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コラムカテゴリー: 相続

法定相続人は誰?順位や割合について詳しく解説

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法定相続人は民法のルールにより順位や割合が決まっています。
法定相続人には配偶者、子・孫などの直系卑属、両親などの直系尊属、兄弟姉妹がいますが、被相続人が亡くなった時点で誰が存命しているのかにより、法定相続人となる人は異なります。
それぞれのパターンで法定相続人は誰になるのか、順位や割合について詳しく解説します。

法定相続人とは

人が亡くなった場合、親族の誰かが相続人になります。
亡くなった人の子どもが相続人になることはご存じの方も多いと思いますが、誰が相続人になるかは、民法により法定されています。
民法で決められている相続人のことを「法定相続人」と言います。

遺言がある場合法定相続人は考慮しなくて良い

遺産は原則として法定相続人が相続しますが、遺言がある場合は民法のルールに従う必要はありません。
遺言者(故人)が、遺産の譲受先を決めており、その相手が法定相続人であれば、「相続人」として、法定相続人以外の人ならば「受遺者」として遺産を譲り受けることができます。
ただ、民法で決められた法定相続人には、最低限の取り分である遺留分が認められており、この遺留分を超えた遺産の譲り受けがなされている場合は、法定相続人から受遺者等に対して遺留分侵害額請求がなされることがあります。

法定相続人の順位

法定相続人の順位は、配偶者とそれ以外の法定相続人とに分けて判断します。

まず、配偶者は常に法定相続人となります。注意したいのは、配偶者がいれば他の人は相続人になれないという意味ではなく、配偶者と共に順位に従って法定相続人になるという点です。
配偶者以外の法定相続人の順位は、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹の順になります。
具体的には法定相続人の順位は次のようになります。

第1順位:配偶者+直系卑属(子や孫、ひ孫など)
第2順位:配偶者+直系尊属(父母や祖父母など)
第3順位:配偶者+兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪)

配偶者が存命していて直系卑属がいない場合は、配偶者と直系尊属。
直系卑属と直系尊属が全員いない場合は、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になります。
配偶者が亡くなっている場合は、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹の順になります。
子どもか孫が一人でも存命していれば、その人がすべての遺産を相続し、直系尊属、兄弟姉妹は無関係になります。

法定相続人の相続割合

法定相続人の相続割合は、法定相続人の組み合わせにより異なります。

配偶者+直系卑属の場合の相続割合

配偶者:2分の1
直系卑属:2分の1

配偶者は2分の1で固定されます。
一方、直系卑属は頭数で分配されます。
たとえば、子が三人兄弟であれば、一人あたり6分の1になります。

直系卑属のみ場合の相続割合

直系卑属:すべて

直系卑属のみが法定相続人の場合は、直系卑属がすべての遺産を相続します。
子が複数いる場合は、頭数で等しく分配します。
たとえば、子が三人兄弟であれば、一人あたり3分の1になります。

直系卑属に孫がいる場合

亡くなった人の子(孫から見て親)が存命している場合は、孫は法定相続人になりません。
子(孫から見て親)が亡くなっている場合は、孫が代襲して相続人となります。
孫が複数いる場合は、子の法定相続分を頭数で等しく割ります。

たとえば、子が三人兄弟で、そのうちの一人が亡くなっており、孫(亡くなった子の子ども)が二人いる場合は次のようになります。

子:一人あたり6分の1
孫:一人あたり12分の1

直系卑属の相続割合に関する注意点

直系卑属の相続割合についてはいくつか注意点があります。
まず、養子がいる場合は、養子も実子と同様に法定相続人になるということです。
子や孫が法定相続人の立場になる場合は、未成年や胎児であっても相続割合に代わりはないことに注意しましょう。
ただ、未成年や胎児は自ら権利主張することが難しいため、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう必要があります。

配偶者+直系尊属の場合の相続割合

配偶者:3分の2
直系尊属:3分の1

配偶者は3分の2で固定されます。一方、直系尊属は頭数で分配されます。
亡くなった人の両親がどちらも存命していれば、それぞれ6分の1ずつです。
亡くなった人の両親のどちらかが存命している場合は、その祖父母は法定相続人になりません。

