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任意整理から個人再生への切り替えは可能?

目次

任意整理したけれど収入が減って返済が困難になった場合に、個人再生に切り替えられないか思案している方もいらっしゃると思います。
この記事では、任意再生から個人再生への切り替えは可能なのかという疑問について解説します。

任意整理から個人再生に切り替える条件とは

任意整理から個人再生に切り替えられるのか、また、切り替えるために条件はあるのかみていきましょう。

任意整理から個人再生に切り替えられるケースもある

基本的には、任意整理から個人再生に切り替えることは可能です。
任意整理とは、裁判所が関与することなく債権者と直接交渉して返済を楽にしてもらう手続きです。
例えば、分割払いの期間延長や金額、長期的に発生する利息のカットなどについて、確実に返済できるように債権者と交渉します。

一方、個人再生は、地方裁判所に申し立てを行い、法的手続きを経て返済額を減額してもらう手続きです。
個人再生に切り替えることができれば、返済総額が減るので毎月の返済も楽になる可能性があります。

任意再生から個人再生に切り替える条件

任意整理から個人再生に切り替える際には、以下の条件をクリアする必要があります。

  • 安定した収入があること
  • 個人再生の対象となる負債総額が5,000万円以下であること


その他にも、給与所得者の場合は、給与の変動が小さいことも条件とされています。
個人再生は、裁判官に認めてもらえなければ切り替えることは不可能です。
そのため、必ず残りの借金は支払期日に遅延することなく、完済するまで払い続ける強い意思や誠実さを裁判官にアピールすることも大切なポイントです。

任意整理から個人再生に切り替えた方が良いケースとは

任意整理から個人再生に切り替えた方が良いケースを3つご紹介します。

債権者と合意できない場合

任意整理は債権者の合意の元で行われるため、債権者の合意がなければ任意整理は行えません。
「債権者と話し合えばどうにかなるだろう」と思って交渉してみたものの、思いのほか交渉が難航して債権者に合意してもらえない場合は、個人再生を検討した方が良いかもしれません。

借金額が予想よりも多い場合

専門家による債務調査が行われて、予想以上に借金額が多い場合は、返済額が多すぎて任意整理では返済できないかもしれません。
その場合は、個人再生に切り替えて借金総額を減額してもらった方が、確実に返済できる可能性は高いです。

任意整理したけど返済が困難な場合

一度は任意整理を行い、毎月返済していたとしても、社会情勢による物価高騰や収入の減少により、毎月返済できない場合があります。
自分の力だけではどうしようもない状況に陥り、毎月の返済額を確保できない場合は、個人再生に切り替えた方が良いかもしれません。

任意整理から個人再生に切り替えるときの注意点

任意整理から個人再生に切り替える場合は、以下の4つに注意してください。

個人再生には別途費用がかかる

任意整理から個人再生に切り替えると、個人再生の費用として別途弁護士費用がかかります。
また、任意整理の時点で弁護士などに依頼している場合は、任意整理にかかった費用とは別に個人再生にも弁護士費用が必要になるので2重の費用がかかります。
債務整理を検討する段階で、任意整理と個人再生のどちらが無理なく返済できるのか、慎重に検討しなければなりません。

連帯保証人がいる場合は迷惑がかかる

借金をしている方の中には、連帯保証人をつけている場合があります。
連帯保証人がいる状態で主債務者が個人再生に切り替えると、主債務者の返済額は減額されますが、減額された返済額は連帯保証人に請求されます。

例えば、主債務者が500万円の借金をしていた場合に個人再生に切り替えると、主債務者は100万円に減額されますが、減額された400万円は連帯保証人に請求されます。
この場合、一括請求されることがあり、連帯保証人でもまとまったお金を用意できなければ一括で支払えない可能性があります。
一括で支払えない場合は、債権者に分割払いにしてもらうなどの交渉が必要です。

個人情報が官報に掲載される

個人再生すると国が発行している「官報」に名前や住所などの個人情報が掲載されます。
官報はインターネットで誰でも閲覧できるため、家族や親族、知り合い、第三者などに個人再生したことを知られる可能性があります。
周囲に知られたくない場合は、任意整理のままで債権者と再交渉して毎月の返済額を減額してもらうなど、債権者の合意を得るしかありません。

司法書士では個人再生の申し立てはできない

任意整理を司法書士にサポートしてもらっている方もいらっしゃると思います。
司法書士では個人再生の申し立てができませんが、弁護士であれば個人再生の申し立てが可能です。
そのため、司法書士と相性が良くても、任意整理から個人再生に切り替える場合は弁護士に依頼しなければなりません。
司法書士は弁護士とのつながりを大事にしているので、個人再生する場合は弁護士を紹介してもらえます。

まとめ

今回は、任意整理から個人再生に切り替えるのは可能なのかという疑問について解説しました。
任意整理から個人再生に切り替えることは可能ですが、条件をクリアする必要があります。
債務整理を検討している方は、任意整理と個人再生のどちらにするか悩むかもしれません。
そんなときは、適切な状況判断ができる上に法律の専門家でもある弁護士に相談することをおすすめします。