弁護士法人金法律事務所

コラム

相続廃除とは?条件や方法を解説

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相続廃除は、被相続人が特定の相続人に財産を相続させたくないときに利用されます。
被相続人の意思を尊重するために、相続廃除は重要な手段となります。
今回は、相続廃除が認められる条件や相続廃除を行う方法について解説します。

相続廃除とは?

相続廃除とは、遺産を受け取る権利を持つ推定相続人の中に被相続人に対して著しい非行や虐待を行った者がいる場合に、被相続人の意思に基づいてその人の相続権を剥奪する制度のことです。
民法では、被相続人の生前の請求、あるいは遺言による意思表示によって家庭裁判所の審判を経て相続権を失わせることができる仕組みが整えられています。

相続廃除が認められる条件

相続廃除が認められるためには、民法第892条に定められた特定の事由に該当する必要があります。
具体的には、以下の条件のいずれかに該当し、かつその行為が継続的であったり、重大な背信行為であったりすることが求められます。

被相続人に対する虐待

被相続人に対する身体的な暴力や精神的な苦痛を与える行為といった虐待は、相続廃除が認められる条件のひとつです。
この場合、長年にわたって被相続人の尊厳を傷つけるような待遇が続いていることが重要視されます。

被相続人に対する重大な侮辱

被相続人に対する重大な侮辱も、相続廃除が認められる条件のひとつです。
重大な侮辱とは、被相続人の名誉や社会的評価を著しく失墜させるような行為を指します。
被相続人に対して耐え難い精神的な苦痛を与えたかどうかが判断のポイントとなります。

その他の著しい非行

虐待や侮辱以外にも、被相続人との信頼関係を破壊するような重大な不法行為や、社会的に許容されない非行がある場合には相続廃除が認められます。
具体的には以下のようなケースが想定されます。

  • 被相続人の財産を勝手に処分したり、多額の借金を肩代わりさせたりして経済的な損害を与えた場合
  • 犯罪行為によって被相続人に多大な迷惑をかけたり、服役を繰り返したりして家庭の秩序を乱した場合
  • 長期間にわたって行方不明となり、扶養の義務を全く果たさなかった場合
  • 重大な背信行為(婚姻生活を破壊するような不貞行為や、親族間での重大な詐欺など)があった場合

これらの非行は、被相続人がその相続人に財産を渡したくないと考えるのが社会通念上もっともであると認められるほど深刻なものである必要があります。

相続廃除の方法

相続廃除を行うための手続きには、被相続人が存命中に自ら行う生前廃除と、遺言によって死後に手続きを委ねる遺言廃除の2種類の方法があります。
以下でそれぞれの方法について説明します。

生前廃除

生前廃除は、被相続人が自ら家庭裁判所へ推定相続人廃除の調停または審判を申し立てる方法です。
手続きの手順は、一般的に以下のようになります。

  1. 被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出する
  2. 裁判所で調停が行われる
  3. 調停委員が間に入り、双方の言い分を聞きながら解決の道を探る
  4. 廃除を希望する被相続人の意思が固い場合、審判へと移行する
  5. 裁判所によって廃除が認められた場合、市役所などへ届け出ることで推定相続人の戸籍に相続廃除の旨が記載される

遺言廃除

遺言廃除は、遺言書の中に特定の相続人を廃除する旨とその理由を記しておく方法です。
この場合、被相続人が亡くなった後に遺言書で指定された遺言執行者が家庭裁判所に対して廃除の申し立てを行います。
遺言執行者は被相続人の遺志を代理して裁判所とやり取りをすることになるため、遺言書の中で信頼できる弁護士などを遺言執行者に指定しておくことが重要です。
遺言廃除においても、生前廃除と同様に厳格な事実確認が行われます。

相続廃除をする際の注意点

相続廃除の利用にあたっての留意点を知らずに手続きを進めると、期待した効果が得られなかったり、親族間で予想外のトラブルに発展したりする恐れがあります。
具体的な注意点には、以下のようなものがあります。

客観的な証拠が必要

日本の裁判所は、相続権の剥奪に対して慎重な姿勢をとっています。
主観的な理由だけでは、廃除が認められることはほとんどありません。
客観的に見て家族関係が修復不可能なほど破壊されているという事実を、証拠を持って証明しなければならない点に注意が必要です。

代襲相続が発生する

相続廃除された人に子供や孫がいる場合、その子供たちが代わりに相続人となる代襲相続が発生することに注意しましょう。
その家系全体に財産を渡したくないと考えて廃除を行ったとしても、権利が移るだけという結果になる可能性があります。

まとめ

相続廃除は、財産を誰に託すかという被相続人の権利を守るための重要な制度です。
しかし裁判所で認められるためのハードルは高く、代襲相続の発生など法的な複雑さも伴います。
もし、特定の方への相続を真剣に阻止したいと考えておられるのであれば、早めに弁護士に相談し、法的な有効性を確認しながら準備を進めることを検討してください。

免責不許可事由でも自己破産が認められる可能性はある?

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自己破産とは、一部を除くすべての債務を免責できる法的手続をいいます。
しかし、状況によっては自己破産が認められない場合があります。
今回は、借金の免責が認められなくなる理由である免責不許可事由に該当する場合でも自己破産が認められる可能性があるのかについて解説します。

免責不許可事由とは?

