを完済したのち、余った売却益を分けます。

ただし、評価額よりもローンの方が高額であっても、どうしても売却したいケースも存在します。
所有している住宅が離婚後の生活に合わない場合には、その不動産を所有し、ローンの返済を続けていくことは大きな負担です。
このようなとき、売却益だけでは返済しきれない分は、自己資金でまかなうことも可能です。
そのほか、任意売却という方法であれば、ローンを完済できない場合でも売却できます。
ただし任意売却後は信用情報に傷がつき、数年間は借り入れが困難になるため注意が必要です。

夫婦のどちらかが所有し住み続ける

夫婦のどちらかが不動産を所有し続ける場合には、家を出ていく側に金銭など同じ価額分の財産を渡すことで公平に分配できます。
ローンを完済している場合、相手に渡す金額が高くなりやすいため注意が必要です。

ローンが残っている場合には、ローンの名義人と住み続ける人が同じかどうかで対応が異なります。
ローンの名義人と暮らす人が同一の場合、そのまま生活を続けることが可能です。
しかしローンの名義人ではない人が住み続けたい場合には、ローンの名義を変更して自身が不動産を取得するか、所有者に対し賃貸契約を結んだり使用許可を得たりする必要があります。
なお、ローンの名義変更は銀行などの許可を得なければならず、安定した収入が必要です。

ペアローンを組んでいた場合

ペアローンとは、ひとつの不動産に対し夫婦がそれぞれ別の住宅ローンを組む方法です。
不動産は共有名義となり、それぞれの出資割合に応じた持ち分を所有します。
離婚後もどちらかが所有し続けたい場合には、ローンを一本化し、単独名義にすることが理想です。

離婚後も共有名義のまま、お互いが自身の持ち分を所有し続けることは可能ですが、売却時には相手の同意を得なければいけないなど、手続きが複雑になります。
後々のトラブルを避けるため、ローンの一本化が難しい場合には売却を検討することもあります。

まとめ

この記事では不動産の財産分与について解説しました。
財産分与の方法としては、売却して得た金銭を公平に分配するか、片方が不動産を取得し、もう片方には金銭などほかの財産で清算する方法があります。
住宅ローンが残っている場合には、評価額とローン残高のどちらが高額かによって対応が変わります。
そのほか、条件により適切な財産分与の方法は異なります。
離婚をお考えの際は、弁護士までご相談ください。

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