配偶者+兄弟姉妹の場合の相続割合

配偶者:4分の3
兄弟姉妹:4分の1

配偶者は4分の3で固定されます。一方、兄弟姉妹は頭数で分配されます。
亡くなった人が3人兄弟姉妹であれば、残りの2人で8分の1ずつになります。
兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥、姪に当たる人が代襲相続します。
甥、姪が複数いる場合は頭数で等しく割ります。

配偶者のみ場合の相続割合

配偶者:すべて

配偶者のみが法定相続人の場合は、配偶者がすべての遺産を相続します。

まとめ

民法に規定されている法定相続人の順位や割合について解説しました。
法定相続人を確定するにあたっては、戸籍謄本等の調査が必要になりますが、親族が多い場合は、実際に誰が法定相続人になるのか混乱しがちです。
分からない場合は、弁護士等の専門家に相談しましょう。

遺言とは?遺言書の種類と取り扱い時の注意点を解説

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遺言者が亡くなった後に財産をどのようにするのか、自分の意思を残すことを遺言と言い、紙に書き残したものが遺言書です。
この記事では、遺言書の種類について解説します。

遺言および遺言書とは

遺言とは、遺言者の保有財産を遺された遺族にどのように引き継いでもらうのかという遺言者の意思表示であり、その意思表示を紙に書き残したものが遺言書です。
遺言書を作成するにあたって、法律では以下のことを定めています。

  • 15歳になれば遺言書は作成できる
  • 遺言書を書くときには遺言内容を理解できる能力がなければならない
  • 遺言書の種類によっては決められた書き方、書く人、保管方法でなければ無効になることがある


遺言者が亡くなると基本的に遺言書の内容に従って遺産分割するため、できるだけ詳細に書くことが望ましいです。
そのため、遺言書を残せば遺産分割する際に相続人同士の争いを未然に回避する目的としても有効です。

遺言書の種類

遺言を残す方法として遺言書には以下の3種類あり、種類によって書く人や書き方、保管方法が異なります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言


遺言書は死後に、遺言者の意思を確実に実現させる必要があるので法律で厳格に定められており、規定に違反している場合は無効になるので注意が必要です。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者がメモ用紙などの紙に自筆で書いて保管する方法で以下の規定があります。

  • 遺言者の自筆であること
  • 遺言書の全文を手書きすること
  • 日付、氏名、押印をすること


その他に、財産目録などはパソコンで作成しても良いですし、通帳などをコピーしたものを遺言書に添付しても構いません。

ただし、財産目録が記載されている個所には遺言者の署名・押印が必要です。
用紙の両面に財産目録を記載およびコピーしている場合は、両面に署名・押印が必要となり、署名・押印がなければ財産目録として認められず、無効になる可能性があるので注意してください。
保管方法は、遺言者自身で保管するか、法務省が行っている自筆証書遺言保管制度を利用して法務省で保管してもらう方法があります。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人に書いてもらう遺言書であり、公証役場で20年間保管してもらえます。
公正証書遺言は以下の内容を厳守しなければ無効になるので注意してください。

  • 証人が2名以上必要であること
  • 公証役場で公証人に遺言書作成を依頼すること
  • 公証人が作成した遺言書を確認して、遺言者と証人の署名・押印をすること


公正証書遺言は遺言者自身で作成するのではなく、公証人が行うので法律的にも問題のないように作成してもらえます。
また、公正証書遺言は遺言者が亡くなるまで誰も遺言書を開封できないので、偽装・改ざん・破棄といった行為から遺言書を安全に守ることができます。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、作成した遺言書を封筒に入れて密封し、公証役場で保管してもらう遺言書です。
以下の点に注意して作成する必要があります。

  • 遺言書に遺言者の署名・押印をすること
  • 遺言書は封筒に入れて密封して、遺言書と同じ印章で封印すること
  • 公証役場で保管手続きを行うこと
  • 証人が2名以上必要であること
  • 公証人に対して証人2名以上の前で遺言者の遺言書であることを述べること
  • 公証人が作成した封紙に遺言者と証人は署名・押印すること