免責不許可事由とは、破産法第252条第1項に定められた、裁判所が借金の免除を許可しない原因となる行為のことです。
代表的な免責不許可事由には、以下のようなものがあります。

浪費やギャンブルによる著しい財産の減少や過大な債務の負担

浪費やギャンブルによって多額の借金を作った場合は免責不許可事由に該当します。
借金総額のうち、どの程度の割合がこれらの行為によるものかが判断のポイントになります。

財産の隠匿や損壊

破産の手続きが始まる直前に自分の財産を隠したり、破壊したりする行為を行うと免責不許可事由となります。
債権者に配当されるべき財産を不当に減らす行為は、不誠実とみなされるためです。

特定の債権者に対する偏頗弁済(へんぱべんさい)

偏頗弁済とは、特定の親族や知人からの借金だけを優先的に返済したり、一部の業者にだけ返済を行ったりする行為です。
すべての債権者を平等に扱うという債権者平等の原則に反するため、免責不許可事由となります。

破産を遅らせるための不当な債務負担行為

すでに支払いが困難な状態であるにもかかわらず、クレジットカードで購入した商品を現金化するような行為があると免責不許可事由となります。
結果として債務を増やし、債権者の損失を拡大させるため、厳しく禁止されています。

裁判所や破産管財人への不誠実な対応

裁判所への虚偽の報告、書類の偽造、あるいは選任された破産管財人の調査を妨害する行為を行うと免責不許可事由に該当します。
手続きの透明性を損なう行為は、免責を認めない理由となります。

過去7年以内に免責を受けたことがある

前回の自己破産から7年が経過していない場合、安易な破産の繰り返しを防ぐ観点から、原則として免責は認められません。

免責不許可事由でも自己破産が認められる可能性はあるのか?

免責不許可事由がある場合でも、裁判所による救済措置である裁量免責によって自己破産が認められる可能性は十分にあります。
実務上は、免責不許可事由に該当する人の多くがこの裁量免責によって借金の免除を受けています。
裁判所が裁量免責を認めるかどうかの判断において、特に重視されるポイントは以下の通りです。

債務者の反省の度合いと誠実な態度

裁量免責が認められるために重要なことは、本人が自分の過去の過ちを真摯に反省し、二度と同じ過ちを繰り返さないという強い意志を示しているかどうかです。
裁判所や破産管財人に対して誠実に対応し、調査に全面的に協力する姿勢が欠かせない要素となります。

経済的更生の意欲と具体的な準備

裁量免責が認められるためには、免責後に自立して生活していくための基盤が整っているかどうかが問われます。
この場合、現在の生活状況が健全であることを客観的な資料で示すことが重要な過程となります。

債権者の状況と不利益の程度

裁判所が裁量免責を検討する際には、免責不許可事由による債権者の被害がどの程度深刻であるかも考慮されます。

破産管財人の意見

裁量免責の判断において、裁判所が信頼を置くのが破産管財人の意見です。
免責不許可事由があるケースでは、多くの場合管財事件という手続きが選択され、裁判所から選任された弁護士が管財人として調査を行います。
管財人は、債務者の財産状況や生活態度を数ヶ月にわたって調査し、最終的に裁判所に対して免責を許可すべきかどうかについての意見書を提出します。
この意見書で前向きな評価を得ることができれば、免責が許可される確率は高くなります。

裁量免責を得るための具体的な手順

裁量免責を目指す場合、1人で手続きを進めることは大きな困難を伴います。
法的な論理構成や証拠の提示が必要になるため、弁護士のサポートを受けることをお勧めします。
破産管財人との面談においても、事前に想定される質問に対する回答を準備しておくことが有効です。
また、一部の借金を予納金(裁判所に納める費用)として積み立てたり、債権者への誠意としてわずかでも財産を換価して配当に回したりする工夫も、裁量免責の判断に好影響を与えることがあります。

まとめ

今回は、免責不許可事由がある場合にも自己破産が認められる可能性はあるのかについて解説しました。
自己破産における免責不許可事由は厳しい印象を与えますが、実際には免責不許可事由がある場合でも裁判所による裁量免責が認められる可能性があります。
免責不許可事由があり、自己破産を検討する中で不安を感じた際には、弁護士に相談して裁量免責の可能性を探ってください。

加害者が逃げてしまった場合に被害者は補償を受けられるのか

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交通事故の被害に遭った際、通常であれば加害者が加入している自賠責保険や任意保険から賠償金が支払われます。
しかし、加害者がそのまま現場から逃走してしまった場合、誰に賠償を請求すればよいのかわからずにいるかもしれません。
今回は、加害者が逃走した場合に被害者が受けられる補償の仕組みや具体的な手続きの方法について解説します。

交通事故の加害者が逃走した場合に被害者は補償を受けられるのか?

交通事故の加害者が逃げてしまい、相手を特定できない状態であっても、被害者は補償を受けることができます。
本来、交通事故の被害者は加害者が加入している自賠責保険に対して請求を行いますが、加害者が不明な場合には自賠責保険を使うことができません。
そこで、国が加害者に代わって損害を補填する政府保障事業が用意されています。
この制度によって、被害者は最低限の補償を確保することができます。
ただし、政府保障事業には以下で説明する注意点があります。

補償の対象は人身損害のみ

政府保障事業では、補償の対象が人身損害に限られるという点に注意が必要です。
車の修理代などの物損損害については補償されません。

補償の限度額は自賠責保険と同じ

政府保障事業の補償の限度額は自賠責保険と同じ水準であることに注意しましょう。
限度額を超える損害については後述する自身の任意保険などでカバーする必要があります。

給付分が差し引かれる

健康保険や労災保険などの他の社会保険から給付を受けられる場合は、政府保障事業の補償額からその分が差し引かれることに注意が必要です。
政府保障事業はあくまでも他に救済手段がない場合の最終的な手段とされるため、他の公的な制度が優先されます。

