債務整理を行ったとき、携帯電話の利用は続けられるのでしょうか。
それは、どのような債務整理を行うか、利用料金などの未納があるかによって変わります。
この記事では、債務整理を行った際の携帯電話の利用について解説します。
債務整理とは
債務整理とは、支払利息を免除してもらったり、借金自体を減らしてもらったりして、毎月の返済にゆとりを持たせる手続きです。
債務整理には次の3種類があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
任意整理はお金を貸してくれた方と直接交渉する方法です。
返済を軽くしたい借金を選んで個別に交渉できますが、大幅な減額は見込めません。
個人再生と自己破産は、裁判所に認めてもらうことで借金の額を大幅に減額したり、返済を免除してもらったりする方法です。
すべての借金に対して一律で手続きするため、特定の借金を選んで除外することはできません。
債務整理を行うと信用情報機関に登録される
債務整理を行うと、その情報は信用情報機関に登録されます。
信用情報機関に登録された情報は、新たな借り入れをする際などに、金融機関によって確認されます。
債務整理の情報が登録されていると、基本的に、新たな借り入れはできません。
借り入れだけでなく、クレジットカードの利用やローン契約も不可能です。
そのため、商品を分割払いで購入することが難しくなります。
なお、債務整理の情報が登録されている期間は5年から10年ほどです。
債務整理を行っても携帯電話は利用できるのか
携帯電話使用料の未納や分割払いの残りがない場合、債務整理を行ったあとも継続して携帯電話を利用できます。
しかし未納や分割払いの残りがある状態で債務整理を行うと、携帯電話会社との契約が強制解約となり、利用を継続できません。
未納や分割払いの残りがある場合
利用料金の未納や、分割払いの残りの支払いは、個人再生や自己破産手続きの対象となります。
個人再生や自己破産を行うと、未納分の料金などの支払いが大幅に免除されることになり、携帯電話会社は損をします。
そのため、ほとんどの携帯電話会社は、破産手続き開始の通知が届いた時点で利用停止の措置を取ることが一般的です。
債務整理によって返済の負担は減りますが、その後、携帯電話の継続利用はできません。
一方、任意整理は、債務整理する対象を自ら選べます。
債務整理の対象から携帯電話会社を除外することで、未納分や分割払いの残りの支払いを今後も続けられるため、その後も継続利用が可能です。
ただし任意整理では借金を大きく減らせません。
未納が続くようであれば、結局は強制的に解約されてしまう恐れがあるため、弁護士に相談のうえ、状況にあった債務整理を行ってください。
新規契約や機種変更
債務整理を行っても、原則として新規契約や機種変更は可能です。
ただし自己破産などによって強制解約となった場合、一時的に新規契約が難しくなることもあります。
自己破産手続き中は、債務整理手続きの対象となっている携帯電話会社と新たに契約を結べません。
さらに、料金の不払い情報はほかの携帯電話会社にも共有されるため、ほかの会社で新規契約することも難しくなります。
不払い情報の共有は、自己破産によって支払いの免除が確定するまで続きます。
また債務整理を行うと、新規契約時に預託金の支払いを求められることがあります。
預託金とは保証のために支払う金銭であり、万が一利用料金の支払いが滞った場合には、預託金から滞納分の料金が支払われます。
預託金の額は1回線あたり数万円~10万円程度が一般的です。
分割払いは難しくなる
債務整理を行うと、信用情報機関に債務整理の情報が登録され、分割での支払いが難しくなります。
通常、スマートフォンなどの端末代金は毎月分割して支払います。
しかし債務整理後、信用情報が回復するまでは、端末代金を一括で支払わなければいけません。
近年は高額な機種も多いため、購入できる機種が制限される恐れがあります。
携帯電話は自己破産時の差し押さえの対象になるのか
自己破産すると、必要最低限以外の財産は差し押さえられ、現金に換えられて借金の返済に充てられます。
しかし携帯電話やスマートフォンは生活必需品と認められ、差し押さえの対象にはなりません。
ただし一人で複数台所有している場合や、端末代金が20万円以上の場合には、差し押さえの対象になることもあります。
まとめ
この記事では、債務整理をしたときの携帯電話の利用について解説しました。
利用料金の未納や、分割払いの残りがなければ、債務整理を行っても継続して利用できます。
しかし未払いの代金がある場合、債務整理してしまうと、強制的に解約される恐れがあります。
債務整理後も新規契約や機種変更は可能ですが、場合によっては審査に通らないこともあります。
影響を最小限に抑えるためにも、債務整理を行う際には弁護士までご相談ください。