秘密証書遺言は遺言者の自筆である必要はなく、パソコンや第三者に依頼して作成してもらっても構いません。
また、作成後には遺言者自身が密封するため、公証人も遺言内容を知ることはできず、遺言者が亡くなるまで誰も開封できないので安全に保管できます。

遺言書を取り扱う際の注意点

遺言書の種類によっては、家庭裁判所に「検認」の申し立てを行わなければ遺言書を開封できないので注意してください。
「検認」とは、遺言書が見つかった場合、誰かに偽造や変造をされないために家庭裁判所に申し立てて、裁判官に遺言書を確認してもらう手続きです。
遺言者の死後、遺言書を開封するための検認手続きが必要になるのは以下のケースです。

  • 自筆証書遺言保管制度を利用していない自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言


例えば、遺言者の遺品整理をしていたときに自筆証書遺言が見つかったからといって、検認手続きを行わず、発見者や遺族が勝手に開封すると罰則が科せられるので注意してください。

まとめ

今回は、遺言書の種類について解説しました。
遺言書には3種類あり、それぞれ書き方や保管方法などが異なります。
自筆証書遺言は手続きなどが必要ないので手軽に作成できますが、自筆証書遺言保管制度を利用せず、自分で保管していた場合、万が一にも認知症のような精神疾患を患うと保管場所を忘れる恐れがあります。
また、法律的にも問題のない遺言書を作成するためには、公正証書遺言を利用するか、もしくは、法律の専門家でもある弁護士に依頼してサポートしてもらうことをおすすめします。

後から遺書書が見つかった場合の対処法

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遺産相続の際は遺言書の内容をもとに遺産を分割します。
では、遺言書が残されたことを知らず、遺産分割協議で取り決めた後に、遺言書が見つかった場合はどうすべきなのでしょうか。
今回は、後から遺言書が見つかった場合の対処法について解説します。

遺言書に有効期限はあるのか

民法では「遺言者が死亡したときから効力を生じる」とあるだけで、その期限については定められていません。
そのため遺言者が亡くなった後、何十年も経って見つかったとしても、その遺言書は有効とされます。

遺言書が見つかった場合の対処法

遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合、実際にはどう対処したらいいのでしょうか。

遺言書が有効か確認する

まず、その遺言書が法的に有効なものかどうかを確認します。
遺言書には以下の3種類があります。

  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言
  • 自筆証書遺言


公正証書遺言は、公証役場の遺言検索システムですぐに見つけることができるので、遺産分割の後に見つかる可能性は低いと考えられます。
後から見つかる可能性が高いのは秘密証書遺言と自宅で保管されていた自筆証書遺言になります。
この2つは、家庭裁判所で「検認」する必要があります。

検認とは、見つかった遺言書がどんな状態であったかの確認をするもので、形状や加筆・訂正などの状態や、日付・署名などの内容を明確にするものです。
また、それと同時に遺言書の存在と内容が相続人に知らされることになります。
検認は遺言書の有効無効を判断するものではないので、有効性が疑われる場合は、弁護士などの専門家にチェックしてもらう必要があります。

遺言書が有効だった場合

遺産分割協議が終わっていても、遺言書が有効であれば、その協議は無効になります。
遺言書の内容をもとに、遺産分割を再度やり直す必要があります。
ただし、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議を優先させることも可能です。
遺言の内容と遺産分割協議の内容にあまり違いがない場合などは、全員の合意が得られる可能性が高く、再分割しなくて済みます。

遺産分割のやり直しをしなければいけないケースとは

相続人全員の合意があっても、次のような場合は、遺産分割をやり直さなければいけません。

遺言に遺言執行者が指定されている

遺言執行人の役目は遺言を実現させることなので、指定されている場合は遺言の内容に従う必要があります。
ただし、遺言執行者からも合意を得ることができれば、分割をやり直さなくてもいい可能性があります。

