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あおり運転で事故になったときの対応と法的責任

目次

あおり運転による事故は、重大な交通事故や深刻な被害につながる危険な行為です。
2020年の道路交通法改正により妨害運転罪が創設され、厳罰化が進みました。
本記事では、あおり運転の法的定義や妨害運転罪、民事・刑事上の責任について解説します。

あおり運転と妨害運転罪の法的定義

あおり運転とは、他の車両の通行を妨害する目的で危険な運転行為を行うことをいいます。
2020年6月施行の道路交通法改正により、妨害運転罪が創設されました。
妨害運転罪は、道路交通法第117条に規定されており、通行妨害目的で一定の違反行為を行い、交通の危険を生じさせた場合に成立します。

具体的には、以下のような行為が対象となります。

  • 車間距離を極端に詰める行為
  • 急な進路変更や幅寄せ
  • 不必要な急ブレーキ
  • 執拗なクラクションやハイビーム
  • 最低速度違反
  • 高速道路上での駐停車や低速走行
  • 対向車線へのはみ出し

通常の妨害運転罪の罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
また、高速道路で相手車両を停止させるなど著しい危険を生じさせた場合には、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性もあります。
さらに、妨害運転罪が成立するためには、単なる運転ミスではなく、故意に相手の通行を妨害する意思が必要になります。

あおり運転で問われる民事責任

あおり運転によって事故が発生した場合、加害者には民事上の損害賠償責任が発生する可能性があります。
これは、民法上の不法行為責任に基づくものです。
加害者が故意または過失によって被害者へ損害を与えた場合、民法第709条に基づき、その損害を賠償しなければなりません。
あおり運転は危険性が高く、悪質性も強いため、通常の交通事故よりも加害者側の責任が重く判断される可能性があります。

請求できる損害には、次のようなものがあります。

  • 治療費
  • 通院交通費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料

後遺障害が残った場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益も請求の対象となります。
また、物的損害として、次のような費用を請求できる可能性があります。

  • 車両修理費
  • 代車費用
  • 評価損

特に、あおり運転では加害者の故意性や悪質性が問題となるため、慰謝料の交渉において重要な事情として考慮される場合があります。
被害者としては、ドライブレコーダー映像や診断書、修理見積書などの証拠を適切に保管しておくことが重要です。

あおり運転で問われる刑事責任

あおり運転では、民事責任だけでなく刑事責任が問われる可能性もあります。
刑事責任とは、国家が加害者に対して刑罰を科す責任のことです。
代表的なものが妨害運転罪ですが、事故の態様によっては他の犯罪が成立する可能性もあります。
たとえば、危険な運転によって相手を死傷させた場合には、危険運転致死傷罪が適用される可能性があります。
また、車を急接近させる行為が暴行と評価される場合には暴行罪、脅迫的な言動を伴う場合には脅迫罪が成立するケースもあります。
さらに、故意に車両を衝突させた場合には、器物損壊罪や傷害罪などが問題となる可能性もあります。
被害者が刑事責任を追及したい場合には、警察へ被害届を提出することになります。
被害届は、犯罪被害を申告し、捜査を求めるための手続きです。
さらに、加害者の処罰を明確に求める場合には、刑事告訴を行う方法もあります。
告訴を行うことで、被害者の処罰意思を捜査機関へ正式に示すことができます。

事故直後に行うべき対応と証拠保全

あおり運転による事故が発生した場合は、まずご自身の安全確保を最優先に行うことが重要です。
可能であれば安全な場所へ車を移動し、ハザードランプを点灯させます。
その後、道路交通法第72条に基づき、速やかに警察へ通報してください。
相手が逃走した場合でも、必ず警察へ連絡する必要があります。
警察が到着するまでの間に、できる限り証拠を保全しておくことが大切です。
特にドライブレコーダー映像は、あおり運転の立証において非常に重要な証拠になります。

記録しておきたい情報としては、次のようなものがあります。

  • 相手車両のナンバー
  • 車種や車体の色
  • 運転者の特徴
  • 事故現場の状況
  • 目撃者の連絡先

相手が威嚇的な態度をとっている場合には、無理に車外へ出ず、警察の到着を待つようにしてください。
その場で示談交渉を行うことは避け、保険会社や弁護士へ相談しながら対応を進めることが重要です。

まとめ

あおり運転は、道路交通法上の妨害運転罪に該当する可能性がある悪質な行為です。
事故が発生した場合、加害者には民事上の損害賠償責任だけでなく、刑事責任が問われる可能性があります。

民事責任では、治療費や慰謝料などの損害賠償請求を行うことができ、刑事責任では妨害運転罪や危険運転致死傷罪などが問題となる場合があります。

被害に遭った際には、まず安全確保と警察への通報を行い、ドライブレコーダー映像などの証拠を適切に保全することが重要です。
あおり運転は悪質性が高く、交渉や法的手続きが複雑になるケースも少なくありません。

不安な点がある場合には、交通事故に詳しい弁護士へ早めに相談し、適切なサポートを受けることを検討してみてください。