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コラム

法定相続人は誰?順位や割合について詳しく解説

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法定相続人は民法のルールにより順位や割合が決まっています。
法定相続人には配偶者、子・孫などの直系卑属、両親などの直系尊属、兄弟姉妹がいますが、被相続人が亡くなった時点で誰が存命しているのかにより、法定相続人となる人は異なります。
それぞれのパターンで法定相続人は誰になるのか、順位や割合について詳しく解説します。

法定相続人とは

人が亡くなった場合、親族の誰かが相続人になります。
亡くなった人の子どもが相続人になることはご存じの方も多いと思いますが、誰が相続人になるかは、民法により法定されています。
民法で決められている相続人のことを「法定相続人」と言います。

遺言がある場合法定相続人は考慮しなくて良い

遺産は原則として法定相続人が相続しますが、遺言がある場合は民法のルールに従う必要はありません。
遺言者(故人)が、遺産の譲受先を決めており、その相手が法定相続人であれば、「相続人」として、法定相続人以外の人ならば「受遺者」として遺産を譲り受けることができます。
ただ、民法で決められた法定相続人には、最低限の取り分である遺留分が認められており、この遺留分を超えた遺産の譲り受けがなされている場合は、法定相続人から受遺者等に対して遺留分侵害額請求がなされることがあります。

法定相続人の順位

法定相続人の順位は、配偶者とそれ以外の法定相続人とに分けて判断します。

まず、配偶者は常に法定相続人となります。注意したいのは、配偶者がいれば他の人は相続人になれないという意味ではなく、配偶者と共に順位に従って法定相続人になるという点です。
配偶者以外の法定相続人の順位は、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹の順になります。
具体的には法定相続人の順位は次のようになります。

第1順位:配偶者+直系卑属(子や孫、ひ孫など)
第2順位:配偶者+直系尊属(父母や祖父母など)
第3順位:配偶者+兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪)

配偶者が存命していて直系卑属がいない場合は、配偶者と直系尊属。
直系卑属と直系尊属が全員いない場合は、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になります。
配偶者が亡くなっている場合は、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹の順になります。
子どもか孫が一人でも存命していれば、その人がすべての遺産を相続し、直系尊属、兄弟姉妹は無関係になります。

法定相続人の相続割合

法定相続人の相続割合は、法定相続人の組み合わせにより異なります。

配偶者+直系卑属の場合の相続割合

配偶者:2分の1
直系卑属:2分の1

配偶者は2分の1で固定されます。
一方、直系卑属は頭数で分配されます。
たとえば、子が三人兄弟であれば、一人あたり6分の1になります。

直系卑属のみ場合の相続割合

直系卑属:すべて

直系卑属のみが法定相続人の場合は、直系卑属がすべての遺産を相続します。
子が複数いる場合は、頭数で等しく分配します。
たとえば、子が三人兄弟であれば、一人あたり3分の1になります。

直系卑属に孫がいる場合

亡くなった人の子(孫から見て親)が存命している場合は、孫は法定相続人になりません。
子(孫から見て親)が亡くなっている場合は、孫が代襲して相続人となります。
孫が複数いる場合は、子の法定相続分を頭数で等しく割ります。

たとえば、子が三人兄弟で、そのうちの一人が亡くなっており、孫(亡くなった子の子ども)が二人いる場合は次のようになります。

子:一人あたり6分の1
孫:一人あたり12分の1

直系卑属の相続割合に関する注意点

直系卑属の相続割合についてはいくつか注意点があります。
まず、養子がいる場合は、養子も実子と同様に法定相続人になるということです。
子や孫が法定相続人の立場になる場合は、未成年や胎児であっても相続割合に代わりはないことに注意しましょう。
ただ、未成年や胎児は自ら権利主張することが難しいため、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう必要があります。

配偶者+直系尊属の場合の相続割合

配偶者:3分の2
直系尊属:3分の1

配偶者は3分の2で固定されます。一方、直系尊属は頭数で分配されます。
亡くなった人の両親がどちらも存命していれば、それぞれ6分の1ずつです。
亡くなった人の両親のどちらかが存命している場合は、その祖父母は法定相続人になりません。

配偶者+兄弟姉妹の場合の相続割合

配偶者:4分の3
兄弟姉妹:4分の1

配偶者は4分の3で固定されます。一方、兄弟姉妹は頭数で分配されます。
亡くなった人が3人兄弟姉妹であれば、残りの2人で8分の1ずつになります。
兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥、姪に当たる人が代襲相続します。
甥、姪が複数いる場合は頭数で等しく割ります。

配偶者のみ場合の相続割合

配偶者:すべて

配偶者のみが法定相続人の場合は、配偶者がすべての遺産を相続します。

まとめ

民法に規定されている法定相続人の順位や割合について解説しました。
法定相続人を確定するにあたっては、戸籍謄本等の調査が必要になりますが、親族が多い場合は、実際に誰が法定相続人になるのか混乱しがちです。
分からない場合は、弁護士等の専門家に相談しましょう。

法人破産の手続の流れについて

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企業経営を取り巻く環境は、時に予期せぬ経済的困難に直面することがあります。
事業の拡大や成長を目指していたにもかかわらず、資金繰りが逼迫し、経営が行き詰まることも少なくありません。
そこで本記事では、法人破産の手続きの流れについて具体的にわかりやすく解説します。

法人破産の手続の流れ

法人破産における手続きの流れについてみていきましょう。

STEP 1: 弁護士への相談

法人破産を考えた際、まず行うべきは専門家である弁護士への相談です。
弁護士は、経営者が抱える問題を理解し、破産の必要性や他の選択肢の可能性について検討します。
この際、経営者は会社の財務状況や資産、負債の詳細な情報など以下の情報を提供することが求められます。

  • 会社負担の債務や税金、保証、担保などの状況
  • 会社の売掛金、資産、在庫商品、備品などの状況
  • 現在の営業状況
  • 従業員の人数、給与の支払い状況、雇用契約の内容、解雇の有無
  • 支店や営業所などが賃貸物件の場合は賃貸契約の内容、室内の状況、明け渡し完了の有無
  • 現在進行中の業務の有無やその業務に関する契約内容および進捗状況
  • 会社の決算書類、会計書類などの保管状況


