金法律事務所

コラム

相続の対象となる財産とは?

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相続が発生すると、被相続人が生前所有していた財産は相続の対象となり、相続人に引き継がれることになります。
しかし、相続の対象となる財産の範囲は広く、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれるため注意が必要です。
ここでは、相続の対象となる財産について詳しく解説します。

相続の対象となるプラスの財産

被相続人が所有していた資産は、原則としてすべて相続の対象となります。
具体的には以下のようなものが挙げられます。

金融資産

現金、預貯金、有価証券などの金融資産は、相続財産の中でも大きな割合を占めることが多いです。
これらの資産は、相続開始時の時価で評価され、相続財産に含められます。

不動産

土地、建物などの不動産も重要な相続財産です。
不動産の評価は、路線価方式や倍率方式などの方法で行われます。
また、小規模宅地等の特例を利用することで、不動産の評価額を大幅に下げられる場合もあります。

動産

自動車、貴金属、美術品などの動産も相続の対象です。
これらは、相続開始時の時価で評価されます。
自動車は中古車買取価格などを参考に、美術品は専門家の鑑定などを経て評価額が決められます。

無体財産権

特許権、著作権、商標権などの無体財産権も、相続財産に含まれます。
これらの評価は、専門的な知識が必要となるため、専門家に依頼することをおすすめします。

事業用資産

事業用の不動産、機械設備、在庫などの事業用資産も、相続の対象となります。
事業用資産の評価は、事業の種類や規模によって異なるため、税理士など専門家の助言を得ながら進めることが大切です。

生命保険金

被相続人が保険料を負担していた生命保険の保険金は、相続財産に含まれます。
ただし、受取人が指定されている場合は、原則として相続財産には含まれません。

相続の対象となるマイナスの財産

一方で、被相続人の債務もすべて相続の対象となります。
具体的には以下のようなものが挙げられます。

借入金、住宅ローンの残債

被相続人が借りていた借入金や住宅ローンの残債は、相続人が引き継ぐことになります。
返済義務も相続人に引き継がれるため、注意が必要です。

クレジットカードの利用残高

被相続人がクレジットカードを利用していた場合、その利用残高も相続の対象となります。
カード会社への支払い義務は相続人に引き継がれます。

未払いの税金

被相続人に未払いの税金がある場合、その支払い義務も相続人に引き継がれます。

事業用の借入金

被相続人が事業を営んでいた場合、事業用の借入金の返済義務も相続人に引き継がれます。
事業を継続するか、清算するかによって、対応方法が異なります。

連帯保証債務

被相続人が連帯保証人になっていた場合、その債務も相続の対象となります。
相続人は、連帯保証債務の支払い義務を負うことになるため、注意が必要です。
これらの債務は、相続人が引き継ぐことになるため、相続財産から控除されます。

相続の対象とならない財産

一方で、相続の対象とならない財産もあります。

一身専属権

学位、勲章など、被相続人の一身に専属する権利は、相続の対象とはなりません。
これらは、相続人が引き継ぐことはできません。

祭具、仏具、位牌など

祭具、仏具、位牌など、被相続人の祭祀に関するものは、民法上は相続の対象とはなりませんが、相続税法上は非課税となります。

日常生活に通常必要な什器、衣服など

被相続人が日常生活で使用していた什器や衣服なども、民法上は原則として相続の対象とはなりませんが、相続税法上は課税対象となります。

相続財産の調査方法

相続財産を把握するためには、被相続人名義の預貯金口座や不動産の登記簿謄本、保険証券などを確認する必要があります。
また、被相続人の生前の収支状況から、把握できていない財産がないかを調べることも重要です。

預貯金の調査

預貯金については、被相続人宛の郵便物や通帳、キャッシュカードなどから金融機関を割り出し、残高を確認します。

不動産の調査

不動産については、固定資産税の納税通知書や登記簿謄本から、被相続人名義の不動産を特定します。

生命保険、損害保険の調査

生命保険や損害保険については、保険証券や控除証明書などから加入状況を確認します。

借入金の調査

借入金については、金融機関からの返済請求書や契約書などから、借入残高を把握します。
また、被相続人名義の預貯金通帳や、自宅に届いた郵便物をチェックすることで、借入先や借入残高の手がかりが得られる場合もあります。
ただし、これらの資料だけでは借入金の全容を把握できない場合は、以下の信用情報機関に問い合わせることで、より詳細な借入状況を確認してみて下さい。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC):主に割賦販売やクレジット事業者からの借入情報
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC):主に消費者金融からの借入情報
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC):主に銀行からの借入情報

これらの信用情報機関では、相続人であれば、被相続人の同意なしに借入情報の開示を受けることができます。
各機関のWebサイトから所定の手続きを行うことで、被相続人名義の借入状況を把握することが可能です。

まとめ

相続の対象となる財産の範囲は広く、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれます。
また、民法上は相続財産に含まれないものの、相続税法上は相続財産とみなされるものもあるため注意が必要です。
相続が発生した際は、専門家に相談しながら、相続財産の調査と評価を適切に行うことが重要です。
当事務所では、相続に関するあらゆるお悩みに対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

専業主婦(主夫)でも債務整理は可能?条件と注意点

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専業主婦(主夫)の方が借金返済に悩んでいる場合、債務整理を検討することがあります。
しかし、収入がない状態で債務整理が可能なのか、不安を感じる方も多いでしょう。
ここでは、専業主婦(主夫)の方が債務整理を行う際の条件や注意点について解説します。

債務整理とは

債務整理とは、借金の返済に行き詰まった際に、法律の規定に基づいて借金を整理し、経済的に再スタートを切るための手続きの総称です。

具体的には、以下の4つの方法があります。

  • 任意整理:裁判所を通さずに、債権者と直接交渉して返済方法を決める
  • 個人再生:裁判所に申し立てを行い、借金を大幅に減額して返済する
  • 自己破産:裁判所に申し立てを行い、原則として借金の全額が免除される
  • 特定調停:裁判所の仲介で債権者と話し合い、返済計画を立て直す

これらの手続きを利用することで、借金の利息がカットされたり、借金そのものが減額・免除されたりします。その結果、毎月の返済額を減らすことができ、生活再建への道が開かれます。
ただし、債務整理にはデメリットもあります。信用情報機関に事故情報が登録され、一定期間は新たな借り入れやクレジットカードの作成などができなくなります。

このように債務整理にはメリットとデメリットがありますが、借金返済に窮している場合は、弁護士など専門家に相談し、自身に合った方法を検討してみて下さい。

専業主婦(主夫)が債務整理を行う際の条件

専業主婦(主夫)の方が債務整理を行うためには、以下の条件を満たす必要があります。

配偶者に安定した収入がある

 債務整理を行うためには、毎月の返済が可能な収入が必要です。
専業主婦(主夫)の場合、ご自身に収入がないため、配偶者に安定した収入があることが条件となります。

配偶者の同意が得られる

債務整理を行う際は、配偶者の同意が必要です。
夫婦の財産は共有財産とみなされるため、片方の債務が減額されることで、もう片方の財産にも影響が出る可能性があるからです。

返済計画が立てられる

任意整理では、減額された借金を一定期間で返済していく必要があります。
そのため、配偶者の収入から生活費を差し引いた金額で、返済計画が立てられることが条件となります。
一方、自己破産の場合は、原則として借金の全額が免除されるため、返済能力は問われません。
ただし、支払不能の状態であることや、免責不許可事由に該当しないことなどの条件を満たす必要があります。

