交通事故に遭った際、保険会社から提示される過失割合に納得できない場合があります。
そのまま受け入れると、不利な条件で示談が成立する可能性があるため注意が必要です。
今回は、提示された過失割合に納得できない場合の具体的な対応方法を解説します。
そもそも過失割合とは?
過失割合とは、交通事故における当事者それぞれの過失(注意義務違反)の程度を数値化したものです。
たとえば、過失割合が「7:3」とされた場合、7割の責任がある側がより大きな損害賠償責任を負います。
事故の状況や証拠、過去の判例などをもとに判断されるケースが多く、最終的には当事者の合意によって確定します。
過失割合に納得できない理由とは
保険会社が提示する過失割合がすべて正しいとは限りません。
以下のような理由で、納得できないと感じるケースがあります。
- 事故状況の理解に相違がある
- 自分に不利な証拠だけが評価されている
- 過去の判例との整合性が取れていない
- 保険会社が交渉を急いでいるため説明が不十分
過失割合に納得できなくても、感情的にならず、冷静に対応してください。
過失割合に納得できないときの対応手順
提示された過失割合に同意できない場合、以下のような手順で対応します。
①事故状況に関する証拠を再確認する
②保険会社に説明を求める
③意見が食い違う場合は交渉を継続する
④弁護士に相談する
それぞれ確認していきましょう。
①事故状況に関する証拠を再確認する
まずは、自分が把握している事故状況を改めて整理し、客観的な証拠を揃えてください。
たとえば、以下のような資料が役立ちます。
- ドライブレコーダーの映像
- 現場の写真や見取り図
- 警察が作成した実況見分調書
- 目撃者の証言や連絡先
過失割合に納得ができない場合、基本的に相手の保険会社と交渉することになります。
証拠の内容によっては、保険会社の判断を覆す材料となる場合もあるため、徹底的に情報収集を行いましょう。
②保険会社に説明を求める
事故状況に関する証拠を再確認できたら、実際に相手の保険会社との交渉に入ります。
過失割合の根拠があいまいな場合、保険会社に対して「どのような基準で判断されたのか」を説明してもらいます。
参照した判例や過失割合の基準(判例タイムズなど)を尋ねて、合理性を確認してください。
③意見が食い違う場合は交渉を継続する
過失割合は、双方が納得し、合意したうえで成立します。
そのため、納得できないまま合意する必要はありません。
保険会社との話し合いで、自身の主張や証拠を提示し、再評価を促してください。
④弁護士に相談する
「交渉が進展しない」「不利な内容を強く押し付けられている」と感じた場合は、交通事故に詳しい弁護士への相談を検討します。
弁護士は法律的な観点から過失割合を検討し、必要に応じて示談交渉の代理や訴訟対応も行ってくれます。
過失割合の交渉を弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼するメリットは、以下の通りです。
- 適正な割合を主張できる
- 保険会社の主張に対抗できる
- 交渉ストレスを軽減できる
- 裁判に発展しても対応できる
それぞれ詳しく解説します。
適正な割合を主張できる
過失割合の判断には、判例や事故状況に関する高度な知識が必要です。
弁護士はドライブレコーダーの映像や警察の実況見分調書などを精査して、依頼者にとって不利益にならないよう考えてくれます。
また、過去の事例や「判例タイムズ」などの基準を参考にし、適正な過失割合を主張してくれます。
保険会社の主張に対抗できる
保険会社は営利企業であるため、示談交渉では自社に有利な過失割合を提示する傾向があります。
しかし弁護士が介入すると、その場で不当な割合に対して明確な反論ができ、一方的に不利な内容を押し付けられるリスクが軽減されます。
相手側としても、弁護士が対応しているとなれば、軽視するような対応は取りにくいでしょう。
交渉ストレスを軽減できる
交通事故後は、被害者はもちろんのこと、加害者側も気が動転してさまざまなストレスを抱えます。
そうした状態で保険会社との交渉を続けると、精神的な負担がより大きくなるかもしれません。
弁護士に依頼すれば、交渉に関わる必要がなくなるため、自分の生活に集中できます。
裁判に発展しても対応できる
示談交渉で解決に至らず、最終的に裁判へ進むケースもあるかもしれません。
弁護士に依頼していれば、交渉から訴訟まで一貫してサポートを受けられます。
たとえば証拠の収集・整理、主張書面の作成、法廷での弁論なども安心して任せられます。
交通事故案件に精通した弁護士であれば、裁判例や損害算定の実務にも強いため、裁判を通じてより有利な判決を引き出せる可能性があります。
過失割合の話し合いで注意すべきポイント
今回の内容を総括する形になりますが、過失割合をめぐるやりとりでは、以下の点に注意して対応してください。
- 感情的にならず、事実と証拠を軸に交渉する
- 保険会社の提示にすぐに同意せず、納得できるかどうかを確認する
- 専門家の意見を取り入れることをためらわない
一度合意すると、基本的に過失割合を後から変更するのは困難です。
示談書に署名する前に、専門家の判断も仰ぎつつ、本当に納得できる数字かどうかを判断してください。
まとめ
今回は、提示された過失割合に納得できない場合の対応方法について解説しました。
過失割合は損害賠償額に直結するため、不合理な割合を受け入れてしまうと大きな不利益を被るおそれがあります。
客観的な証拠をもとに保険会社と交渉を重ね、必要に応じて弁護士の力を借りながら、自身にとって適切な条件での解決を目指すことが重要です。