任意整理は、将来利息のカットによって返済負担の軽減を図る債務整理手続きです。
もっとも、原則3年程度での返済を求められることが多く、収支状況によっては月々の返済負担が重くなる可能性があります。
本記事では、任意整理のリスクや、個人再生・自己破産を検討した方がよいケースについて解説します。
任意整理の仕組みと返済負担のリスク
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と交渉し、将来利息のカットや返済条件の見直しを行う手続きです。
一般的には、元金を分割で返済していく形となります。
任意整理では、将来利息がカットされることで、返済総額を抑えられる可能性があります。
一方で、実務上は3年36回程度での分割返済となるケースが多く、事情によっては5年程度まで認められる場合があります。
たとえば、債務総額が300万円の場合、36回払いであれば月々約8万3000円程度の返済が必要となります。
収入状況によっては、任意整理後も返済負担が重く、生活を圧迫する可能性があります。
また、任意整理は私的整理であり、法的強制力がありません。
そのため、債権者が交渉に応じない場合や、希望する条件で和解できないケースもあります。
任意整理を検討する際には、現在の収支状況を確認し、継続的な返済が可能かを慎重に検討することが重要です。
返済負担が重い場合は個人再生を検討
任意整理では返済負担が大きい場合、個人再生を検討した方がよいケースがあります。
個人再生は、民事再生法に基づき、裁判所を通じて債務総額を減額する手続きです。
債務額に応じて一定の最低弁済額まで圧縮される可能性があり、原則3年、最長5年で返済を行います。
たとえば、債務総額が500万円の場合、最低弁済額が100万円程度となるケースがあります。
3年で返済する場合には月々約2万8000円、5年で返済する場合には月々約1万7000円程度となる可能性があります。
また、個人再生には住宅資金特別条項があり、一定の場合には住宅ローンを継続しながら他の債務を整理できる可能性があります。
そのため、自宅を維持しながら債務整理を進めたい場合に利用が検討されることがあります。
もっとも、個人再生を利用するには、継続的な収入が見込まれることが必要です。
安定収入がない場合には、利用が難しいケースもあります。
返済が困難な場合は自己破産も選択肢
収入状況や債務額によっては、自己破産を検討した方がよいケースもあります。
自己破産は、破産法に基づき、支払不能となった債務者について、裁判所が免責許可決定を行うことで、一定の債務の支払義務を免除する制度です。
もっとも、すべての債務が免責されるわけではありません。
以下などは非免責債権とされ、自己破産後も支払義務が残ります。
- 税金
- 社会保険料
- 養育費
また、自己破産では、一定以上の財産が処分対象となる可能性があります。
一方で、生活に必要な最低限の財産については、自由財産として残せる場合があります。
たとえば、99万円以下の現金や、生活必需品などは残せる可能性があります。
そのため、自己破産をしたからといって、直ちに生活ができなくなるわけではありません。
収入が少なく返済継続が難しい場合や、任意整理や個人再生でも解決が困難な場合には、自己破産が選択肢となることがあります。
信用情報への影響も理解しておくことが重要
任意整理、個人再生、自己破産はいずれも債務整理にあたるため、信用情報機関へ事故情報が登録される可能性があります。
その結果、一定期間はクレジットカードの新規作成やローン契約が難しくなる場合があります。
また、現在利用しているクレジットカードが利用停止や強制解約となるケースもあります。
さらに、スマートフォン端末の分割払い、自動車ローンなどへ影響が生じる場合もあります。
もっとも、事故情報は永久に登録されるわけではありません。
一定期間経過後には、再びローンやクレジットカードを利用できる可能性があります。
債務整理を検討する際には、現在の返済負担だけでなく、手続き後の生活への影響も踏まえながら、自身に合った方法を選ぶことが重要です。
まとめ
任意整理は、将来利息のカットによって返済負担を軽減できる手続きです。
一方で、原則3年程度での返済を求められることが多く、収支状況によっては月々の返済負担が重くなる可能性があります。
返済負担を大きく減らしたい場合には個人再生、返済継続自体が難しい場合には自己破産を検討した方がよいケースもあります。
どの手続きが適しているかは、債務額、収入状況などによって異なります。
債務整理では、信用情報への影響や財産処分など、注意すべき点もあります。
そのため、自己判断だけで進めるのではなく、弁護士へ相談し、自身の状況に応じた方法を検討することが重要です。