弁護士との相談により、破産が最適な選択肢であると判断された場合、弁護士は債権者に対して破産予定であることを知らせる「受任通知」を送付します。
受任通知が送られると、債権者からの取り立てが一時的に停止されるため、経営者は精神的な負担から解放されます。
ただし、事業が継続中である場合、弁護士が前面に出ず、慎重に手続きを進めることが必要なケースもあります。

STEP 2: 破産手続きの準備

破産手続きを進めることが決定した後は具体的な準備に入ります。
まず、会社の活動をいつ停止するかを決め、その時期に向けてスケジュールを立てます。
この時点で必要な書類を整え、会社の資産を保全することが重要です。
特に従業員への対応については、解雇通知のタイミングや未払い賃金の処理を含め、法的に適切な手続きを行わなければなりません。

また、破産手続きに必要な費用を確保することも非常に重要です。
現金が不足している場合は、売掛金の回収や資産の現金化を進める必要があります。
弁護士費用や裁判所に納める予納金も、この段階で準備しておくべきです。
これらの準備が整うことで、裁判所への申立てがスムーズに進みます。

STEP 3: 裁判所への申立て

破産手続きの申立ては、裁判所に書類を提出することから始まります。
この作業を弁護士に依頼した場合は、基本的に弁護士が代行するため、経営者が直接裁判所に出向く必要はありません。
申立ての際には、裁判所に対して予納金を納付する必要があり、事前に十分な資金を準備しておくことが求められます。
申立てに必要な書類には、会社の財務状況を示す決算書や帳簿、債権者の一覧などが含まれます。
これらの書類が不十分もしくは、内容に不備がある場合には、裁判所から追加の資料提出が求められることがあります。
そのため、家庭裁判所に申し立てる前には、必要な書類を不備なく整えることが重要です。

STEP 4: 破産手続きの開始

裁判所が破産手続きの開始を決定すると、破産管財人が選任されます。
破産管財人は、会社の財産を管理し、売却する役割を担います。
経営者は、破産管財人と面談を行い、今後の手続きの進め方や処理方針について詳細な打ち合わせを行います。
破産管財人が選任されると、会社の財産の管理処分権は全て破産管財人に移行します。
経営者は、このプロセスに積極的に協力する義務があります。
破産手続開始決定後に債権者集会を開催します。
債権者集会とは、破産管財人が財産の状況や債権者への配当の進行状況を報告し、経営者もこれに出席して手続きを確認することです。

STEP 5: 破産手続きの終了

破産手続きは、裁判所による手続終結の決定によって正式に終了します。
この時点で破産管財人の任務も終了し、会社の法人格が法的に消滅します。
破産手続終結の決定は官報に公告されるため、社会的にも破産が終了したことが確認されます。
法人格が消滅することで、会社としての活動は完全に終了し、法人登記簿も閉鎖されます。
ただし、経営者個人に対して保証責任が残る場合や、破産後の手続きが必要な場合もあるため、引き続き注意が必要です。

まとめ

法人破産の手続きは、慎重かつ計画的に進めることが求められます。
この記事で解説したように、弁護士への相談から破産手続きの準備、裁判所への申立て、そして破産手続きの終了まで各ステップを正確に理解しておくことが重要です。
経営者が適切なタイミングで専門家に相談し、手続きを進めることで、最悪の事態を避けることができる可能性もあります。
法人破産を検討している方は、ぜひ早めに専門家でもある弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故における逸失利益とは?

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交通事故に遭い、被害者に後遺症が残った場合や死亡した場合は、被害者の将来の収入に影響を及ぼすことも少なくありません。
本記事では、交通事故における将来の損失を補償する逸失利益について解説します。

逸失利益の定義と重要性

逸失利益とは、交通事故がなければ将来的に得られたであろう収入や利益のことを指します。
これは主に以下のような場合に問題となります。

  • 被害者が死亡した場合
  • 被害者に後遺障害が残った場合


逸失利益は、被害者やその家族の将来の生活を支える重要な要素です。
適切に算出し請求することで、事故による経済的な影響を軽減できる可能性があります。

逸失利益の種類

逸失利益は、大きく分けて2種類あります。

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、交通事故による後遺障害が残った場合に労働能力が低下し、将来の収入が減少することを補償します。
後遺障害の程度に応じて、労働能力喪失率が決定され、それに基づいて逸失利益が算出されます。

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、被害者が亡くなった場合、その人が生きていれば得られたであろう将来の収入が逸失利益として計算されます。
被害者の年齢や職業、収入などを基に、将来得られるはずだった収入を推定します。

逸失利益の計算方法

逸失利益の計算では、主に以下の要素が考慮されます。

  • 基礎収入
  • 労働能力喪失率
  • 就労可能年数
  • 中間利息控除(ライプニッツ係数)
  • 生活費控除率(死亡逸失利益の場合)


通常、基礎収入は事故前の年収や職業に基づいて算出されますが、業種によって算出方法は異なります。
たとえば、サラリーマンと自営業、フリーランスでは以下のような違いがあります。

  • サラリーマンの場合:事故前1年間の実収入
  • 自営業者やフリーランスの場合:事故前年度の確定申告の申告所得額


ただし、学生や主婦など、定期的な収入がない場合でも、将来の予想収入や家事労働の経済的価値などが考慮されることがあります。

労働能力喪失率

後遺障害が残った場合、その程度に応じて労働能力喪失率が決定されます。
後遺障害逸失利益における労働能力喪失率とは、後遺障害によって労働に支障をきたす割合を指します。
労働能力逸失率は、自動車損害賠償保障法施行令別表に第1級〜第14級まで障害等級別割合が定められています。
障害等級は、後遺障害認定等級表に基づいて判断されます。

就労可能年数

労働能力喪失期間は、被害者の年齢や定年までの期間などを考慮して決定されます。
一般的に67歳までの期間が基準となることが多いです。

中間利息控除(ライプニッツ係数)

