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契約書とリーガルチェックの重要性

目次

ビジネスや日常生活において、契約書の作成は欠かせないものです。
契約書は取引の基本的な約束事を明確にし、トラブル防止のための重要な文書であり、リーガルチェックの重要性がますます高まっています。
本記事では、契約書の役割とリーガルチェックがなぜ必要なのかを詳しく説明します。

契約書の役割と必要性

契約書とは、当事者間において合意内容を整理し、契約の成立、更改または内容の変更などを証明する目的で作成される文書のことで、通常、当事者が署名または捺印することによって完成します。
契約書が必要な理由として、主に以下の2つがあります。

  1. 取引内容や権利、義務を明確にする
  2. 紛争発生時に証拠として利用できる


民法では契約は口頭でも成立しますが、契約書を作成することで契約内容が整理され、双方の義務が明確になります。
さらに、契約書には法的効力があり、契約違反が発生した場合には法的措置を講じることが可能です。
訴訟などの紛争が発生した場合、どのような取り決めがあったのか、契約書が重要な証拠となります。

リーガルチェックとは

リーガルチェックとは、契約書などの法的文書が法令に適合しているか、不備がないかを専門家が確認し、精査することです。
通常、会社の法務担当者や、会社から依頼を受けた弁護士などが担当します。
法務担当者が社内事情や法的観点を踏まえた上で一次チェックを行い、必要に応じて顧問弁護士などに二次チェックを依頼するという流れが一般的です。

リーガルチェックが重要な理由

リーガルチェックが重要な理由として、大きく分けて4つあります。

  1. 契約書の複雑化と専門知識の必要性
  2. リスクの回避
  3. 紛争の予防
  4. 法改正への対応

1.契約書の複雑化と専門知識の必要性

近年のグローバル化やデジタル化により、契約書の内容が複雑化しています。
専門知識がなければ契約書の条項の意味を正確に理解することは難しく、特に国際取引やIT関連契約など、特定の分野では法的規制も多いため、プロのサポートが必要となります。

2.リスクの回避

契約書の中に、法令に抵触するような不備があった場合は契約が無効になるだけではなく、相手からの信頼を損なう可能性があります。
また、重要なポイントが抜け落ちていた場合には、自社にとって不利な契約内容となるなど、ビジネス上の損失が発生することも考えられます。
リーガルチェックを行うことにより、リスクの洗い出しやリスクマネジメントが可能であり、ひいては安全で信頼のある取引環境を構築することにもなります。

3.紛争の予防

契約の内容が曖昧だったり、解釈の余地がある条項が残っていたりすると、後に紛争の原因となる場合があります。
将来の紛争を予防するためには、契約書の条項をできる限り明確にし、解釈の余地を排除することが重要です。
専門家のリーガルチェックによって、曖昧な表現や解釈の余地を削減し、紛争のリスクを避けることができます。

4.法改正への対応

契約書を作成する際、法律に詳しくない場合は法令上認められていない内容を記載してしまう可能性も考えられます。
法律は頻繁に改正されるため、法改正に対応していない契約書は後に無効となるだけではなく、行政からの指導を受けてしまったり、罰則の対象となってしまったりする可能性もあります。
その点、法律の専門家によるリーガルチェックを行うことで、契約内容が法的に適正であるか確認してもらうことができます。

リーガルチェックで確認するべき主な項目

リーガルチェックで確認するべき項目として、以下のようなものがあります。

・契約内容が法令に適合しているか
・当事者の権利と義務が明確に定められているか
・紛争解決手段や違約金条項が適切に設定されているか
・契約解除や自動更新に関する条件が明記されているか

契約書の中には、法律上記載しなければならない項目が決まっている場合があります。
たとえば、1か月以上の期間で、5万円を超えるエステや語学教室の契約では、特定商取引法における「特定継続的役務提供」に該当し、契約書面には法律で定められた事項を記載する必要があるため注意が必要です。
また、権利と義務については、どのような権利なのか、誰がその義務を負うのかといった主語の部分が明確に定められていないと、曖昧な契約内容となってしまい、紛争の原因となる可能性があります。
「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」という要素がきちんと含まれているか確認することも重要です。

まとめ

契約書は、取引の安全性と信頼性を確保するために欠かせない文書です。
権利や義務について明確に記載するという基本的なことから、法令に適合しているかといった法的な知識を必要とすることまで、契約書に盛り込む内容は多岐にわたります。
ビジネスをする上で法的リスクを回避し、円滑な取引を進めるためにも、不安な場合には弁護士への相談を検討してみてください。