養育費の平均相場は、最高裁判所の公式ホームページで統計データを発表しており、どなたでも閲覧できます。
この記事では、離婚後の養育費の平均相場について解説します。
養育費とは
養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用であり、一般的には子どもが経済的・社会的に自立するまでにかかる費用を意味します。
離婚して親権がなくなった元配偶者でも、子どもの親であることに変わりはないので養育費の支払義務はなくなることはありません。
養育費の平均相場とは
養育費は子どもの人数や年齢、支払義務を負った親の年収によって費用は異なります。
また、支払義務者が給与受給者もしくは自営、養育費を受け取る権利者の年収によっても変動します。
養育費の平均相場に関する参考データ
養育費の平均相場について、最高裁判所事務総局が発表した令和5年度司法統計年報(家事編)を参考に説明したいと思います。
月額の養育費 | 母親が監護者となった未成年の子どもの数 | ||||
1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人以上 | |
1万円以下 | 2.2% | 2.4% | 3.3% | 0.6% | 24.0% |
1~2万円 | 8.1% | 6.7% | 7.4% | 13.6% | 8.0% |
2~4万円 | 35.7% | 27.2% | 21.4% | 22.2% | 16.0% |
4~6万円 | 28.2% | 24.6% | 21.0% | 16.0% | 16.0% |
6~8万円 | 11.6% | 17.2% | 10.3% | 11.7% | 12.0% |
8~10万円 | 6.3% | 9.1% | 15.4% | 8.6% | 8.0% |
10万円を超える | 7.9% | 12.8% | 21.2% | 27.2% | 16.0% |
額不定 | 0.1% | – | – | – | – |
総数 | 7,143 | 4,654 | 1,241 | 162 | 25 |
監護とは、子ども福祉や最善の利益を考慮しながら、継続的に保護する責任を持つことであり、金銭面や精神面なども含めて子どもの監督および保護を行う者のことを監護者と言います。
たとえば母親が監護者となって未成年の子どもを監護する場合、元配偶者が支払う養育費の平均相場は以下の通りです。
- 子ども1人の場合:月額2~6万円
- 子ども2人の場合:月額2~6万円
- 子ども3人の場合:月額2~6万円もしくは10万円以上
- 子ども4人の場合:月額1~6万円もしくは10万円以上
- 子ども5人以上の場合:1~10万円以上
上記の平均相場は子どもの人数による金額であり、支払義務者および監護者の収入は考慮されておりません。
そのため、支払義務者の収入が多い場合には、平均相場よりも高い金額を支払う可能性があり、逆に支払義務者よりも監護者の方が多くの収入を得ている場合は、平均相場よりも低い金額になることもあります。
このように養育費は、支払義務者および監護者の収入を得る方法(給与・自営)や子どもの人数、年齢によっても平均相場は異なります。
また、家族構成や健康状態、収入額、子どもの進学先、支払義務者の支払い能力など、あらゆる面を考慮して決定されます。
具体的な養育費の目安をお知りになりたいときは、弁護士にご相談されることをおすすめいたします。
養育費の金額を変更できるケースとは
養育費の金額は、当事者間の話し合いによって双方が合意すれば変更することは可能です。
子どもの成長とともに決定した養育費よりも多く必要になるケースもあれば、逆に支払義務者の収入が会社事情などで減少すると支払えない可能性もあります。
その際には、養育費の増減について当事者同士の話し合いが再度必要になるため、どのような場合に養育費の増減が必要になるのかを説明します。
養育費を増額したい場合
養育費を増やしたい場合とは、子どもや監護者に何らかの事情があり、以下のように一般的な状況よりもお金がかかる場合です。
- 子どもが私立の高校や大学に進学した場合
- 子どもが事故や病気で障害を負った場合
- 監護者が病気などで今までのように働けず収入が減少した場合
基本的に子どもの成長とともに必要な養育費は多くなると考えられているため、養育費を決めた当初の金額では生活を維持できないかもしれません。
そのため、支払義務者と話し合って事情を理解してもらえれば養育費を増額してもらえる可能性があります。
養育費を減額したい場合
養育費を減らしたい場合とは、支払義務者などに以下のような事情が起こった場合です。
- 支払義務者がリストラされて今までのように支払えない場合
- 支払義務者が病気で勤務時間を短縮したために収入が減った場合
- 支払義務者の再婚相手との間に子どもが生まれた場合
- 監護者が再婚して、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合
その他にも社会情勢の影響により、物価高騰や増税などで支払義務者の生活が苦しくなった場合なども監護者と話し合うことで養育費を減額してもらえる可能性があります。
まとめ
今回は離婚後の養育費の平均相場について解説しました。
養育費の平均相場は、子ども年齢や人数、支払義務者および監護者の収入を得る方法(給与・自営)によっても異なります。
あくまでも今回ご紹介した平均相場は参考の金額であり、必ずしもご紹介した養育費を受け取れるわけではないのでご注意ください。
離婚後の養育費がいくらもらえるのか悩みや不安を抱えているようであれば、法律の専門家でもある弁護士に相談されることをおすすめいたします。