電動キックボードは近年新しく普及してきた乗り物です。
小型で簡単に乗れるため便利な反面、事故が起こった際の対応が難しい面もあります。
この記事では、電動キックボードで交通事故にあった際の対応について解説します。
電動キックボードとは
電動キックボードはモーターの付いたキックボードです。
道路交通法では自転車やバイク、自動車と同じく、車両に該当します。
電動キックボードはその規格に応じて、次の3つに分けられます。
- 一般原動機付自転車
- 特定小型原動機付自転車
- 特例特定小型原動機付自転車
一般原動機付自転車に該当する電動キックボードを運転する際には、原付免許が必要です。
特定小型・特例特定小型に該当する電動キックボードは、16歳以上であれば免許不要で運転できます。
ただし免許が不要であっても、交通ルールは守らなければいけません。
規格ごとの主な交通ルール
電動キックボードは、自賠責保険の加入やナンバープレートの装着が義務付けられています。
そのほか、一般原動機付自転車に該当する電動キックボードは車道のみ走行可能ですが、特定小型原動機付自転車は自転車道の走行も可能です。
さらに特例特定小型原動機付自転車に該当する場合は、一定の条件を満たした場合、一部の歩道も走行できます。
運転する車両の規格を把握し、規格に応じた交通ルールを守ってください。
電動キックボードによる交通事故
電動キックボードは車両の中でもバランスを崩しやすく、転倒しやすい特徴があります。
自損事故だけでなく、被害者にも加害者にもなる可能性があります。
車道走行時には自動車に接触する可能性もあり、大きな事故を起こしかねません。
電動キックボード使用時に交通事故にあった場合も、その他の交通事故と同様の対応が必要です。
まずは警察へ連絡したり、けが人を搬送したりといった基本的な対応をしてください。
保険に加入している場合には保険会社へ連絡し、その後の対応を相談します。
また電動キックボードのレンタルサービスを利用していた場合には、レンタル事業者への連絡も必要です。
自損事故や被害者になった場合
操作を誤って自損事故を起こすことや、交通事故の被害者になることがあります。
事故を起こした時には、たとえ自覚症状がなかったとしても、病院で診察を受けておくことが大切です。
むち打ち症などの場合、あとから痛みが出てくることもあります。
事故の被害者になると、事故の相手に治療費や慰謝料などを請求できます。
自損事故の場合も、加入している保険によっては、治療費などが支払われる可能性があります。
治療費の請求の際には医師の診断書が必要です。
誰かに怪我をさせた・物を壊してしまった場合
誰かにけがを負わせたり、何かを壊したりしてしまった際には、相手の損害に対して自分の過失に応じた分の賠償金を支払わなければいけません。
電動キックボードを利用する際には自賠責保険の加入が義務付けられていますが、自賠責保険で支払われるのは相手の怪我に対する補償のみです。
壊してしまった物の賠償は補償されません。
自賠責保険でまかないきれない賠償金は、任意保険でまかなえます。
任意保険に加入していない場合には自分で賠償金を支払うことになるため、自動車やバイクと同様、任意保険へ加入しておくと安心です。
過失割合でもめる可能性がある
支払う賠償金の額は、過失割合によっても変動します。
過失割合とは、どちらの行動にどれだけ悪い部分があったのかを示す割合です。
一般的な自動車事故では、事故の状況に応じて基本的な過失割合が決まっています。
過去の似たような事故の裁判例と照らし合わせ、道路交通法違反の有無などを考慮しながら、適切な過失割合を導き出します。
しかし電動キックボードによる事故の場合、過去の電動キックボードによる事故の事例が少なく、判断基準が明確ではありません。
電動キックボードは原動機付自転車に該当しますが、一部の車両は免許不要で運転できたり、走行場所が自転車と同様だったりします。
単純にバイク事故の事例を参考にすれば良いというものではなく、慎重に判断しなければいけません。
基本的な過失割合が明確ではないぶん、事故の相手方は自身が有利になるような主張をする可能性が高くなります。
参考にできる裁判例も少ないことから、交渉が難航する可能性も高くなります。
そのため、弁護士に交渉を依頼することが有益です。
まとめ
この記事では電動キックボード利用中に交通事故を起こした際の対応について解説しました。
電動キックボードは原動機付自転車に該当しますが、一定の条件を満たせば、運転免許がなくても運転できます。
交通事故後の対応は一般的な交通事故と変わりません。
しかし過失割合を決める際には、前例が少ないため、交渉が難航する恐れがあります。
電動キックボード利用時に交通事故を起こしてしまった場合には、弁護士へご相談ください。