遺言に法定相続人以外に遺贈することが示されていた場合

法定相続人以外に遺贈することが記されていた場合も遺産分割をやり直す必要があります。
また、遺言があることを知らずに相続放棄をしていたのに、遺言に多額の財産を譲ると書いてあった場合、相続放棄をしていても財産を受け取ることが可能です。
遺言により財産を譲るのは「遺贈」になり、遺贈の相手は法定相続人でも、それ以外でも指定することができます。
相続放棄は相続を放棄しただけで、遺贈を放棄したわけではないので、受け取ることができるのです。
この場合も、相続人の人数に変更が出るため、遺産分割のやり直しをすることになります。

遺言書を相続人が隠していた場合

遺言書の内容が自分に不利だと知った相続人の1人が遺言書をわざと隠していた場合、その相続人は民法により相続する資格を失います。
そのため、遺産分割を再度やり直す必要が出てきます。

再分割が難しい場合

遺言書の内容をもとに再分割しなくてはいけなくなった場合、それが難しいことがあります。
相続した遺産の現金をすでに使っていたり、不動産を手放していたりしたら、遺産分割協議の時点と同じ状況で再分割をすることは不可能です。
このような場合は、相続人全員が合意できるよう様々な方法を考えていく必要があります。

まとめ

今回は後から遺書が見つかった場合の対処法について解説しました。
家族が亡くなっても、すぐに遺品の整理をしないことはよくあるため、しばらくしてから遺言が見つかることも珍しくありません。
数年後などに見つかればまだしも、何十年も経ってからでは、相続人が代替わりしている可能性もあるのでトラブルが起こりやすくなります。
また、遺言書の内容によっては、相続人から不満が出ることもあるので、トラブルになりそうな場合は弁護士に相談することをおすすめします。

相続財産に借金があったとき相続放棄する手続きの流れについて解説!

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亡くなった家族の遺産整理をしていたら、借金が見つかったという話はよくあります。
遺産を相続すると借金の支払い義務も負うことになります。
借金を返済しても相続財産が多ければいいのですが、借金の方が大きい場合、支払いたくないと思います。
被相続人の遺産がプラスの財産よりもマイナスの財産が大きい場合、相続放棄を行うことが考えられます。
今回は、相続財産が借金などのマイナスの財産であるときに行う相続放棄の手続きについて、詳しく解説していきます。

相続放棄とは

故人(被相続人)の遺産を一切引き継がないようにする手続きを「相続放棄」と言います。
相続放棄することによって、故人に代わって借金を払う必要がなくなります。
ただし相続放棄をする場合、借金だけを放棄し、プラスの財産だけ引き継ぐということはできません。
遺産に借金以外の現金・預貯金や不動産などがあった場合、それらの財産も受け取れなくなります。

相続放棄のメリット

故人(被相続人)に借金(負債)があった場合、それを引き継いで返済する必要がなくなります。
この負債の対象になるのは、次のようなものです。

  • 住宅や自動車のローン
  • 消費者金融やキャッシングでの借金
  • 税金・健康保険料の延滞金
  • 家賃の延滞金
  • 損害賠償負債
  • 事業による負債


他にも故人が他人の連帯保証人だった場合は、その立場も引き継ぎます。
故人の遺産が負債を上回るものであれば問題ありませんが、逆だった場合は相続放棄をすれば相続人に負担が及ぶことはありません。
借金など以外にも、相続人が複数で争いになる可能性がある場合、相続放棄をすることで相続人でなかったことになるので、トラブルに巻き込まれなくなるメリットもあります。

相続放棄のデメリット

相続放棄の最大のデメリットは、すべての遺産がもらえなくなることです。
たとえば故人の持家に同居していて借金のために放棄した場合、その家の相続権もなくなるので、他の相続人の意向によっては家を出なくてはならなくなる可能性があります。
また、相続放棄は原則として、一度行ったら取り消すことができないため、放棄した後に他の資産が見つかっても相続人には戻れません。

相続放棄の手続き方法

故人に借金が見つかり相続放棄をしたいと思ったら、どのような手続きをすればいいのでしょうか。
相続放棄をする場合の手順について解説します。

相続財産を調べる

故人の借金と資産を相殺して、プラスマイナスどちらになるのかを確かめる必要があります。
そのためには、資産をしっかり調べることが大切です。
預貯金は通帳で、不動産は固定資産税通知書などで確認できますが弁護士に依頼もできます。

