自己破産を行う場合、破産管財人という役割の者が選任されることがあります。
今回は、破産管財人が選任されるケースや役割などについて解説します。
自己破産とは
自己破産とは、借金などの債務が自身の支払い能力を超えているときに、裁判所に支払い義務を免除してもらう手続きのことをいいます。
債務者が支払不能の状態にある場合に、その生活を再建させることが自己破産の目的とされています。
自己破産で破産管財人が選任されるケース
自己破産の手続きには、破産管財人が選任される管財事件と、破産管財人が選任されない同時廃止という2つの種類があります。
破産管財人が選任される管財事件となるのは、主に債務者が一定以上の財産を所有している場合です。
破産法上の基準を超える財産、たとえば、一定額以上の現金、預貯金、不動産、生命保険の解約返戻金、自動車などを債務者が所有している場合、その財産を換価し、債権者に配当する必要が生じます。
この換価や配当の手続きを行うために、破産管財人が選任されます。
破産管財人のおもな役割
破産管財人が果たすべき役割は多岐にわたり、破産手続の公平性と適正性を保つために極めて重要です。
主に次のような役割があります。
- 破産財団の管理・処分権を行使する
- 破産財団に属する財産の調査を行い確定させる
- 債権者へ公平な配当を行う
- 免責に関する調査や意見陳述
それぞれ確認していきましょう。
破産財団の管理・処分権を行使する
破産管財人の主要な役割は、破産財団の管理と処分権を専属的に行使することです。
破産財団とは、破産者の財産で、破産手続の対象となるものを指します。
破産管財人は、破産財団に属する財産の占有、管理、維持を行い、その価値を減らさないように努めます。
さらに、最終的に財産を現金化する換価手続きに向けて、財産の売却や回収など、処分権を行使します。
この職務を通じて、破産管財人は債権者への配当原資を確保します。
破産財団に属する財産の調査を行い確定させる
破産管財人は、破産財団に属する財産を調査し、その範囲と価値を確定させる責任を負います。
この調査には、破産者から提出された財産目録の確認だけでなく、過去の財産隠しや不当な財産処分がなかったかについても詳しく調べることも含まれます。
必要に応じて、過去に行われた財産処分を取り消す否認権を行使したり、未完了の契約関係の整理を進めたり、役員責任の追及などを行ったりして、破産財団の増殖を目指します。
債権者へ公平な配当を行う
破産管財人は、財団の換価、つまり財産の現金化が完了した後、その現金を用いて債権者への公平な配当を実現する役割を持ちます。
具体的には、債権者から提出された届出に基づき、破産債権者の範囲や債権額を調査し、これを確定させます。
そして、法律の定める優先順位に従って、配当に関する職務を遂行します。
この配当手続きを通じて、すべての債権者が法的に平等に取り扱われることを保証します。
免責に関する調査や意見陳述
破産管財人の職務には、債務者の免責に関する調査も含まれます。
免責とは、残った借金の支払い義務を免除する手続きであり、自己破産の最終目的です。
破産管財人は、破産手続開始に至った経緯について債務者に聞き取りを行い、免責不許可事由がないかを調査します。
調査結果に基づき、免責を許可すべきかどうかについて、裁判所に対して意見を陳述します。
免責不許可事由がある場合でも、裁判所が債務者の生活再建の意欲などを考慮して免責を認める裁量免責という制度があり、破産管財人の意見はこの判断に大きな影響を与えます。
破産管財人の選任方法は?
破産管財人は、破産手続の開始決定と同時に、裁判所が選任します。
申立人が特定の人物を指名することはできません。
裁判所は、破産事件の規模や複雑性、または破産管財人の専門性を考慮して、適切な弁護士を名簿の中から選任します。
破産管財人が選任された後は、裁判所が破産管財人の職務遂行を監督し、職務の遂行が不適切であると判断された場合には、裁判所が必要に応じて解任することができます。
また、大規模な法人の破産手続など、案件が複雑な場合には、破産管財人が複数選任されることもあります。
破産管財人が複数選任される場合は、共同して職務を行うことが原則とされていますが、裁判所の許可があれば、職務分掌を定めて個別の職務を担当したり、単独で業務を執行したりすることも可能です。
このように、破産管財人の選任は裁判所の専属的な権限であり、中立性と公平性が保たれる仕組みとなっています。
まとめ
今回は自己破産における破産管財人とは何か、また役割について考えていきました。
自己破産の管財事件は、同時廃止事件に比べ、複雑な手続きや破産管財人とのやりとりが発生します。
そのため、自己破産を考えている場合には弁護士に相談することを検討してください。