将来の収入を現在の金額に換算する際、中間利息を控除する必要があります。
中間利息の控除とは、将来得られるはずだった収入を一括で受け取ることによる利息分を差し引くことです。
この計算には、ライプニッツ係数が用いられます。
ライプニッツ係数とは、中間利息控除の際に複利(元本だけでなく利息に対しても利息をつける方法)を用いた数値であり、年数に応じて決まっています。

生活費控除率

生活費控除率とは、被害者が死亡事故に遭った場合に生きていれば生活費を支出できたであろうと考えられる費用を差し引く割合のことです。
死亡逸失利益(死亡事故に遭わなければ得られたはずの給与や収入)の場合、被害者本人の生活費分を控除するための率が適用されます。

逸失利益の計算例

後遺障害逸失利益と死亡逸失利益の具体的な計算例を示します。

後遺障害逸失利益の計算例

35歳のサラリーマンが交通事故で後遺障害7級の障害を負った場合を考えてみましょう。

  • 基礎収入:年収500万円
  • 労働能力喪失率:56%(7級の場合)
  • ライプニッツ係数:17.2920(67歳までの32年分)


【計算式】
500万円 × 0.56 × 17.2920 = 4,841万7,600円

この例では、逸失利益は約4,841万円と算出されます。

死亡逸失利益の計算例

40歳の会社員が交通事故で死亡し、被扶養者が1人いた場合を考えてみましょう。

  • 基礎収入:年収600万円
  • 生活費控除率:40%(被扶養者1人の場合)
  • ライプニッツ係数:13.1630(67歳までの27年分)


【計算式】
600万円 × (1 – 0.4) × 13.1630 = 4,738万6,800円

この例では、逸失利益は約4,738万円と算出されます。

逸失利益請求のポイント

逸失利益を請求する際には、以下に記した5つのポイントに注意してください。

  • 適切な資料の準備
  • 専門家への相談
  • 将来の収入増加の可能性
  • 交渉の重要性
  • 請求権の消滅時効


収入を証明する源泉徴収票や確定申告書や、昇給・転職の場合も証明する資料を用意する必要があります。
また、保険会社との交渉で適切な賠償金額を求めたり、適切な計算方法や請求額を検討する際には、弁護士や交通事故の専門家に相談することをおすすめします。
さらに請求権の消滅時効は事故から3年なので早めの対応が重要です。

まとめ

本記事では、交通事故における逸失利益の概念、計算方法、請求のポイントについて解説しました。
逸失利益は、交通事故被害者とその家族の将来の生活を守るための重要な要素です。
逸失利益の計算や請求には専門的な知識が必要となるため、事故に遭った際は早めに専門家に相談することをおすすめします。

景品表示法とは?企業が押さえておくべきポイントを解説

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消費者の信頼を守り、市場の透明性を保つために、企業は景品表示法の遵守が求められています。
この法律は、消費者を誤解を与える広告から守り、公正な市場環境を促進するために不可欠です。
本記事では、景品表示法の重要性、基本的な内容、および企業が遵守すべき具体的なポイントについて解説します。

景品表示法とは

「景品表示法」とは、消費者に対する商品やサービスの広告表示に関する公正を確保し、不当な表示を防ぐための法律です。
景品表示法は、以下の4点で消費者の保護と健全な市場取引を促進する役割を果たします。

目的消費者に対する公正な商品やサービスの情報提供を確保する。
内容誇大広告や虚偽表示の禁止を含む、不当な表示を防止する。
影響消費者が正確な情報に基づいて選択できる環境を作る。
責任企業には正確かつ公正な情報提供の義務がある。

法律が制定された背景と目的

商品表示法は以下の背景と目的がから制定されました。

背景

高度成長期(1955年から1972年)は、経済の急速な拡大とともに消費者市場も大きく成長した時代でした。
市場の拡大にともなって企業間の競争も激化し、誇大広告や虚偽表示が増え、消費者が誤解を招くケースが多くなりました。
不適切な商品選択をさせる問題が顕著になり、消費者を保護するため、景品表示法が1962年(昭和37年)に制定され、同年に施行されたのです。

目的

景品表示法の目的は、消費者が正確かつ公平な情報にもとづいて商品やサービスを選ぶことを支援することです。
この法律は不当な広告表示を禁止し、誇大広告や虚偽表示を根絶することを目指しています。

景品表示法の基本的な内容

以下に、景品表示法の基本的な内容を簡潔に示します。

不当な表示の禁止

景品表示法は、消費者が誤解を招くような不正確な情報提供から守るため、誇大広告や虚偽表示を禁じるものである。
法律は、消費者が事実と異なる品質や価格の誤認をすることなく、合理的な選択ができるように保護しています。

主要な不当表示と規制

不当表示は大きくわけて3つあります。

  • 優良誤認表示
  • 有利誤認表示
  • その他 誤認されるおそれのある表示


「優良誤認表示」「有利誤認表示」は消費者に対して誤解を招くような有利な情報を提供し、実際よりも優れているか、または有利であると誤認させるような表示を禁じています。
「その他 誤認されるおそれのある表示」は二重価格表示やまぎらわしい表示も厳しく規制されています。

適用される商品やサービスの範囲

景品表示法は、消費者向けに広告されるほぼすべての商品やサービスに適用されます。
法律により、食品、衣類、電子製品など、日常的に消費者が接触する可能性のある商品全般にわたって情報の正確さが保証されます。

企業が注意すべき具体的なポイント

企業は景品表示法を遵守し、消費者に対して誤解を招くような表示を行わないように注意が必要です。

  • 誇大広告
  • 比較広告
  • その他の誤解を招く可能性のある表示


以下では、これらの点について詳しく解説し、企業がどのようにして法律を遵守し、消費者の信頼を維持できるかに焦点を当てています。

誇大広告とは

誇大広告とは、商品やサービスについての品質、効果、価格などを実際よりも優れているかのように誤解を招くような表示をすることです。
たとえば、証明されていない効果を宣伝したり、実際の性能を超える性能があるかのように広告することが含まれます。
企業は誇大広告を避け、実際の製品やサービスの能力を正確に表現する必要があります。

比較広告のルール

比較広告においては、自社製品を競合他社の製品と比較する際に、客観的かつ検証可能なデータに基づいて行う必要があります。
例えば、比較する製品やサービスの属性や性能が、客観的かつ検証可能であることが求められます。
また誤解を招く可能性のある不公正な比較や、事実に基づかない表示を避けることが必要です。
企業はルールに従って比較広告を実施することで、不公正競争を防ぎ、消費者に対して正確な情報提供を保証する責任があります。

