弁護士法人金法律事務所

コラム

特別受益とは?持ち戻しや計算方法について

特別受益

特別受益とは、相続において一部の相続人が亡くなった人から特別な利益を受けていた場合、その相続人が受けた利益のことを指します。
特別受益は相続財産の公平な分配を目的としたものですが、特別受益があった場合は遺産分割においてどのように計算したら良いのでしょうか。
本記事では、特別受益の概念や持ち戻しのルール、計算方法について詳しく解説します。

特別受益とは

特別受益とは、相続人の中に被相続人から住宅購入資金の援助や不動産の贈与など、多額の生前贈与を受けた者(特別受益者)がいる場合、その相続人が受けた贈与などの利益のことを指します。
利益を受けた相続人は先んじて相続分を受け取ったとして、その特別受益分を相続財産に加算した上で、改めて各相続人の相続分を算出します。
これを「特別受益の持戻し」と言います。
なお、特別受益は遺産分割において公平な分配を目的とするものなので、他の相続人も同じような利益を受けている場合には、その利益は特別受益として扱われないことがあります。

特別受益は相続人への贈与が対象

特別受益として持ち戻しの対象となる贈与は、被相続人から相続人への贈与のみです。
相続人の配偶者や子などに対して贈与があったことにより、間接的にその相続人が利益を得ていたとしても特別受益には該当しません。

特別受益に該当するもの

それでは、具体的に特別受益に該当するものには何があるのでしょうか。
実はその判断はとても難しく、一概には言えません。
民法では「婚姻もしくは養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けた」とされていますが、これはこの法律ができた当時の文化や慣習が反映されたものであり、核家族化が進んだ現在では、挙式費用や結納金などは社交上の出費とする考え方が一般的です。
実際には、それぞれの家庭の資産や収入の状況、他の相続人とのバランスを考慮し、財産の前渡しかどうかという点で判断されます。
特別受益に該当する贈与の例として、3つご紹介しておきましょう。

1.生前贈与

生前贈与は、生前に行われた贈与を指します。
先述したように、生前贈与のすべてが特別受益に該当するわけではなく、扶養者として支払う範囲を超える多額の贈与は、特別受益とみなされる傾向にあると言えます。
例として、以下のようなものがあります。

・住宅購入資金
・開業資金

2.死因贈与

死因贈与とは、生前に財産を譲る相手を決めた上で、受け取る相手と交わす契約です。
契約なので受け取る相手との合意が必要ですが、合意があれば法定相続人でもそれ以外の第三者でも財産を受け取ることができます。
受け取る相手が法定相続人であった場合、特別受益に該当します。

3.遺贈

遺贈とは、故人の遺言書に基づき、その人の財産の一部または全部を遺言書に記された人や団体、施設などに無償で譲ることです。
この遺贈の対象が法定相続人であった場合は財産の前渡しとみなされ、特別受益にあたります。

(補足)生命保険金は原則として特別受益に該当しない

一部の相続人が被相続人の生命保険から支払われた保険金を受け取った場合でも、原則として特別受益には該当しないと考えられています。
生命保険金は、被保険者が死亡することにより保険会社などから支払われるものであり、故人がもともと所有していた財産ではないため、相続財産にはあたらないと考えられているからです。
ただし、受け取った保険金が高額であったり、その他の相続人が受け取った額と極端な差があったりした場合は、特別受益とみなされることがあるため注意が必要です。

特別受益を考慮した相続財産の計算方法

特別受益があった場合、特別受益分を相続財産へ加算(持ち戻し)、法定相続分に従って分割した後、特別受益者の相続分については特別受益分を差し引きます。

具体例

たとえば、相続財産が1億円あり、相続人が子A、子B、子Cの3人、子Aのみ生前贈与として2,000万円受け取っていたとします。
この場合、子B、子Cの相続分は次のようになります。

・(相続財産1億円+特別受益分2,000万円)×1/3=4,000万円

また、子Aの相続分については以下のようになります。

・(相続財産1億円+特別受益分2,000万円)×1/3-特別受益分2,000万円=2,000万円

持ち戻し免除の意思表示

被相続人が生前、持ち戻しを免除する意思を示していた場合、特別受益分を相続財産に加算せず、相続分を計算することができます。
これを「持戻し免除の意思表示」と言います。
持ち戻し免除の意思表示の方法については法律上の決まりはありませんが、遺言書にその旨を記載しておくのが一般的です。
ただし、特別受益が他の相続人の遺留分(最低限もらえる相続分)を侵害していた場合は、持ち戻し免除の意思表示があったとしても遺留分を請求することが可能です。

まとめ

特別受益は、相続において公平を保つために重要な制度であり、持ち戻しや計算方法を理解することでトラブルを防ぐことができます。
しかし、特別受益に該当するかどうかは判断が難しく、法的なアドバイスを受けることが重要です。
わからない点がある場合は弁護士への相談を検討してみてください。

法人破産にかかる期間はどのくらい?

破産

法人が経営破綻した場合、最終的に選ばれる手段として「法人破産」があります。
法人破産の手続きにはどのくらいの時間がかかるのか、そしてその期間にどのようなプロセスを経るのか。
本記事では、経営者や債権者が知っておくべき、法人破産の期間や手続きについて解説します。

法人破産とは

法人破産とは、債務超過や支払不能に陥った会社について、裁判所の関与のもと会社を清算する法的な手続きです。
裁判所が弁護士の中から選任した「破産管財人」が、法人の財産を「破産財団」として管理し、換価できるものは換金するなどして債権者に分配します。
また、借金返済を免除して良いか調査されるなどして、最終的には法人格の消滅により債務も消滅します。

法人破産のメリット

法人破産には、次に挙げるようなメリットがあります。

メリット①債務が免除され、返済や取り立てから解放される

法人破産を弁護士に依頼すると、すぐに債権者に支払停止の通知が送られます。
その後の対応や交渉は全て弁護士が行うため、債権者による取り立ては実質的に行われなくなります。

