借金の返済が困難になった際、経済的な立て直しを図るための法的な手段として自己破産という手続きがあります。
しかし、家族に対して影響があるのではないかと考え、自己破産をするか迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、自己破産の概要と、自己破産した際の家族への影響について解説します。
自己破産とは?
自己破産とは、債務者が借金の返済を継続することが困難な状態に陥ったときに、裁判所に申立てを行い、原則としてすべての借金の返済義務を免除してもらう法的な手続きをいいます。
手続きが完了することで借金を返済する義務が法律上消滅する点は、自己破産の大きなメリットです。
しかし、債務者が保有している一定以上の財産は処分され、債権者に公平に配当されることになります。
自己破産しても家族に直接的な制限が課せられることは基本的にない
結論から申し上げますと、自己破産をしても、基本的に家族の財産や信用情報に直接的な制限を課せられることはありません。
しかし、同居していたり家計を共にしていたりする家族は、日常生活において影響を受ける可能性があります。
家族への具体的な影響については、以下の通りです。
家族の財産への影響
原則として、配偶者や子どもなど、家族の個人名義で保有している財産は、破産する本人のものではないため処分されることはありません。
結婚後に夫婦で築き上げた財産であっても、完全に配偶者の名義で購入されたものであり、購入資金の出所が配偶者の特有財産や収入である場合は、原則として処分の対象となる財産には含まれません。
しかし、名義だけが家族のもので実質的には本人の資金で購入したとみなされる名義預金などがある場合には、調査の対象となるため注意が必要です。
たとえば、子ども名義の預貯金であっても、実質的に親が管理していた資金であると判断された場合には、処分される可能性があります。
また、本人名義の自動車などといった高額な財産は処分の対象となるため、家族の生活に支障をきたすことがあるかもしれません。
本人名義の99万円を超える現金や20万円を超える預金、返戻金が20万円を超える学資保険などの資産も処分され、家族に経済的な影響が生じる場合があります。
家族の信用情報への影響
信用情報機関に登録される破産の情報は、あくまでも手続きを行った本人個人の記録に限られます。
配偶者や子どもの信用情報には一切記載されないため、家族名義の単独のクレジットカードの利用や新たなローンの契約などについて、家族自身が法的に制限を受けることはありません。
しかし、自己破産した本人が家族のために新たなローンや借入れの保証人になることができなくなるという点は、家族にとってもデメリットになると考えられます。
また、自己破産した本人の口座から引き落とされる家族カードは使えなくなるため、家族の日常的な決済手段に影響が及ぶ可能性があります。
日常生活への影響
自己破産をした本人の家族が、日常生活や社会生活において直接的な法制限を受けることは基本的にありません。
家族が自ら周囲に話さない限り、学校や職場に知られることもないでしょう。
しかし、持ち家が破産によって処分される場合には家族全員が引っ越しを余儀なくされます。
賃貸住宅においても保証人の状況や契約内容によっては新規の契約や更新ができない場合があるため、生活基盤に大きな変化が生じるかもしれません。
また、破産手続き中は本人の居住地制限などにより、家族での旅行などが制限される可能性があります。
自己破産を行うと一部の資格制限を受ける期間が発生しますが、これは本人のみに限定されるものであり、家族のキャリアには直接影響しません。
家族が借金の保証人となっている場合には代わりに返済義務を負う
主債務者が自己破産によって借金の免責を受けても、法律上、債務の返済義務が消滅するのは本人だけであり、保証人の義務は免除されません。
本人が破産すると残額は保証人に一括請求されることになり、家族が保証人の場合には、家族が代わりに返済義務を負います。
一括返済できない場合には、家族自身も債務整理を検討することになるでしょう。
家族への影響を軽減させるための方法としては、事前に弁護士に相談したり、他の債務整理を選択したりすることが考えられます。
まとめ
今回は、自己破産の概要と、自己破産した際の家族への影響について解説しました。
自己破産はあくまで破産する本人の財産を清算する手続きであるため、家族への直接的な制限はありません。
しかし、本人の財産が処分されることで家族の日常生活に影響を及ぼすことは考えられます。
家族への影響を最小限に抑えつつ債務整理をしたいとお考えの方は、弁護士への相談をご検討ください。