その他の誤解を招く可能性のある表示

消費者に誤解を招く可能性のあるその他の表示には、以下のような事例が含まれます。

無果汁の清涼飲料水等に関する表示

果汁または果肉の割合が5%未満である清涼飲料水に「無果汁・無果肉」と表示していない場合、不当表示となる可能性があります。
消費者が果汁含有量を誤解することを防ぐため、正確な表示が求められます 。

商品の原産国に関する表示

実際の原産国と異なる国名や国旗、事業者名を表示することも不当表示に該当します。
消費者が商品の原産国を正確に理解できるよう、適切な表示が必要です 。

おとり広告

実際には供給が不十分な商品やサービスを広告すること。
消費者を誘引する目的で行われるおとり広告は、実際の供給能力と異なる情報を提供することから、不当表示とされることがあります 。

まとめ

本記事では、景品表示法について企業が押さえるべきポイントを解説しました。
景品表示法は、消費者が正確な情報に基づいて商品やサービスを選ぶことを支援し、市場での公正な取引を促進するために極めて重要です。
法律に定められたルールを遵守することで、企業は消費者の信頼を得られるだけでなく、不正競争を避け、自社のブランド価値を守ることができます。

しかし、景品表示法の適用範囲は広く、その遵守には注意深い理解と対応が求められます。
企業は誇大広告や虚偽表示を避け、常に透明性を保つことが不可欠です。
違反が発見された場合には、法的な罰則だけでなく、消費者からの信頼喪失という重大なリスクに直面することになるでしょう。
不確実性を避け、法的リスクを最小限に抑えるためにも、専門家のアドバイスを求めることが推奨されます。
正しい情報と専門的なガイダンスを得ることで、企業は法規制を遵守し、消費者との良好な関係を維持することが可能となります。

離婚が認められないケースとは?その理由と解決策も解説

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離婚が認められないケースには、法律上の制約や社会的な理由があります。
この記事では、離婚が認められないケースや離婚できない場合の解決策について解説します。

離婚が認められないケース

基本的に離婚するには夫婦の合意がなければ離婚できません。
そのため、夫婦のどちらかが離婚したいと言っても法的に離婚が認められないケースがあります。
主な離婚が認められないケースは以下の5つです。

  • 有責配偶者から離婚を申し出た場合
  • 離婚相手が離婚に合意してもらえない場合
  • 離婚理由を法的に認められない場合
  • 配偶者が精神病を患っていても回復の見込みがある場合


それぞれ理由を詳しく解説します。

有責配偶者から離婚を申し出た場合

離婚を申し出た者が有責配偶者の場合は離婚できない場合があります。
有責配偶者とは、離婚原因となった問題や行為を起こした配偶者のことです。
問題や行為とはDVや不貞行為、モラハラなどを行う行為です。
認められない理由として、夫婦生活を身勝手な行動で破綻させておきながら、一方的に離婚するという無責任な行動は認められないからです。
ただし、すでに夫婦生活が破綻している場合や、離婚を認めないことによって離婚相手に不合理な状況を招きかねない場合などは、有責配偶者でも例外的に認められることがあります。

離婚相手が離婚に合意してもらえない場合

離婚する場合は、基本的に夫婦の合意がなければ離婚できません。
一般的に用いられる協議離婚は、夫婦が離婚に合意した後に離婚届に署名・押印して役所に提出すれば離婚が成立します。
一方が離婚に合意しなければ、家庭裁判所に申し立てを行い調停離婚を行いますが、その際にも夫婦の合意が必要です。
離婚する際には、夫婦どちらか一方が離婚したいと言っても相手が合意しなければ離婚できないので注意してください。

離婚理由を法的に認められない場合

協議離婚や調停離婚で離婚できなければ、裁判離婚に発展するケースがあります。
その際、離婚理由が法律で以下のように定められており、該当する場合は訴えられます。

  • 配偶者の一方に不貞行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄(扶助・扶養を怠る行為)されたとき
  • 配偶者が行方不明になって生死が3年以上わからないとき
  • 配偶者が重い精神病を患い、回復の見込みがないとき
  • その他に婚姻を継続できない重大な事由があるとき


裁判において、離婚理由が上記内容に該当していないと判断された場合は、法的に認めてもらえないので離婚できません。

配偶者が精神病を患っていても回復の見込みがある場合

配偶者が重い精神病を患って回復の見込みがない場合は、家庭裁判所に離婚を申し立てることが可能です。
しかし、何年先になるかわからないけど回復の見込みがある場合は、離婚できない可能性があります。

離婚したいけど離婚できない場合の解決策

離婚する際には、以下の方法で行います。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 離婚裁判


次に、それぞれ詳しく解説します。

協議離婚

協議離婚の場合は、夫婦間で十分な話し合いを行い、互いの意見や感情を理解することが大切です。
感情的にならず冷静な話し合いが求められますが、話し合いで解決できなければ第三者に介入してもらう必要があります。
それでも、離婚に至らない場合は調停離婚や裁判離婚を検討する必要があります。

調停離婚

調停離婚とは、家庭裁判所に調停離婚の申し立てを行い、調停員に介入してもらって離婚に向けて話し合うことです。
調停員が、双方から親権や財産分与、養育費、慰謝料などの離婚条件を聞いて離婚の合意をもらえるように話を進めます。
第三者が介入することで、話し合いがスムーズに行える可能性があります。
ただし、離婚調停を行っても離婚できない場合があります。
その際には、離婚裁判を検討する必要があります。

離婚裁判

離婚裁判とは、裁判所の判決によって離婚する手続きです。
家庭裁判所に離婚訴訟の申し立てをして、裁判官が離婚できると認める判決を下せば離婚が成立します。
裁判は当事者でも行えますが、相手側が弁護士に依頼している場合や離婚の争点などを明確に判断し、相手と争うことは専門家でなければ困難です。
そのため、離婚裁判を行う場合は弁護士に依頼することをおすすめします。