メリット②負債が消滅する

法人の規模によりますが、数千万円から数億円ほどの負債があったとしても、法人格の消滅によりそれらの負債も消滅することになります。
民事再生など、破産以外の債務整理では債務自体が消滅するということはないので、負債が消滅するというのは法人破産の最大のメリットと言えます。

法人破産のデメリット

一方、法人が破産した場合には、次のようなデメリットが考えられます。

デメリット①会社の再建ができない

法人破産は、法人自体が消滅することになるので、今まで行っていた事業を継続できなります。
また、中小企業の多くは経営者が法人の債務保証をしている場合が多く、そういった場合には、法人破産と同時に個人破産の手続きが必要になります。
個人が破産すると、個人の名義で保有していた財産についても借金返済の対象となるうえ、金融機関からの借入ができなくなるので、もう一度会社を築くことは難しくなります。

デメリット②従業員を解雇しなければならない

破産の場合は会社が消滅してしまうので、従業員を全員解雇しなければなりません。
長きにわたり貢献してくれた従業員を解雇するのは心苦しいだけではなく、今まで培ったノウハウも失うことになります。

法人破産の流れ

法人破産の手続きについて、流れを説明します。

1.破産手続きの申し立て|1〜2ヶ月

債務整理についてまずは弁護士に相談し、最適な債務整理の方法についてアドバイスをもらいます。
その結果、破産することになった場合は破産申し立ての準備を行います。
この準備には、1〜2ヶ月程度かかるとされています。

2.破産手続きの開始|1〜2週間

破産手続きの準備ができたら、地方裁判所へ必要書類を提出し、破産手続きの申し立てを行います。
裁判所による書類審査が行われ、破産手続きが開始されます。
申し立てから手続き開始決定までは1〜2週間程度かかります。

3.破産管財人の選任と調査|3〜6ヶ月

裁判所が破産管財人を選任し、会社の資産や債務の状況を調査します。
破産管財人の調査には3〜6ヶ月ほどかかるとされています。

4.財産の清算と債権者への分配|数ヶ月~1年以上

会社の資産を売却し、債権者に公平に分配します。
資産や負債の規模が大きく、複雑な場合は清算作業や資産売却に時間がかかる可能性があります。
また、債権者が多数いる場合、分配に関する調整が必要で合意に時間がかかることがあるうえ、債権者の異議申し立てや訴訟が発生することもあり、手続きの期間を延ばす要因になります。

5.手続きの完了と会社の解散

最終的に破産手続きが終了すると、会社は正式に解散となります。
ここまで見てきたように、法人破産の手続きにかかる期間は、おおよそ6ヶ月〜2年程度が一般的です。

法人破産が完了するまでの注意点

最後に、法人破産が完了するまでの注意点について解説します。

1.手続き中の経営者の義務

破産手続き中も、経営者は破産管財人への協力や情報提供など一定の義務を負います。
破産手続きが滞ると期間が長引く可能性があるため、適切な対応が必要です。

2.破産による影響を考慮する

法人破産後は会社が解散し、経営者の再起には制約が生じるので、信用回復や新たな事業立ち上げを検討する場合は、事前に対策を考えておく必要があります。

3.法的責任の整理

破産手続き終了後も、経営者個人に対する保証や債務が残る場合があります。
個人保証や役員責任の範囲に注意し、必要に応じて弁護士に相談することが重要です。

まとめ

法人破産にかかる期間は、準備や会社の状況によって大きく異なりますが、一般的には6ヶ月〜2年程度と考えられています。
経営者としては、事前のリスク管理や法的な知識を持ち、必要な場合には迅速に対応することが重要です。
早期に適切な準備を行い、弁護士に相談することでスムーズな手続きを目指すことができます。

物損事故と人身事故の違い|法的な影響や処理の方法について

交通事故

交通事故には「物損事故」と「人身事故」の2種類があります。
両者の違いを理解することは、事故後の対応や処理をスムーズに行うために重要です。
本記事では、物損事故と人身事故の違い、法的な影響、処理の方法について解説します。

物損事故とは

物損事故とは、車両や建物、ガードレールなどの物に対する損害が発生した事故のことを言います。
車体に傷がついたといった軽微なものから、ガードレールに衝突して大破してしまったといった大きなものまで、程度の差はあっても死傷者がいなかった場合は物損事故として扱われます。

人身事故とは

次に、人身事故とは、事故により人が怪我を負ったり、死亡したりした場合の事故です。
怪我の程度に関わらず、人に対する影響があれば人身事故として扱われます。
また、物的損害と人的損害の両方が発生した場合でも、人身事故として扱われるのが一般的です。

交通事故での対応方法

交通事故を起こしてしまったら、車を安全な場所へ移動してから次の手順で対応しましょう。

  1. 負傷者の有無を確認
  2. 負傷者がいた場合は救護し、救急車を手配
  3. 警察への通報
  4. 相手方と連絡先を交換、保険会社へ報告
  5. 事故現場の証拠保全(写真やドライブレコーダーの記録など)

物損事故と人身事故の違い

物損事故と人身事故の違いについて、3つの視点から解説します。

1.法的な違い

交通事故を起こした場合、加害者に発生する責任には大きく分けて3つあります。

・行政責任(免許の停止や取り消しなど)
・刑事責任(懲役刑や罰金刑など)
・民事責任(被害者への損害賠償)

物損事故では行政処分や刑事処分を受けることはありませんが(著しい過失や故意の場合を除く)、人身事故では行政処分だけではなく、罰金以外にも過失運転致死傷罪などの刑事責任を問われて刑事処分を受けた場合には、前科がつくことになります。
民事責任については物損事故、人身事故ともに被害者から損害賠償を請求される可能性があります。

2.事故後の調査の違い

事故発生後、警察が人身事故として処理する場合は、現場や車両の状況、事故が発生するまでの経緯など、事故状況について詳しく調べた上で「実況見分調書」が作成されます。
一方、物損事故の場合はこの実況見分調書は作成されず、「物件事故報告書」という簡易的な報告書が作成されます。
交通事故の加害者なのか被害者なのかという過失割合は、基本的には事故態様(事故状況)によって決まります。
この実況見分調書が作成されていないと事故態様の立証が困難となり、過失割合で不利になる場合があります。

