離婚する際、共有財産を清算する財産分与は、離婚後の生活基盤を整えるうえで重要な手続きです。
しかし、離婚時の話し合いが曖昧なまま時間が経過してしまったり、離婚後しばらく経ってから財産分与を請求したいと考えたりした場合、時効が問題となることがあります。
今回は、財産分与における請求権の時効や、財産分与を請求する方法などについて解説します。
財産分与とは?
財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産を、離婚に伴ってそれぞれの貢献度に応じて清算する制度をいいます。
財産分与の請求権は民法によって認められており、原則として夫婦の寄与度は2分の1ずつとされています。
離婚の方法には、お互いの話し合いによって決める協議離婚や、調停・裁判などの法的手続きを経て成立する裁判離婚がありますが、いずれの場合であっても財産分与の請求は可能です。
財産分与の対象となる財産
財産分与の対象となるのは、基本的に婚姻期間中に夫婦が協力して取得・維持した共有財産です。
具体的には、次のような資産が共有財産に該当します。
- 夫婦の預貯金
- 婚姻期間中に購入した不動産
- 自動車
- 有価証券
- 退職金
- 生命保険の解約返戻金
- 婚姻期間中に増やしたマイナスの財産
退職金については、将来受け取る予定のものや、すでに受け取ったもので婚姻期間に対応する部分のみが対象となります。
また、婚姻期間中に増やした住宅ローンや借金などのマイナスの財産は、プラスの財産から差し引かれます。
一方で、夫婦の一方が結婚前から所有していた財産や、婚姻中であっても相続や贈与によって個別に取得した財産は特有財産と呼ばれ、原則として財産分与の対象外です。
夫婦の一方が浪費した個人的な借金なども分与の対象にはなりません。
財産分与の請求が認められている期間
財産分与を請求することができる期間は、離婚成立日から5年間と定められています。
離婚が成立してから財産分与を請求しないまま5年が経過すると請求権が消滅してしまうため、注意してください。
この期間は除斥期間と呼ばれ、延長することはできません。
離婚後5年間で取り決められた財産分与について相手方からの支払いが滞っている場合の請求権については、消滅時効が定められています。
消滅時効とは、一定の期間行使されなかった権利が消滅する制度です。
具体的には、 家庭裁判所の調停や裁判によって離婚した場合は確定したときから10年間、夫婦間の話し合いによって離婚した場合は合意したときから5年間の消滅時効が適用されます。
消滅時効においては、一定の手続きを踏めば期間の更新が可能です。
財産分与の請求方法
財産分与の請求方法は、以下の通りです。
相手方との協議によって取り決める
まずは、相手方との間で財産分与についての話し合いを行います。
お互いに連絡が取れる状態であれば、どの財産をどのように分けるか、割合や支払い方法について合意を目指しましょう。
合意に至った場合は、将来的なトラブル発生や未払いのリスクを防ぐために、内容の文書化が推奨されます。
「本契約に定めるもののほか、互いに債権債務が存在しないことを確認する」という旨の清算条項を盛り込んだ財産分与契約書を作成してください。
さらに、財産分与契約書を公正証書にしておくと、未払い時に相手方に対して強制執行の手続きをとることが可能になります。
財産分与請求調停を家庭裁判所に申し立てる
話し合いではまとまらない場合や、相手が話し合い自体を拒絶している場合には、家庭裁判所に財産分与請求調停を申し立てます。
調停では、裁判官1名と調停委員2名以上が間に入り、双方から主張や財産資料を聴き取りながら、中立的な立場から妥当な解決案を提示して話し合いによる合意へと導いてくれます。
調停でもまとまらなかった場合は自動的に審判へ移行し、裁判官が一切の事情を考慮して分与割合や方法を決定することになります。
調停・審判をしている間に離婚から5年の期間が経過しても、財産分与の請求権が消滅することはないため、協議による合意が難しい場合には、早めに裁判手続きに移行することが推奨されます。
まとめ
今回は、財産分与の請求が認められている期間や、財産分与を請求する方法などについて解説しました。
離婚後に財産分与を取り決める際の期限は、離婚から5年間です。
そして、5年の間に取り決めた財産分与の未払いに対する請求については、離婚方法によって5年または10年の時効が定められています。
財産分与を請求する方法としては、まず相手方との交渉が挙げられます。
当事者での協議で合意が得られない場合には、調停や審判に移行することになります。
財産分与について相手方との交渉や裁判手続きに不安を感じられている方は、弁護士への相談をご検討ください。