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コラムカテゴリー: 離婚

離婚後の養育費の平均相場と金額を変更できるケースについて解説

離婚

養育費の平均相場は、最高裁判所の公式ホームページで統計データを発表しており、どなたでも閲覧できます。
この記事では、離婚後の養育費の平均相場について解説します。

養育費とは

養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用であり、一般的には子どもが経済的・社会的に自立するまでにかかる費用を意味します。
離婚して親権がなくなった元配偶者でも、子どもの親であることに変わりはないので養育費の支払義務はなくなることはありません。

養育費の平均相場とは

養育費は子どもの人数や年齢、支払義務を負った親の年収によって費用は異なります。
また、支払義務者が給与受給者もしくは自営、養育費を受け取る権利者の年収によっても変動します。

養育費の平均相場に関する参考データ

養育費の平均相場について、最高裁判所事務総局が発表した令和5年度司法統計年報(家事編)を参考に説明したいと思います。

月額の養育費母親が監護者となった未成年の子どもの数
1人2人3人4人5人以上
1万円以下2.2%2.4%3.3%0.6%24.0%
1~2万円8.1%6.7%7.4%13.6%8.0%
2~4万円35.7%27.2%21.4%22.2%16.0%
4~6万円28.2%24.6%21.0%16.0%16.0%
6~8万円11.6%17.2%10.3%11.7%12.0%
8~10万円6.3%9.1%15.4%8.6%8.0%
10万円を超える7.9%12.8%21.2%27.2%16.0%
額不定0.1%
総数7,1434,6541,24116225

監護とは、子ども福祉や最善の利益を考慮しながら、継続的に保護する責任を持つことであり、金銭面や精神面なども含めて子どもの監督および保護を行う者のことを監護者と言います。
たとえば母親が監護者となって未成年の子どもを監護する場合、元配偶者が支払う養育費の平均相場は以下の通りです。

  • 子ども1人の場合:月額2~6万円
  • 子ども2人の場合:月額2~6万円
  • 子ども3人の場合:月額2~6万円もしくは10万円以上
  • 子ども4人の場合:月額1~6万円もしくは10万円以上
  • 子ども5人以上の場合:1~10万円以上


上記の平均相場は子どもの人数による金額であり、支払義務者および監護者の収入は考慮されておりません。
そのため、支払義務者の収入が多い場合には、平均相場よりも高い金額を支払う可能性があり、逆に支払義務者よりも監護者の方が多くの収入を得ている場合は、平均相場よりも低い金額になることもあります。
このように養育費は、支払義務者および監護者の収入を得る方法(給与・自営)や子どもの人数、年齢によっても平均相場は異なります。

また、家族構成や健康状態、収入額、子どもの進学先、支払義務者の支払い能力など、あらゆる面を考慮して決定されます。
具体的な養育費の目安をお知りになりたいときは、弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

養育費の金額を変更できるケースとは

養育費の金額は、当事者間の話し合いによって双方が合意すれば変更することは可能です。
子どもの成長とともに決定した養育費よりも多く必要になるケースもあれば、逆に支払義務者の収入が会社事情などで減少すると支払えない可能性もあります。
その際には、養育費の増減について当事者同士の話し合いが再度必要になるため、どのような場合に養育費の増減が必要になるのかを説明します。

養育費を増額したい場合

養育費を増やしたい場合とは、子どもや監護者に何らかの事情があり、以下のように一般的な状況よりもお金がかかる場合です。

  • 子どもが私立の高校や大学に進学した場合
  • 子どもが事故や病気で障害を負った場合
  • 監護者が病気などで今までのように働けず収入が減少した場合


基本的に子どもの成長とともに必要な養育費は多くなると考えられているため、養育費を決めた当初の金額では生活を維持できないかもしれません。
そのため、支払義務者と話し合って事情を理解してもらえれば養育費を増額してもらえる可能性があります。

養育費を減額したい場合

養育費を減らしたい場合とは、支払義務者などに以下のような事情が起こった場合です。

  • 支払義務者がリストラされて今までのように支払えない場合
  • 支払義務者が病気で勤務時間を短縮したために収入が減った場合
  • 支払義務者の再婚相手との間に子どもが生まれた場合
  • 監護者が再婚して、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合


その他にも社会情勢の影響により、物価高騰や増税などで支払義務者の生活が苦しくなった場合なども監護者と話し合うことで養育費を減額してもらえる可能性があります。

まとめ

今回は離婚後の養育費の平均相場について解説しました。
養育費の平均相場は、子ども年齢や人数、支払義務者および監護者の収入を得る方法(給与・自営)によっても異なります。
あくまでも今回ご紹介した平均相場は参考の金額であり、必ずしもご紹介した養育費を受け取れるわけではないのでご注意ください。
離婚後の養育費がいくらもらえるのか悩みや不安を抱えているようであれば、法律の専門家でもある弁護士に相談されることをおすすめいたします。