まとめ

今回は、離婚が認められないケースや離婚できない場合の解決策について解説しました。
離婚は、基本的に夫婦の合意がなければできません。
離婚に至る経緯にはさまざまな理由があり、状況によっては思うように話が進まない場合があります。
その場合は、離婚裁判に発展する可能性も見越して、離婚調停の段階から離婚に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

遺言とは?遺言書の種類と取り扱い時の注意点を解説

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遺言者が亡くなった後に財産をどのようにするのか、自分の意思を残すことを遺言と言い、紙に書き残したものが遺言書です。
この記事では、遺言書の種類について解説します。

遺言および遺言書とは

遺言とは、遺言者の保有財産を遺された遺族にどのように引き継いでもらうのかという遺言者の意思表示であり、その意思表示を紙に書き残したものが遺言書です。
遺言書を作成するにあたって、法律では以下のことを定めています。

  • 15歳になれば遺言書は作成できる
  • 遺言書を書くときには遺言内容を理解できる能力がなければならない
  • 遺言書の種類によっては決められた書き方、書く人、保管方法でなければ無効になることがある


遺言者が亡くなると基本的に遺言書の内容に従って遺産分割するため、できるだけ詳細に書くことが望ましいです。
そのため、遺言書を残せば遺産分割する際に相続人同士の争いを未然に回避する目的としても有効です。

遺言書の種類

遺言を残す方法として遺言書には以下の3種類あり、種類によって書く人や書き方、保管方法が異なります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言


遺言書は死後に、遺言者の意思を確実に実現させる必要があるので法律で厳格に定められており、規定に違反している場合は無効になるので注意が必要です。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者がメモ用紙などの紙に自筆で書いて保管する方法で以下の規定があります。

  • 遺言者の自筆であること
  • 遺言書の全文を手書きすること
  • 日付、氏名、押印をすること


その他に、財産目録などはパソコンで作成しても良いですし、通帳などをコピーしたものを遺言書に添付しても構いません。

ただし、財産目録が記載されている個所には遺言者の署名・押印が必要です。
用紙の両面に財産目録を記載およびコピーしている場合は、両面に署名・押印が必要となり、署名・押印がなければ財産目録として認められず、無効になる可能性があるので注意してください。
保管方法は、遺言者自身で保管するか、法務省が行っている自筆証書遺言保管制度を利用して法務省で保管してもらう方法があります。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人に書いてもらう遺言書であり、公証役場で20年間保管してもらえます。
公正証書遺言は以下の内容を厳守しなければ無効になるので注意してください。

  • 証人が2名以上必要であること
  • 公証役場で公証人に遺言書作成を依頼すること
  • 公証人が作成した遺言書を確認して、遺言者と証人の署名・押印をすること


公正証書遺言は遺言者自身で作成するのではなく、公証人が行うので法律的にも問題のないように作成してもらえます。
また、公正証書遺言は遺言者が亡くなるまで誰も遺言書を開封できないので、偽装・改ざん・破棄といった行為から遺言書を安全に守ることができます。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、作成した遺言書を封筒に入れて密封し、公証役場で保管してもらう遺言書です。
以下の点に注意して作成する必要があります。

  • 遺言書に遺言者の署名・押印をすること
  • 遺言書は封筒に入れて密封して、遺言書と同じ印章で封印すること
  • 公証役場で保管手続きを行うこと
  • 証人が2名以上必要であること
  • 公証人に対して証人2名以上の前で遺言者の遺言書であることを述べること
  • 公証人が作成した封紙に遺言者と証人は署名・押印すること


秘密証書遺言は遺言者の自筆である必要はなく、パソコンや第三者に依頼して作成してもらっても構いません。
また、作成後には遺言者自身が密封するため、公証人も遺言内容を知ることはできず、遺言者が亡くなるまで誰も開封できないので安全に保管できます。

遺言書を取り扱う際の注意点

遺言書の種類によっては、家庭裁判所に「検認」の申し立てを行わなければ遺言書を開封できないので注意してください。
「検認」とは、遺言書が見つかった場合、誰かに偽造や変造をされないために家庭裁判所に申し立てて、裁判官に遺言書を確認してもらう手続きです。
遺言者の死後、遺言書を開封するための検認手続きが必要になるのは以下のケースです。

  • 自筆証書遺言保管制度を利用していない自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言


例えば、遺言者の遺品整理をしていたときに自筆証書遺言が見つかったからといって、検認手続きを行わず、発見者や遺族が勝手に開封すると罰則が科せられるので注意してください。

まとめ

今回は、遺言書の種類について解説しました。
遺言書には3種類あり、それぞれ書き方や保管方法などが異なります。
自筆証書遺言は手続きなどが必要ないので手軽に作成できますが、自筆証書遺言保管制度を利用せず、自分で保管していた場合、万が一にも認知症のような精神疾患を患うと保管場所を忘れる恐れがあります。
また、法律的にも問題のない遺言書を作成するためには、公正証書遺言を利用するか、もしくは、法律の専門家でもある弁護士に依頼してサポートしてもらうことをおすすめします。

任意整理から個人再生への切り替えは可能?

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任意整理したけれど収入が減って返済が困難になった場合に、個人再生に切り替えられないか思案している方もいらっしゃると思います。
この記事では、任意再生から個人再生への切り替えは可能なのかという疑問について解説します。

任意整理から個人再生に切り替える条件とは

任意整理から個人再生に切り替えられるのか、また、切り替えるために条件はあるのかみていきましょう。

任意整理から個人再生に切り替えられるケースもある

基本的には、任意整理から個人再生に切り替えることは可能です。
任意整理とは、裁判所が関与することなく債権者と直接交渉して返済を楽にしてもらう手続きです。
例えば、分割払いの期間延長や金額、長期的に発生する利息のカットなどについて、確実に返済できるように債権者と交渉します。

一方、個人再生は、地方裁判所に申し立てを行い、法的手続きを経て返済額を減額してもらう手続きです。
個人再生に切り替えることができれば、返済総額が減るので毎月の返済も楽になる可能性があります。