必要書類を揃える

相続放棄に必要な書類は、次の3つです。

  • 相続放棄申述書
  • 被相続人(故人)の住民票除票または戸籍附票
  • 申立人の戸籍謄本

上記以外に申立人が配偶者や、その子どもだった場合は、次の書類も必要です。

  • 故人の死亡が記載されている戸籍謄本

申立人が孫や父母・祖父母、兄弟姉妹によって、上記1~4の書類に加え、さらに書類が必要になるので注意しましょう。

家庭裁判所に申立てをする

用意した書類は、故人が最後に住んでいた住所を管轄する家庭裁判所に提出します。
これを申述と言うのですが、その際に申述人(申立人)の身分を証明する印鑑が必要です。
また、郵送での提出も可能です。

相続放棄照会書を受け取る

数週間から1ヶ月程度で家庭裁判所から「相続放棄照会書」という書面が届きます。
これによって相続放棄が申立人の意思で間違いないか、その意思に変わりがないかを確認されるので、同封の回答書に必要事項を記入して返送します。

相続放棄申述通知書を受け取る

相続放棄が認められると、相続放棄照会書を返送後10日ほどで「相続放棄申述樹通知書」が届きます。
これで正式に認められたことになります。

相続放棄をする際の注意

手続き自体は複雑ではありませんが、なかには相続放棄が認められないこともあります。
ここでは、相続放棄をする際の注意について解説します。

相続放棄には手続き期間がある

相続放棄は相続開始を知った日の翌日から、3か月以内に行う必要があります。
ただし、相続開始日の後に借金が発覚した場合は、そこから3か月に延長されます。

遺産に手を付けないようにする

手続きをする前に遺産に手を付けてしまうと、相続放棄が認められなくなるので注意しましょう。
これは「単純承認」というもので、遺産相続することを認めたとみなされます。
故人の預貯金を使ったり、遺産を処分したりする行為がこれにあたります。
また、故人の借金を遺産の中から返済してもいけません。

まとめ

今回は相続財産に借金があった際の、相続放棄手続き方法について解説しました。
相続放棄をすれば故人の借金を返済しなくて済みますが、資産がある場合は、それも放棄しなければなりません。
後から資産が見つかっても撤回できないため、あらかじめ故人の遺産をよく調査してから手続きをした方がいいでしょう。
遺産調査が難しい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士は預金や株式の情報照会を行う権限を持っているため、スムーズな調査が可能です。

相続の対象となる財産とは?

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相続が発生すると、被相続人が生前所有していた財産は相続の対象となり、相続人に引き継がれることになります。
しかし、相続の対象となる財産の範囲は広く、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれるため注意が必要です。
ここでは、相続の対象となる財産について詳しく解説します。

相続の対象となるプラスの財産

被相続人が所有していた資産は、原則としてすべて相続の対象となります。
具体的には以下のようなものが挙げられます。

金融資産

現金、預貯金、有価証券などの金融資産は、相続財産の中でも大きな割合を占めることが多いです。
これらの資産は、相続開始時の時価で評価され、相続財産に含められます。

不動産

土地、建物などの不動産も重要な相続財産です。
不動産の評価は、路線価方式や倍率方式などの方法で行われます。
また、小規模宅地等の特例を利用することで、不動産の評価額を大幅に下げられる場合もあります。

動産

自動車、貴金属、美術品などの動産も相続の対象です。
これらは、相続開始時の時価で評価されます。
自動車は中古車買取価格などを参考に、美術品は専門家の鑑定などを経て評価額が決められます。

無体財産権

特許権、著作権、商標権などの無体財産権も、相続財産に含まれます。
これらの評価は、専門的な知識が必要となるため、専門家に依頼することをおすすめします。

事業用資産

事業用の不動産、機械設備、在庫などの事業用資産も、相続の対象となります。
事業用資産の評価は、事業の種類や規模によって異なるため、税理士など専門家の助言を得ながら進めることが大切です。