専業主婦(主夫)が選べる債務整理の種類

専業主婦(主夫)の方が選べる債務整理の種類は、以下の3つです。

任意整理

任意整理は、弁護士や司法書士に依頼し、債権者との交渉により借金を減額する方法です。
利息のカットや返済期間の延長などを行い、無理のない返済計画を立てることができます。

自己破産

自己破産は、裁判所に申し立てを行い、借金をゼロにする方法です。
ただし、一定の財産は処分されるため、生活に必要な財産のみを残すことができます。
また、自己破産をすると、一定期間の資格制限などのデメリットがあります。

専業主婦(主夫)が債務整理を行う際の注意点

専業主婦(主夫)が債務整理を行う際は、家族への影響を十分に考慮する必要があります。
配偶者の理解と協力を得ながら、弁護士など専門家に相談し、最適な債務整理の方法を選択することが重要です。

専業主婦(主夫)の方が債務整理を行う際は、以下の点に注意して下さい。 

配偶者の収入が減った場合のリスク

任意整理では、配偶者の収入を前提とした返済計画を立てます。
そのため、配偶者の収入が減った場合、返済が困難になるリスクがあります。

配偶者に借金があるケース

配偶者にも借金がある場合、債務整理が複雑になる可能性があります。
また、配偶者の借金が原因で、債務整理ができないケースもあります。

離婚のリスク

債務整理を行うことで、夫婦関係に悪影響が出るケースもあります。
返済計画を立てる際は、夫婦でよく話し合い、お互いの理解を得ることが大切です。

自己破産の場合、家族への影響は限定的

自己破産の場合、原則として借金が全額免除されるため、家族への影響は任意整理に比べて限定的です。
ただし、夫婦の共有財産は破産財団に組み込まれるため、家計に影響が出る可能性はあります。

専業主婦(主夫)が債務整理前に確認すべきこと

専業主婦(主夫)の方が債務整理を検討する際は、事前に以下の点を確認しておくことが重要です。

借金の総額と内訳を把握する

債務整理を行う前に、まずは借金の総額と内訳を正確に把握することが大切です。
借金の金額や借入先、返済期限などを書き出し、整理しておきましょう。

家計の収支を見直す

債務整理後の返済計画を立てるためには、現在の家計の収支を見直す必要があります。
毎月の収入と支出を書き出し、無駄な出費がないか確認しましょう。

債務整理の方法を検討する

借金の総額や家計の状況を踏まえ、どの債務整理の方法が適しているか検討します。
専門家に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。

専業主婦(主夫)が債務整理を行う際の手順

専業主婦(主夫)の方の場合、債務整理の手続きを進める上で、配偶者の協力が不可欠となります。
収入面だけでなく、必要書類の準備など、さまざまな場面でサポートが必要になるでしょう。
また、家計のやりくりを見直し、借金返済の原資を捻出することも重要です。
無駄な出費を削り、節約に努めることで、返済を続けられる環境を整えましょう。
債務整理の手続きは複雑で、専門的な知識が求められます。
手続きを円滑に進めるためにも、弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることが何より大切です。

ここからは専業主婦(主夫)の方が債務整理を行う際の一般的な手順をご紹介します。 

弁護士や司法書士に相談する

債務整理を行う際は、まず弁護士や司法書士に相談することが重要です。
借金の状況や家計の収支を伝え、適切な債務整理の方法を提案してもらいましょう。

配偶者の同意を得る

債務整理を行うには、配偶者の同意が必要です。
債務整理の方法や返済計画について、配偶者とよく話し合い、理解を得ることが大切です。

債権者との交渉や裁判所への申し立てを行う

任意整理の場合は、弁護士や司法書士が債権者との交渉を行います。
個人再生や自己破産の場合は、裁判所への申し立てを行います。

返済計画に従って借金を返済する

任意整理が成立した後は、立てた返済計画に従って、着実に借金を返済していきます。
計画通りに返済できるよう、日々の生活を見直すことも大切です。

まとめ

専業主婦(主夫)の方でも、一定の条件を満たせば債務整理は可能です。
ただし、配偶者の収入を前提とするため、リスクも存在します。
債務整理を検討する際は、弁護士や司法書士に相談し、適切な方法を選ぶことが重要です。
当事務所では、専業主婦(主夫)の方の債務整理についても豊富な実績があります。
借金問題でお悩みの方は、一人で悩まずに、まずはお気軽にご相談ください。

交通事故に遭ってしまった際に被害者がやるべき5つのこと

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交通事故に遭ってしまった際、被害者は混乱してパニックに陥ってしまうかもしれません。
しかし、冷静に対応することが重要です。事故直後の適切な対応が、その後の損害賠償請求に大きく影響するからです。
本記事では、ケースごとに交通事故に遭ってしまった被害者がやるべき5つのことについて詳しく解説します。

自動車同士の事故の場合

自動車同士の事故は、日常的に発生しうる事故の中でも特に多いものです。万が一事故に遭ってしまった場合、適切な対応を取ることが重要です。
ここでは、自動車同士の事故が起きた際の対応について詳しく解説します。
事故対応で不安を感じたら、弁護士に相談してみてください。

事故直後の対応

事故直後は、冷静に状況を把握し、適切な行動を取ることが求められます。
まず、負傷者がいる場合は、救護を最優先に行います。
その上で、必ず以下の対応を行って下さい。

  • 安全な場所に車を移動させる
  • 車のエンジンを切り、ハザードランプを点灯させる
  • 車が動かせない場合は、後続車に注意を促すため、発煙筒や三角停止板を設置する

警察に連絡し、事故の届出をする

事故が発生したら、必ず警察に連絡し、事故の届出を行います。
これは法律で定められた義務だからです。
人身事故の場合は、後に交通事故証明書を取得する際に必要になるので、特に人身事故であることを伝えてください。

相手の情報を確認する

事故の相手方の情報を確認し、記録しておきます。
具体的には以下の情報を確認しましょう。

  • 加害者の住所、氏名、連絡先
  • 加害者の保険会社名、証券番号
  • 加害車両のナンバープレート
  • 加害者の勤務先の情報

情報は、相手の免許証や車検証、保険証券で確認するのが確実です。

目撃者の確保

事故の状況を証言してくれる目撃者がいる場合は、連絡先を聞いておきましょう。
示談交渉や裁判になった際に、事故状況を立証する重要な証拠になります。

事故の状況を記録する

事故現場の状況を、できる限り詳細に記録しておくことが大切です。
スマートフォンなどで現場の写真や動画を撮影しておきましょう。
事故車両の損傷状況や事故現場の道路状況などを記録しておくと、示談交渉で有利に働きます。

怪我の状況を確認し、病院で診察を受ける

事故直後は、怪我の痛みを感じにくいことがあります。
しかし、後になって症状が出てくるケースは少なくありません。

事故後は必ず医療機関を受診し、医師の診断を受けましょう。
怪我の状況を証明する診断書は、示談交渉で補償を求める上で重要な書類となります。

また、事故による精神的ショックへの対処も重要なので、メンタルヘルスの専門家に相談することも検討しましょう。

示談交渉時の注意点

事故の示談交渉は、基本的に保険会社同士で行われます。
被害者との示談交渉では、以下の点に注意が必要です。

  • 怪我が完治し症状が固定するまでは示談に応じない
  • 示談金の額が適正か、弁護士に相談して確認する
  • 示談書の内容をよく確認し、安易に署名・捺印しない
  • 示談後に症状が悪化した場合の補償について確認する