加害者が逃走した場合に被害者が補償を受ける方法

加害者が特定できない状況で補償を最大限に受けるためには、いくつかの窓口を使い分けることが重要になります。
以下でひき逃げにあった被害者が補償を受ける方法について説明します。

政府保障事業の活用

政府保障事業による補償を受けるには、被害者自身が損害保険会社(自賠責保険を扱っている会社)の窓口を通じて請求を行う必要があります。
請求期間には時効があり、事故が発生した日の翌日から3年以内(死亡の場合は死亡日の翌日から3年以内)に手続きを行わなければなりません。
政府保障事業の審査は慎重に行われるため、実際に金銭が支払われるまでに数ヶ月から1年程度の時間がかかる場合がある点には留意してください。
また、健康保険や労災保険を利用している場合は、その支給決定通知書などの写しも必要になります。

自身の任意保険による補償

政府保障事業の限度額を超える損害がある場合や、物損の被害をカバーしたい場合には、自分や同居の家族が加入している任意保険を確認する必要があります。
契約内容を正確に把握するために、早めに保険代理店やコールセンターに連絡を入れることが大切です。

労災保険や健康保険の活用

事故が通勤中や勤務中に発生したものであれば、労災保険(労働者災害補償保険)を優先して活用すべきです。
労災保険には支払限度額がなく、治療費が全額支給されるほか、休業補償についても手厚い給付が行われます。
政府保障事業よりも迅速に給付が始まることが多く、治療に専念できる環境を整えるための大きな助けとなります。
業務外の事故であれば健康保険を使用することになりますが、交通事故のような第三者の行為による怪我で健康保険を使うには、健康保険組合などへ「第三者行為による傷病届」を提出することが義務付けられています。
これを怠ると後に健康保険組合から治療費の返還を求められる可能性があるため、注意が必要です。

加害者が特定された後の手続き

警察の捜査によって加害者が特定された場合、加害者個人および加害者が加入する保険会社に対して直接損害賠償を請求することができるようになります。
もしすでに政府保障事業から給付を受けていた場合は、その金額を差し引いた残額を加害者側に請求することになります。
国は、被害者に支払った金額を求償という手続きによって加害者から回収します。
加害者が特定されると、刑事裁判が行われることもあります。
被害者は被害者参加制度を利用して公判に出席し、加害者への質問や意見陳述を行うことが可能です。
また、刑事裁判の中で損害賠償の問題を解決する損害賠償命令制度を活用できる場合もあります。
ただし、加害者に支払能力がない場合にどのようにして実効性のある回収を行うかは、法律的な専門知識が求められる難しい問題となります。

まとめ

交通事故の加害者が逃走してしまった場合でも、被害者が補償を受けることは可能です。
しかし、補償を受けるためには被害者が自ら申請しなければなりません。
もし、ご自身やご家族がひき逃げ被害に遭い、どのように補償を求めていけばよいか迷われたり保険会社とのやり取りに不安を感じたりした場合には、早めに弁護士に相談することを検討してください。

カスハラ対策の義務化はいつ?具体的な対策について紹介

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近年、カスタマーハラスメントが深刻な社会問題となっています。
カスタマーハラスメントは従業員の精神的な健康を損なうだけでなく、離職の原因や企業イメージの低下にもつながるため、多くの企業が対策を急いでいます。
今回は、カスハラの定義や法的な義務化の時期、および企業が取り組むべき具体的な対策について解説します。

カスハラとは?

カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラとは、顧客や取引先などの外部からの妥当性を欠く要求や、その要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相応なものであり、従業員の就業環境が害されることを指します。
厚生労働省が作成した指針によれば、カスハラは主に以下2つの要素で判断されます。

  • 要求の内容に妥当性がないもの
  • 要求を実現するための手段が不相当なもの

カスハラは従業員に多大な精神的苦痛を与えるだけでなく、他の顧客への対応を妨げ、通常の業務運営を困難にします。
企業には、カスハラが組織として対処すべきハラスメントであると認識することが求められています。

カスハラ対策の義務化はいつから?

カスハラ対策の義務化の動きは、全国的に加速しています。
2025年6月に改正労働施策総合推進法(カスハラ防止法)が国会で成立しました。
改正法の施行時期は、2026年10月頃となる予定です。
この法律により、すべての企業に対してカスタマーハラスメント対策を講じることが義務付けられることとなりました。
義務化が始まると、対応を怠った場合には是正勧告や企業名の公表といったリスクも生じることになります。

具体的なカスハラ対策

カスハラから従業員を守り、健全な就業環境を維持するためには、組織全体で体系的な取り組みを行うことが重要です。
具体的に、企業が取り組む必要のある対策は次の通りです。

社内方針の明確化とメッセージの発信

企業が行うべきカスハラ対策として、方針を明確にし、周知を徹底をすることが重要です。
具体的には、就業規則や社内規定にカスハラ防止に関する条項を追加し、どのような行為が禁止されるのかを具体的に列挙します。
また、ウェブサイトなどでのカスタマーハラスメントに対する基本方針の掲示や、社内への就業規則の周知を行うことも効果的です。