離婚が認められないケースとは?その理由と解決策も解説

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離婚が認められないケースには、法律上の制約や社会的な理由があります。
この記事では、離婚が認められないケースや離婚できない場合の解決策について解説します。

離婚が認められないケース

基本的に離婚するには夫婦の合意がなければ離婚できません。
そのため、夫婦のどちらかが離婚したいと言っても法的に離婚が認められないケースがあります。
主な離婚が認められないケースは以下の5つです。

  • 有責配偶者から離婚を申し出た場合
  • 離婚相手が離婚に合意してもらえない場合
  • 離婚理由を法的に認められない場合
  • 配偶者が精神病を患っていても回復の見込みがある場合


それぞれ理由を詳しく解説します。

有責配偶者から離婚を申し出た場合

離婚を申し出た者が有責配偶者の場合は離婚できない場合があります。
有責配偶者とは、離婚原因となった問題や行為を起こした配偶者のことです。
問題や行為とはDVや不貞行為、モラハラなどを行う行為です。
認められない理由として、夫婦生活を身勝手な行動で破綻させておきながら、一方的に離婚するという無責任な行動は認められないからです。
ただし、すでに夫婦生活が破綻している場合や、離婚を認めないことによって離婚相手に不合理な状況を招きかねない場合などは、有責配偶者でも例外的に認められることがあります。

離婚相手が離婚に合意してもらえない場合

離婚する場合は、基本的に夫婦の合意がなければ離婚できません。
一般的に用いられる協議離婚は、夫婦が離婚に合意した後に離婚届に署名・押印して役所に提出すれば離婚が成立します。
一方が離婚に合意しなければ、家庭裁判所に申し立てを行い調停離婚を行いますが、その際にも夫婦の合意が必要です。
離婚する際には、夫婦どちらか一方が離婚したいと言っても相手が合意しなければ離婚できないので注意してください。

離婚理由を法的に認められない場合

協議離婚や調停離婚で離婚できなければ、裁判離婚に発展するケースがあります。
その際、離婚理由が法律で以下のように定められており、該当する場合は訴えられます。

  • 配偶者の一方に不貞行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄(扶助・扶養を怠る行為)されたとき
  • 配偶者が行方不明になって生死が3年以上わからないとき
  • 配偶者が重い精神病を患い、回復の見込みがないとき
  • その他に婚姻を継続できない重大な事由があるとき


裁判において、離婚理由が上記内容に該当していないと判断された場合は、法的に認めてもらえないので離婚できません。

配偶者が精神病を患っていても回復の見込みがある場合

配偶者が重い精神病を患って回復の見込みがない場合は、家庭裁判所に離婚を申し立てることが可能です。
しかし、何年先になるかわからないけど回復の見込みがある場合は、離婚できない可能性があります。

離婚したいけど離婚できない場合の解決策

離婚する際には、以下の方法で行います。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 離婚裁判


次に、それぞれ詳しく解説します。

協議離婚

協議離婚の場合は、夫婦間で十分な話し合いを行い、互いの意見や感情を理解することが大切です。
感情的にならず冷静な話し合いが求められますが、話し合いで解決できなければ第三者に介入してもらう必要があります。
それでも、離婚に至らない場合は調停離婚や裁判離婚を検討する必要があります。

調停離婚

調停離婚とは、家庭裁判所に調停離婚の申し立てを行い、調停員に介入してもらって離婚に向けて話し合うことです。
調停員が、双方から親権や財産分与、養育費、慰謝料などの離婚条件を聞いて離婚の合意をもらえるように話を進めます。
第三者が介入することで、話し合いがスムーズに行える可能性があります。
ただし、離婚調停を行っても離婚できない場合があります。
その際には、離婚裁判を検討する必要があります。

離婚裁判

離婚裁判とは、裁判所の判決によって離婚する手続きです。
家庭裁判所に離婚訴訟の申し立てをして、裁判官が離婚できると認める判決を下せば離婚が成立します。
裁判は当事者でも行えますが、相手側が弁護士に依頼している場合や離婚の争点などを明確に判断し、相手と争うことは専門家でなければ困難です。
そのため、離婚裁判を行う場合は弁護士に依頼することをおすすめします。

まとめ

今回は、離婚が認められないケースや離婚できない場合の解決策について解説しました。
離婚は、基本的に夫婦の合意がなければできません。
離婚に至る経緯にはさまざまな理由があり、状況によっては思うように話が進まない場合があります。
その場合は、離婚裁判に発展する可能性も見越して、離婚調停の段階から離婚に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