示談交渉は法的な知識が必要なため、専門家であるに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、適正な賠償金の獲得や示談交渉の早期解決が期待できるためおすすめです。

歩行者として事故に遭った場合

歩行者が交通事故の被害に遭うと、自動車同士の事故に比べて重症化しやすい傾向にあります。
死亡事故が発生するケースとしても、歩行中の事故が最も高い割合を占めています。
特に高齢者の方が被害に遭われるケースが多いとされており、日頃から反射板の着用などの対策が望まれます。

事故直後の対応

事故直後は、状況を冷静に把握し、適切な行動を取ることが重要です。
以下の手順で対応しましょう。

警察に連絡し、事故の届出をする

事故発生後は必ず警察へ通報する義務があります。
これを怠ると、法律違反として処罰される可能性があります。

必ず人身事故として届け出る

軽傷でも必ず人身事故として届け出てください。
物損事故として処理されると、過失割合の判断などで不利になるおそれがあります。

事故証明書を取得する

事故証明書は、怪我の治療費や損害賠償請求に必要な書類です。
警察への届出がないと発行されません。

加害者の情報を確認する

加害者の氏名、連絡先、保険会社名、車両ナンバーなどを確認し、メモやカメラで記録しましょう。

目撃者の確保

事故状況を証言してくれる目撃者がいれば、連絡先を聞いておきます。
示談交渉や裁判で重要な証拠になります。

事故の状況を記録する

事故現場の状況を、スマートフォンなどで写真や動画に記録しておきましょう。
事故車両の損傷状況や道路状況などを記録しておくと、示談交渉で有利に働きます。

保険会社に連絡する

事故の届出が済んだら、加害者の加入している保険会社と、自分が加入している保険会社の両方に連絡します。
事故の状況や怪我の有無などを伝え、保険会社の指示に従って手続きを進めましょう。

示談交渉は慎重に

保険会社から示談の提案があった場合、安易に応じるのは避けましょう。
示談内容によっては、十分な補償を受けられない可能性があります。
示談交渉が難航する場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼することで、適切な損害賠償を受けられる可能性が高まります。

必要書類の準備

保険金請求には、事故状況説明書や診断書など、さまざまな書類が必要です。
保険会社の指示に従って、必要書類を揃えましょう。
書類の不備があると、保険金の支払いが遅れる可能性があります。
分からないことがあれば、保険会社に確認するようにしましょう。

まとめ

交通事故に遭ってしまった際は、落ち着いて冷静に対応することが何より大切です。
万が一、示談交渉が難航するようであれば、弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故の被害に遭ってしまった方は、この記事を参考に、正しい行動を取っていただければと思います。
また、事故による精神的なショックにも注意が必要です。
心の健康を大切にし、必要であれば専門家に相談することをためらわないでください。
交通事故は誰にでも起こりうる出来事ですが、適切な対応を取ることで、被害を最小限に抑え、公正な補償を得ることができるはずです。

中小企業にも義務化された「パワハラ防止法」の概要と対策のポイント

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2022年4月より、いわゆる「パワハラ防止法」が中小企業にも適用されました。
この法律は、職場におけるパワーハラスメントを防止するために、事業主に一定の措置を義務付けるものです。
本記事では、パワハラ防止法の概要と、中小企業が取るべき対策のポイントについて解説します。

パワハラ防止法とは

パワハラ防止法は、正式名称を「改正労働施策総合推進法」といい、2020年6月に施行されました。
当初は大企業のみが対象でしたが、2022年4月からは中小企業にも適用範囲が拡大されています。

パワハラの定義

この法律では、職場におけるパワーハラスメントを以下の3つの要素で定義しています。

  • 優越的な関係を背景とした言動であること
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  • 労働者の就業環境が害されるものであること

中小企業の定義

パワハラ防止法における中小企業とは、業種ごとに以下のように定義されています。

  • 小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下
  • サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
  • その他の業種:資本金3億円以下または従業員300人以下

中小企業に求められる措置

パワハラ防止法では、事業主に対して以下のような措置を義務付けています。

事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

事業主は、職場におけるパワハラの内容や、パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発しなければなりません。
具体的には、就業規則等の服務規律等を定めた文書に規定を設けることや、社内報やイントラネット等で周知することが求められます。

相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

事業主は、労働者からの相談に応じ、適切に対応するための体制を整備する必要があります。
相談窓口の設置や、相談対応の手順を定めることなどが求められます。
相談窓口は、労働者が利用しやすいよう複数設置することが望ましいとされています。

例えば、男女別の窓口や、社内と社外の両方に設置するなどの工夫が考えられます。

職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応

パワハラが発生した場合、事業主は迅速かつ適切に対応しなければなりません。
事実関係の確認や、被害者のケア、再発防止策の実施などが必要です。
被害者のケアとしては、メンタルヘルス不調への配慮や、希望に応じた配置転換などが考えられます。
行為者に対しては、状況に応じて厳正な処分を行うことも重要です。

その他の措置

上記のほか、事業主には以下のような措置も求められています。

  • 相談者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じること
  • パワハラを行った者に対する懲戒その他の必要な措置を講じること
  • 相談をしたこと等を理由とする不利益な取扱いの禁止について定め、労働者に周知・啓発すること

中小企業が取るべき対策のポイント

では、中小企業はどのような対策を取るべきでしょうか。
ポイントは以下の5つです。

トップのメッセージを明確に発信する

まずは、経営トップ自らがパワハラを許さないという明確なメッセージを発信することが重要です。
トップの姿勢が社内の意識改革につながります。
具体的には、社長名の文書を全社に配布したり、社内研修等の場で直接語りかけたりすることが効果的です。

社内規程を整備する

就業規則にパワハラの禁止規定を設けるなど、社内規程を整備しましょう。
パワハラの定義や、違反した場合の懲戒処分などを明記します。
規程の整備に当たっては、社員の意見も取り入れながら、実態に即した内容にすることが大切です。

相談窓口を設置する

労働者が安心して相談できる窓口を設置しましょう。
窓口担当者は、相談対応のスキルを身につける必要があります。
社内に適任者がいない場合は、外部の専門家に委託することも一案です。
プライバシーへの配慮という点でも、外部窓口には一定のメリットがあります。

研修を実施する

管理職を中心に、パワハラに関する研修を実施しましょう。
パワハラの定義や、指導との違いなどを理解してもらうことが大切です。
加えて、コミュニケーションスキルの向上を図る研修も有効です。
部下の話を丁寧に聴く姿勢を養うことで、パワハラのリスクは減らせるはずです。

再発防止策を講じる

パワハラが発生した場合は、単に加害者を処分するだけでなく、根本的な再発防止策を講じることが重要です。
組織風土の改善などにも取り組みましょう。
アンケート調査などを通じて、社員の意識や職場の問題点を把握することから始めるとよいでしょう。
洗い出された課題に対し、一つひとつ対策を打っていくことが求められます。

パワハラ防止の取組は企業価値向上につながる

パワハラ防止の取組は、単なる法令遵守というだけでなく、企業価値の向上という観点からも重要です。

人材の定着・獲得につながる

パワハラのない健全な職場環境は、優秀な人材の定着や獲得につながります。
特に、若手社員の早期離職を防ぐ効果は大きいでしょう。
ハラスメントの多い職場は「ブラック企業」とレッテルを貼られ、採用活動にも悪影響が出かねません。
会社の評判を守るためにも、パワハラ防止は欠かせません。