対応マニュアルの作成と共有

現場での混乱を防ぐために具体的な対応マニュアルを作成することは、カスハラ対策として欠かせません。
マニュアルには、カスハラに該当する行為の定義だけでなく、それぞれの場面での具体的なフレーズや行動指針を盛り込みます。
また、電話での長時間の拘束に対しては、電話を切る権利を従業員に与えることも重要です。
マニュアルを作成する際は、過去に実際に発生した事例や、現場の従業員の意見を反映させることで、より実効性の高いものになります。
作成したマニュアルは一度配布して終わりにするのではなく、定期的に見直しを行い、常に最新の状況に適応させる過程が必要です。

従業員への教育と研修の実施

ロールプレイングを中心とした研修を行い、不当な要求を断る練習や、感情をコントロールするスキルを身に付けさせることがカスハラ対策として効果的です。
また、カスハラが従業員のメンタルヘルスに与える影響についても教育を行い、早期発見と相互サポートの意識を高めます。
管理職に対しても、マネジメント研修を実施することが重要です。

発生時の組織的対応と事後ケア

カスハラ対策には、カスハラ発生時の組織的対応や事後ケアも含まれます。
悪質な場合には、弁護士と連携して法的な措置を講じることも検討しましょう。
詳細なやり取りの記録を証拠として残す習慣を徹底させることも、法的な対抗手段を確保するために必要です。
被害を受けた従業員の精神的な苦痛が大きい場合は、カウンセリングの機会を提供し、必要に応じて休暇の取得や配置転換を検討します。

まとめ

今回は、カスハラ対策が義務化される時期や具体的な対策について紹介しました。
カスハラ対策の導入は、健全な労働環境や安定したサービスの提供につながります。
自社でのマニュアル作成や体制整備に不安を感じる場合には、弁護士のアドバイスを得ることを検討してください。

有責配偶者でも離婚が認められるケース

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有責配偶者からの離婚請求は、裁判所によって認められにくいとされています。
今回は、有責配偶者の定義や、有責配偶者からの離婚が認められるための要件、および離婚請求を進めるための方法について詳しく解説します。

有責配偶者とは?

有責配偶者とは、自身の不法な行為によって婚姻関係を破綻させた原因を作った側の配偶者のことを指します。
不貞行為やドメスティック・バイオレンスを行った場合、有責配偶者とみなされます。

有責配偶者でも離婚が認められるのか?

有責配偶者からの離婚請求は、特定の厳しい要件をすべて満たした場合に限り認められます。
裁判所が判断の基準とする、有責配偶者からの離婚請求を認める3つの要件は以下の通りです。

相当長期の別居期間があること

有責配偶者からの離婚が認められるための判断材料のひとつは、別居期間の長さです。
必要とされる期間は婚姻期間や夫婦の年齢などによって変動しますが、一般的には8年から10年程度となっています。

未成熟の子が存在しないこと

夫婦の間に、まだ経済的に自立していない未成熟子がいないことが有責配偶者からの離婚請求が認められる条件のひとつです。
未成熟子は、未成年だけではなく大学生のように経済的な援助が必要な状態の子どもも含む場合があります。
離婚によって子どもの養育に支障が出ることを防ぐための配慮です。
ただし、有責配偶者が十分な養育費を支払い続ける体制を整えている場合には、この要件を緩やかに解釈する事例もあります。

離婚によって相手方が過酷な状態に置かれないこと

有責配偶者からの離婚請求が認められる要件として、相手方配偶者が過酷な状態におかれないことがあります。
過酷とは、おもに経済的に困窮しないかどうかが考えられます。
たとえば、長年専業主婦として家庭を支えてきた配偶者が離婚によって生活保護を受けざるを得なくなるような場合は、離婚の請求が認められる可能性は低いといえます。
この要件を満たすためには、有責配偶者の側から財産分与や慰謝料、あるいは離婚後の生活を支えるための金銭的な補償を十分に提示することが求められます。

有責配偶者が離婚請求する方法

有責配偶者から離婚を請求する方法は以下の通りです。

離婚協議

有責配偶者が離婚請求を行う方法として、当事者間の協議が考えられます。
離婚協議は双方の合意によって成立するため、相手方が離婚に納得する条件などを提示すれば有責配偶者であっても請求が通りやすいです。

離婚調停

当事者間の協議で有責配偶者の離婚請求が通らなかった場合は、離婚調停で成立を目指す方法が考えられます。
離婚調停は離婚裁判とは異なり、有責配偶者であるかどうかは関係なく申し立てを行い、成立を目指すことができます。
ただし、あくまで話し合いによる解決を目指す手続きであるため、相手方が離婚条件に同意しない場合や、離婚請求を拒否するときには不調に終わる可能性が高いです。

離婚裁判

調停でも決着がつかない場合、有責配偶者が離婚裁判を起こすことになります。
裁判で先述した3つの要件を満たしていると認められるためには、有責配偶者側が立証しなければなりません。
特に別居期間の正確な記録や、相手の生活を支えるための具体的な経済的提案が重要になります。
要件を満たしていると認められれば、裁判官の判決によって強制的に離婚を成立させることができます。

まとめ

今回は、有責配偶者でも離婚が認められるケースや、離婚請求の方法について解説しました。
日本の法律実務において、有責配偶者からの離婚請求には厳しい制限が課せられています。
有責配偶者からの離婚請求を検討している際には、弁護士に相談し、客観的なアドバイスを受けることが効果的です。

遺産分割協議で遺産を取得しない場合と相続放棄の違いとは?