生命保険金

被相続人が保険料を負担していた生命保険の保険金は、相続財産に含まれます。
ただし、受取人が指定されている場合は、原則として相続財産には含まれません。

相続の対象となるマイナスの財産

一方で、被相続人の債務もすべて相続の対象となります。
具体的には以下のようなものが挙げられます。

借入金、住宅ローンの残債

被相続人が借りていた借入金や住宅ローンの残債は、相続人が引き継ぐことになります。
返済義務も相続人に引き継がれるため、注意が必要です。

クレジットカードの利用残高

被相続人がクレジットカードを利用していた場合、その利用残高も相続の対象となります。
カード会社への支払い義務は相続人に引き継がれます。

未払いの税金

被相続人に未払いの税金がある場合、その支払い義務も相続人に引き継がれます。

事業用の借入金

被相続人が事業を営んでいた場合、事業用の借入金の返済義務も相続人に引き継がれます。
事業を継続するか、清算するかによって、対応方法が異なります。

連帯保証債務

被相続人が連帯保証人になっていた場合、その債務も相続の対象となります。
相続人は、連帯保証債務の支払い義務を負うことになるため、注意が必要です。
これらの債務は、相続人が引き継ぐことになるため、相続財産から控除されます。

相続の対象とならない財産

一方で、相続の対象とならない財産もあります。

一身専属権

学位、勲章など、被相続人の一身に専属する権利は、相続の対象とはなりません。
これらは、相続人が引き継ぐことはできません。

祭具、仏具、位牌など

祭具、仏具、位牌など、被相続人の祭祀に関するものは、民法上は相続の対象とはなりませんが、相続税法上は非課税となります。

日常生活に通常必要な什器、衣服など

被相続人が日常生活で使用していた什器や衣服なども、民法上は原則として相続の対象とはなりませんが、相続税法上は課税対象となります。

相続財産の調査方法

相続財産を把握するためには、被相続人名義の預貯金口座や不動産の登記簿謄本、保険証券などを確認する必要があります。
また、被相続人の生前の収支状況から、把握できていない財産がないかを調べることも重要です。

預貯金の調査

預貯金については、被相続人宛の郵便物や通帳、キャッシュカードなどから金融機関を割り出し、残高を確認します。

不動産の調査

不動産については、固定資産税の納税通知書や登記簿謄本から、被相続人名義の不動産を特定します。

生命保険、損害保険の調査

生命保険や損害保険については、保険証券や控除証明書などから加入状況を確認します。

借入金の調査

借入金については、金融機関からの返済請求書や契約書などから、借入残高を把握します。
また、被相続人名義の預貯金通帳や、自宅に届いた郵便物をチェックすることで、借入先や借入残高の手がかりが得られる場合もあります。
ただし、これらの資料だけでは借入金の全容を把握できない場合は、以下の信用情報機関に問い合わせることで、より詳細な借入状況を確認してみて下さい。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC):主に割賦販売やクレジット事業者からの借入情報
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC):主に消費者金融からの借入情報
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC):主に銀行からの借入情報

これらの信用情報機関では、相続人であれば、被相続人の同意なしに借入情報の開示を受けることができます。
各機関のWebサイトから所定の手続きを行うことで、被相続人名義の借入状況を把握することが可能です。

まとめ

相続の対象となる財産の範囲は広く、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれます。
また、民法上は相続財産に含まれないものの、相続税法上は相続財産とみなされるものもあるため注意が必要です。
相続が発生した際は、専門家に相談しながら、相続財産の調査と評価を適切に行うことが重要です。
当事務所では、相続に関するあらゆるお悩みに対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

相続手続の流れや期限について詳しく解説

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相続手続は人生の中で何回も経験するでき事ではありません。
したがって、相続手続が必要になったときに何をすればいいのかわからないという方も多いでしょう。
さらに、相続手続の中に含まれるものの中には、被相続人が死亡してから一定の期間内に手続を完了させなければならないものがあるので注意が必要です。
そこで、この記事では相続手続の流れと期限がある相続手続についてわかりやすく解説します。