離婚の際の財産分与の対象となる財産

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離婚という人生の大きな転換点では、時に様々な問題が生じます。
その中でも財産分与は、将来の生活設計や今後の生活に大きな影響を与える重要な問題です。
本稿では、離婚の際の財産分与の対象となる財産について、詳しく解説していきます。

財産分与とは

財産分与とは、離婚に際して夫婦の財産を清算し、分配することを指します。
民法第768条に規定されており、離婚後の生活の安定を図るために重要な役割を果たします。
財産分与の対象となる財産を正確に把握することは、公平な分割を実現するために不可欠です。

財産分与の対象となる財産の基本

財産分与の対象となる財産は、原則として婚姻中に夫婦が協力して得た財産(実質的共有財産)です。
ただし、個人の特有財産は対象外となります。
以下、具体的に見ていきましょう。

実質的共有財産

実質的共有財産とは、婚姻中に夫婦が協力して取得した財産を指します。
具体的には以下のようなものが含まれます。

1. 給与や賞与などの収入
2. 貯金や預金
3. 不動産(自宅やマンションなど)
4. 自動車
5. 株式や投資信託などの金融商品
6. 退職金(婚姻期間中に積み立てられた部分)
7. 生命保険の解約返戻金

これらの財産は、名義が一方にのみあったとしても、原則として分与の対象となります。

特有財産

特有財産とは、個人の所有する財産で、原則として財産分与の対象外となります。
主な特有財産は以下の通りです。

1. 婚姻前から所有していた財産
2. 婚姻中に相続や贈与で得た財産
3. 慰謝料など個人的な賠償金
4. 宝くじの当選金

ただし、特有財産であっても、婚姻中の管理や運用によって価値が増加した部分については、財産分与の対象となる可能性があります。

財産分与の対象となる具体的な財産

それでは、財産分与の対象となる具体的な財産について、詳しく見ていきましょう。

不動産

財産には様々ありますが、不動産は多くの場合で夫婦の最も大きな財産です。
自宅やマンション、投資用不動産などが対象となります。
名義が一方にあっても、婚姻中に取得したものであれば原則として分与の対象です。
ただし、ローンの残債がある場合は、その取り扱いも考慮する必要があります。

預貯金・現金

婚姻中に蓄えた預貯金や現金は、原則としてすべて分与の対象となります。
個人名義の口座であっても、婚姻中の収入や貯蓄であれば分与の対象です。
ただし、婚姻前からの貯金や相続で得た資金など、特有財産に該当するものは除外されます。

有価証券

株式、投資信託、債券などの有価証券も財産分与の対象となります。
婚姻中に購入したものであれば、名義に関わらず分与の対象です。
ただし、株価の変動など、評価額の算定には注意が必要です。

自動車・高額な動産

自動車や貴金属、美術品などの高額な動産も分与の対象となります。
これらは、購入時期や使用状況、減価償却なども考慮して評価されます。

退職金・年金

退職金や年金の取り扱いは複雑です。
まだ受給していない退職金でも、婚姻期間中に積み立てられた部分は分与の対象となる可能性があります。
厚生年金の分割制度を利用することで、年金受給権の分割も可能です。

保険

生命保険や損害保険の解約返戻金も、分与の対象となる可能性があります。
特に、解約返戻金の高い養老保険などは要注意です。

財産分与の対象とならない財産

前述の特有財産の他にも、以下のようなものは原則として財産分与の対象となりません。

1. 婚姻費用として既に消費された財産
2. 離婚後の生活費として必要な財産(一定の範囲内)
3. 職業に必要な道具類(医師の医療器具など)
4. 慰謝料請求権(別途請求が可能)

財産分与の方法と注意点

財産分与の方法には、現物分与と金銭分与があります。
どちらを選択するかは、財産の性質や両者の意向によって決まります。

現物分与

不動産や自動車などを、そのまま分割する方法です。
例えば、マンションの共有持分を分割するなどが該当します。

金銭分与

財産を換価して金銭で分割する方法です。
流動性が高く、清算が明確になるメリットがあります。
財産分与を行う際は、以下の点に注意が必要です。

  • 正確な財産評価:公平な分割のためには、財産の正確な評価が不可欠です。
  • 税金の考慮:不動産や株式の譲渡には、譲渡所得税などが発生する可能性があります。
  • 将来の生活設計:単に金額だけでなく、離婚後の生活を見据えた分割が重要です。
  • 専門家の助言:複雑なケースでは、弁護士や税理士など専門家の助言を得ることが賢明です。