3.示談金の内訳の違い

示談金とは、加害者と被害者が話し合って決めた損害賠償金のことです。
物損事故と人身事故とでは、示談金の内訳が異なります。
物損事故における示談金には、以下のようなものがあります。

・車両や家屋などの修理費
・車両の買い替え費用
・代車費用
・修理中の交通費など

一方、人身事故の場合は以下のようになります。

・治療費
・慰謝料
・休業損害
・逸失利益(後遺障害や死亡により得られなかった収入)など

物損事故と人身事故の選択における注意点

通常、物損事故か人身事故かの判断は警察が行います。
警察は、交通事故の状況や人的被害の有無などにより、物損事故または人身事故として処理しますが、その際に注意すべきことを2点ご紹介します。

1.最初に物損事故として処理されることがある

事故が発生した当初は怪我がないように見えても、後日症状が出てくる場合があります。
たとえば、追突事故で発症しやすいむちうち(頸椎捻挫)は、事故直後には症状が見られなくても、事故発生から数時間後や翌日以降に痛みやしびれ、頭痛やめまいといった症状が現れるので、怪我がないと思っても念のため医療機関を受診することが望ましいでしょう。
また、こういった場合は物損事故から人身事故への切り替えが必要になるため、注意が必要です。

2.加害者が物損事故にしたがる場合もある

加害者が物損事故にしたがる理由として、以下のようなものがあります。

・刑事責任を免れるため
・免許の停止や取り消しを回避するため
・示談金を減らすため

少しでも怪我をしていたなら、それは人身事故です。
本当は人身事故なのに物損事故として処理されてしまうと、示談金や保険金の請求などで不利になる恐れがあります。

人身事故に切り替える際の手続き

人身事故へ切り替えたい場合、以下の手順で手続きします。

  1. 医師に診断書を作成してもらう
  2. 警察に診断書を提出、人身事故に切り替えてもらう
  3. 実況見分など捜査に協力する
  4. 保険会社に人身事故に切り替えた旨を伝える


手続きに必要な書類や流れは警察署によって異なりますので、事前に確認して下さい。
また、事故から時間が経つほど怪我と事故との関連性がわかりにくくなるため、人身事故への切り替え手続きは、事故後10日以内に行うと良いでしょう。

まとめ

物損事故と人身事故の違いは、法的な影響や賠償の範囲、処理手続きに大きく関わります。
怪我の有無によって適切な対応が求められ、後日症状が出た場合には迅速に切り替えを行うことが重要です。
事故後の処理を適切に進めるために、弁護士へ相談することも検討してみてはいかがでしょうか。

契約書とリーガルチェックの重要性

契約書

ビジネスや日常生活において、契約書の作成は欠かせないものです。
契約書は取引の基本的な約束事を明確にし、トラブル防止のための重要な文書であり、リーガルチェックの重要性がますます高まっています。
本記事では、契約書の役割とリーガルチェックがなぜ必要なのかを詳しく説明します。

契約書の役割と必要性

契約書とは、当事者間において合意内容を整理し、契約の成立、更改または内容の変更などを証明する目的で作成される文書のことで、通常、当事者が署名または捺印することによって完成します。
契約書が必要な理由として、主に以下の2つがあります。

  1. 取引内容や権利、義務を明確にする
  2. 紛争発生時に証拠として利用できる


民法では契約は口頭でも成立しますが、契約書を作成することで契約内容が整理され、双方の義務が明確になります。
さらに、契約書には法的効力があり、契約違反が発生した場合には法的措置を講じることが可能です。
訴訟などの紛争が発生した場合、どのような取り決めがあったのか、契約書が重要な証拠となります。

リーガルチェックとは

リーガルチェックとは、契約書などの法的文書が法令に適合しているか、不備がないかを専門家が確認し、精査することです。
通常、会社の法務担当者や、会社から依頼を受けた弁護士などが担当します。
法務担当者が社内事情や法的観点を踏まえた上で一次チェックを行い、必要に応じて顧問弁護士などに二次チェックを依頼するという流れが一般的です。

リーガルチェックが重要な理由

リーガルチェックが重要な理由として、大きく分けて4つあります。

  1. 契約書の複雑化と専門知識の必要性
  2. リスクの回避
  3. 紛争の予防
  4. 法改正への対応

1.契約書の複雑化と専門知識の必要性

近年のグローバル化やデジタル化により、契約書の内容が複雑化しています。
専門知識がなければ契約書の条項の意味を正確に理解することは難しく、特に国際取引やIT関連契約など、特定の分野では法的規制も多いため、プロのサポートが必要となります。

2.リスクの回避

契約書の中に、法令に抵触するような不備があった場合は契約が無効になるだけではなく、相手からの信頼を損なう可能性があります。
また、重要なポイントが抜け落ちていた場合には、自社にとって不利な契約内容となるなど、ビジネス上の損失が発生することも考えられます。
リーガルチェックを行うことにより、リスクの洗い出しやリスクマネジメントが可能であり、ひいては安全で信頼のある取引環境を構築することにもなります。

3.紛争の予防

契約の内容が曖昧だったり、解釈の余地がある条項が残っていたりすると、後に紛争の原因となる場合があります。
将来の紛争を予防するためには、契約書の条項をできる限り明確にし、解釈の余地を排除することが重要です。
専門家のリーガルチェックによって、曖昧な表現や解釈の余地を削減し、紛争のリスクを避けることができます。

4.法改正への対応

契約書を作成する際、法律に詳しくない場合は法令上認められていない内容を記載してしまう可能性も考えられます。
法律は頻繁に改正されるため、法改正に対応していない契約書は後に無効となるだけではなく、行政からの指導を受けてしまったり、罰則の対象となってしまったりする可能性もあります。
その点、法律の専門家によるリーガルチェックを行うことで、契約内容が法的に適正であるか確認してもらうことができます。