任意再生から個人再生に切り替える条件

任意整理から個人再生に切り替える際には、以下の条件をクリアする必要があります。

  • 安定した収入があること
  • 個人再生の対象となる負債総額が5,000万円以下であること


その他にも、給与所得者の場合は、給与の変動が小さいことも条件とされています。
個人再生は、裁判官に認めてもらえなければ切り替えることは不可能です。
そのため、必ず残りの借金は支払期日に遅延することなく、完済するまで払い続ける強い意思や誠実さを裁判官にアピールすることも大切なポイントです。

任意整理から個人再生に切り替えた方が良いケースとは

任意整理から個人再生に切り替えた方が良いケースを3つご紹介します。

債権者と合意できない場合

任意整理は債権者の合意の元で行われるため、債権者の合意がなければ任意整理は行えません。
「債権者と話し合えばどうにかなるだろう」と思って交渉してみたものの、思いのほか交渉が難航して債権者に合意してもらえない場合は、個人再生を検討した方が良いかもしれません。

借金額が予想よりも多い場合

専門家による債務調査が行われて、予想以上に借金額が多い場合は、返済額が多すぎて任意整理では返済できないかもしれません。
その場合は、個人再生に切り替えて借金総額を減額してもらった方が、確実に返済できる可能性は高いです。

任意整理したけど返済が困難な場合

一度は任意整理を行い、毎月返済していたとしても、社会情勢による物価高騰や収入の減少により、毎月返済できない場合があります。
自分の力だけではどうしようもない状況に陥り、毎月の返済額を確保できない場合は、個人再生に切り替えた方が良いかもしれません。

任意整理から個人再生に切り替えるときの注意点

任意整理から個人再生に切り替える場合は、以下の4つに注意してください。

個人再生には別途費用がかかる

任意整理から個人再生に切り替えると、個人再生の費用として別途弁護士費用がかかります。
また、任意整理の時点で弁護士などに依頼している場合は、任意整理にかかった費用とは別に個人再生にも弁護士費用が必要になるので2重の費用がかかります。
債務整理を検討する段階で、任意整理と個人再生のどちらが無理なく返済できるのか、慎重に検討しなければなりません。

連帯保証人がいる場合は迷惑がかかる

借金をしている方の中には、連帯保証人をつけている場合があります。
連帯保証人がいる状態で主債務者が個人再生に切り替えると、主債務者の返済額は減額されますが、減額された返済額は連帯保証人に請求されます。

例えば、主債務者が500万円の借金をしていた場合に個人再生に切り替えると、主債務者は100万円に減額されますが、減額された400万円は連帯保証人に請求されます。
この場合、一括請求されることがあり、連帯保証人でもまとまったお金を用意できなければ一括で支払えない可能性があります。
一括で支払えない場合は、債権者に分割払いにしてもらうなどの交渉が必要です。

個人情報が官報に掲載される

個人再生すると国が発行している「官報」に名前や住所などの個人情報が掲載されます。
官報はインターネットで誰でも閲覧できるため、家族や親族、知り合い、第三者などに個人再生したことを知られる可能性があります。
周囲に知られたくない場合は、任意整理のままで債権者と再交渉して毎月の返済額を減額してもらうなど、債権者の合意を得るしかありません。

司法書士では個人再生の申し立てはできない

任意整理を司法書士にサポートしてもらっている方もいらっしゃると思います。
司法書士では個人再生の申し立てができませんが、弁護士であれば個人再生の申し立てが可能です。
そのため、司法書士と相性が良くても、任意整理から個人再生に切り替える場合は弁護士に依頼しなければなりません。
司法書士は弁護士とのつながりを大事にしているので、個人再生する場合は弁護士を紹介してもらえます。

まとめ

今回は、任意整理から個人再生に切り替えるのは可能なのかという疑問について解説しました。
任意整理から個人再生に切り替えることは可能ですが、条件をクリアする必要があります。
債務整理を検討している方は、任意整理と個人再生のどちらにするか悩むかもしれません。
そんなときは、適切な状況判断ができる上に法律の専門家でもある弁護士に相談することをおすすめします。

後遺障害と後遺症の違いとは?等級認定を受けるメリットや審査の受け方も解説

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交通事故に遭い、むち打ちや腕が痺れて日常生活に支障が出ていても、後遺障害に認定されなければ適切な慰謝料請求はできません。
この記事では、交通事故による後遺障害と等級認定について解説します。

後遺障害とは

「後遺障害」とは、交通事故で負ったケガが「症状固定」された上に労働能力の低下もしくは喪失が認められ、さらに自動車損害賠償保障法の後遺障害等級に認定された状態です。
症状固定とは、交通事故によるケガの治療において、これ以上継続しても完治せず、将来的にも事故によるケガの症状が残る状態のことです。
そのため、後遺障害と認定されるためには、医師の診断結果だけでなく、専門機関に申請して認定してもらう必要があります。

後遺症との違い

「後遺症」とは、病気やケガの治療をしても、これ以上完治しないと診断されて身体機能に障害が残った状態です。
例えば、交通事故が原因で後遺症が残る場合でも、後遺障害等級の認定を受けなければ後遺症です。
一方、「後遺障害」は交通事故を原因とし、後遺障害等級の認定をもらえた場合に限り、後遺障害と認定されるので混同しないように注意してください。

後遺障害等級の認定とは

後遺障害等級の認定とは、障害が残った原因が交通事故だと診断された後、自動車損害賠償保障法の14等級の何等級に当てはまるのかを検証して認定してもらうことです。
後遺障害等級に該当していれば後遺障害と認定されます。

自動車損害賠償保障法における等級の種類

自動車損害賠償保障法の14等級は第1級から第14級まであり、第1級が重度の後遺障害で、等級数が増えるごとに後遺障害の症状は軽症になっていきます。
また、等級の数字が少ないほど損害賠償請求額も高額になりますが、障害の度合いも重症になるので日常生活に及ぼす影響は大きいです。
等級認定の決め方は、「後遺障害のある部位はどこなのか」を確認し、労働能力の低下、もしくは喪失の度合いを見て、等級表に記載されている内容と照らし合わせて認定します。

