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企業でハラスメントが起きた場合の対処法について解説

目次

セクハラやパワハラなど、ハラスメント問題は世間一般でも広く知られるようになりました。
もし社内でハラスメントが発生した場合に放置をしていると、後々大きな問題に発展する可能性もあります。
すると会社の社会的信用を失い、大きな痛手になるでしょう。
今回は企業内でハラスメント問題が起きた場合の対処法について解説していきたいと思います。

ハラスメントとは?

ハラスメントといわれる言動・行動には、以下の6つの類型があります。

  • パワハラ(パワーハラスメント)
  • セクハラ(セクシュアルハラスメント)
  • マタハラ(マタニティハラスメント)
  • パタハラ(パタニティハラスメント)
  • ケアハラ(ケアハラスメント)
  • モラハラ(モラルハラスメント)


それぞれに定義づけがなされており、どのハラスメントであっても行動だけでなく、言動に問題がある場合でも成立するものとなっています。

また「自分では大丈夫」と思っていたとしても、相手の捉え方・感じ方次第では各種ハラスメントにあたる場合もあるので、十分に注意して行動することが大切です。

主要なハラスメント対策を確認しよう

社内でハラスメントが起きた場合、会社は状況によって管理者責任を問われる可能性があります。
そのため、社内でハラスメント起きないようにするための事前策や、また万が一起きたとしても適切に対処できるように対応策を構築しておくことが重要です。

ガイドラインを共有する

ハラスメントは人の感じ方という抽象的なものをベースに判断されます。
そこでハラスメントには厳しく対応していくけれども、ハラスメントに該当するものしか取り扱わないという明確な宣言を出しましょう。
そしてガイドラインを策定し、具体的に何がパワハラやセクハラに該当するか明記します。

また定期的にハラスメントに関する講習会や研修会を開催することもおすすめです。
講習会でハラスメントとは何かを社内で共有していきます。
このようなことを繰り返せば、自分はハラスメントと思っていなくても実はハラスメント行為に抵触していたといった事態の発生も低減できます。

保険への加入も検討すべき

いくら気を付けていても、情報共有や従業員への教育を徹底してもハラスメントをゼロにはできないでしょう。
ついカッとなってハラスメントを働く人もいるでしょうし、飲み会で酔った勢いで…といったことも想定できます。
ハラスメントが起きた場合、従業員が会社や加害者に対して損害賠償請求してくるかもしれません。
そのようなときのために、保険に加入するのも一考です。
一部損保会社では、ハラスメントに関する特約を提供しているところも出てきました。

相談窓口を設置しよう

ハラスメントが起きた場合、従業員がどこに相談すれば良いかわからず一人で悩みを抱えてしまう可能性もあります。
そこでわかりやすくするために、専用の相談窓口を設置するのも対策の一つです。
ではどのような人材を配置すべきか、どのような役割を果たせば良いのか見ていきましょう。

適切な人材を配置する

社内に相談窓口を設置するのであれば、ハラスメントに関する教育を受けた人材を配置しましょう。
またはコンプライアンスや法務部門の担当者を付けるのも一つの方法です。
産業医やカウンセラーがいる場合には、被害者の傷ついた心をケアできます。
また内部に窓口設置できるだけのリソースがなければ、外部に設置するのも一考です。
弁護士や社会保険労務士、コンサルタントなどに委託する方法も検討しましょう。

役割を明確にする

相談担当者の役割を明確にしてください。
相談を受け付けるだけと役割を限定する場合もあれば、事実確認の調査まで担当する場合も考えられます。
前者の場合、人事担当部など事実確認を担当する部署へ引き継ぐ仕組みも検討しなければなりません。
事実確認の下で、ハラスメントに該当するか客観的に判断します。
ハラスメントの中でも悪質であると判断された場合には、懲戒処分の検討もあわせて行いましょう。

再発防止策を検討する

加害者を処分すればそれでおしまい、では再発を防止できません。
再発防止策も検討する必要があります。
ハラスメントガイドラインの中に新たに今回発生した事例を盛り込み、今回の事例が起こらないようにするためにはどうすべきか検討します。

また加害者個人に対して研修を実施し、あらためてハラスメントをしっかり理解してもらえる場を提供する必要もあるでしょう。
ハラスメントが起こる要因として、職場環境が関係しているかもしれません。
職場環境が閉塞していてストレスがたまった結果、ハラスメントが発生する場合も考えられるからです。
職場環境に問題がある場合には改善も検討しましょう。

まとめ

ハラスメント問題は、どの会社でも起こる可能性があります。
ハラスメントは主観的な問題でもあるので、何をもってハラスメントなのか従業員で情報を共有できる環境づくりが必要です。
また、ハラスメントの被害に遭ったときに相談できる環境を用意することも、大事な対策です。
自分たちで相談窓口を設置するだけのリソースがなければ、弁護士などの専門家に相談しましょう。