リーガルチェックで確認するべき主な項目

リーガルチェックで確認するべき項目として、以下のようなものがあります。

・契約内容が法令に適合しているか
・当事者の権利と義務が明確に定められているか
・紛争解決手段や違約金条項が適切に設定されているか
・契約解除や自動更新に関する条件が明記されているか

契約書の中には、法律上記載しなければならない項目が決まっている場合があります。
たとえば、1か月以上の期間で、5万円を超えるエステや語学教室の契約では、特定商取引法における「特定継続的役務提供」に該当し、契約書面には法律で定められた事項を記載する必要があるため注意が必要です。
また、権利と義務については、どのような権利なのか、誰がその義務を負うのかといった主語の部分が明確に定められていないと、曖昧な契約内容となってしまい、紛争の原因となる可能性があります。
「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」という要素がきちんと含まれているか確認することも重要です。

まとめ

契約書は、取引の安全性と信頼性を確保するために欠かせない文書です。
権利や義務について明確に記載するという基本的なことから、法令に適合しているかといった法的な知識を必要とすることまで、契約書に盛り込む内容は多岐にわたります。
ビジネスをする上で法的リスクを回避し、円滑な取引を進めるためにも、不安な場合には弁護士への相談を検討してみてください。

裁判離婚にかかる費用はどのくらい?

離婚

離婚手続きの中でも、裁判離婚は最も時間と費用がかかる方法です。
協議離婚や調停離婚と異なり、弁護士費用や裁判費用が必要になるためです。
本記事では、裁判離婚にかかる具体的な費用の内訳や、その負担を軽減する方法について詳しく解説します。

裁判離婚とは

離婚には、大きく分けて3つの方法があります。

・協議離婚
・調停離婚
・裁判離婚

離婚の多くは、協議離婚と言って夫婦の話し合いにより離婚条件を決め、市区町村へ離婚届を提出するという方法ですが、夫婦間での協議や調停が成立しなかった場合は、家庭裁判所へ申し立てを行い、裁判所が離婚の判断を下します。
これを「裁判離婚」と言います。
婚をする際、財産分与や養育費、親権など、さまざまな条件について取り決めなければなりませんが、これらの条件について調停で解決しない場合や、相手が離婚を拒否している場合、最終手段として裁判離婚を選択します。

裁判離婚は最終手段

上述したように、裁判離婚は最終手段です。
離婚調停を行わず、いきなり離婚訴訟を申し立てることはできません。
これは、夫婦間の問題は、話し合いによりお互いが納得した上で解決することが望ましいという考えの下、訴訟を提起する前に調停手続きを踏まなければならないことが法律で定められているためです。
また、裁判離婚は、裁判所が判決によって強制的に離婚を成立させる方法なので、夫婦で合意していなくても離婚が可能ですが、一方で、法律により定められた離婚理由に当てはまらない場合は離婚できません。

手続きの流れ

それでは、裁判離婚をする際の流れについて簡単にご紹介します。
裁判により離婚するには、以下のような流れで進行します。

  1. 訴訟提起
  2. 審理
  3. 判決


訴訟を提起するには、訴状を夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出します。
離婚訴訟では、同時に財産分与や子どもの養育費、親権、慰謝料などについても申し立てることができます。
審理において主張、反論などを行いますが、この期間は1年以上かかる場合もあります。
最後に判決が下されて離婚の認否が決定しますが、審理の途中で和解に至るケース(和解離婚)や、相手方が離婚請求を受け入れるケース(認諾離婚)もあります。

裁判離婚にかかる費用

ここからは、実際に裁判離婚にかかる費用をご紹介します。
裁判離婚にかかる費用には、大きく分けて3つあります。

  1. 裁判所に支払う費用
  2. 弁護士費用
  3. その他(証拠収集や裁判所への交通費など)

1.裁判所に支払う費用

裁判所に支払う費用として、以下のようなものがあります。

・訴訟費用(収入印紙)…1万3,000円~2万円
・郵便切手代…6,000円程度

離婚訴訟の申し立てをする際、訴訟費用として1万3,000円程度かかります。
時に財産分与や養育費、親権などについて請求する場合は、それぞれ1,000円程度の費用が追加され、総額で2万円程度となります。
また、裁判所からの書類送付に必要な費用として、郵便切手を用意します。
裁判所によって必要な金額が異なるため、訴状を提出する裁判所へ確認して下さい。

2.弁護士費用

裁判を弁護士に任せる場合には、弁護士費用がかかってきます。
弁護士費用の相場は60~120万円程度で、以下のようなものが含まれます。

・相談料…1時間あたり5,000~1万円
・着手金…30~60万円
・成功報酬…30~60万円

相談料は初回無料の場合もありますが、1時間あたり5,000~1万円程度かかるのが一般的です。
また、着手金として30~60万円、裁判が有利に進んだ場合には成功報酬として30~60万円かかってきます。
その他、追加の証拠収集や書類作成、弁護士の裁判所への交通費などがかかる場合があります。

3.その他の費用

証拠収集を調査会社に依頼する場合は、10万円~数十万円程度の費用が発生します。
また、裁判所が遠方の場合、裁判に出席するための交通費や宿泊費も考慮する必要があります。

裁判離婚にかかる費用は誰が払うのか

裁判離婚にかかる費用のうち、裁判所に支払う費用は相手方に払ってもらえる場合があります。
それは、最後に判決により費用の負担割合が決定するので、訴訟費用の一部または全部を相手方に請求することができるためです。
一方、弁護士費用は原則として自分で負担しなければなりません。
例外として、相手の不倫などの不法行為が原因で慰謝料が認められた場合に限り、慰謝料の金額に対して10%程度を弁護士費用として上乗せすることができます。

費用を軽減する方法

費用面の問題から弁護士に依頼せず裁判を行うことは可能ですが、実際には弁護士をつけずに離婚訴訟をするのは難しいと考えた方が良いでしょう。
そこで、以下のような方法で費用の軽減を検討してみて下さい。