後遺障害等級認定の審査を受ける方法とは

認定機関で後遺障害等級の認定を受ける方法は次の2通りです。

  • 被害者請求:加害者側の自賠責保険会社を通じて申請
  • 事前請求:加害者側の任意保険会社を通じて申請


認定機関とは、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所のことです。
上記のどちらかの保険会社を通じて申請手続きを行った後、保険会社から自賠責損害調査事務所へ必要書類を提出してもらって後遺障害等級の認定を受けます。
申請方法はどちらでも自由に選べますが、手間がかかっても自分の症状などを正確に伝えて適切な等級認定を受けたいのであれば被害者請求の方がおすすめです。

加害者側の自賠責保険会社に申請する場合

加害者側の自賠責保険会社に申請する場合、以下のメリット・デメリットがあります。

  • 申請に必要な書類は自分でそろえる
  • 病状や症状を正確に伝えやすいので審査対策がしやすい
  • 申請者が書類収集などをすべて行うので手間がかかる

加害者側の任意保険会社に申請する場合

加害者側の任意保険会社に申請する場合のメリットやデメリットは以下の通りです。

  • 後遺障害診断書を保険会社に提出すれば、残りの申請に必要な書類は保険会社が用意してくれる
  • 診断書のみを提出するので審査対策はできない
  • 提出書類は診断書だけなので書類収集などの手間がかからない

後遺障害等級の認定を受けるメリット

後遺障害等級の認定を受けると、2つのメリットがあります。

  • 後遺障害慰謝料
  • 後遺障害逸失利益

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、後遺障害と認定された場合のみ、入通院慰謝料とは別に加害者に請求できる慰謝料です。
障害が残った原因が交通事故であると診断されたら、後遺障害認定を受けることで少しでも多くの慰謝料を受け取れる可能性があるので経済的にもメリットがあります。

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、交通事故に遭って後遺障害が残らなれば得られるはずだった将来の給料や収入などのことです。
後遺障害逸失利益も後遺障害と認定されたときのみ請求できる損害賠償です。
そのため、交通事故に遭って後遺症が残っただけでは請求できないので、必ず後遺障害の認定を受けることをおすすめします。

まとめ

今回は、後遺障害と等級認定について解説しました。
交通事故が原因で障害が残った場合は、等級認定を受けることで後遺障害と認定されます。
後遺障害と認定されれば、通常の慰謝料や損害賠償の請求とは別に後遺障害の慰謝料と逸失利益を請求できるので経済的にもメリットがあります。
後遺障害の認定を受けるには、後遺症の原因が交通事故であることを医師に診断してもらう必要があり、必要書類の書き方や医師とのやり取りに不安のある方は交通事故を専門に扱っている弁護士に相談することをおすすめします。

業績悪化が理由の減給について会社側の法的リスクはある?

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業績悪化を理由に減給に踏み切らざるを得ない会社も少なくないと思います。
しかし、労働者の給料等の労働条件は、労働基準法等によりさまざまな法規制が設けられており、会社側がこれらの規制を無視した場合は、違法、減給が無効となる等、法的リスクを負う可能性があります。
本稿ではこうした事態を避けるために、会社側としてどのように対処したらよいのか解説します。

給料等の労働条件の決め方

給料等の労働条件は、会社と労働者間の契約により決定されます。
私人間の契約は契約自由の原則により、どのような内容でも自由に定めることができます。
そのため、減給についても、会社と労働者間で合意すれば、法的な問題は生じません。
しかし、会社と労働者の交渉力には差があり、労働者が不利な立場に立たされるのが一般的です。
そこで、労働基準法を初めとする様々な法律により法規制が設けられています。

給料等の労働条件の根拠規定

給料等の労働条件の根拠規定は主に次の4つに分けられます。

  • 労働基準法、最低賃金法等
  • 就業規則
  • 労働協約
  • 労働契約


それぞれ見ていきましょう。

労働基準法、最低賃金法等

労働基準法、最低賃金法等は、国や地方ごとの最低限の労働条件を定めたものです。
労働者の同意があったとしても、最低賃金を下回る減給は違法になります。

就業規則

就業規則は、職場の原則的な労働条件を定めたものです。
就業規則には、絶対的必要記載事項と言い、必ず記載しなければならない項目がありますが、賃金の決定方法と計算方法、支払方法、締切り、支払時期もその一つです。
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は無効とされているため、個別の労働者との交渉による減給の際も就業規則の基準を下回ることはできません(労働契約法12条)。
業規則の基準を下回る減給をするには、就業規則の変更が必要になります。

労働協約

労働協約は、職場に労働組合がある場合に、個別の労働者に代わって使用者側と交渉を行い、労働条件を定めたものです。
労働組合に加入している労働者については、労働協約が個別の労働契約に優先して適用されるため、労働協約で定めた給与基準を下回る減給は認められません(労働組合法16条)。
また、労働協約は労働組合に加入していない労働者にも拡張適用されるケースがあるため注意が必要です(労働組合法17条等)。

労働契約

労働契約は、会社と個別の労働者の間で交わされる契約です。
給料等の労働条件については自由に定めることができるため、業績悪化を理由とする減給も労働者が同意すれば可能です。

業績悪化を理由に減給する方法

業績悪化を理由に減給するためには労働契約、労働協約、就業規則のいずれかを変更する必要があります。

労働契約を変更する方法

会社の従業員数が少ない場合は、個別の労働者ごとに交渉して、労働契約を見直し、合意を得ることで減給が可能になります。
減給に関して、労働者と同意が成立したら、同意書を交わしたり、改めて、労働契約書を作り直すなど、文書を作成して、双方が署名しておくことが大切です。
ただし、労働基準法、最低賃金法等に抵触する水準まで減給することは違法なのでその点には注意が必要です。

労働協約を変更する方法

労働協約がある場合は、個別の労働契約よりも優先して適用されるため、まずは、労働協約で定めた給与水準を下げる必要があります。
労働協約の変更は、労働組合との交渉により行います。
交渉の結果、減給に関して合意に至った場合は、合意内容の文書化が必要です。
具体的には、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することが求められています(労働組合法14条)。

就業規則を変更する方法

就業規則で定めた労働条件については、原則として、労働者の不利益になる内容に変更することはできません。
不利益変更を行うためには労働者の合意が必要になる上、変更の範囲が「合理的な」範囲に留まっていなければならないものとされています(労働契約法10条)。
「合理的」であるかどうかは次の事項が判断要素となります。

