相続が発生した際に、遺産をどのように分けるかを話し合う遺産分割協議は、相続手続きにおける重要な手続きです。
しかし、相続人同士の意見が対立したり、連絡の取れない相続人がいたりして、協議が難航するケースは珍しくありません。
今回は、遺産分割協議の概要や、遺産分割協議がまとまらない場合にとるべき対応について解説します。
遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは、遺言書が存在しない場合や、遺言書に指定されていない遺産がある場合に、すべての相続人が集まって誰がどの遺産をどれだけの割合で取得するかを話し合って決定する手続きをいいます。
民法では、法定相続分という遺産分割において目安となる基準が定められています。
しかし、遺産分割協議において他の相続人の合意を得られれば、法定相続分とは異なる割合や特定の財産ごとでの分割をすることが可能です。
ただし、遺産分割協議は、必ず相続人全員が参加して合意しなければなりません。
ひとりでも反対する人がいたり、行方不明者がいたりして全員の署名・捺印が揃わない場合、遺産分割協議書を完成させることができず、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなどの手続きを進められなくなってしまいます。
遺産分割協議がまとまらない場合の対策
相続人間の意見が対立したり、相続人全員に連絡をとることができなかったりして遺産分割協議がまとまらない場合には、以下の対策を講じることを検討してください。
遺産分割協議がまとまらなくても期限までに相続税申告する
遺産分割協議がまとまらない場合であっても、相続税の申告は免除されません。
被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内という申告期限を過ぎてしまうと、通常通り無申告加算税や延滞税のペナルティが科せられます。
ペナルティを回避するためには、各相続人が法定相続分にしたがって遺産を取得したと仮定して計算した税額に基づき、とりあえずの相続税申告と納税を行う必要があります。
この際、申告期限後3年以内の分割見込書を税額控除の適用を受けるための書類と一緒に税務署へ提出しておきましょう。
そうすることで、後日正式に遺産分割がまとまった際に、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を遡って適用し、修正申告や更正の請求によって税金の還付を受けることができるようになります。
弁護士に交渉の代理を依頼する
相続人同士の感情的な対立が激しくなり、直接話し合うことが困難な場合には、弁護士に交渉の代理を依頼することが効果的です。
弁護士が他の相続人との連絡を代理で行うことにより、感情的な衝突が和らぎ、スムーズに合意に至りやすくなります。
弁護士は、法的な根拠に基づいた範囲で依頼人に最も有利となる分割案を提示して交渉を主導します。
また、行方が分からない相続人がいる場合や、連絡を拒絶されていて相続人全員に連絡を取ることが難しい状況においても、戸籍の調査による所在の特定や、代理人としての書面送付などによる法的なアプローチを通じて遺産分割協議を円滑に進めるサポートを行います。
将来の裁判手続きを見据えた証拠の整理や、遺産分割協議書の作成まで継続してサポートを受けられるという点も弁護士に相談するメリットです。
家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる
当事者間の話し合いや弁護士を交えた交渉でも遺産分割協議をまとめることが困難な場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるという選択肢があります。
調停では、裁判官1名と民間から選ばれた調停委員2名以上で構成される調停委員会が、相続人双方からそれぞれの主張や希望を個別に聴き取り、中立的な立場から話し合いによる解決へ向けたアドバイスや調整を行います。
裁判のように判決を下されるものではなく、あくまで話し合いを基本とした手続きですが、お互いが顔を合わせずに冷静な意見交換ができる環境が整います。
調停でも合意に至らなかった場合には自動的に審判へと移行し、裁判官が一切の事情を考慮して分割方法を決定することになります。
調停や審判の手続きには一定の時間や労力がかかるため、計画的に準備を進めることが欠かせません。
弁護士にご依頼いただければ、交渉から調停や審判に移行する場合であっても、継続してサポートを提供することが可能です。
まとめ
今回は、遺産分割協議の概要と、遺産分割協議がまとまらない場合の対応について解説しました。
遺産分割協議は、相続において遺産の分割方法を決めるための重要な手続きです。
意見が対立したり相続人に連絡がつかなかったりして遺産分割協議がまとまらない場合には、弁護士に交渉の代理を依頼することをご検討ください。
交渉でも合意に至らない場合には調停の申し立てが選択肢として挙がりますが、この場合にも、弁護士に相談することをおすすめします。