離婚を意識した配偶者が、同意なく子どもを連れて行ってしまい、別居することがあります。
このような子どもの連れ去りは違法行為といえるのでしょうか。
今回は子どもの連れ去りを早期に対応すべき理由について解説します。
子どもの連れ去りとは?
子どもの連れ去りとは、親権を持つ者または監護権を持つ者が、相手方の同意を得ずに子どもを現在の居住地から連れ出す行為を指します。
この行為は、未成年者誘拐罪に問われる可能性もある重大な問題ですが、夫婦間の問題であるために、連れ去り行為の違法性については、離婚や別居の状況によって判断が分かれることがあります。
離婚前の監護者の場合違法性が低いとされる
夫婦がまだ離婚に至っておらず、共同生活を続けている段階で、一方の親が子どもを連れて別居を開始するケースは多くみられます。
このような場合、連れ出した側の親が、事実上、子どもの生活を監督・保護する監護者として適切であったと判断されることがあります。
夫婦の共同生活がすでに破綻している状況下において、子どもの養育環境を確保するという目的が重視されるためです。
別居後の子どもの連れ去りは違法性が高い
夫婦がすでに別居しており、どちらの親が子どもを監護するかについて合意が成立している、または裁判所の判断が出ている状況下での連れ去り行為は、違法性が高いと判断されます。
別居が長期化し、子どもが一方の親との生活に慣れ、その環境が安定している場合、その安定した環境を破壊する行為は、子の福祉に大きく反するとみなされます。
特に、面会交流の日程を利用するなどして、監護権を持つ親の合意なく子どもを連れ去り、監護親と子どもとの交流を遮断する行為は、悪質性が高いと評価されます。
裁判所は、別居後に安定した監護体制を奪う行為に対しては、子の引渡しを命じる審判や、間接強制などの強力な手段を用いて、早期に元の状態に戻す判断を下す傾向があります。
別居後の連れ去りは、刑事上の未成年者誘拐罪にも該当する可能性があり、連れ去った親は民事や刑事の両面で責任を問われることになります。
年齢によっては子どもの意思で付いてきた場合はどうなる?
子どもの連れ去りの問題において、子どもの意思は非常に重要な要素となります。
連れ去り行為があったとしても、子ども自身の自由な意思に基づいて、連れ出した親と一緒にいたいと望んだ場合、法的な判断に影響を与えることがあります。
ただし、子どもの意思が尊重されるかどうかは、子どもの年齢と発達段階によって異なります。
一般的に、裁判所は10歳から15歳程度以上の子どもの意思については、その形成過程を慎重に調査した上で、子の福祉の観点から尊重する傾向があります。
子どもが連れ去られたときの対処法
子どもが連れ去られたときの対処法として、次のようなものが考えられます。
子の引渡しの調停・審判を行う
子どもが連れ去られた場合、まず家庭裁判所に対し、子の引渡しの調停または審判を申し立てます。
これは、子どもを監護している相手方に対し、子どもを元の生活環境に戻すよう裁判所が命じることを求める手続きです。
基本的には、話し合いから始まる手続きですが、DVなど状況によって話し合いが困難な場合は、最初から審判を申し立てることも可能です。
審判では、裁判官が提出された証拠や、家庭裁判所調査官の調査結果などに基づいて判断を下します。
子の引渡しを求める親は、自分が監護親としてふさわしいことや、連れ去られた状況が子の福祉に反することを主張し、証明する必要があります。
審判前の保全処分を行う
子の引渡しの調停や審判には時間がかかることが多く、その間に子どもの生活環境が固定化されてしまうリスクがあります。
これを防ぐために、本案の審判が下されるまでの間、子どもを一時的に元の親に引き渡すよう命じる審判前の保全処分を同時に申し立てることができます。
保全処分は、緊急性が高いと裁判所が判断した場合に発令されるものであり、子の福祉を一時的かつ緊急に確保するための非常に強力な手段です。
申立ての際は、連れ去りによる子どもの心身への影響や、生活環境の急変による不利益などを具体的に示す証拠を提出することが重要となります。
相手が引き渡しに応じない場合は強制執行できる可能性もある
子の引渡しを命じる審判や、審判前の保全処分が下されたにもかかわらず、相手方が子どもを引き渡しに応じない場合があります。
この場合、子どもが連れ去られた親は、強制執行の申立てを行うことが可能です。
強制執行は、裁判所の命令を強制的に実現する手続きであり、執行官が相手方の居所に立ち入り、子どもを引き渡すという方法が取られます。
ただし、子の強制執行は、子どもの心身に大きな負担をかける可能性があるため、裁判所は慎重に判断するため状況によっては難しい場合もあります。
まとめ
今回は、別居時などに子どもを連れ去られた場合の対応について考えていきました。
子どもを連れ去られた場合、時間がたつほど、引き渡しが難しくなります。
そのため、迅速に法的手続きを行うべきです。
とはいえ、自力での手続きは難しいため弁護士に相談することをおすすめします。