生産性の向上が期待できる

パワハラは、被害者のモチベーションを大きく低下させ、生産性の低下を招きます。
周囲の社員にも悪影響が及ぶことも少なくありません。
逆に、パワハラのない職場では、社員が安心して能力を発揮できます。
イキイキと働ける環境づくりは、生産性向上の基盤となるのです。

訴訟リスクの回避につながる

パワハラ被害を受けた労働者から訴えられるリスクも看過できません。
高額の損害賠償を命じられるケースも珍しくありません。
会社の信用失墜は、取引先との関係悪化など、事業面での打撃も免れません。
訴訟を未然に防ぐためにも、日頃からの防止策が肝要です。

まとめ

パワハラ防止法の施行により、中小企業にもパワハラ防止対策が義務付けられました。
パワハラのない健全な職場環境を築くことは、企業の持続的な発展にもつながります。
人材の定着・獲得、生産性の向上、訴訟リスクの回避など、様々なメリットが期待できるのです。
中小企業の経営者は、この機会にパワハラ防止対策を見直し、より一層の充実を図っていくことが重要です。
社員が生き生きと働ける職場を目指し、全社一丸となって取り組んでいきましょう。

離婚の種類と手続について詳しく解説!

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離婚を考えている方にとって、どのような種類の離婚があり、それぞれどのような手続が必要なのかを理解しておくことは重要です。離婚の方法を選ぶ際には、夫婦の状況や離婚の理由、話し合いの進み具合などを考慮する必要があります。
ここでは、代表的な離婚の種類である協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚について、その特徴と手続の流れを詳しく解説します。

協議離婚

協議離婚は、夫婦の話し合いにより離婚や離婚条件について合意し、離婚届を提出することで成立します。
最も多く利用される離婚方法で、家庭裁判所を利用せず、比較的簡単に離婚することができます。

協議離婚のメリットは、裁判所を介さずに夫婦だけで手続を進められること、費用がかからないこと、短期間で離婚できることなどが挙げられます。
一方で、離婚条件についても夫婦で話し合って決める必要があるため、トラブルになりやすいというデメリットもあるので注意しましょう。

協議離婚の手続の流れ

協議離婚の手続の流れは以下のようになります。

1. 夫婦で離婚や離婚条件について話し合い、合意する
2. 離婚届に必要事項を記入し、夫婦双方が署名・押印する
3. 離婚届を市区町村役場に提出する

協議離婚の注意点

離婚条件について、後々トラブルにならないよう、書面で取り交わしておくことがおすすめです。
未成年の子がいる場合は、親権者を決めておく必要があります。
年金分割や財産分与など、複雑な問題がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

調停離婚

調停離婚は、夫婦の話し合いで離婚や離婚条件について合意できない場合に、家庭裁判所に調停を申し立てて行う離婚方法です。
調停委員を交えて話し合いを行い、合意に至れば調停離婚が成立します。

調停離婚のメリットは、裁判所の調停委員が公平な立場で話し合いを進めてくれること、裁判よりも費用が安く、手続が簡単であることなどです。
デメリットは、話し合いがまとまらない場合、調停が不成立になってしまうことです。

調停離婚の手続

調停離婚の手続は次のようになります。

1. 家庭裁判所に離婚調停を申し立てる
2. 調停期日に出頭し、調停委員を交えて話し合いを行う
3. 合意に至れば、調停調書を作成し、調停離婚が成立する
4. 調停調書に基づいて、離婚届を市区町村役場に提出する

調停離婚の流れ

調停離婚を行う場合は以下の流れで行います。

1. 申立書の提出
申立人が、離婚調停申立書を家庭裁判所に提出します。

2. 調停期日の決定
裁判所から、第1回調停期日の呼出状が送られてきます。

3. 調停の実施
調停期日に、申立人と相手方が裁判所に出頭し、調停委員立ち会いのもと、話し合いを行います。
合意に至るまで、数回の調停期日が設けられます。

4. 調停の成立または不成立
合意に至れば調停が成立し、調停調書が作成されます。
合意できない場合は、調停不成立となります。

5. 離婚届の提出
調停成立の場合、調停調書に基づいて離婚届を市区町村役場に提出します。

審判離婚

審判離婚は、調停でも合意に至らない場合に、家庭裁判所の審判により離婚が成立する方法です。
裁判官が双方の主張を聞き、離婚の可否や条件について判断を下します。

審判離婚と裁判離婚の違いは、審判離婚では裁判官が職権で判断を下すのに対し、裁判離婚では当事者双方が主張立証を尽くした上で裁判官が判決を下す点にあります。

また、審判離婚のメリットは、裁判官の職権により、離婚やその条件が決定されるため、当事者間の話し合いが不要なことです。
デメリットは、審判に不服がある場合、即時抗告をして高等裁判所に抗告することになるため、手続が長引く可能性があるということです。

審判離婚の手続

審判離婚を行う際、以下の手続の流れで進みます。

1. 家庭裁判所に離婚審判を申し立てる
2. 審判期日が指定されるので、双方が出頭して裁判官に主張を述べる
3. 裁判官が職権で離婚の可否や条件について審判を下す
4. 審判が告知されてから2週間以内に異議申立てがなければ、審判が確定し、離婚が成立する

審判離婚が行われるケース

審判離婚が行われる具体的なケースは以下のようなケースです。

  • 調停が不成立で審判に移行した場合
  • 当事者の一方が調停に応じない場合
  • 当事者間の主張が平行線をたどり、話し合いでの解決が難しい場合

裁判離婚

裁判離婚は、調停が不成立に終わり、さらに審判でも離婚が成立しない場合に、訴訟を提起して裁判所の判決により離婚を成立させる方法です。
原告が離婚事由の存在を主張・立証する必要があります。

裁判離婚のメリットは、離婚の成否や条件が法的に決定されるため、当事者間の話し合いが不要なことです。
デメリットは、訴訟手続に時間と費用がかかること、裁判の内容が公開されることなどです。

裁判離婚を行うためには、まず調停を申し立てる必要があります。これを調停前置主義といいます。調停が不成立に終わった場合に、初めて裁判を起こすことができるのです。

裁判離婚の手続

裁判離婚の手続は以下の流れで進みます。

1. 調停が不成立に終わったら、家庭裁判所に離婚訴訟を提起する 
2. 裁判期日に出頭し、離婚事由について主張・立証を行う
3. 裁判所が判決を下す
4. 判決が確定すれば、離婚が成立する

裁判で離婚が認められる理由

民法770条1項および2項では、以下のように裁判で離婚が認められる理由を定めています。

1. 配偶者に不貞行為があったとき
2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
4. 配偶者に強度の精神病があり、回復の見込みがないとき
5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

審判離婚と裁判離婚の違い

審判離婚と裁判離婚はどちらも裁判所による離婚手続ですが、違いが3つあります。

1つ目は、審判離婚では、裁判官が職権で事実関係を調査し、離婚の可否や条件を判断するのに対し、裁判離婚では、当事者双方が裁判所に証拠を提出し、主張立証を尽くした上で、裁判官が判決を下すことです。