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身内が亡くなり相続が発生した際に、受け取りの辞退を検討する場合があるかと思います。
このときの手段として、遺産分割協議の中で自分の取り分をゼロにすることと、相続放棄をするという2つの方法があります。
今回は、遺産分割協議で遺産を取得しない場合と相続放棄をする場合の違いなどについて解説します。

遺産分割協議で遺産を取得しない場合とは

遺産分割協議とは、相続人全員が集まって、亡くなった人の財産を誰にどのように配分するかを取り決める話し合いのことです。
遺産を取得しないケースは、特定の相続人が遺産を相続しないことに合意することで生じます。
この場合、遺産を取得しなくても法律上の相続人であることに変わりはありません。
したがって、家庭裁判所へ出向く必要はなく、親族間での話し合いと遺産分割協議書への署名捺印だけで完結します。

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人が亡くなったことを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して相続人にならないという意思表示を行う公的な手続きのことです。
家庭裁判所によって受理されると、その人は最初から相続人ではなかったものとみなされます。
相続放棄には、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内という期限が定められています。
この期間を過ぎてしまうと、原則として放棄を選択することができません。
相続放棄を行うと、本来その人が受け取るはずだった相続権は次順位の相続人へと移ります。

遺産分割協議で遺産を取得しない場合と相続放棄の違い

遺産分割協議で遺産を取得しないことを選択した場合と相続放棄をした場合の違いは、主に次の3点です。

債務に対する責任

遺産分割協議で遺産を取得しない場合と相続放棄の違いとして被相続人の残した債務に対する責任が挙げられます。
遺産分割協議で一切の遺産を取得しなかったとしても、法律上の相続人の立場であることには変わりはありません。
遺産分割協議の合意内容は、あくまで相続人間で有効となる取り決めであり、債権者にその効果は及びません。
したがって、一切遺産を取得していなかったとしても、法定相続分の割合に応じて、債務の支払い義務が生じます。
法定相続分に応じた債務の支払い義務を回避したい場合には、債権者と連絡を取り承認してもらう必要があります。
一方で、相続放棄を行っていれば、最初から相続人ではないため借金を支払う義務は発生しません。

家庭裁判所での手続きの必要性

遺産分割協議で遺産を取得しないことを選択した場合、家庭裁判所で特別な手続きを行う必要がありません。
一方、相続放棄をする場合は家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
期限内に戸籍謄本などの身分証明書類を揃え、申立書を作成して受理されなければなりません。

遺産分割協議で遺産を取得しないか相続放棄をするかの判断

特定の親族にスムーズに遺産を相続させたい場合は、遺産分割協議で遺産を取得しないと決めることが多くなっています。
法的な手順を踏むことなく、比較的容易に手続きが進むためです。
しかし、遺産分割協議で遺産を取得しないことには、被相続人の借金が発覚した際に支払い義務を負うリスクがあります。
そのため、ご自身が遺産を継承しないことに納得されているのであれば、相続放棄をすることが賢明です。

遺産相続を辞退する際の注意点

遺産相続を辞退する際には、自身に適した手法を選択するために、以下の点に留意してください。

単純承認とみなされる行為

相続放棄を検討している間は、被相続人の財産に手をつけてはいけません。
そういった行為をした瞬間に相続放棄の権利を失うことになります。

相続放棄による返済義務の移動

自分が相続放棄をすると、次順位の親族が新たに相続人となります。
負債が理由で放棄をするのであれば、次順位の親戚に対して相続を放棄した理由を通知することが重要になります。

まとめ

今回は、遺産分割協議で遺産を取得しない場合と相続放棄の違いや、どちらの手法を選択するかの判断基準、および注意点を解説しました。
相続放棄の申立てや遺産分割協議書の作成を個人で行うことに不安を感じた際には、弁護士に相談してください。
特に、借金があるのかどうか不透明な状況では、弁護士に調査を依頼すると効率的です。

自己破産の同時廃止事件とは?流れや費用も併せて解説

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裁判所を通じて借金の支払い義務を免除してもらう自己破産には、大きく分けて管財事件と同時廃止事件という2つの形式が存在します。
同時廃止事件は管財事件に比べて費用が安く、解決までの期間も短いため、個人の破産においてはこの手法の適用を目指すことが一般的です。
今回は、同時廃止事件の概要について、適用の流れやかかる費用も併せて解説します。

自己破産の同時廃止事件とは?

自己破産における同時廃止事件とは、債権者に配当できるほどの財産が、破産を申し立てた人にないことが明らかな場合に、破産手続きの開始と終了を同時に行う制度を指します。
同時廃止事件として受理されるためには、主に以下の3つの条件を満たしている必要があります。

所有している資産の総額が基準を満たしていないこと

自己破産の同時廃止事件の適用条件の1つめは、本人が所有している資産の総額が裁判所によって定められている基準を満たしていないことです。
ただし、この基準は管轄の裁判所によって異なります。

免責不許可事由に当たる疑いがないこと

自己破産の同時廃止事件を適用する2つめの条件として、免責不許可事由に該当する疑いがないことが挙げられます。
借金の原因がギャンブルや浪費などである疑いが生じると、同時廃止が適用される可能性は低いです。
こうした免責不許可事由が疑われる場合には、財産がないことが認められていても、破産管財人が選任されることがあります。

個人事業主ではないこと

同時廃止事件が適用される3つめの条件は、破産を申し立てる者が個人事業主ではないことです。
破産を申し立てる者が個人事業主である場合は、原則として管財事件となります。
給与所得者である場合には、破産管財人を立てて調査を行わなければならないほど資金の流れが複雑ではないことが多いため、同時廃止事件が認められやすくなります。