まとめ

離婚の際の財産分与の対象となる財産について解説しました。
対象となる財産の範囲は広く、また個々のケースによって判断が分かれることもあります。
納得できる財産分与を実現するために、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に進めていくことをおすすめします。

離婚協議書は公正証書として残すべき?メリットと作成方法

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離婚協議書は離婚に合意した旨を定めた契約書のことで、離婚協議書を公正証書にすることで法的な拘束力を持たせることができます。
離婚後にトラブルとなった場合に、離婚協議書を公正証書にしておけば養育費の支払いが途絶えても対抗するための強力な証拠となります。
本稿では離婚協議書を公正証書として残すことのメリットとデメリット、そして作成方法について解説いたします。

公正証書とは

公正証書というのは法的な効果を持たせた書面を証明する文書のことで、公証人が行為者の依頼に基づいて作成するものです。
例えば養育費などの支払いについての取り決めを離婚協議書へ記載しているのに、約束を守ってくれないような場合に強制的に実行させることができます。

公正証書の効力は?

離婚協議書はあくまでも契約書に過ぎないので、書かれてある内容について相手が守らなかったとしても強制的に実行してもらうのは困難です。
公正証書は夫婦揃って公証役場に行き話し合いをしながら公証人が作成してくれます。
そのため記載された内容に強制執行できる文言がある場合には、内容に違反があれば強制執行することができます。

公正証書の作り方

公正証書は、公証役場に足を運んだからといって、すぐに作れるわけではないので注意しましょう。
具体的には以下の手順で作成を進めます。

  1. 公証役場へ足を運び、公正証書を作成するための、担当公証人を割り当ててもらう
  2. 担当公証人に、作成内容を伝え、詳細な記載内容の協議する
  3. 公証人が、協議内容を下に公正証書案を作成
  4. 依頼者が公正証書案の内容を確認する
  5. 依頼者と担当公証人で公正証書作成日時を確定させる。身分証明書や実印などの必要書類を持参し、公正証書を作成する

公正証書の作成費用

離婚協議書を公正証書にする場合の費用は、書面に記入した養育費や慰謝料の額などを合計した金額によって変わります。

日本公証人連合会

公正証書のメリット

離婚協議書を公正証書にしておけば、離婚したあとにトラブルが起こっても未然に防ぐことが可能となります。
具体的なメリットは次の通りです。

  • 証拠としての能力が高い
  • 強制執行することができる
  • 紛失しても原本は残っている

証拠としての能力が高い

公正証書は夫婦が揃って公証役場に行き、公証人に作ってもらいます。
当事者の夫婦が揃っているために内容に食い違いが起こることは基本的にはないはずです。
また当事者でない第三者の立場である公証人が作りますので、客観的に証拠能力の高いものです。

強制執行することができる

もし相手が約束を守らなかった場合には、強制執行することができます。
公正証書がなく離婚協議書だけの場合は、裁判所の手続きが必要になります。
しかし、公正証書の場合は裁判は不要で強制的に約束を実行させることができます。

原本がなくならない

離婚協議書を公正証書にする場合には、作った書面は保存しなければいけません。
もし紛失してしまった場合でも、依頼した公証役場には原本が保存されてありますので再取得することはできます。

デメリット

離婚協議書を公正証書にするのにデメリットは次の通りです。

費用がかかる

公証役場で公正証書にしてもらうには料金が発生します。
離婚協議書に記載されている養育費や慰謝料などの金額によって料金は変わります。
金額が高ければその分の費用も高くなるため大きな出費へと繋がります。

公証人とやりとりしなければいけない

公証役場に夫婦二人で赴いて公正証書を作成してもらいますが、離婚協議書の素案自体は夫婦で合意内容をまとめる必要があります。
素案を作成したうえで、具体的にどのような内容を公正証書とするのか公証人とやり取りをしなければなりません。

公正証書は離婚後にも作成できる?

公正証書は離婚後でも作成することは可能です。
一般的には離婚前に夫婦揃って公証役場で話し合いをしながら作成をします。
離婚が成立したあとでも公正証書の作成が可能ですが、一旦別れたあとで再び顔を合わせるのは抵抗のある人も多く難しいです。

公正証書の作成の流れ

公正証書の作成の流れは次の通りです。

  • 夫婦で話し合いを行う

    夫婦間で話し合いをして公正証書に記載する内容を決めていきます。

  • 離婚公正証書の原案を作成
  • 公証役場で事前に協議を行う

    原案ができたら公証役場で作成を依頼します。

  • 作成日の予約
  • 公証役場に訪問


予約した日に夫婦揃って公証役場へ赴きます。
この時、それぞれ本人確認書類を持参します。

  • 離婚公正証書の完成


公証人の面前にて離婚公正証書の読み合わせを行います。
その上で当事者が署名・捺印をして手数料を支払い公正証書を受け取ったら終了です。
公正証書の作成には、公証役場で申し込みを行ってから約2週間程度かかることを想定しておくといいでしょう。

