企業がIPOを行い、証券取引所に上場することは、事業を拡大するために有効な選択肢です。
上場を検討している企業は、長期的な視点で計画を立てることが求められます。
今回は、IPOの概要や、企業が上場するまでのスケジュールなどについて解説します。
IPOとは?
IPO(新規株式公開)とは、未上場企業が保有する株式を証券取引所に上場させることです。
これにより、一般の投資家が自由に企業の株式を売買できるようになります。
IPOを行うメリットとデメリットとして、以下が挙げられます。
IPOのメリット
株式市場から返済義務のない資金を広く集められる点は、IPOにおける大きなメリットです。
単独の借入先に依存しないため、継続的な成長を目指しやすくなります。
また、IPOには、社会的信用が増すことで、優秀な人材の採用や顧客獲得が有利になるというメリットもあります。
証券取引所が定める厳しい上場基準をクリアしているという事実が、取引先や金融機関、求職者に対して社会的信用をもたらします。
さらに、経営者が保有する自社株の価値が上がり、大きな資産を築ける可能性が高まります。
IPOのデメリット
上場までに数年の準備期間と多額のコストがかかる点は、IPOのデメリットといえます。
上場後も決算発表や監査、株主対応などで毎年手間と費用が発生します。
また、厳格な情報開示の義務が課されるため、コンプライアンスを維持するための高度な管理体制が不可欠です。
以上のことから、IPOを行うことで企業にかかる負担は重くなると考えられます。
さらに、不特定多数の株主から利益還元や経営の透明性を意識されるため、経営方針の柔軟性が失われることもあるかもしれません。
企業が上場するまでのスケジュール
IPOの準備は、一般的に3年から5年ほどの長期的な視点で進められます。
具体的には、上場を予定している時点のn-3期あたりから上場準備に向けた社内体制の構築を始めることが多いです。
最初の取り組みとしては、公認会計士や監査法人などの専門家によるショートレビュー(事前調査)を受け、企業のあらゆる領域における課題を洗い出します。
指摘された点については、申請を予定する時点までに着実に改善を進めることが求められます。
上場からおよそ2年前の直々前期を迎えると、監査法人による会計監査の受入や、コーポレート・ガバナンスの運用が本格化します。
この時期には、経営陣の意思決定を監視する取締役会や監査役会の機能をさらに高め、独立した社外取締役を迎えるなどして実効性の高い経営監視体制を組織内に定着させなければなりません。
さらに、信頼性の高い財務報告を行うための内部統制システムを整備し、日々の業務フローを細かく文書化して運用の実績を積み重ねていく必要があります。
その後、上場を間近に控えた申請期の段階へと進みます。
申請期には、証券取引所や主幹事証券会社に提出する申請書類の作成と最終調整が実務の中心となります。
そして、主幹事証券会社や証券取引所による審査を受けます。
予想される指摘についてはあらかじめ回答を考えて対策しておくと良いでしょう。
審査を通過し、最終的に上場承認が下りると、株式の公開日を迎えることができます。
IPOを成功させるためのポイント
IPOを成功させるためには、法的なリスク管理を十分に行うことが重要です。
上場準備期間中は、組織の急拡大に伴って、以下のような予期せぬ法的トラブルが表面化しやすくなります。
- 労務管理上のトラブル
- 契約書の不備
- 過去のガバナンスの未整備
上記に該当するような案件をひとつでも放置すると、上場審査においてマイナス評価を受けることにつながります。
しかし、社内の管理部門だけで日々の業務に加えてIPOに向けたすべての法的リスクを把握し、対処することは困難かもしれません。
従業員への負担を軽減しつつIPOの準備を円滑に進めるためには、早い段階から企業法務やIPO支援に精通した弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士と連携し、各種社内規程の適法性チェックや、労務環境の適正化などをあらかじめ進めておくことで、審査において申請を棄却されるリスクを最小限に抑えられます。
まとめ
今回は、IPOのスケジュールや、IPOを成功させるためのポイントなどについて解説しました。
上場を目指す企業は、上場を予定する時点の3年から5年前には事前調査などに取り掛かることが一般的です。
IPOを成功させるためには、上場審査に向けて法的なリスクをできるだけ排除しておくことが大切です。
IPOを検討されている企業様は、弁護士に相談することを検討してください。