  1. 裁判外での解決を目指す
  2. 法テラスの利用


裁判に進む前に、調停や交渉によって解決を試みるのも1つの手段です。
調停での解決は訴訟よりも簡単に進行するので、時間と費用が少なく済みます。
また、法テラス(日本司法支援センター)では、弁護士費用の一部や全額を立て替えてくれる制度があります。
資産要件を満たす場合に弁護士費用の立替制度が利用でき、立て替えてもらったものは分割で返済します。

まとめ

裁判離婚は、法的に確実な解決を目指す方法ですが、多くの費用がかかります。
事前に弁護士費用などを把握した上で計画的な準備が必要ですが、費用負担を軽減するためには、裁判外での解決も検討する必要があります。
不安な場合には、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

遺留分とは?計算方法も併せて解説

遺留分

遺産相続の際に、他の相続人よりも相続できる額が少ないと感じる場合は、ご自身の「遺留分」を計算して侵害されているか否か確認されることをおすすめします。
この記事では、遺留分とは何なのか、また遺留分の計算方法も併せて解説します。

遺留分とは

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人が受け取れる遺産について、最低限保障されている相続分のことです。
遺留分は、故人の家族構成や故人から見て法定相続人がどの親族に該当するのかによって相続できる割合が異なります。

遺留分の割合

遺留分を算定するには、まずは法定相続人の遺留分割合を確認する必要があります。
遺留分割合とは、以下のように定められています。

  • 直系尊属のみが相続人である場合:相続財産の3分の1
  • 直系尊属以外の場合:相続財産の2分の1
  • 相続人が複数いる場合:法定相続分に上記の割合を乗じた割合


遺留分割合をわかりやすく解説したものが以下の表です。

相続人個別の法定相続人遺留分割合
配偶者子ども※1親※2兄弟姉妹
配偶者のみ2分の1
子どものみ※12分の1
親のみ※23分の1
配偶者と子ども4分の14分の1
配偶者と親3分の16分の1
配偶者と兄弟姉妹2分の1なし

※1:子どもの人数によって割合は異なります。
※2:親がいない場合は祖父母、祖父母がいない場合は曾祖父母が相続人です。

上記の遺留分割合を用いて個々の法定相続人の遺留分を算定します。

遺留分の計算方法

遺留分の計算は、以下の計算式で求めます。

(遺留分の基礎となる財産)+(生前贈与された財産)+(特別受益を受けた財産)-(負債)=遺留分

上記の計算内容について詳しくみていきましょう。

①遺留分算定の基礎となる遺産額を明確にする

まずは、遺留分算定の基礎となる被相続人の遺産をすべて洗い出して金額を算定します。
現金や預貯金は確認すれば金額はわかりますが、不動産や有価証券、骨董品などは評価額を算出しなければならず、正確な評価額を算出するには専門家の協力が必要です。

②生前贈与財産の遺産額を足す

遺留分の基礎となる財産に生前贈与の財産を加算します。
ただし、遺留分の基礎となる財産に加算できるのは、「相続開始前の1年間に生前贈与された財産」のみです。
また、相続開始前の1年間に「法定相続人以外の第三者」に生前贈与したものであっても遺留分の基礎となる財産に加算できます。
ただし、贈与者と受贈者の双方が、遺留分権利者に損害を与えることを知りながら贈与した場合は、1年前の日よりも前に行っていたとしても遺留分の基礎となる財産に加算できます。

③特別受益の総額を足す

「相続開始前10年以内に発生した特別受益の総額」も遺留分の基礎となる財産に足します。
特別受益とは、相続人の中に被相続人から遺贈や生前贈与、死因贈与によって特別な利益を得た者がいる場合に、その利益を得た贈与などのことを指します。

死因贈与とは、贈与者の生前中に受贈者との間で合意されたものであり、贈与者の死亡を条件に受贈者に財産が受贈されることです。
特別受益には、婚姻や養子縁組のために贈与された金銭や、子ども学費、生計を別にする子どもに対する生計の資本のために贈与した生活費や新築費用などが該当します。
以上のような特別受益をすべて洗い出し、遺留分の基礎となる財産に加算します。

ただし、特別受益に関して贈与者と受贈者の双方が、遺留分権利者に損害を与えることを知りながら特別受益を行った場合は、相続開始前の10年より前に行っていたとしても遺留分の基礎となる財産に加算できます。

④負債額を差し引く

遺留分には被相続人の負債額は含まれないため、遺留分の基礎となる財産や生前贈与、特別受益の総額から負債額の総額を差し引きます。
負債には、被相続人が生前中にした借金や未払金などのマイナス財産が該当します。

⑤遺留分の割合を掛けて個々の遺留分を計算する

遺留分の元になる遺産総額が分かれば、個々の遺留分割合を乗じて遺留分を計算します。

たとえば、被相続人と配偶者、子ども2人の4人家族で被相続人が亡くなった時点で1億円の遺産があった場合の遺留分は以下のように計算します。
このケースの遺留分割合は、配偶者(4分の1)、子どもA君(8分の1)、子どもB君(8分の1)となります。

  • 1億円×4分の1=2,500万円(配偶者の遺留分)
  • 1億円×8分の1=1,250万円(子どもA君の遺留分)
  • 1億円×8分の1=1,250万円(子どもB君の遺留分)

まとめ

今回は遺留分とは何か、また遺留分の計算方法も併せて解説しました。
遺留分とは、兄弟姉妹を除く法定相続人が相続する際に最低限保証されている相続分です。
たとえ第三者に生前贈与されていたことで法定相続人の遺留分を侵害されていた場合でも、条件を満たせば遺留分を請求できます。
遺留分に関して悩みや困りごとを抱えているのであれば、法律の専門家でもある弁護士に相談することをおすすめします。

会社・法人が破産を検討すべきタイミングとは?