2つ目は、審判離婚の審判に不服がある場合は、高等裁判所に即時抗告をする必要がありますが、裁判離婚の判決に不服がある場合は、控訴することになるということです。

3つ目は、審判離婚では、調停が不調に終わった場合に移行することが多いのに対し、裁判離婚は、調停不成立後、当事者の一方が離婚訴訟を提起することで始まる点です。

この3つの違いを踏まえて、その時にあった方法を弁護士と相談して検討してみてください。

和解離婚と認諾離婚

和解離婚は、離婚訴訟の途中で、裁判官から和解勧告がなされ、当事者双方がこれを受け入れることで成立する離婚方法です。裁判官が当事者双方の主張を踏まえて和解案を提示し、双方がこれに合意すれば、和解が成立し、離婚が成立します。

認諾離婚は、離婚訴訟の途中で、被告が原告の離婚請求を全面的に受け入れる(認諾する)ことで成立する離婚方法です。被告が認諾すると、裁判所はそれを確認した上で、原告の請求通りの判決を下し、離婚が成立します。

これらの離婚方法は、調停や審判とは異なり、離婚訴訟の過程でのみ選択することができるため注意が必要です。

まとめ

離婚を考えている方は、まずは夫婦で話し合いを尽くすことが大切ですが、合意が難しい場合は、調停や審判、裁判といった法的手続を検討しましょう。
その際は、弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
離婚は人生の大きな岐路であり、後悔のないよう、慎重に進めていくことが肝要です。
当事務所では、離婚に関するあらゆるご相談に対応しておりますので、お悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

相続手続の流れや期限について詳しく解説

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相続手続は人生の中で何回も経験するでき事ではありません。
したがって、相続手続が必要になったときに何をすればいいのかわからないという方も多いでしょう。
さらに、相続手続の中に含まれるものの中には、被相続人が死亡してから一定の期間内に手続を完了させなければならないものがあるので注意が必要です。
そこで、この記事では相続手続の流れと期限がある相続手続についてわかりやすく解説します。

【遺言書がある場合】相続手続の流れ

遺産相続手続の流れは以下の通りです。

  • 遺言書の有無の確認
  • 遺言書の検認
  • 遺産分割手続

それぞれの手続について具体的に何をおこなうのかを説明します。

遺言書の有無の確認

相続手続の最初の手順は遺言書の有無の確認です。
遺言書が見つからないということですぐに次の手順に進むと、後で遺言書が見つかったときに手続をやり直すことがあるので、念入りに遺言書の有無は確認してください。
遺言書がある場合、原則として遺言書の内容に沿った分割となります。
遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類がありますが、自筆証書遺言と秘密証書遺言は亡くなった方の手元に保管されているケースが多いです。
公正証書遺言は、亡くなった方が正本を保管し、公証役場が原本を保管しています。

遺言書の検認

遺言書の保管者もしくは発見した相続人は、遺言者の死亡後に、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し「検認」を請求しなければなりません。
検認とは、相続人に対し遺言の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付や署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造や変造を防止するための手続です。
ちなみに、検認は遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

検認が必要な遺言書の種類は以下の通りです。

  • 法務局で保管されていない自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言

さらに、遺言書に封印がある場合、家庭裁判所での開封が必要なので、その前に開封しないようにしてください。
公正証書遺言、法務局で保管されている自筆証書遺言は検認の必要はありません。

遺産分割手続

遺言書で遺言執行者が指定されており、その者が就任を承諾した場合は、遺言執行者が相続登記や預貯金の解約などの相続手続をおこないます。
遺言書に遺言執行者の定めがない場合、相続人、親族、遺言書を作成した弁護士や司法書士などがその任に就くことが可能です。
家庭裁判所へ遺言執行者の専任を申立し、遺言内容の実現を依頼できます。

【遺言書がない場合】相続手続の流れ

遺言書を探してもなかったという場合は、下記の手順で相続手続をします。

  • 法定相続人の確定
  • 相続財産の調査
  • 遺産分割協議
  • 相続財産の名義変更

法定相続人の確定

亡くなった方(被相続者)の財産を受け継ぐ法定相続人は誰かを確定するために、被相続者の出生から死亡までの全戸籍謄本を取得します。
戸籍は結婚や離婚、本籍地の移動などのたびに新しく作成されます。
その際に除籍した子どもの情報を新しい戸籍に引き継ぐことはありません。
したがって、被相続人の戸籍を死亡から出生までさかのぼることで、法定相続人となる可能性がある子どもの有無や人数をきちんと確定できます。

相続財産の調査

亡くなった方の財産がどこに、どれくらいあるのかを確認する手続が必要です。
最初に亡くなった方の通帳を確認してください。
通帳から以下の情報がわかります。

通帳から確認できる財産通帳の記載されている情報
生命保険契約・年金保険契約保険料の引き渡し
有価証券配当金の入金
貸金庫契約使用料の引き落とし
所有不動産固定資産税の引き落とし

被相続人が貸金庫を契約していたなら、貸金庫に金、証書などが保管されている可能性があります。

遺産分割協議

法定相続人が確定され、財産の全容が調査されたなら、次の手続は法定相続人全員による遺産分割協議です。
遺産分割協議での話し合いの結果で同意した内容について遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議で合意に至らなかった場合は、家庭裁判所での調停による分割もしくは審判による分割です。

期限がある相続関連の手続

相続に関連する手続の中には期限が決まっているものがあります。
期限が決まっている手続は以下の通りです。

手続の種類期限
死亡届・火葬・埋葬許可証死亡の事実を知った日から7日以内
世帯主変更届・国民健康保険資格喪失届などの役所への届け出被相続人である世帯主が亡くなった日から14日以内
単純承認・限定承認・相続放棄の選択自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月
所得税の準確定申告相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月月以内
相続税の申告被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月以内
相続登記の手続相続人が相続により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内(令和6年4月1日以降)

まとめ

この記事では遺言書がある場合の相続手続と遺言書がない場合の相続手続についてその流れを解説しました。
相続関連の手続には期限が定められているものがあるので、相続があることを知ったなら早めに手続を開始するのがおすすめです。
相続手続や遺産分割協議などで質問や悩みがあるという場合、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼すれば相続人や相続財産の調査、相続人との交渉、遺産分割協議書の作成、相続登記の手続など相続にまつわるあらゆる手続においてサポートしてもらうことができるでしょう。

家を残して債務整理するには?

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膨大な借金を背負ってしまったために債務整理をしなければならない時、住んでいる家が追い出されずに済むかどうかはとても重要なことです。
今回は債務整理を行った場合に家を残して住める方法をいくつか紹介します。
厳密には債務整理ではありませんが、家に住み続ける手段も併せて解説しましょう。

債務整理とは?

債務整理とは膨大な借金を抱えてしまった時に、借金の返済が困難な時に法律事務所などに相談して解決する手段です。
自己破産や任意整理、個人再生などのいくつかの方法があります。
膨大な借金があるけれどマイホームだけは残したい場合、債務整理の方法によっては残せないパターンもあるので選択肢を間違えないようにしましょう。

自己破産では家が残せない

債務整理の中で最も効果が高いとされる自己破産は、免責の決定を受けると税金などの一部の非免責債権以外すべて免除となります。
また、返済が不可能な人でも選択でき、債権者の強制執行が止められます。
しかし、一部の会社を除いた手続ができません。
マイホームローンを利用している場合は、それも債務整理の対象となるため、結果的に家を手放すことになりますし、ローンの完済が終わっていたとしても財産処分の対象となるため家は残せません。

家を残して債務整理する6つの方法とは?