公正証書作成に必要な書類

公正証書を作成する際に必要な書類は次の通りです。

  • 戸籍謄本


離婚前の場合は、家族全員が記載されたもの
離婚済みの場合は、それぞれの離婚後の戸籍謄本

  • 離婚協議書
  • 不動産の登記簿謄本「および固定資産税納税通知書


不動産の所有権を相手方に移す場合必要となるものです。

  • 年金分割のための年金手帳等


年金分割をする場合、当事者の年金番号を公正証書に記載するため年金番号がわかる資料が必要となります。

  • その他


車検証、保険契約証等

まとめ

離婚というのは相手のいることでトラブルになりやすい手続きとなります。
スムーズにいけば問題ありませんが、相手が離婚に応じない、約束を守らない、姿を消してしまったなどのトラブルにより離婚自体が進まないこともあります。
そんなときには早めに弁護士へご相談されることをおすすめします。

弁護士に離婚・親権問題を依頼するメリットについて解説

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夫婦がお互いに合意することで、離婚は成立します。
そのため、離婚するカップルで弁護士に依頼しないケースも少なくありません。
しかし離婚をする際に自分に有利な条件で離婚したり、親権問題で相手と争わなければならなかったりする場合には、弁護士に依頼したほうが良いでしょう。
弁護士に依頼することで具体的にどのようなメリットがあるのかについて、ここで紹介したいと思います。

離婚手続きを弁護士に依頼するメリットとは?

離婚するにあたって弁護士に依頼をするメリットはさまざまなことが挙げられます。以下に詳しく見ていきましょう。

交渉がスムーズに行く可能性がある

弁護士に依頼するメリットとして、相手との交渉がスムーズにいく可能性があることが挙げられます。
双方納得のうえで、離婚できればいいでしょう。
しかしこちらが離婚を切り出しても相手が応じてくれず、話し合いができない可能性があります。

また双方の家族が離婚にあれこれ口出しをするために、話が進まないケースもよくあります。
このような場合、弁護士に依頼するのがおすすめです。
少なくとも離婚を本気で検討していることが相手に伝わります。
そうすれば、相手は観念して話し合いに応じることが多いでしょう。

自分のペースで交渉が可能

自分のペースで相手と交渉することができる点も、弁護士に依頼するメリットのひとつです。
もし相手が離婚に関して精通している、弁が立つ場合、相手の口車に乗せられてしまい、気がついたら不利な条件で離婚成立する恐れがあります。
離婚では慰謝料や親権、養育費などさまざまな知識が必要です。
相手が専門用語などを駆使して話をされると、内容がわからずに相手のペースに乗せられる可能性もあるでしょう。
離婚問題に強みのある弁護士にお願いすれば、夫婦の状況を把握したうえで適切な条件を提示してもらえます。
相手のペースに巻き込まれ、不利な条件で離婚成立といった事態を回避できます。

すべての条件を出して話し合える

離婚の際にすべての条件を提示したうえで相手方と話を進められる点も、弁護士に依頼するメリットといえます。
当事者同士の話し合いの場合、本来決めるべきことを決めずに離婚が成立する恐れがあります。
後になって問題が発生し、どう解決するかで頭を悩ませることも少なくありません。
慰謝料や親権問題については、当事者同士で取り決めを交わしていることもあるでしょう。
しかし他にも別居期間中の婚姻費用や退職金・年金の分割問題など、クリアしなければならない問題があります。
離婚問題に詳しい弁護士であれば、すべての離婚条件を出して話し合いが可能です。
後々に問題が生じるような心配も少なく離婚ができます。

親権問題を弁護士に任せるメリット

子どものいる夫婦の場合、親権問題でこじれる可能性があります。
もし親権問題で双方の言い分が食い違っているのであれば、弁護士に一任すると良いでしょう。
弁護士が代理人になることで、自分で直接話し合いを行う必要もなくなるため、本業などほかのことに集中できます。

親権を取れる可能性が高まる

親権問題で争わなければならない場合には、自分が親権を取れる可能性が高まることもメリットのひとつです。
子どものいる夫婦で離婚問題がこじれる原因として、双方が親権を主張して譲らない場合があります。
この場合、とくに父親は不利になりやすいです。
というのも一般的に母親が親権者になるケースが多いからです。
もし男性で「どうしても親権が欲しい」というのであれば、早めに弁護士に相談するのがおすすめです。

