個人再生や自己破産を行うと、その情報が官報に掲載されます。
官報は誰でも見ることができ、破産に関する情報は掲載拒否もできません。
この記事では、官報に掲載される内容や、その影響について解説します。
官報とは
官報とは、国の法令や公示事項を掲載し、周知するための国の広報誌です。
行政機関の休日を除いた毎日午前8時30分に、官報発行サイトへ掲載されることによって発行されます。
書面での交付を希望する場合には、各都道府県の官報サービスセンターなどへ申し込むことも可能です。
通常発行される本紙のほか、国会会議録や政府調達公告が掲載された号外が発行されることもあります。
発行から90日間は全体を無料で閲覧・ダウンロードできますが、それ以降は一部の記事が公開終了となります。
官報への掲載
官報には政府や各府省庁などが公布する文書や、国などからの告知が掲載されます。
そのほか、会社や裁判所などが重要事項を広く通知する際にも利用されます。
たとえば自己破産や個人再生を行った際には、破産手続きが開始されることを官報によって広く告知します。
これは個人が破産した事実を見せしめのように示すためではなく、その人へお金を貸した債権者がもれなく手続きに参加できるようにするためです。
このように、個人を特定できる内容が掲載されることもあります。
官報に掲載される個人情報とその影響
たとえば人事異動や褒章授与などに際して、名前が掲載されることがあります。
そのほか、破産手続きや処分などネガティブな内容に関しても、個人情報を掲載されることがあります。
破産手続きにより掲載される内容
たとえば自己破産の手続き開始によって官報に掲載される内容は次の通りです。
- 事件番号
- 住所
- 氏名
- 手続き開始が決まった日時
- 手続き開始の理由
- 免責意見申述期間
- 手続きを行う裁判所の名前
破産を知られたくないからといって掲載を拒否することはできません。
ただし掲載内容に誤りがある場合には訂正可能です。
破産手続きを行うと、破産手続き開始時や破産が認められたときなど、個人情報が複数回掲載されます。
官報に掲載される影響
官報は発行後90日間であれば誰でも無料で閲覧可能です。
しかし官報に個人情報が掲載されたからといって、大きな影響はないと考えられます。
まず、知人や会社に対する影響についてです。
一部の職業の方以外、官報を毎日くまなく確認することは、ほぼありません。
自分の知り合いや家族が官報を毎日閲覧している可能性は低く、掲載されたことにも気付かれないことがほとんどです。
金融機関や信用情報機関などの職員は、官報を確認することもあります。
しかし毎日多くの情報が掲載されている官報から、偶然知り合いの情報を見つける可能性は低いと言えます。
このように、官報に個人情報が掲載されたとしても、知人や会社に対する影響は少ないと考えられます。
しかし破産の事実が公になることで、悪質な業者に目をつけられてしまうリスクがあります。
たとえば自己破産すると、クレジットカードが利用できなくなったり、新たな借り入れが難しくなったりします。
破産手続きが開始されたばかりの方は金銭的に困っていても、どうにかすることが簡単ではありません。
そのような方々を狙い、法外な利息で現金を貸し付ける悪質な業者も存在します。
官報に掲載された情報がデータベース化され、それをもとに悪質な勧誘を受けることがあるため、注意が必要です。
個人情報の保護が強化された影響
官報は2025年4月より電子化され、同時に個人情報の保護も強化されました。
掲載される情報のうち、裁判所公告などプライバシーに配慮が必要な情報は、記事を画像化することで、テキスト抽出やテキスト検索が困難になっています。
公開期間も90日に限定され、それ以降は当該記事の閲覧やダウンロードもできません。
プライバシーへの配慮が必要な記事は、官報情報検索サービスによって記事検索することもできなくなりました。
そのため破産情報などを探す際には、ひと記事ずつ目視で調べることになります。
これにより、今まで以上に破産などの情報を他人に知られる可能性が低くなりました。
破産などの情報が悪質な業者に利用される可能性が少なくなる半面、金融機関などの与信調査に影響を与える可能性もあります。
まとめ
この記事では、官報に掲載される内容とその影響について解説しました。
官報には法律や政令など国や各省庁が広く国民に伝えたい内容や、企業や裁判所などが知らせたい内容が掲載されます。
個人の破産に関しては、氏名や住所といった個人情報も掲載されます。
無料で誰でも閲覧できるため、破産の情報が他人に知られてしまうリスクがあります。
しかし官報を日頃から確認している人は多くなく、その影響は限定的です。
債務整理などによって掲載されることに不安がある方は、弁護士までご相談ください。