債務整理をしたいけれど、どうしても住んでいる家を残すにはどうしたらよいでしょうか。
大きく分けて次の7つの種類があります。

  • 個人再生
  • 任意整理
  • 特定調停
  • 消滅時効援用
  • 任意売却(親族間売買)
  • 任意売却(リースバック)
  • 経営者保証ガイドライン

それぞれの方法を詳しく確認していきましょう。

個人再生

債務整理の中で家を残す方法の中に個人再生があります。
個人再生は裁判所に申し立てて盾を行い借金を減額してもらう方法で、再生計画認可決定が得られた場合は、8割から9割の借金を免除してもらえる方法です。
個人再生も一部の会社を除き債務整理はできませんが、再生計画の中に住宅資金特別条項を定めるなどの条件をクリアすれば、家を残したまま債務整理が行えます。

任意整理

任意整理は債務整理で家を残せる方法のひとつです。
任意整理は今後発生する利息をカットして、借金の原本を長期分割で処理する方法で月の返済額が減少します。
ただし、自己破産や個人再生と違い借金が免責になるわけではありません。
任意整理の場合は他の債務整理と違い、一部の会社の除外も認められるので、家を残した状態で債務整理ができます。

特定調停

特定調停は、裁判所が間に入って行われる任意整理のようなもので、裁判所が借主と貸主の話し合いを仲介し、借主が立ち直れるための支援を行う手続です。
任意整理は弁護士に依頼しないといけませんが、特定調停は自力でも可能で、債権者との交渉も任意整理よりは簡単です。
ただし催促が止まるのに時間がかかります。
また、家を残すのも任意整理と同じ理屈で除外すれば済みます。
もっとも裁判所が返済不可能と判断すると個人再生か自己破産になり、最悪家が残せなくなる恐れがあります。

消滅時効援用

厳密には債務整理ではありませんが、消滅時効援用という手段で家を残す方法があります。
これは借金にも時効があり、5年以上請求せれず、返済もされない場合に時効が成立します。
時効が成立した借金に時効援用の手続を行えば借金が消滅するというものでもちろん家は残ります。
ただ時効成立の判断の難しさや時効援用した金融機関使用はできなくなるデメリットがあります。

任意売却(親族間売買)

こちらも債務整理ではありませんが、債務整理で家を手放さないようにするために行う準備のひとつとして任意売却があります。
ローンの支払いが滞ってしまった結果、家を担保にして強制販売される競売を避け、任意で財産に余力のある親族に任意で買い取ってもらう方法です。
これはローン会社と合意の上で行われる方法で、所有権は親族に移ってしまいますが、住み続けることが可能です。

任意売却(リースバック)

こちらも債務整理ではありませんが、リースバックという方法で任意売却することができます。
これは家を投資家に売却する方法で、売却後投資家と賃貸契約をむすんで、家賃を払えば家に住み続けられます。
引っ越しせずに済むメリットがありますが、投資家(所有者)に家賃を支払うことになり、所有権を持つ相手に移住ルールが決められるといったデメリットがあります。

経営者保証ガイドライン

会社の経営者の場合、経営者保証ガイドラインを用いれば家を手放さずに住める可能性があります。
経営者保証ガイドラインには、「法人と個人が分離されている時に個人保証を求めない」、「保証債務の履行時に返済しきれない債務の残額は免除」、「早期に事業再生や廃業を決断した時に一定の生活費を残すこと」が明記されており、「華美ではない自宅に住められることを検討する」という項目もあります。

まとめ

債務整理のうち自己破産などでは家を残すのは難しいですが、任意整理や個人再生などの手続を利用すれば家を残して債務整理が可能です。
このほかにも任意売却や借金の時効に関する手続など家に住み続けるための方法がいくつかあるので、債務整理が必要なくらい借金が膨大になった時でも、あきらめずに家を残せる方法を模索しましょう。

交通事故に遭ってしまったら?事故発生から解決までの流れを解説

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交通事故は予期しない出来事です。
どんなに気をつけていても、いつどこで遭ってしまうかわかりません。
突然のことで冷静さを失い間違った対応をしてしまうことも考えられます。
交通事故を起こさないよう気をつけるのはもちろんですが、交通事故が起こった時どう動くか、そこをおさえておくことが大事です。
交通事故に遭ったらまずなにをするべきなのか、してはいけないことは何か、解決までの流れをまとめました。

交通事故発生から解決までの流れ

まずは、交通事故発生からの大まかな流れについて、以下にまとめておきましょう。

①交通事故発生
②ケガ人の救護
③安全な場所へ移動
④警察へ連絡
⑤当事者同士の情報交換
⑥目撃者の確認・確保
⑦メモをとる
⑧保険会社へ連絡
⑨医師の診断

事故が発生したとき、まず何をすべきか?

事故を起こしてしまったら、頭が真っ白になっておろおろするばかりでは困ります。
まずは道路交通法の第72条第1項に定められている、交通事故の場合の措置に添って流れを確認しましょう。

ケガをした人の救護

交通事故が発生したら、ケガをした人がいないかを確認します。ケガ人がいた場合には、状態を見てまずは救護することが優先されます。

安全な場所への移動

道路の真ん中など交通量の多い場所が事故現場の場合、二次被害を巻き起こすこともあります。安全な場所に速やかに移動しなければいけません。

警察に連絡する

交通事故が起こったら、必ず警察に連絡するようにしましょう。
警察への報告は義務となっています。
自賠責保険金(共済金)の請求などで必要な交通事故証明書(自動車安全運転センター)をしてもらうためには、警察の報告がないと取得できないのです。
また、人身事故の場合は「人身扱い」の届出が必要です。

事故当事者同士の情報の交換

事故当時者同士の情報はその場で交換しておくようにしましょう。
加害車両の登録ナンバーや住所・氏名・連絡先は必ず記入してもらっておくか、メモをとっておきます。
加害者が加入している自賠責保険共済及び自動車保険会社(共済組合)名、証明書番号等の情報ももらっておきます。
また加害者が業務中の場合は、勤務先、雇用主の住所・氏名・連絡先を聞き取っておくべきです。

目撃者がいないか確認・確保

目撃者からの証言は、今後の相手方との交渉で重要な要素となるため貴重です。
通行人など交通事故を目撃した人を確保し、証言や連絡先をメモ、また今後交渉する際の証人になってもらうことをお願いしておくようにしましょう。
ドライブレコーダーの記録も保存しておくことを忘れずに。

メモを取る

事故発生からのことは逐一メモしておくことをおすすめします。
どんなに記憶に自信がある人でも、その時はっきりと覚えていても時間が経つと曖昧になってくることもあります。
またメモという媒体はただ記憶しているだけより証拠としては信頼性が高くなります。
メモのポイントは、現場の見取り図、事故の経過、写真など。

保険会社へ連絡をする

任意保険に加入している場合、保険会社の事故受付センターに事故の報告をするようにしましょう。

【弁護士費用特約について】
弁護士費用特約というのは、交通事故等で弁護士への相談が必要になったとき、その費用を保険会社が補償してくれるという特約のことです。
この特約をつけていれば、弁護士への相談・依頼の費用についての安心感があります。
保険会社に加入する際に特約をつけることをおすすめしますが、いざという時に自覚しておらず、使わなかったという事例もあります。
事前に保険会社に確認しておく必要があります。