会社・法人2

会社経営をしていると、経営悪化や資金繰りなどさまざまな問題が起こり、どのタイミングで破産を検討すればよいのか悩ましい問題です。
この記事では、会社・法人が破産を検討するタイミングについて解説します。

会社・法人が破産を検討するタイミングとは

会社・法人が破産を検討するタイミングは、主に6つあるので詳しくみていきましょう。

運転資金を調達できないとき

会社経営において、運転資金が調達できないときが破産を検討するタイミングのひとつです。
売上が多くても手元に現金が残らない状況や運転資金を調達できなければ、仕入れや修繕、従業員の給与の支払いができないため、そのまま継続しても負債が増加する可能性があります。

赤字が続いているとき

赤字が続くと手元の資金を持ち出すため、自己資金が枯渇して支払いができず、負債額が増大します。
また、売掛金などが支払えない場合は債務不履行となり、倒産に追い込まれます。
赤字が続いても返済の目処が立っていれば良いのですが、返済の目処が立たないのであれば、負債額の少ないうちが破産を検討するタイミングです。

業績悪化で回復が見込めないとき

新型コロナウイルスのようなパンデミックに襲われると、不可抗力であっても業績不振に陥り、売上を伸ばすことが困難になります。
長年経営してきた老舗と呼ばれる会社であれば、特に破産を検討するタイミングには困ります。
ユーザーの期待に応えたい気持ちはあっても、商品やサービスを購入・利用してもらえなければ業績は悪化し、状況によっては回復の目処が立たないことがあります。
このような状況に陥ったときが破産を検討するタイミングです。

予納金を支払えるだけの現金があるとき

裁判所に予納金を支払える資金が残っているときが、破産を検討するタイミングの一つです。
予納金とは、裁判所に破産を申し立てるときに前もって支払う費用のことです。
予納金は破産手続きに必要になる破産管財人・監督委員の報酬や各手続きの費用に充てられます。
破産法では、「破産する場合は予納金の支払いができないときには破産手続きを開始することができない」と定められています。
そのため、裁判所に予納金を納めるだけの現金がなければ破産できません。
破産手続きに必要な予納金は、最低20万円からとなっており、負債額や事案に応じて予納金額は変更されます。

(参考元:東京地裁民事第20部 破産事件の手続費用一覧

また、会社・法人が破産する場合は弁護士に依頼する必要があるため、裁判所の手続き費用以外に弁護士費用も加味した資金が残っている間に破産を検討することをおすすめします。

取引先への支払いができないとき

取引先に対して、支払いが遅延している場合や支払えない状況に陥っているときは破産を検討するタイミングです。
懇意にしている取引先であれば、事情を説明すれば1回の支払い遅延は大目に見てもらえる可能性があるかもしれません。
しかし、多くの会社は1回でも支払いが遅延すると経営状態に関して不信感を抱きます。
不信感を抱いた取引相手に対して与信調査などを行い、今後の取引継続について検討するため、状況によっては取引を中止されるかもしれません。
また、取引先の1社が取引を中止すると、納入業者間で情報が広まり、取引中止を申し出る会社が増加する可能性すらあります。
そうなれば通常業務を行えず、より一層業績が悪化して負債額が増加します。

従業員の給与を支払えないとき

業績悪化により従業員の給与が支払えないときは、破産を検討するタイミングです。
従業員も生活があるため、給与の支払いが遅れるとか、支払ってもらえない場合は、よほどの理由がない限りは離職します。
従業員が退職すれば業務遂行が困難になり、さらに業績は悪化して悪循環に陥ります。
また、給料の未払いがあれば、従業員は労働基準監督署に相談に行き、会社に支払いを要求することもあります。
その時点で、労働基準監督署も実態調査に動くことがあり、未払いのあった従業員によっては民事調停や少額訴訟、民事訴訟を裁判所に申し立てる可能性があります。

まとめ

今回は会社・法人が破産を検討するタイミングについて解説しました。
会社や法人が破産を検討するタイミングにはいくつかありますが、経営悪化、業績悪化など、経営を継続することが困難になったときが検討するタイミングです。
また、破産するにも裁判所の手続き費用や弁護士費用が必要になるため、支払えるだけの資金があるタイミングでなければ、破産手続きが行えない恐れがあるのでご注意ください。
業績不振のお悩みや経営の継続に関して不安を抱えているようであれば、法律の専門家でもある弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

交通事故証明書とは?必要な場面や取得方法について

交通事故

交通事故で損害を受けた場合に「交通事故証明証」がなければ損害賠償請求できない可能性があります。
この記事では、交通事故証明書とは何か、また必要な場面や取得方法について解説します。

交通事故証明書とは

交通事故証明書とは、交通事故が発生した際に交通事故の内容を記した書面であり、交通事故が起こった事実や状況を証明できます。
交通事故証明書は、警察の事故調査資料や自動車安全運転センター法に従い、交通事故の発生日時、場所、内閣府令で定める事項を記載した書面で作成されます。
また、交通事故の加害者および被害者、その他に交通事故証明書を受け取ることが正当な利益を有すると認められる者の求めに応じて交付されます。

交通事故証明書が必要な場面とは

交通事故証明書が必要な場面とは、どのような状況なのかみていきましょう。

自賠責保険を利用するとき

自動車賠償責任保険(通称:自賠責保険)は、車両を購入した際に法律で加入することが義務付けられている保険です。
補償内容は、交通事故による人身事故に限定されており、相手を死亡させたり、ケガを負わせてしまったりした場合に補償されます。
被害者のケガや死亡に対して補償する際の事故証明として、交通事故証明書を必要とします。

任意保険を利用するとき

自賠責保険で補償できないときには、任意保険を利用します。
具体的には、事故によって破損した車両の修理費、自らが加害者になった場合のケガや手術等に関する治療費および入院費などを任意保険で補います。
交通事故により、加入している任意保険会社の保険を適用して自賠責保険で補償できないものを補償してもらう際に交通事故証明書が必要です。

労災保険を利用するとき

労働者災害補償保険(通称:労災保険)は、勤務中に起こった事故などの災害に対して補償される保険です。
労災保険は業務中だけでなく通勤も含まれているため、通勤途中に起こった交通事故も労災保険の適用範囲です。
労災保険の適用を受ける際にも交通事故証明書が必要です。
ただし、会社に提出した通勤経路を逸脱した場所で発生した交通事故の場合は、たとえ通勤途中であっても交通事故証明書を提出しても労災として認められないケースがあるので注意してください。