自分が望む面会交流の取り決めを行うことができる

たとえ親権が難しい場合でも、弁護士に依頼をすれば次善の策として面会交流権を獲得できる可能性があることも、大きなメリットといえます。
面会交流権は子どもと定期的に合う権利のことで、こちらを行使すれば子どもとのつながりは失われません。
他には監護権の獲得を先方と交渉する弁護士もいます。
監護権とは親権はなくても、子どもと一緒に暮らせる権利のことです。
弁護士なら親権を獲得できなくても、これから子どもと関われる権利の獲得を目指します。

まとめ

離婚問題は当事者間で解決できるとは限りません。
また相手の条件とこちら側の条件が乖離していて、なかなか妥協点が見いだせないケースもあるでしょう。
このような場合は弁護士に相談してみると良いでしょう。
離婚問題に精通している弁護士に相談すれば、こちら側にできるだけ最善の条件での離婚手続きが進められる可能性が高まります。
また子どもの親権問題が起きている場合も弁護士に相談するのがおすすめです。
親権獲得が無理でも面会交流権の獲得など、子どもと定期的に会える権利を求めることが可能だからです。
離婚問題で悩んでいるのであれば、一度弁護士に相談することをおすすめします。

離婚の種類と手続について詳しく解説!

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離婚を考えている方にとって、どのような種類の離婚があり、それぞれどのような手続が必要なのかを理解しておくことは重要です。離婚の方法を選ぶ際には、夫婦の状況や離婚の理由、話し合いの進み具合などを考慮する必要があります。
ここでは、代表的な離婚の種類である協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚について、その特徴と手続の流れを詳しく解説します。

協議離婚

協議離婚は、夫婦の話し合いにより離婚や離婚条件について合意し、離婚届を提出することで成立します。
最も多く利用される離婚方法で、家庭裁判所を利用せず、比較的簡単に離婚することができます。

協議離婚のメリットは、裁判所を介さずに夫婦だけで手続を進められること、費用がかからないこと、短期間で離婚できることなどが挙げられます。
一方で、離婚条件についても夫婦で話し合って決める必要があるため、トラブルになりやすいというデメリットもあるので注意しましょう。

協議離婚の手続の流れ

協議離婚の手続の流れは以下のようになります。

1. 夫婦で離婚や離婚条件について話し合い、合意する
2. 離婚届に必要事項を記入し、夫婦双方が署名・押印する
3. 離婚届を市区町村役場に提出する

協議離婚の注意点

離婚条件について、後々トラブルにならないよう、書面で取り交わしておくことがおすすめです。
未成年の子がいる場合は、親権者を決めておく必要があります。
年金分割や財産分与など、複雑な問題がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

調停離婚

調停離婚は、夫婦の話し合いで離婚や離婚条件について合意できない場合に、家庭裁判所に調停を申し立てて行う離婚方法です。
調停委員を交えて話し合いを行い、合意に至れば調停離婚が成立します。

調停離婚のメリットは、裁判所の調停委員が公平な立場で話し合いを進めてくれること、裁判よりも費用が安く、手続が簡単であることなどです。
デメリットは、話し合いがまとまらない場合、調停が不成立になってしまうことです。

調停離婚の手続

調停離婚の手続は次のようになります。

1. 家庭裁判所に離婚調停を申し立てる
2. 調停期日に出頭し、調停委員を交えて話し合いを行う
3. 合意に至れば、調停調書を作成し、調停離婚が成立する
4. 調停調書に基づいて、離婚届を市区町村役場に提出する

調停離婚の流れ

調停離婚を行う場合は以下の流れで行います。

1. 申立書の提出
申立人が、離婚調停申立書を家庭裁判所に提出します。

2. 調停期日の決定
裁判所から、第1回調停期日の呼出状が送られてきます。

3. 調停の実施
調停期日に、申立人と相手方が裁判所に出頭し、調停委員立ち会いのもと、話し合いを行います。
合意に至るまで、数回の調停期日が設けられます。

4. 調停の成立または不成立
合意に至れば調停が成立し、調停調書が作成されます。
合意できない場合は、調停不成立となります。

5. 離婚届の提出
調停成立の場合、調停調書に基づいて離婚届を市区町村役場に提出します。

審判離婚

審判離婚は、調停でも合意に至らない場合に、家庭裁判所の審判により離婚が成立する方法です。
裁判官が双方の主張を聞き、離婚の可否や条件について判断を下します。

審判離婚と裁判離婚の違いは、審判離婚では裁判官が職権で判断を下すのに対し、裁判離婚では当事者双方が主張立証を尽くした上で裁判官が判決を下す点にあります。

また、審判離婚のメリットは、裁判官の職権により、離婚やその条件が決定されるため、当事者間の話し合いが不要なことです。
デメリットは、審判に不服がある場合、即時抗告をして高等裁判所に抗告することになるため、手続が長引く可能性があるということです。