  • 労働者の受ける不利益の程度
  • 労働条件の変更の必要性
  • 変更後の就業規則の内容の相当性
  • 代替措置その他関連する他の労働条件の改善状況
  • 労働組合等との交渉の経緯
  • 他の労働組合又は従業員の対応
  • 同種事項に関する一般的状況


これらの事項を総合考慮して判断すべきとするのが判例の見解です(最判平成9年2月28日 民集 第51巻2号705頁)。
一般的には、減給の範囲は必要最小限の範囲に留めることが求められますし、減給が必要なほど、業績が悪化していると言えるのかどうかも考慮されます。

また、就業規則の変更には一定の手順があります。
具体的には次のとおりです。

  • 就業規則の変更内容につき、弁護士等の専門家を交えながら検討する
  • 労働者代表者に変更内容を示して、意見聴取を行う
  • 労働基準監督署に就業規則変更届を提出する
  • 就業規則の変更内容を労働者に周知する

まとめ

業績悪化を理由にやむを得ず減給に踏み切らざるを得ない会社もあると思いますが、減給に際しては、労働基準法、最低賃金法、労働契約法などで定めるさまざまなルールを遵守する必要があります。
労働基準法等を無視した減給は、違法、無効となってしまいますので、法規制に関して詳しくわからない場合は、弁護士等の専門家へ相談することが大切です。

離婚の際の財産分与の対象となる財産

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離婚という人生の大きな転換点では、時に様々な問題が生じます。
その中でも財産分与は、将来の生活設計や今後の生活に大きな影響を与える重要な問題です。
本稿では、離婚の際の財産分与の対象となる財産について、詳しく解説していきます。

財産分与とは

財産分与とは、離婚に際して夫婦の財産を清算し、分配することを指します。
民法第768条に規定されており、離婚後の生活の安定を図るために重要な役割を果たします。
財産分与の対象となる財産を正確に把握することは、公平な分割を実現するために不可欠です。

財産分与の対象となる財産の基本

財産分与の対象となる財産は、原則として婚姻中に夫婦が協力して得た財産(実質的共有財産)です。
ただし、個人の特有財産は対象外となります。
以下、具体的に見ていきましょう。

実質的共有財産

実質的共有財産とは、婚姻中に夫婦が協力して取得した財産を指します。
具体的には以下のようなものが含まれます。

1. 給与や賞与などの収入
2. 貯金や預金
3. 不動産(自宅やマンションなど)
4. 自動車
5. 株式や投資信託などの金融商品
6. 退職金(婚姻期間中に積み立てられた部分)
7. 生命保険の解約返戻金

これらの財産は、名義が一方にのみあったとしても、原則として分与の対象となります。

特有財産

特有財産とは、個人の所有する財産で、原則として財産分与の対象外となります。
主な特有財産は以下の通りです。

1. 婚姻前から所有していた財産
2. 婚姻中に相続や贈与で得た財産
3. 慰謝料など個人的な賠償金
4. 宝くじの当選金

ただし、特有財産であっても、婚姻中の管理や運用によって価値が増加した部分については、財産分与の対象となる可能性があります。

財産分与の対象となる具体的な財産

それでは、財産分与の対象となる具体的な財産について、詳しく見ていきましょう。

不動産

財産には様々ありますが、不動産は多くの場合で夫婦の最も大きな財産です。
自宅やマンション、投資用不動産などが対象となります。
名義が一方にあっても、婚姻中に取得したものであれば原則として分与の対象です。
ただし、ローンの残債がある場合は、その取り扱いも考慮する必要があります。

預貯金・現金

婚姻中に蓄えた預貯金や現金は、原則としてすべて分与の対象となります。
個人名義の口座であっても、婚姻中の収入や貯蓄であれば分与の対象です。
ただし、婚姻前からの貯金や相続で得た資金など、特有財産に該当するものは除外されます。

有価証券

株式、投資信託、債券などの有価証券も財産分与の対象となります。
婚姻中に購入したものであれば、名義に関わらず分与の対象です。
ただし、株価の変動など、評価額の算定には注意が必要です。

自動車・高額な動産

自動車や貴金属、美術品などの高額な動産も分与の対象となります。
これらは、購入時期や使用状況、減価償却なども考慮して評価されます。

退職金・年金

退職金や年金の取り扱いは複雑です。
まだ受給していない退職金でも、婚姻期間中に積み立てられた部分は分与の対象となる可能性があります。
厚生年金の分割制度を利用することで、年金受給権の分割も可能です。

保険

生命保険や損害保険の解約返戻金も、分与の対象となる可能性があります。
特に、解約返戻金の高い養老保険などは要注意です。

財産分与の対象とならない財産

前述の特有財産の他にも、以下のようなものは原則として財産分与の対象となりません。

1. 婚姻費用として既に消費された財産
2. 離婚後の生活費として必要な財産(一定の範囲内)
3. 職業に必要な道具類(医師の医療器具など)
4. 慰謝料請求権(別途請求が可能)

財産分与の方法と注意点

財産分与の方法には、現物分与と金銭分与があります。
どちらを選択するかは、財産の性質や両者の意向によって決まります。

現物分与

不動産や自動車などを、そのまま分割する方法です。
例えば、マンションの共有持分を分割するなどが該当します。

金銭分与

財産を換価して金銭で分割する方法です。
流動性が高く、清算が明確になるメリットがあります。
財産分与を行う際は、以下の点に注意が必要です。

  • 正確な財産評価:公平な分割のためには、財産の正確な評価が不可欠です。
  • 税金の考慮:不動産や株式の譲渡には、譲渡所得税などが発生する可能性があります。
  • 将来の生活設計:単に金額だけでなく、離婚後の生活を見据えた分割が重要です。
  • 専門家の助言:複雑なケースでは、弁護士や税理士など専門家の助言を得ることが賢明です。

まとめ

離婚の際の財産分与の対象となる財産について解説しました。
対象となる財産の範囲は広く、また個々のケースによって判断が分かれることもあります。
納得できる財産分与を実現するために、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に進めていくことをおすすめします。

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