加害者に慰謝料を請求するとき

交通事故によって損害を被った場合は、加害者に対して慰謝料を請求する際に交通事故証明書を必要とします。
加害者側の保険会社は、被害者に支払う慰謝料について交通事故証明書も参考にして支払額を算定します。

後遺障害認定を申請するとき

交通事故で負ったケガに障害が残ると後遺障害に認定されることがあり、申請手続きに交通事故証明書が必要です。
後遺障害とは、交通事故を原因としたケガの治療が終了しても障害が残り、労務に支障をきたす場合のことです。
後遺障害に認定されれば、一般的な人身事故の賠償額より割り増しで補償されます。
また、後遺障害には認定等級が1~14等級まであり、等級によって補償額が異なります。

ケガの治療による休業申請を会社に提出するとき

私用によって会社を休むときには休業申請をしますが、交通事故によるケガの治療で休業申請する際には、交通事故証明書の提出が必要になるケースがあります。

交通事故証明書の取得方法

交通事故証明書の取得方法についてご紹介します。

申請が行える人

まず、交通事故証明書の申請が行えるのは、以下に該当する人です。

  • 交通事故の加害者
  • 交通事故の被害者
  • 交通事故証明書の交付について正当な利益があると認められる者
  • 上記に該当する代理人


交通事故証明書の交付について正当な利益がある者とは、損害賠償請求権のある親族、保険金の受取人などです。
また、代理人とは、交通事故の損害賠償請求の依頼を受けた弁護士、保険会社の担当者などが該当し、別途で代理人の委任状が必要です。

申請手続

交通事故証明書の申請には、以下の3つの方法があります。

  • 自動車安全運転センターの窓口で申請する
  • ゆうちょ銀行・郵便局で申請する
  • インターネットで申請する


交通事故現場がどこであっても、最寄りの自動車安全運転センターの窓口で申請できます。
管轄内の交通事故であれば原則、即日交付されますが、他県の場合は後日郵送されます。
ゆうちょ銀行・郵便局で申請する場合は、自動車安全運転センターや警察署、交番、駐在所に「交通事故証明書申込用紙」が備え付けてあるので必要事項を記入して申請します。
インターネットの場合は、当事者本人以外の申請はできないので注意してください。
どの方法を選択しても交付手数料として1通につき800円かかります。

まとめ

今回は交通事故証明書とは何か、必要な場面や取得方法について解説しました。
交通事故証明書は、交通事故によって損害を受けた際、加害者に対して損害賠償を請求する目的に使用されることが多いです。
交通事故の被害に遭い、加害者から思うような賠償額を提示されないなどの悩みや不安を抱えている場合は、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

顧問弁護士を依頼するメリット

顧問弁護

会社経営をしていると、法律に関するトラブルが起こることがあり、顧問弁護士を依頼した方が良いのか悩むことがあります。
この記事では、顧問弁護士を依頼するメリットについて解説します。

顧問弁護士を依頼するメリット

顧問弁護士を依頼する主なメリットは9つあるので詳しくみていきましょう。

法的トラブルについて相談できる

顧問弁護士を依頼すれば、法的トラブルについて相談できます。
会社を経営していると雇用契約や労災、事業に関する法的トラブルに巻き込まれる恐れがあります。
自社に法務部を設けている場合であれば、法務部がある程度は対応できるでしょう。

しかし、法務部を設けていない会社では、トラブルが起こってから弁護士を探して対応することになるので、後手に回ってトラブルや損害が拡大する可能性があります。
顧問弁護士を依頼しておくことで、いつでも気軽に相談できるため、日常的に法律に関する知識を蓄えることができます。
結果として、法的トラブルに対して早期解決が望めます。

法的リスクを軽減できる

取引先との契約内容によっては、法的リスクの高い契約を結ぶこともあります。
企業間の契約内容は、専門家が確認しなければ回避できないような文言や言い回しで記載されていることもあるため、顧問弁護士を依頼することで法的リスクを回避できます。

他のクライアントよりも優先的に対応してもらえる

顧問弁護士を依頼すれば、弁護士が抱えている他のクライアントよりも優先的に対応してもらえるメリットがあります。
取引先との契約内容や業務上の労災、人身事故による補償問題など、急を要するトラブルでも適切なアドバイスをもらえるので会社としても迅速に対応できます。
また、優先的に対応してもらえれば法的リスクも最小限に抑えられる可能性があります。

会社の信頼度がアップする

顧問弁護士を依頼することで、コンプライアンス意識の高さをアピールできるため、会社の信用アップにつながります。
そのため、企業によっては信頼度を上げるため、自社のホームページなどで顧問弁護士との契約をアピールしているケースもあります。
また、顧問弁護士との契約を積極的にアピールすることで、取引先に対して「法律を犯すような取引先とは契約しない」という無言の注意喚起の効果もあります。

秘匿性の高い相談ができる

会社経営において、経営陣だけで話を進める内容やパワハラ、セクハラ、社内のいじめなど、外部を始めとする社内の従業員にも知られたくない秘匿性の高い案件が発生します。
顧問弁護士を依頼すれば、あらゆる秘匿性の高い相談が可能です。
弁護士には依頼者の情報を守る「守秘義務」が弁護士法で定められているため、どのような相談でも外部や関係者以外に情報が洩れる心配はありません。

新たに法務部を設置するよりも費用を抑えられる

自社に法務部がないからといって、新たに設置すると高額な費用がかかる可能性があります。
顧問弁護士を依頼すれば、一度に高額の費用を拠出する必要はないので経費を抑えられます。
また、弁護士の方が法的専門知識や経験があるので、法務部を新たに設置して数名の従業員を配属するよりも遥かにコスト削減に貢献できます。

自社にとって適切なアドバイスをもらえる

顧問弁護士を依頼することで、自社にとって適切なアドバイスをもらえます。
トラブルが起こったときにだけ依頼する弁護士とは異なり、顧問弁護士は自社の内情を把握しているため、さまざまな面で適切に指摘してもらえます。

