多額の借金に苦しみ、最終手段として自己破産を検討する際、奨学金の返済義務がどうなるのかは大きな懸念材料です。
奨学金には保証人がいることが一般的であるため、保証人などへの影響も懸念になります。
この記事では、自己破産が奨学金の返済義務や保証人に及ぼす影響について解説いたします。
自己破産とは?
自己破産とは、借金の支払い義務を免除してもらうための法的な手続きです。
多額の借金を抱え、自身の財産や収入をもってしてもすべてを返済することが不可能になった場合に、裁判所に申し立てを行い、認められれば債務が免除されます。
この手続きは、債務者の経済的な更生、すなわち生活の再建を図ることを目的としています。
自己破産が認められるためには、支払不能の状態であることなど、いくつかの要件を満たす必要があります。
裁判所に申し立てを行い、免責決定が下されることで、原則としてすべての借金の支払い義務がなくなります。
自己破産した場合奨学金の返済義務はどうなる?
自己破産の手続きを行い、裁判所から免責が決定された場合、奨学金の返済義務も原則としてなくなります。
奨学金は、法的には一般的な借金として扱われるため、自己破産による免責の対象となります。
ただし、奨学金には通常、連帯保証人または保証人が設定されています。
自己破産によって債務者本人の返済義務が免除されたとしても、その奨学金の残額は、連帯保証人や保証人が代わりに全額を返済する義務を負うことになります。
また、保証人は、債務者に代わって支払った返済分を本人に請求する権利(求償権)を持っているため、自己破産手続きにおいて債権者として扱われ、債務者の財産の分配を受けることができます。
自己破産した場合の影響
自己破産手続きを行うと、借金の支払い義務が免除されるという大きなメリットがある一方で、様々な制約や影響を受けます。
連帯保証人や保証人が返還請求を受ける
自己破産によって債務者本人の奨学金の返済義務が免除されても、その債務は連帯保証人や保証人に引き継がれます。
奨学金の貸与元である日本学生支援機構(JASSO)などは、債務者本人から返済を受けられなくなると、連帯保証人や保証人に対して、奨学金の残額の全額を一括で返済するよう請求します。
このため、奨学金の自己破産は、保証人に多大な経済的負担をかけることになります。
クレジットカードの契約ができなくなる
自己破産の手続きが完了すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。 この情報は約5年から10年間登録されたままとなります。
その結果、新たなクレジットカードの新規契約や、現在利用しているクレジットカードの更新ができなくなります。
クレジットカード会社は審査の際に信用情報を参照するため、事故情報が確認されると、審査に通ることは困難になります。
新たな借入れができなくなる
信用情報機関に事故情報が登録されている間は、銀行や消費者金融からの新たな借入れや、住宅ローン、自動車ローンなどの契約が一定期間できなくなります。
金融機関は、債務者の返済能力に対する信用が低くなるため、融資を拒否します。
この制約は、信用情報機関から事故情報が削除されるまで続きます。
一定の職業に就労できなくなる
自己破産手続き中は、法律によって一定の職業や資格が必要な業務に就くことが制限されます。
これを資格制限と呼びます。
具体的には、弁護士、税理士、司法書士といった士業や、生命保険の外交員などが該当します。
これらの職業は、他人の財産や信用を扱うため、破産手続き中の人はその資格や業務が一時的に停止されます。
奨学金の返済が難しい場合の対応
自己破産という最終手段を選ぶ前に、奨学金の返済が困難になった場合には、日本学生支援機構が提供する制度を利用すべきです。
返還期限猶予制度
返還期限猶予制度とは、災害、傷病、経済困難、失業などの事情により、奨学金を期限までに返還することが難しくなった場合に、返還期限を猶予してもらう制度です。
この制度を利用すれば、最長10年間まで返還を待ってもらうことができます。
猶予期間中は、利息の支払いは発生しません。
猶予が認められるには、以下の要件のいずれかを満たしている必要があります。
- 給与所得者の場合年収が300万円以下である
- 給与所得者以外の場合年収が200万円以下である
- 前年度よりも収入が減ったことにより上記の基準に該当している
減額返還制度
減額返還制度とは、奨学金の返還を継続しているものの、経済的な理由で月々の返還額を減らしたい場合に、返還額を一定期間減額してもらう制度です。
月々の返還額を2分の1または3分の1に減額することができます。 減額された期間に応じて、全体の返還期間は延長されます。
この制度は、一時的に収入が減少したり、予期せぬ出費があったりした場合に、返済の負担を軽減するために有効な制度です。
制度を利用するための要件は以下の通りです。
- 給与所得者の場合年収325万円以下
- 給与所得者以外の場合年収225万円以下
- 申請と審査の時点で返済を延滞していない
- 口座振替加入者である
まとめ
自己破産によって奨学金の返済義務はなくなりますが、連帯保証人や保証人に全額の返済義務が移ります。
自己破産は、信用情報への影響や職業の制限といったデメリットを伴います。
奨学金の返済が難しい場合は、自己破産よりも先に、返還期限猶予制度や減額返還制度といった公的制度の利用を検討しましょう。
自己破産を検討される際は、ぜひ弁護士にご相談ください。