【遺言書がある場合】相続手続の流れ

遺産相続手続の流れは以下の通りです。

  • 遺言書の有無の確認
  • 遺言書の検認
  • 遺産分割手続

それぞれの手続について具体的に何をおこなうのかを説明します。

遺言書の有無の確認

相続手続の最初の手順は遺言書の有無の確認です。
遺言書が見つからないということですぐに次の手順に進むと、後で遺言書が見つかったときに手続をやり直すことがあるので、念入りに遺言書の有無は確認してください。
遺言書がある場合、原則として遺言書の内容に沿った分割となります。
遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類がありますが、自筆証書遺言と秘密証書遺言は亡くなった方の手元に保管されているケースが多いです。
公正証書遺言は、亡くなった方が正本を保管し、公証役場が原本を保管しています。

遺言書の検認

遺言書の保管者もしくは発見した相続人は、遺言者の死亡後に、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し「検認」を請求しなければなりません。
検認とは、相続人に対し遺言の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付や署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造や変造を防止するための手続です。
ちなみに、検認は遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

検認が必要な遺言書の種類は以下の通りです。

  • 法務局で保管されていない自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言

さらに、遺言書に封印がある場合、家庭裁判所での開封が必要なので、その前に開封しないようにしてください。
公正証書遺言、法務局で保管されている自筆証書遺言は検認の必要はありません。

遺産分割手続

遺言書で遺言執行者が指定されており、その者が就任を承諾した場合は、遺言執行者が相続登記や預貯金の解約などの相続手続をおこないます。
遺言書に遺言執行者の定めがない場合、相続人、親族、遺言書を作成した弁護士や司法書士などがその任に就くことが可能です。
家庭裁判所へ遺言執行者の専任を申立し、遺言内容の実現を依頼できます。

【遺言書がない場合】相続手続の流れ

遺言書を探してもなかったという場合は、下記の手順で相続手続をします。

  • 法定相続人の確定
  • 相続財産の調査
  • 遺産分割協議
  • 相続財産の名義変更

法定相続人の確定

亡くなった方(被相続者)の財産を受け継ぐ法定相続人は誰かを確定するために、被相続者の出生から死亡までの全戸籍謄本を取得します。
戸籍は結婚や離婚、本籍地の移動などのたびに新しく作成されます。
その際に除籍した子どもの情報を新しい戸籍に引き継ぐことはありません。
したがって、被相続人の戸籍を死亡から出生までさかのぼることで、法定相続人となる可能性がある子どもの有無や人数をきちんと確定できます。

相続財産の調査

亡くなった方の財産がどこに、どれくらいあるのかを確認する手続が必要です。
最初に亡くなった方の通帳を確認してください。
通帳から以下の情報がわかります。

通帳から確認できる財産通帳の記載されている情報
生命保険契約・年金保険契約保険料の引き渡し
有価証券配当金の入金
貸金庫契約使用料の引き落とし
所有不動産固定資産税の引き落とし

被相続人が貸金庫を契約していたなら、貸金庫に金、証書などが保管されている可能性があります。

遺産分割協議

法定相続人が確定され、財産の全容が調査されたなら、次の手続は法定相続人全員による遺産分割協議です。
遺産分割協議での話し合いの結果で同意した内容について遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議で合意に至らなかった場合は、家庭裁判所での調停による分割もしくは審判による分割です。

期限がある相続関連の手続

相続に関連する手続の中には期限が決まっているものがあります。
期限が決まっている手続は以下の通りです。

手続の種類期限
死亡届・火葬・埋葬許可証死亡の事実を知った日から7日以内
世帯主変更届・国民健康保険資格喪失届などの役所への届け出被相続人である世帯主が亡くなった日から14日以内
単純承認・限定承認・相続放棄の選択自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月
所得税の準確定申告相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月月以内
相続税の申告被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月以内
相続登記の手続相続人が相続により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内(令和6年4月1日以降)

まとめ

この記事では遺言書がある場合の相続手続と遺言書がない場合の相続手続についてその流れを解説しました。
相続関連の手続には期限が定められているものがあるので、相続があることを知ったなら早めに手続を開始するのがおすすめです。
相続手続や遺産分割協議などで質問や悩みがあるという場合、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼すれば相続人や相続財産の調査、相続人との交渉、遺産分割協議書の作成、相続登記の手続など相続にまつわるあらゆる手続においてサポートしてもらうことができるでしょう。

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