自己破産の同時廃止事件の流れ

同時廃止事件が進められる手順は、以下の通りです。

必要書類の収集

自己破産を検討し始めたら、自身の資産と債務を調査して洗い出す必要があります。
また、借金が増えた経緯などを時系列順に整理しておくことも重要です。
家計簿を数ヶ月にわたって作成することは、現在の収支に問題がないことを証明するために欠かせません。

裁判所への破産申立て

破産申立てに必要な書類の準備ができたら、管轄の地方裁判所に提出します。
この際、同時廃止を希望する旨の上申書を添付することが一般的です。
裁判所は提出された資料を審査し、管財人を立てる必要があるかどうかを判断します。

同時廃止の実施

裁判所に同時廃止の要件を満たしていると判断されれば、破産手続きは開始と同時に終了します。
この決定が出された事実は、破産手続開始時と免責許可決定時に官報に掲載されます。

支払い義務の免責

同時廃止が行われたら、借金の支払い義務を免責するための審査に入ります。
その後、裁判官が最終的な確認を行う場が設けられます。
本人は裁判所に出頭して、これまでの反省や今後の更生の意欲について確認を受けます。
裁判所から免責を許可されることで、非免責債権を除いた借金の支払い義務が消滅します。

自己破産の同時廃止事件にかかる費用

同時廃止事件は、管財事件よりもかかる費用が安くなります。
個人が自己破産する場合、まず支払うべきものはおおよそ次の通りです。

  • 収入印紙代:1,500円
  • 郵便切手 :3,000円~5,000円
  • 官報公告費:1万円~2万円

管財事件であれば必要な20万円以上の管財人への報酬が削減できるため、同時廃止事件が適用されればコストを抑えられます。

同時廃止事件を進めるうえでの注意点

同時廃止はかかる期間や費用を抑えられるという点がメリットですが、不注意でその機会を逃してしまう場合があります。
具体的には、以下の点に注意してください。

資産の申告漏れを避ける

資産の申告漏れが発覚すると、同時廃止を受けることは難しくなります。
このような場合には、強制的に管財事件へと移行させられる可能性が高いです。

偏頗弁済をしない

偏頗弁済とは、借金返済が困難な状態になった後、特定の債権者にだけ優先的に返済や担保提供を行う不公平な行為です。
弁護士が債権者に受任通知を送付すると返済は一時的に停止しますが、中には返済を要求してくる業者もいます。
このとき、要求に従って特定の業者にのみ支払うと、偏頗弁済とみなされて自己破産が認められなくなる可能性があります。
そのため、債権者から連絡が来た場合には明言を避けて弁護士に報告し、注意を行ってもらうことが重要です。

まとめ

今回は、自己破産の同時廃止事件の定義、手続きの流れ、およびかかる費用について解説しました。
同時廃止事件は、債務者が債権者へ配当できる財産を持っていない場合に有効な制度です。
しかし、その適用を受けるためには、自身の財産状況の把握や免責不許可事由がないことの証明が求められます。
自己破産を検討されているのであれば、早めに弁護士に相談し、自身の状況にあったアドバイスを受けることをおすすめします。

交通事故において完治・症状固定前に示談交渉をしない理由とは?

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交通事故の被害に遭った際、加害者が加入している保険会社から早めに示談を済ませるよう提案を受けることがあります。
しかし、怪我の完治前や症状固定の状態に達する前に示談交渉をすると、不利益を招くリスクがあります。
今回は、完治・症状固定前に示談交渉をしない方がよい理由について解説します。

完治と症状固定の定義

示談交渉のタイミングを考えるうえで、完治と症状固定の状態について正確に把握する必要があります。

完治とは?

完治とは、事故によって負った怪我が適切な治療によって完全になくなり、事故前の健康な状態に戻ることを指します。
この状態になれば、これ以上の治療費が発生することはありません。
損害の全容がこの時点で確定したといえます。

症状固定とは?

症状固定とは、医学的な観点から、これ以上治療を継続しても劇的な改善や回復が見込めないことを医師が判断したことをいいます。
症状固定に達した際に残っている不調は後遺障害となります。
症状固定後は、原則としてそれ以降の治療費を加害者側に請求できません。
この場合、後遺障害の等級認定を受け、その結果に準じた損害賠償請求へ移行することになります。

交通事故において完治・症状固定前に示談交渉をしない理由

交通事故に遭った際に、負った怪我の完治または症状固定前に示談交渉をすると、損害賠償を請求するうえで不利益を引き起こすことがあります。
完治・症状固定前に示談交渉をしない方がよい具体的な理由は、次の通りです。

損害賠償の総額が確定しないため

交通事故で負った怪我の完治・症状固定前では、示談交渉の対象となる損害額が確定していません。
交通事故の賠償金は、主に以下の項目で構成されています。

  • 治療費
  • 通院のための交通費
  • 入通院に伴う諸雑費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料

上記の項目は、治療が終了するまで増え続けていくものです。
通院期間中に示談を行うと、本来もらえるはずだったそれ以降の賠償金を放棄することになります。

後遺障害等級認定が受けられなくなるため

怪我が完治せずに身体に不調が残った場合、適切な等級認定を受けることで賠償金を請求できます。
しかし、この後遺障害等級の申請は、症状固定に達した後に作成される後遺障害診断書がなければ行うことができません。
症状固定前に示談を済ませると、後遺障害はないものとみなされ、補償を求める権利は失われます。

