交通事故は誰にでも起こり得るトラブルであり、加害者になってしまう可能性があります。
加害者として適切な対応を取ることが、被害者への誠意を示すだけでなく、自身の法的リスクを軽減する重要なポイントになります。
本記事では、交通事故を起こしてしまった際に取るべき行動とその注意点を詳しく解説します。
【初期対応】事故直後にすべきこと
まず、交通事故の直後に加害者がすべき初期対応を説明します。
対応を怠ると、被害者への損害賠償額が大きくなったり刑事罰が重くなったりするため注意が必要です。
1.負傷者の救護と安全確保
交通事故を起こしたら、まずは直ちに運転を停止し、負傷者の有無を確認します。
二次被害を防止するため車を安全な場所に移動し、道路上に停車した場合にはハザードランプや発煙筒、三角表示板などを使用して周囲に注意を促します。
負傷者がいる場合はすぐに救護、救急車を呼び、応急処置を行う場合は被害者の状態を悪化させないよう慎重に対応しましょう。
被害者に目立った外傷が見当たらない場合でも、外からは見えない場所を負傷している恐れがあります。
負傷者の救護は道路交通法で義務づけられており、加害者の判断で救護の必要はないとしてその場を立ち去ると、救護義務違反(ひき逃げ)として刑事罰を受ける可能性があるため、十分な注意が必要です。
2.警察への報告
事故の大小にかかわらず、必ず警察に通報しましょう。
負傷者の救護同様、事故を起こしたら必ず警察へ報告することが義務づけられており、報告しなかった場合は3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。
通報時には、以下の内容を正確に伝えます。
- 事故が発生した日時と場所
- 死傷者の数と負傷の程度
- 損壊した物と損壊の程度
- 積載物
- 事故について講じた措置
警察が到着した後は、実況見分や聞き取り捜査に協力します。
3.情報交換と証拠保全
被害者と連絡先の交換をし、保険情報を伝えます。
決してその場で解決しようとせず、冷静にやり取りしましょう。
また、可能であれば事故現場の写真を残しておきます。
たとえば、信号の有無や見通しなどの道路状況、車両や周辺の破損状況などの写真を撮っておくと、証拠として損害賠償の額に影響する可能性があるためです。
また、目撃者がいる場合はその方の住所や氏名、連絡先、目撃内容などをメモしたり、録音したりしておくことも重要です。
4.保険会社への報告
事故の初期対応が終わったら、自身が加入している保険会社に連絡します。
連絡の際には、以下の内容を伝えることでスムーズな対応が可能となります。
・契約者情報と保険証券の番号
・事故日時と詳細
・双方の車両の損傷程度および負傷の程度
・病院名
【被害者対応】誠意を持った対応の重要性
次に、被害者に対して加害者としてすべきことをご紹介します。
1.被害者へのお見舞いと謝罪
被害者が怪我を負った場合は、謝罪の意味を込めてお見舞いに行きます。
謝罪する際は責任を認めすぎない、事実を冷静に伝えるといったことが大切であり、加害者として真摯に謝罪し、被害者の心情に寄り添うことが重要です。
ただし、お見舞いに行く場合は自身の保険会社などを介して事前に確認し、拒否された場合は無理に行くことのないようにしましょう。
2.被害者との適切なコミュニケーション
加害者が被害者に支払う損害賠償金や慰謝料の額は、示談交渉によって決まります。
また、示談交渉については、自身が加入する任意保険の担当者が行ってくれることが基本ですが、必要な情報やサポートを提供するなど、被害者との適切なやり取りを心がけることが重要です。
保険会社に任せ切りにするなど、不誠実な対応は示談交渉に影響を与える場合があるため、丁寧な対応を意識しましょう。
交通事故の加害者が直面する責任
最後に、交通事故の加害者が直面する3つの責任について解説します。
1.民事責任
民事責任とは、他人の権利や利益を不法に侵害した者(加害者)が、被害者に対して損害を賠償する法律上の責任です。
具体的には、加害者が被害者の治療費や修理費、慰謝料などの損害を賠償しなくてはなりません。
2.刑事責任
重大な過失がある場合は、刑事責任が問われる可能性があります。
刑事責任とは、犯罪行為に対して刑罰などの制裁を受ける法律上の責任で、民事責任や行政責任と比較して、違法行為に対する法的制裁としては最も強力な制裁とされています。
具体的には、運転ミスなどによる人身事故の場合は「過失運転致死傷罪」、飲酒運転や信号無視など悪質な運転による場合は「危険運転致死傷罪」が問われます。
3.行政責任
行政責任とは、ある行政行為の結果として、人や物、自然などの環境に損害や被害が生じ、それが法的または社会的な基準から許容できないと判断される場合、その行為に対する法律上の責任を指します。
具体的には、事故の種別、責任や負傷の程度に応じて違反点数が加算され、所定の点数に達すると運転免許の停止や取り消しなどを受けます。
まとめ
交通事故は予期せぬ出来事ですが、加害者として適切な対応をとることで、被害者とのトラブルや法的責任を最小限に抑えることができます。
法律の知識を正しく理解し、保険会社や専門家のサポートを活用することが重要と言えます。
加害者として対応に不安がある場合は、早めに弁護士など専門家に相談することが肝要です。