法改正などの重要な情報を提供してもらえる

弁護士は業務を遂行する上で、常に法律に関する情報にアンテナを張っています。
会社にとって重要な労働基準法や会社法、顧問契約している会社の業種に関する法律など、法改正の情報をその都度、提供してもらえます。
情報提供が早いほど、会社としての対応も迅速に行えます。

社内規定や契約書のひな形を作成してもらえる

顧問弁護士を依頼することで、内部事情を把握してもらえるため、就業規則や定款のような社内規定の作成を依頼できます。
また、取引先との契約書もインターネットなどのひな形を利用する会社もありますが、そもそも契約書は取引先に応じてその都度、契約内容が異なります。
また、自社および取引先に対しての法的リスクも考慮して作成する必要があるため、不用意にインターネットなどのひな形を使用するのではなく、弁護士に依頼して作成してもらうことをおすすめします。

まとめ

今回は、顧問弁護士を依頼するメリットについて解説しました。
顧問弁護士を依頼することで、コンプライアンスに対して専門家の視点でチェックしてもらえます。
また、社内規定や契約書のひな形なども依頼できる上に法的見解から経営上の適切なアドバイスを受けられるメリットがあります。
顧問弁護士を依頼する際に悩みや不安を抱えているのであれば、まずは弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

離婚後の養育費の平均相場と金額を変更できるケースについて解説

離婚

養育費の平均相場は、最高裁判所の公式ホームページで統計データを発表しており、どなたでも閲覧できます。
この記事では、離婚後の養育費の平均相場について解説します。

養育費とは

養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用であり、一般的には子どもが経済的・社会的に自立するまでにかかる費用を意味します。
離婚して親権がなくなった元配偶者でも、子どもの親であることに変わりはないので養育費の支払義務はなくなることはありません。

養育費の平均相場とは

養育費は子どもの人数や年齢、支払義務を負った親の年収によって費用は異なります。
また、支払義務者が給与受給者もしくは自営、養育費を受け取る権利者の年収によっても変動します。

養育費の平均相場に関する参考データ

養育費の平均相場について、最高裁判所事務総局が発表した令和5年度司法統計年報(家事編)を参考に説明したいと思います。

月額の養育費母親が監護者となった未成年の子どもの数
1人2人3人4人5人以上
1万円以下2.2%2.4%3.3%0.6%24.0%
1~2万円8.1%6.7%7.4%13.6%8.0%
2~4万円35.7%27.2%21.4%22.2%16.0%
4~6万円28.2%24.6%21.0%16.0%16.0%
6~8万円11.6%17.2%10.3%11.7%12.0%
8~10万円6.3%9.1%15.4%8.6%8.0%
10万円を超える7.9%12.8%21.2%27.2%16.0%
額不定0.1%
総数7,1434,6541,24116225

監護とは、子ども福祉や最善の利益を考慮しながら、継続的に保護する責任を持つことであり、金銭面や精神面なども含めて子どもの監督および保護を行う者のことを監護者と言います。
たとえば母親が監護者となって未成年の子どもを監護する場合、元配偶者が支払う養育費の平均相場は以下の通りです。

  • 子ども1人の場合:月額2~6万円
  • 子ども2人の場合:月額2~6万円
  • 子ども3人の場合:月額2~6万円もしくは10万円以上
  • 子ども4人の場合:月額1~6万円もしくは10万円以上
  • 子ども5人以上の場合:1~10万円以上


上記の平均相場は子どもの人数による金額であり、支払義務者および監護者の収入は考慮されておりません。
そのため、支払義務者の収入が多い場合には、平均相場よりも高い金額を支払う可能性があり、逆に支払義務者よりも監護者の方が多くの収入を得ている場合は、平均相場よりも低い金額になることもあります。
このように養育費は、支払義務者および監護者の収入を得る方法(給与・自営)や子どもの人数、年齢によっても平均相場は異なります。

また、家族構成や健康状態、収入額、子どもの進学先、支払義務者の支払い能力など、あらゆる面を考慮して決定されます。
具体的な養育費の目安をお知りになりたいときは、弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

養育費の金額を変更できるケースとは

養育費の金額は、当事者間の話し合いによって双方が合意すれば変更することは可能です。
子どもの成長とともに決定した養育費よりも多く必要になるケースもあれば、逆に支払義務者の収入が会社事情などで減少すると支払えない可能性もあります。
その際には、養育費の増減について当事者同士の話し合いが再度必要になるため、どのような場合に養育費の増減が必要になるのかを説明します。

養育費を増額したい場合

養育費を増やしたい場合とは、子どもや監護者に何らかの事情があり、以下のように一般的な状況よりもお金がかかる場合です。

  • 子どもが私立の高校や大学に進学した場合
  • 子どもが事故や病気で障害を負った場合
  • 監護者が病気などで今までのように働けず収入が減少した場合


基本的に子どもの成長とともに必要な養育費は多くなると考えられているため、養育費を決めた当初の金額では生活を維持できないかもしれません。
そのため、支払義務者と話し合って事情を理解してもらえれば養育費を増額してもらえる可能性があります。

養育費を減額したい場合

養育費を減らしたい場合とは、支払義務者などに以下のような事情が起こった場合です。

  • 支払義務者がリストラされて今までのように支払えない場合
  • 支払義務者が病気で勤務時間を短縮したために収入が減った場合
  • 支払義務者の再婚相手との間に子どもが生まれた場合
  • 監護者が再婚して、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合


その他にも社会情勢の影響により、物価高騰や増税などで支払義務者の生活が苦しくなった場合なども監護者と話し合うことで養育費を減額してもらえる可能性があります。

まとめ

今回は離婚後の養育費の平均相場について解説しました。
養育費の平均相場は、子ども年齢や人数、支払義務者および監護者の収入を得る方法(給与・自営)によっても異なります。
あくまでも今回ご紹介した平均相場は参考の金額であり、必ずしもご紹介した養育費を受け取れるわけではないのでご注意ください。
離婚後の養育費がいくらもらえるのか悩みや不安を抱えているようであれば、法律の専門家でもある弁護士に相談されることをおすすめいたします。

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