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カスハラ対策の義務化はいつ?具体的な対策について紹介

目次

近年、カスタマーハラスメントが深刻な社会問題となっています。
カスタマーハラスメントは従業員の精神的な健康を損なうだけでなく、離職の原因や企業イメージの低下にもつながるため、多くの企業が対策を急いでいます。
今回は、カスハラの定義や法的な義務化の時期、および企業が取り組むべき具体的な対策について解説します。

カスハラとは?

カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラとは、顧客や取引先などの外部からの妥当性を欠く要求や、その要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相応なものであり、従業員の就業環境が害されることを指します。
厚生労働省が作成した指針によれば、カスハラは主に以下2つの要素で判断されます。

  • 要求の内容に妥当性がないもの
  • 要求を実現するための手段が不相当なもの

カスハラは従業員に多大な精神的苦痛を与えるだけでなく、他の顧客への対応を妨げ、通常の業務運営を困難にします。
企業には、カスハラが組織として対処すべきハラスメントであると認識することが求められています。

カスハラ対策の義務化はいつから?

カスハラ対策の義務化の動きは、全国的に加速しています。
2025年6月に改正労働施策総合推進法(カスハラ防止法)が国会で成立しました。
改正法の施行時期は、2026年10月頃となる予定です。
この法律により、すべての企業に対してカスタマーハラスメント対策を講じることが義務付けられることとなりました。
義務化が始まると、対応を怠った場合には是正勧告や企業名の公表といったリスクも生じることになります。

具体的なカスハラ対策

カスハラから従業員を守り、健全な就業環境を維持するためには、組織全体で体系的な取り組みを行うことが重要です。
具体的に、企業が取り組む必要のある対策は次の通りです。

社内方針の明確化とメッセージの発信

企業が行うべきカスハラ対策として、方針を明確にし、周知を徹底をすることが重要です。
具体的には、就業規則や社内規定にカスハラ防止に関する条項を追加し、どのような行為が禁止されるのかを具体的に列挙します。
また、ウェブサイトなどでのカスタマーハラスメントに対する基本方針の掲示や、社内への就業規則の周知を行うことも効果的です。

対応マニュアルの作成と共有

現場での混乱を防ぐために具体的な対応マニュアルを作成することは、カスハラ対策として欠かせません。
マニュアルには、カスハラに該当する行為の定義だけでなく、それぞれの場面での具体的なフレーズや行動指針を盛り込みます。
また、電話での長時間の拘束に対しては、電話を切る権利を従業員に与えることも重要です。
マニュアルを作成する際は、過去に実際に発生した事例や、現場の従業員の意見を反映させることで、より実効性の高いものになります。
作成したマニュアルは一度配布して終わりにするのではなく、定期的に見直しを行い、常に最新の状況に適応させる過程が必要です。

従業員への教育と研修の実施

ロールプレイングを中心とした研修を行い、不当な要求を断る練習や、感情をコントロールするスキルを身に付けさせることがカスハラ対策として効果的です。
また、カスハラが従業員のメンタルヘルスに与える影響についても教育を行い、早期発見と相互サポートの意識を高めます。
管理職に対しても、マネジメント研修を実施することが重要です。

発生時の組織的対応と事後ケア

カスハラ対策には、カスハラ発生時の組織的対応や事後ケアも含まれます。
悪質な場合には、弁護士と連携して法的な措置を講じることも検討しましょう。
詳細なやり取りの記録を証拠として残す習慣を徹底させることも、法的な対抗手段を確保するために必要です。
被害を受けた従業員の精神的な苦痛が大きい場合は、カウンセリングの機会を提供し、必要に応じて休暇の取得や配置転換を検討します。

まとめ

今回は、カスハラ対策が義務化される時期や具体的な対策について紹介しました。
カスハラ対策の導入は、健全な労働環境や安定したサービスの提供につながります。
自社でのマニュアル作成や体制整備に不安を感じる場合には、弁護士のアドバイスを得ることを検討してください。