金法律事務所

金法律事務所公式ロゴ

離婚協議書は公正証書として残すべき?メリットと作成方法

目次

離婚協議書は離婚に合意した旨を定めた契約書のことで、離婚協議書を公正証書にすることで法的な拘束力を持たせることができます。
離婚後にトラブルとなった場合に、離婚協議書を公正証書にしておけば養育費の支払いが途絶えても対抗するための強力な証拠となります。
本稿では離婚協議書を公正証書として残すことのメリットとデメリット、そして作成方法について解説いたします。

公正証書とは

公正証書というのは法的な効果を持たせた書面を証明する文書のことで、公証人が行為者の依頼に基づいて作成するものです。
例えば養育費などの支払いについての取り決めを離婚協議書へ記載しているのに、約束を守ってくれないような場合に強制的に実行させることができます。

公正証書の効力は?

離婚協議書はあくまでも契約書に過ぎないので、書かれてある内容について相手が守らなかったとしても強制的に実行してもらうのは困難です。
公正証書は夫婦揃って公証役場に行き話し合いをしながら公証人が作成してくれます。
そのため記載された内容に強制執行できる文言がある場合には、内容に違反があれば強制執行することができます。

公正証書の作り方

公正証書は、公証役場に足を運んだからといって、すぐに作れるわけではないので注意しましょう。
具体的には以下の手順で作成を進めます。

  1. 公証役場へ足を運び、公正証書を作成するための、担当公証人を割り当ててもらう
  2. 担当公証人に、作成内容を伝え、詳細な記載内容の協議する
  3. 公証人が、協議内容を下に公正証書案を作成
  4. 依頼者が公正証書案の内容を確認する
  5. 依頼者と担当公証人で公正証書作成日時を確定させる。身分証明書や実印などの必要書類を持参し、公正証書を作成する

公正証書の作成費用

離婚協議書を公正証書にする場合の費用は、書面に記入した養育費や慰謝料の額などを合計した金額によって変わります。

日本公証人連合会

公正証書のメリット

離婚協議書を公正証書にしておけば、離婚したあとにトラブルが起こっても未然に防ぐことが可能となります。
具体的なメリットは次の通りです。

  • 証拠としての能力が高い
  • 強制執行することができる
  • 紛失しても原本は残っている

証拠としての能力が高い

公正証書は夫婦が揃って公証役場に行き、公証人に作ってもらいます。
当事者の夫婦が揃っているために内容に食い違いが起こることは基本的にはないはずです。
また当事者でない第三者の立場である公証人が作りますので、客観的に証拠能力の高いものです。

強制執行することができる

もし相手が約束を守らなかった場合には、強制執行することができます。
公正証書がなく離婚協議書だけの場合は、裁判所の手続きが必要になります。
しかし、公正証書の場合は裁判は不要で強制的に約束を実行させることができます。

原本がなくならない

離婚協議書を公正証書にする場合には、作った書面は保存しなければいけません。
もし紛失してしまった場合でも、依頼した公証役場には原本が保存されてありますので再取得することはできます。

デメリット

離婚協議書を公正証書にするのにデメリットは次の通りです。

費用がかかる

公証役場で公正証書にしてもらうには料金が発生します。
離婚協議書に記載されている養育費や慰謝料などの金額によって料金は変わります。
金額が高ければその分の費用も高くなるため大きな出費へと繋がります。

公証人とやりとりしなければいけない

公証役場に夫婦二人で赴いて公正証書を作成してもらいますが、離婚協議書の素案自体は夫婦で合意内容をまとめる必要があります。
素案を作成したうえで、具体的にどのような内容を公正証書とするのか公証人とやり取りをしなければなりません。

公正証書は離婚後にも作成できる?

公正証書は離婚後でも作成することは可能です。
一般的には離婚前に夫婦揃って公証役場で話し合いをしながら作成をします。
離婚が成立したあとでも公正証書の作成が可能ですが、一旦別れたあとで再び顔を合わせるのは抵抗のある人も多く難しいです。

公正証書の作成の流れ

公正証書の作成の流れは次の通りです。

  • 夫婦で話し合いを行う

    夫婦間で話し合いをして公正証書に記載する内容を決めていきます。

  • 離婚公正証書の原案を作成
  • 公証役場で事前に協議を行う

    原案ができたら公証役場で作成を依頼します。

  • 作成日の予約
  • 公証役場に訪問


予約した日に夫婦揃って公証役場へ赴きます。
この時、それぞれ本人確認書類を持参します。

  • 離婚公正証書の完成


公証人の面前にて離婚公正証書の読み合わせを行います。
その上で当事者が署名・捺印をして手数料を支払い公正証書を受け取ったら終了です。
公正証書の作成には、公証役場で申し込みを行ってから約2週間程度かかることを想定しておくといいでしょう。

公正証書作成に必要な書類

公正証書を作成する際に必要な書類は次の通りです。

  • 戸籍謄本


離婚前の場合は、家族全員が記載されたもの
離婚済みの場合は、それぞれの離婚後の戸籍謄本

  • 離婚協議書
  • 不動産の登記簿謄本「および固定資産税納税通知書


不動産の所有権を相手方に移す場合必要となるものです。

  • 年金分割のための年金手帳等


年金分割をする場合、当事者の年金番号を公正証書に記載するため年金番号がわかる資料が必要となります。

  • その他


車検証、保険契約証等

まとめ

離婚というのは相手のいることでトラブルになりやすい手続きとなります。
スムーズにいけば問題ありませんが、相手が離婚に応じない、約束を守らない、姿を消してしまったなどのトラブルにより離婚自体が進まないこともあります。
そんなときには早めに弁護士へご相談されることをおすすめします。