医師の診察をうけ診断をとる

一見ケガが軽いようでも、思わぬところに後遺症が出てくる場合があります。
そのため速やかに医師の診察受けることをおすすめします。
事故後すぐに受診しない場合に後遺症が判明しても、因果関係を認めてもらえないことがあります。

交通事故証明書とは

交通事故証明書は、公的機関が交通事故の証明として唯一発行する書面です。
自動車安全運転センターが発行してくれるもので、交通事故に遭ったことを証明してくれます。

交通事故証明書が必要なわけ

交通事故による支援の申請などに提出が必要となるものなので、とっておくことが大事です。
ちなみに警察への届け出のない事故については、発行してもらえません。

申請の方法について

自動車安全運転センター事務所、警察署、交番、駐在所、損害保険会社(共済組合)などで、申請書をもらって記入後提出します。
申込方法は、郵送、窓口、インターネットで行います。

事故現場でやってはいけない対応とは

事故を起こすと冷静な判断力を失い、パニックになると思わぬ行動を起こしてしまうことがあります。
あとでトラブルにならないためにも、何をすべきか何をしてはいけないのかということを、まずは知っておくことが大事です。

現場から動かない

交通事故を起こしてしまった場合、絶対に事故現場を離れてはいけません。
道路交通法に違反することになり、罰せられてしまいます。
些細な事故や単独の事故であっても警察へ連絡をし、しかるべき対応をいたしましょう。

現場で当事者だけで示談しない

大きな事故ではなかった場合、事故の当事者だけで示談交渉し解決してしまうことがよくあります。
急いでいたり面倒だったりしても必ず、警察や保険会社などに相談するようにしましょう。
後々、交通事故の後遺症が現れて高額な損害賠償請求をされる場合など、大きなトラブルの原因になりかねません。
必ず、警察や保険会社に相談することが大事です。

示談交渉、成立までの流れ

交通事故の場合、おおむね示談交渉をすることが多いです。
示談交渉をスムーズに進めるための流れとポイントをまとめました。

①ケガの治療の開始
示談交渉はケガの症状が固定することで開始されます。
速やかにケガの治療を行う必要があります。

②症状固定(後遺障害等級の認定申請手続)
症状の固定というのは、負傷したケガが完治またはこれ以上治療できない場合などがあげられます。
後遺症が見られる場合には「後遺障害等級の認定申請手続き」を提出し、審査してもらう必要があります。
この認定書は長くても約2ヶ月程度までには発行されることが多いようです。

③示談交渉開始
事故の結果が確定したら、いよいよ示談交渉が開始されます。
示談交渉手続き開始の時期は、

・完治した場合は、治療が終了した時点
・後遺症がある場合は、後遺障害等級認定の結果通知後
・死亡事故の場合は、四十九日など法要後

となります。

④示談成立
任意保険会社から示談内容が提示されたら「示談金の項目」「示談金の金額」を確認します。
そこで双方納得であれば、示談成立となります。

⑤示談額入金、事件終了
提示された示談額が指定の口座等に入金されれば、事件はすべて終了となります。

交渉成立までの期間はどのくらいかかるか

示談交渉というのはつまるところ、事件の当時者双方が話し合いをして、お互いが納得したところが着地点となります。
したがって、お互いが納得できなければ終わることができません。
示談交渉が1年以上長引いてしまうということもよくあります。
交渉でよくもめる事例としては、過失割合、損害額、任意保険に加入していない場合などです。

交渉には弁護士を利用すべきか

示談交渉を弁護士に依頼すると、示談金の増額交渉を成立しやすくなることや、保険会社との交渉を弁護士が行ってくれるので、時間的にも精神的にも余裕ができるといったメリットがあります。
また、保険会社に弁護士費用特約をつけていれば、いざという時に助かるというメリットがあります。

まとめ

今回は、交通事故の発生から解決までの流れについて解説しました。
交通事故は突然誰にでも起こる可能性のある脅威です。
事故が発生したら頭が真っ白になって、なにをすればいいのかわかりません。
交通事故が発生してから解決までの流れを知っているだけでも、安心感が違ってきます。
またやってはいけないことをきちんと把握しておさえておくことも大事です。

予防法務・臨床法務・戦略法務のそれぞれの違いや特徴

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企業規模にもよりますが、一定よりも大きな企業の場合は法務と呼ばれる部署を置いていることが多いです。
法務には、予防、臨床、戦略という3つの種類があります。
今回は法務とはそもそもどういう部署なのかを簡単に説明した後、予防法務、臨床法務、戦略法務の違いや特徴に触れ、具体的な法務の業務内容について紹介しましょう。

法務とは?

法務とは、社内に置いて法律に関係する業務を引き受ける職種、部門です。
自社にとって不利にならない契約を締結することや、知らない間に法改正がなされて違法行為になってしまうことをあらかじめ防ぐことが法務には求められます。
最近話題になっているコンプライアンス順守についても法務担当の重要な仕事のひとつです。

予防法務・臨床法務・戦略法務の違い

法務には3つの種類があります。

  • 予防法務
  • 臨床法務
  • 戦略法務

それぞれの違いや特徴を詳しく確認していきましょう。

予防法務

予防法務は、守りの法務と呼ばれる業務で、法律違反を未然に防ぐために対応します。
法改正などをチェックして今の業務が法律違反にではないかをチェックします。
もし法律違反が判明したり、トラブルが発生した場合には最小限に影響を抑えるような業務を行います。

臨床法務

臨床法務は、商品のクレームや法に関するトラブルが発生した場合に対応する業務を指しています。
主に訴訟が起こされている場合に対処するもので、取引先などからの損害賠償請求や退職者からの残業代の未払い請求などへの対応を行います。
この場合は裁判などが関係するので、法務担当単独で対処するのではなく、外部の弁護士と連携しながら対応に当たる場合が多いです。

戦略法務

戦略法務は、攻めの法務と言われている業務内容です。
企業が進化していくための経営判断をサポートする内容で、新事業の立ち上げ、企業買収(M&A)と言った新たな企業戦略に法的アドバイスも法務担当の業務です。
また法令の専門家として新しいプロジェクトを任されることもあります。

法務担当者が行う業務

法務担当者は具体的にどのような業務を行うのでしょうか。
主に次のような種類があります。

  • コンプライアンス・社内規程を周知する
  • 契約書作成や内容のチェック
  • 所有する知的財産権を管理・保護する
  • 法改正に対しての対応
  • 法律相談に対しての対応
  • 紛争や訴訟に対しての対応
  • 労働・雇用問題に対しての対応
  • 株主総会や取締役会に対しての対応

それぞれ詳しく確認していきましょう。

コンプライアンス・社内規程を周知する

法令に加えて企業倫理や社会規範を遵守するコンプライアンスへの意識が高まっているため、企業のコンプライアンス遵守は非常に重要です。
法務担当はコンプライアンスを徹底するために、個人情報漏洩やハラスメント防止に対する研修などを行い、他社でのトラブル例などを参考に自社の取組を見直します。
また法改正や社会情勢の変化に対応するために社内規定を策定しそれを社内に周知します。

契約書作成や内容のチェック

企業は取引先などとの間で契約を交わす為に契約書を用意しますが、契約書作成は法務の業務です。
契約書を作成するだけでなく、契約書の内容が適切か、法的な違反ではないかをチェックするのも法務の役目です。