交通事故に遭ったら行うべき示談交渉までの手順

交通事故に遭った被害者が、不利益を被らないために守るべき手順は以下の通りです。

医師による診断を待つ

交通事故による正確な損害の全容を把握するために、担当の医師が完治や症状固定の判断を下すのを待ちましょう。
自身の権利を守るために、医学的な判断が出るまでは治療の手を緩めるべきではありません。

適切な検査を受ける

後遺障害を主張するために、交通事故で負った怪我についての客観的な証拠を得ましょう。
そのために、適切な検査を受けておく必要があります。

保険会社の制度を活用する

治療が長引いて生活費に困った場合には、示談をするのではなく、自賠責保険の仮渡金や任意保険の内払い制度の利用を検討してください。
これらは、最終的な賠償額の内払いとして示談成立前に受け取ることができるお金です。

交通事故に遭った際に弁護士に相談するメリット

交通事故の示談交渉には、法律の知識だけでなく医学的な知識も求められます。
弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

高い基準での賠償金算出

弁護士は、裁判基準で損害賠償金を算定します。
したがって、弁護士に交通事故の相談依頼すると、依頼しない場合に比べて高い金額で示談が成立する可能性があります。
これは、交通事故の被害者にとって大きなメリットです。

症状固定時期の適正化

保険会社からの治療打ち切り要求があったとしても、弁護士が交渉することで、必要な期間の治療を確保しやすくなります。
これによって、被害者はより適切な損害賠償を受けることが期待できます。

後遺障害認定のサポート

後遺障害認定において複雑な申請手順を弁護士が主導することで、適正な等級が認められる可能性が高まります。
書類の不備で本来認められるべき権利を失うリスクを回避できるということは、弁護士に依頼するメリットであるといえます。

まとめ

今回は、交通事故において完治・症状固定前に示談交渉をしない理由について解説しました。
自身の権利を最大限行使するためには、完治・症状固定後に示談交渉を始めることが重要です。
交通事故の被害者が個人で保険会社とやり取りしようとすると、負担を感じられることも多いでしょう。
そういった場合には、弁護士に相談することを検討してください。

業務委託が雇用契約とみなされるケースとは?違いも含めて解説

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働き方の多様化が進む現代では、企業が外部の個人と業務委託契約を締結するケースが増えています。
しかし、形式的には業務委託契約を交わしていても、法的には雇用契約とみなされることがあります。
今回は、業務委託と雇用契約の概要や、業務委託が雇用契約とみなされるケースなどについて解説します。

業務委託とは?

業務委託とは、独立した事業者同士が、特定の仕事や事務処理を目的として対等な立場で締結する契約の総称です。
受託者は労働者ではなく独立した個人事業主として扱われるため、労働基準法による労働時間制限や有給休暇の付与、最低賃金の適用などの対象外となります。

雇用契約とは?

雇用契約とは、労働者が使用者の指揮命令に従って労務を提供し、使用者がこれに対して賃金を支払うことを約束する契約です。
労働者は、企業の規律に従って働く代わりに労働法による保護を受けます。

業務委託か雇用契約かを判断する基準

雇用契約は、経済的に弱い立場にある労働者を守るための社会的な安全装置としての役割を担っています。
そのため、本人が業務委託に同意していても、実態が雇用であれば、法律は労働者としての権利を認めることがあります。
業務委託と雇用契約を区別する具体的な基準として、以下の事項があります。

  • 監督の指揮下にあるか
  • 時間的・場所的な拘束力があるか
  • 他人の介在が認められているか
  • 報酬の対象
  • 費用負担の所在

現場で仕事内容について監督者の具体的な指示を受けている場合や、勤務時間および勤務場所が会社によって制約されている場合には、雇用契約であると判断される可能性が高いです。
また、報酬の対象が成果物ではなく働いた時間である場合や、受託者が業務で使用する備品の経費を負担していない場合にも、雇用における個人的な労務提供に近いとみなされます。

業務委託が雇用契約とみなされるケースとは?

業務委託契約を交わしていても、法的に雇用契約であるとみなされやすいケースを紹介します。
以下の状況に当てはまる場合、企業は雇用認定を受けるリスクがあります。

現場で細かい指示を受けているケース

受託者が現場で社員と同様にタスクを細かく割り振られている場合には、雇用契約であるとみなされる可能性が高くなります。
受託者の裁量が認められない状態は、雇用契約とみなされる典型的なパターンです。

出退勤の管理を受けているケース

受託者がタイムカードで打刻を求められている場合は、雇用契約であると判断されやすくなります。
休暇を取る際に会社の許可を得ることを義務付けている場合も、事業主としての自律性が失われているとされます。

他社の業務を行うことが禁止されているケース

特定の会社以外の仕事を受けることが禁じられている場合は、雇用契約とされやすいです。
独立した事業者であれば、制限なく複数のクライアントを持てることが一般的となっています。

企業規定に従うことが求められているケース

社内の就業規則が業務委託の個人に対しても適用されている場合は、業務委託ではなく雇用契約とみなされやすくなります。
社内行事への参加を強制したり、規律違反に対して措置をとったりすることは、組織の構成員として扱っていることを示します。

業務委託の実態が雇用契約であるとみなされた際のリスク

業務委託として締結していた契約の実態が雇用契約であると判断された場合、企業はペナルティを受けることになります。
具体的に企業が負うリスクは、次の通りです。

未払い残業代の遡及請求

労働者性があることが認められれば、企業は過去の労働時間について残業代の支払いを求められるリスクがあります。
業務委託料として一定額を支払っていても、別途手当が加算されます。