審判離婚の手続

審判離婚を行う際、以下の手続の流れで進みます。

1. 家庭裁判所に離婚審判を申し立てる
2. 審判期日が指定されるので、双方が出頭して裁判官に主張を述べる
3. 裁判官が職権で離婚の可否や条件について審判を下す
4. 審判が告知されてから2週間以内に異議申立てがなければ、審判が確定し、離婚が成立する

審判離婚が行われるケース

審判離婚が行われる具体的なケースは以下のようなケースです。

  • 調停が不成立で審判に移行した場合
  • 当事者の一方が調停に応じない場合
  • 当事者間の主張が平行線をたどり、話し合いでの解決が難しい場合

裁判離婚

裁判離婚は、調停が不成立に終わり、さらに審判でも離婚が成立しない場合に、訴訟を提起して裁判所の判決により離婚を成立させる方法です。
原告が離婚事由の存在を主張・立証する必要があります。

裁判離婚のメリットは、離婚の成否や条件が法的に決定されるため、当事者間の話し合いが不要なことです。
デメリットは、訴訟手続に時間と費用がかかること、裁判の内容が公開されることなどです。

裁判離婚を行うためには、まず調停を申し立てる必要があります。これを調停前置主義といいます。調停が不成立に終わった場合に、初めて裁判を起こすことができるのです。

裁判離婚の手続

裁判離婚の手続は以下の流れで進みます。

1. 調停が不成立に終わったら、家庭裁判所に離婚訴訟を提起する 
2. 裁判期日に出頭し、離婚事由について主張・立証を行う
3. 裁判所が判決を下す
4. 判決が確定すれば、離婚が成立する

裁判で離婚が認められる理由

民法770条1項および2項では、以下のように裁判で離婚が認められる理由を定めています。

1. 配偶者に不貞行為があったとき
2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
4. 配偶者に強度の精神病があり、回復の見込みがないとき
5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

審判離婚と裁判離婚の違い

審判離婚と裁判離婚はどちらも裁判所による離婚手続ですが、違いが3つあります。

1つ目は、審判離婚では、裁判官が職権で事実関係を調査し、離婚の可否や条件を判断するのに対し、裁判離婚では、当事者双方が裁判所に証拠を提出し、主張立証を尽くした上で、裁判官が判決を下すことです。

2つ目は、審判離婚の審判に不服がある場合は、高等裁判所に即時抗告をする必要がありますが、裁判離婚の判決に不服がある場合は、控訴することになるということです。

3つ目は、審判離婚では、調停が不調に終わった場合に移行することが多いのに対し、裁判離婚は、調停不成立後、当事者の一方が離婚訴訟を提起することで始まる点です。

この3つの違いを踏まえて、その時にあった方法を弁護士と相談して検討してみてください。

和解離婚と認諾離婚

和解離婚は、離婚訴訟の途中で、裁判官から和解勧告がなされ、当事者双方がこれを受け入れることで成立する離婚方法です。裁判官が当事者双方の主張を踏まえて和解案を提示し、双方がこれに合意すれば、和解が成立し、離婚が成立します。

認諾離婚は、離婚訴訟の途中で、被告が原告の離婚請求を全面的に受け入れる(認諾する)ことで成立する離婚方法です。被告が認諾すると、裁判所はそれを確認した上で、原告の請求通りの判決を下し、離婚が成立します。

これらの離婚方法は、調停や審判とは異なり、離婚訴訟の過程でのみ選択することができるため注意が必要です。

まとめ

離婚を考えている方は、まずは夫婦で話し合いを尽くすことが大切ですが、合意が難しい場合は、調停や審判、裁判といった法的手続を検討しましょう。
その際は、弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
離婚は人生の大きな岐路であり、後悔のないよう、慎重に進めていくことが肝要です。
当事務所では、離婚に関するあらゆるご相談に対応しておりますので、お悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

離婚の手続や方法はどうなる?具体的な流れについて詳しく解説

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せっかくの運命の出会いと思って結婚したとしても、結婚生活を送る中で様々な事由により離婚を決意せざるを得ない場合があります。
今回は離婚にも複数の種類があること、それに加え最も多い離婚のパターンである協議離婚の手続と流れを確認しながら後でトラブルにならない方法を紹介していきます。

離婚の種類

離婚方法にも複数の種類があります。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 審判離婚
  • 裁判離婚