所有する知的財産権を管理・保護する

企業にはさまざまな知的財産権(著作権、特許など)を所有している場合があり、知らぬ間に知的財産権が侵されている場合があります。
そこで法務担当には知的財産権を保護、管理する業務があります。
知らない間に知的財産権が侵されていた場合、法的対応を行なわなければいけませんが、その時に法務担当が主体的に対応します。

法改正に対しての対応

社会情勢の変化により、日本の法律や自治体の条例などが頻繁に改正されることがあります。
改正の事実を知らないという理由で違法行為を行うことは許されません。
法務担当は法改正がなされた場合に、自社への影響がどのくらいか判断し、場合によっては社内規定の変更と周知徹底を行なわなければなりません。
対応の内容によっては法的な専門家である弁護士などに相談するのも法務担当の仕事です。

法律相談に対しての対応

企業活動を行う中で、新規事業や新商品に関すること、従業員の労働法に関することなど企業の担当者が法的な問題について質問する場合は、法務担当が法律相談に乗ります。

質問に対して法律に基づいて意見や助言を行い、場合によっては弁護士などの外部の専門家との橋渡しも担当します。

紛争や訴訟に対しての対応

取引先や株主、従業員との間で紛争が起こる場合があります。
話し合いで解決すればよいですが、訴訟問題に発展すると、法律に詳しい法務担当の出番になります。
法務担当は訴訟問題に発展した場合は外部の弁護士に依頼して訴訟への対応を企業側の窓口として行います。

労働・雇用問題に対しての対応

労働に関するトラブルが発生したり、契約書が必要になったりする場合は法務担当の業務になります。
人事や労務担当からの依頼に基づいて対応することは、自社のイメージ低下を防止するためにも必要です。

株主総会や取締役会に対しての対応

株主総会や取締役への対応は法務が担当します。
株主総会の手続や決議でトラブルが発生しないあるいは違法ではないかをチェックし、適切に運営できるかどうかは法務の手腕に関わります。

まとめ

法務は、会社の法的な問題に対応する部署で、法律に加えて社会的な模範であるコンプライアンスにも対応しています。
法務も大きく3つの業務に分けられ、守りの法務と言われる予防法務、攻めの法務と言われる戦略法務、トラブル発生時に弁護士らと共に対処する臨床法務に分かれています。

離婚の手続や方法はどうなる?具体的な流れについて詳しく解説

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せっかくの運命の出会いと思って結婚したとしても、結婚生活を送る中で様々な事由により離婚を決意せざるを得ない場合があります。
今回は離婚にも複数の種類があること、それに加え最も多い離婚のパターンである協議離婚の手続と流れを確認しながら後でトラブルにならない方法を紹介していきます。

離婚の種類

離婚方法にも複数の種類があります。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 審判離婚
  • 裁判離婚

それぞれどう違うのか?それぞれの離婚で離婚届以外の必要書類について確認しましょう。

協議離婚

協議離婚は夫婦の話し合いによって離婚する方法です。
離婚自体は夫婦が合意のうえ届出をすることで成立しますが、離婚条件などは口約束だけで終わらせると後々トラブルに発展する可能性があるので、離婚協議書として条件を書面に残すことが大切です。
なお離婚届を出す際には、戸籍謄本と、提出するひとの本人確認書類が必要です。

調停離婚

夫婦間の話し合いではうまくいかない、話し合いに相手が応じなかったり、モラハラやDVの加害者のため話ができない場合に行われる方法です。
調停委員が仲介に入り、裁判所で話し合いが行われます。
離婚希望者が申請の手続を行います。
合意が成立すれば離婚届を提出しますが、裁判所が認めている理由により証人欄の記載は不要です。
離婚届の他に必要な書類は協議離婚で必要なものに加え、調停調書の謄本が必要です。

審判離婚

審判離婚とは、調停を重ねて夫婦間での大まかな合意がなされているものの、細かい点で相違がある場合に行われる離婚方法です。
内容は裁判所が事情を考慮して離婚の条件や離婚の成否について職権で下します。
審判が成立した場合、離婚届を出す際に審判書の謄本および確定証明書が必要となります。

裁判離婚

離婚調停が不成立に終わり、また離婚事由が次のいずれかに当てはまる場合には離婚裁判を起こすことができます。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 配偶者が強度の精神病で回復が見込めない場合
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

裁判で上記を立証することができれば、裁判離婚することができます。

なお判決に納得いかない場合には不服申し立てをして控訴することも可能です。
判決離婚が成立した場合、判決書の謄本および確定証明書が必要となります。

協議離婚の手続と流れ

離婚の中で最も多い協議離婚についての手続や流れはおおむね次のようになっています。

  1. 離婚後の生活を計画する
  2. 離婚の切り出しを行う
  3. 離婚条件を夫婦で話し合う
  4. 合意後に離婚協議書の作成を行う
  5. 離婚協議書を公正証書にする
  6. 自治体に離婚届の提出

順番に詳しく確認していきましょう。

1.離婚後の生活を計画する

離婚をしたい場合、最初に離婚後の生活を計画しましょう。
感情だけで無計画に離婚を行なっても、後で生活などができないといった事の無いようにじっくりと計画します。

2. 離婚の切り出しを行う

離婚の切り出しを行う段階です。いきなり切り出しても離婚に応じてもらえない場合や不利な離婚条件が決められる恐れがあります。
離婚の原因となる証拠を集めたり、夫婦の共有財産の確認などを行うなどの準備を行ってから切り出しましょう。

3.離婚条件を夫婦で話し合う

夫婦間での話し合いの段階です。
離婚条件をしっかりと話し合って後でトラブルにならないように未然に防ぎます。
話し合う条件は、慰謝料、財産分与、年金分割、未成年の子どもがいた場合の親権、養育費、親権が得られなかった場合の面会交流などです。

4.合意後に離婚協議書の作成を行う

離婚条件の話し合いが成立したら、離婚協議書を作成します。
話し合いで合意していても口頭で済ませてしまうと「言った、言わない」など、後でトラブルが起きてしまいます。
そのようなことが無いように書面で合意事項を残しておくと、証拠となりトラブルが起きません。

5.離婚協議書を公正証書にする

離婚協議書はできれば公正証書にしたほうが無難です。
慰謝料や財産分与、親権と言った約束事を書面で残すだけでなく、法律知識に精通している公証人に作成しておけば、証拠の信頼性が高まり、約束を守らなければ公正証書の効力を持って強制執行の手段を取ることができます。

6.自治体に離婚届の提出

離婚協議書を公正証書にして、離婚における決めごとが確実に施行できるようになったら、ようやく離婚届の提出です。
離婚届は夫婦の本籍地の他、どちらかが住んでいる所在地の役所の提出となります。
本籍地以外で提出する場合は夫婦の戸籍謄本が必要なので注意しましょう。

まとめ

離婚をする際には、一般的には夫婦話し合いで合意する協議離婚ですが、話し合いができない場合には調停離婚や、審判離婚、裁判離婚という手段を用いて対応しなければなりません。
また感情的になってすぐに離婚を切り出したり、離婚届を出したりすると後でトラブルになる可能性があります。
離婚をする際にはじっくりと計画の準備を行ってから離婚を切り出し、話し合うことが大切です。
とはいえどんなに入念に準備を行っても、相手の態度次第ではなかなか問題が解決しないこともあるでしょう。
そのような場合には、争いが大きくなる前に弁護士へ相談することを検討してみて下さい。

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