社会保険料の遡及徴収

雇用契約であった場合、社会保険への加入義務が発生します。
会社負担分の保険料を過去分にわたって一括で支払う必要があることに加えて、年金事務所からの調査を受けるリスクが生じます。

解雇制限の適用

業務委託であれば、契約期間の満了や中途解約が比較的容易です。
しかし、雇用契約とみなされれば、契約の打ち切りは解雇に該当する恐れがあります。

社会的信用へのダメージ

業務委託の実態が雇用契約であったと発覚すると、労働基準監督署からの是正勧告を受け、悪質な場合には社名が公表されることもあります。
偽装請負を行っていたとみなされることは、企業の社会的な信頼を損なうことにつながります。

まとめ

今回は、業務委託と雇用契約の概要と、これらを区別する基準、業務委託が雇用契約とみなされるケースについて解説しました。
業務委託契約が成立しているかどうかは、契約書の内容だけではなく現場での実態によっても評価されます。
業務委託の実態が雇用契約であると発覚すると、企業は不利益を被る恐れがあります。
自社の委託状況が労働者性の基準に抵触していないか不安を感じられた場合には、早めに弁護士に相談することを検討してください。

離婚が認められる別居年数とは?目安や準備すべき証拠について解説

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日本では、夫婦の一方が離婚を拒否している場合、最終的に離婚を成立させるためには家庭裁判所での手続きが必要となることがあります。
このとき、別居期間の長さは離婚が認められる判断材料のひとつとなります。
今回は、離婚裁判における別居年数の目安、別居を示すために準備すべき証拠などについて解説します。

離婚裁判において別居年数が担う役割

離婚裁判で離婚を認められるには、法定離婚事由のいずれかに該当していることを証明しなければなりません。
法定離婚事由とは、不貞行為や悪意の遺棄などといった婚姻を継続しがたい重大な事由のことを指します。
理由のない別居は、夫婦が双方に負う同居義務違反に当たるため、状況によっては婚姻を継続しがたい重大な事由に当たることがあります。

離婚が認められる別居年数の一般的な目安

離婚が認められる別居年数について明確な基準は定められていませんが、一般的な目安は3年から5年となっています。
ただし、婚姻期間の長さによってこの目安にも変動があることには注意が必要です。
なお、婚姻関係を壊す理由を作った側である有責配偶者から離婚を求めることは、原則として認められていません。
また、別居以外の離婚事由が併存している場合には、別居期間が1年未満であっても離婚が認められる可能性が高まります。

離婚裁判において別居しているとみなされるための条件

離婚裁判において別居年数としてカウントされるためには、住居を別にしていることに加えて、夫婦としての経済的・精神的な依存関係が断絶されている必要があります。
別居期間であるとみなされるための具体的な条件は、以下の通りです。

住居の完全な分離

別居期間を証明するためには、住居を完全に別にしていることが求められます。
同じ家に住みながら別々に生活する家庭内別居のようなケースは、完全な分離とはみなされないおそれがあるため、注意してください。

連絡を絶つ

別居による離婚は、法律上の夫婦であっても実態としてすでに婚姻関係が破綻しているときに認められます。
そのため、離婚を認められるためには、別居期間中に相手方と必要以上の連絡を取らないことが有効です。

性的交渉を断つ

別居期間中に夫婦で性交渉を持つと、関係を修復しようとしたと解釈され、別居期間のカウントがリセットされるおそれがあります。
そのため、離婚を目指す際には、配偶者との接触を避けることが求められます。

別居期間を証明するための具体的な証拠

離婚裁判において、いつから別居が始まったかを正確に立証するための準備は欠かせない役割を担っています。
具体的には、以下のものを証拠として準備することを検討してください。

  • 住民票の履歴
  • 賃貸借契約書
  • 引越し業者の領収書
  • 別居の開始を宣言する知人へのメール
  • 通帳の履歴

離婚を見据えて別居を選択する際に起こりえるリスク

離婚を目指している場合、事前に計画することなく別居を選択すると、離婚裁判において自分の立場が不利になるおそれがあります。
別居を検討する際には、次のことに注意してください。

悪意の遺棄とみなされるリスク

正当な理由なく配偶者を一方的に残して家を出ることは、夫婦の同居義務に違反する悪意の遺棄とみなされるおそれがあります。
悪意の遺棄を行った側は有責配偶者として扱われ、離婚が認められにくくなるリスクがあります。
対策としては、置き手紙やメールで合意形成を試みた記録を残すことが有効です。

共有財産を処分されるリスク

別居後、家に残った配偶者が無断で預貯金を引き出したり、家財道具を処分したりするリスクが想定されます。
そのため、家を出る前に通帳のコピーや不動産の権利証などといった記録を確保しておくことが重要です。
証拠がなければ、後の財産分与で正当な取り分を主張することが難しくなる可能性があることに注意してください。

まとめ

今回は、裁判離婚における別居期間の重要性や、具体的に必要とされる年数、別居を選択するうえでの注意点について解説しました。
別居を理由に裁判を経て離婚する場合、認められるまでに数年単位の時間が必要です。
したがって、早期に離婚を成立させたいのであれば、協議による離婚を目指したほうが良いといえます。
配偶者との離婚を検討している場合には、弁護士に相談することを検討してください。

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