それぞれどう違うのか?それぞれの離婚で離婚届以外の必要書類について確認しましょう。

協議離婚

協議離婚は夫婦の話し合いによって離婚する方法です。
離婚自体は夫婦が合意のうえ届出をすることで成立しますが、離婚条件などは口約束だけで終わらせると後々トラブルに発展する可能性があるので、離婚協議書として条件を書面に残すことが大切です。
なお離婚届を出す際には、戸籍謄本と、提出するひとの本人確認書類が必要です。

調停離婚

夫婦間の話し合いではうまくいかない、話し合いに相手が応じなかったり、モラハラやDVの加害者のため話ができない場合に行われる方法です。
調停委員が仲介に入り、裁判所で話し合いが行われます。
離婚希望者が申請の手続を行います。
合意が成立すれば離婚届を提出しますが、裁判所が認めている理由により証人欄の記載は不要です。
離婚届の他に必要な書類は協議離婚で必要なものに加え、調停調書の謄本が必要です。

審判離婚

審判離婚とは、調停を重ねて夫婦間での大まかな合意がなされているものの、細かい点で相違がある場合に行われる離婚方法です。
内容は裁判所が事情を考慮して離婚の条件や離婚の成否について職権で下します。
審判が成立した場合、離婚届を出す際に審判書の謄本および確定証明書が必要となります。

裁判離婚

離婚調停が不成立に終わり、また離婚事由が次のいずれかに当てはまる場合には離婚裁判を起こすことができます。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 配偶者が強度の精神病で回復が見込めない場合
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

裁判で上記を立証することができれば、裁判離婚することができます。

なお判決に納得いかない場合には不服申し立てをして控訴することも可能です。
判決離婚が成立した場合、判決書の謄本および確定証明書が必要となります。

協議離婚の手続と流れ

離婚の中で最も多い協議離婚についての手続や流れはおおむね次のようになっています。

  1. 離婚後の生活を計画する
  2. 離婚の切り出しを行う
  3. 離婚条件を夫婦で話し合う
  4. 合意後に離婚協議書の作成を行う
  5. 離婚協議書を公正証書にする
  6. 自治体に離婚届の提出

順番に詳しく確認していきましょう。

1.離婚後の生活を計画する

離婚をしたい場合、最初に離婚後の生活を計画しましょう。
感情だけで無計画に離婚を行なっても、後で生活などができないといった事の無いようにじっくりと計画します。

2. 離婚の切り出しを行う

離婚の切り出しを行う段階です。いきなり切り出しても離婚に応じてもらえない場合や不利な離婚条件が決められる恐れがあります。
離婚の原因となる証拠を集めたり、夫婦の共有財産の確認などを行うなどの準備を行ってから切り出しましょう。

3.離婚条件を夫婦で話し合う

夫婦間での話し合いの段階です。
離婚条件をしっかりと話し合って後でトラブルにならないように未然に防ぎます。
話し合う条件は、慰謝料、財産分与、年金分割、未成年の子どもがいた場合の親権、養育費、親権が得られなかった場合の面会交流などです。

4.合意後に離婚協議書の作成を行う

離婚条件の話し合いが成立したら、離婚協議書を作成します。
話し合いで合意していても口頭で済ませてしまうと「言った、言わない」など、後でトラブルが起きてしまいます。
そのようなことが無いように書面で合意事項を残しておくと、証拠となりトラブルが起きません。

5.離婚協議書を公正証書にする

離婚協議書はできれば公正証書にしたほうが無難です。
慰謝料や財産分与、親権と言った約束事を書面で残すだけでなく、法律知識に精通している公証人に作成しておけば、証拠の信頼性が高まり、約束を守らなければ公正証書の効力を持って強制執行の手段を取ることができます。

6.自治体に離婚届の提出

離婚協議書を公正証書にして、離婚における決めごとが確実に施行できるようになったら、ようやく離婚届の提出です。
離婚届は夫婦の本籍地の他、どちらかが住んでいる所在地の役所の提出となります。
本籍地以外で提出する場合は夫婦の戸籍謄本が必要なので注意しましょう。

まとめ

離婚をする際には、一般的には夫婦話し合いで合意する協議離婚ですが、話し合いができない場合には調停離婚や、審判離婚、裁判離婚という手段を用いて対応しなければなりません。
また感情的になってすぐに離婚を切り出したり、離婚届を出したりすると後でトラブルになる可能性があります。
離婚をする際にはじっくりと計画の準備を行ってから離婚を切り出し、話し合うことが大切です。
とはいえどんなに入念に準備を行っても、相手の態度次第ではなかなか問題が解決しないこともあるでしょう。
そのような場合には、争いが大きくなる前に弁護士へ相談することを検討してみて下さい。

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