交通事故が起こると示談交渉を行いますが、本人の代わりに保険会社の担当者同士で話し合い、過失割合を決めて示談交渉を成立させることが一般的です。
この記事では、交通事故の示談を弁護士に依頼したときのメリットについて解説します。
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する7つのメリット
交通事故が発生すると一般的には当事者、もしくは、加入している保険会社が当事者の代わりに示談交渉を行いますが、弁護士に依頼した方が良いメリットを7つ解説します。
慰謝料が増額(妥当な額)になる可能性が高い
弁護士に依頼すると、算定基準の一つである「弁護士基準」で慰謝料を計算し、相手に対して請求するので増額(妥当な額)になる可能性が高いです。
慰謝料の算定基準には次の3種類があります。
- 自賠責基準:国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める支払い基準
- 任意保険基準:相手側の任意保険会社が算出する際に用いる支払い基準
- 弁護士基準:交通事故裁判の判例から導き出された算定基準
(参考先:e-eov法令検索 自動車損害賠償保障法 第16条の3(支払基準))
上記3種類の慰謝料の額は、自賠責基準が一番低く、次に任意保険基準、最も高額なのは弁護士基準です。
そのため、任意保険会社より弁護士に依頼した方が高い慰謝料(本来、受け取るべき金額)を請求できる可能性があります。
また、交通事故で請求できる慰謝料は次の3種類です。
- 入通院慰謝料:入通院にかかった費用とケガを負った精神的な苦痛に対する賠償金
- 後遺障害慰謝料:後遺障害による精神的な苦痛に対する賠償金
- 死亡慰謝料:事故の被害者が死亡した事による精神的な苦痛に対する賠償金
面倒な示談交渉や手続きをすべて任せられる
事故に遭った被害者は、事故が発生してから示談成立まで相手側の保険会社と何度もやり取りをするのでストレスを感じます。
ストレスの原因は相手側保険会社の担当者の対応にあり、弁護士に依頼すれば、示談交渉での面倒なやり取りや必要な手続きなど、すべてを任せられるのでストレスを軽減できます。
適切な後遺障害認定を受けられる
交通事故が原因で体が不自由になった場合には、医師の診断を受けて後遺障害認定を受ける必要があります。
また、後遺障害は日常生活が起因している後遺症とは異なり、交通事故が起因している場合に認定されます。
後遺症と後遺障害の違いは次の通りです。
- 後遺症:医師の治療を受けたが完治せず、回復できない心身または精神上の症状
- 後遺障害:交通事故が原因であると認定され、自動車損害賠償補償法施行令の等級に該当する症状
(参考先:e-eov法令検索 自動車損害賠償保障法施行令 別表第1(第2条関係)、別表第2(第2条関係))
弁護士に依頼すれば、交通事故の当事者が不利にならないように診断書を精査し、記入漏れや不備の確認ができるので適切な後遺障害認定を受けられます。
正当な過失割合を主張できる
過失割合とは、交通事故の責任が加害者側と被害者側でそれぞれの過失がどのくらいあるのか割合で示したものです。
被害者の過失割合が減れば慰謝料を多くもらえるので、できるだけ過失割合を減らすための交渉が必要です。
被害者1人で行うのは困難ですが、弁護士に依頼すれば上記の書類収集や過去の判例を基に、事故状況を詳細に分析できるので正当な過失割合を主張できます。
保険会社に主張を受け入れてもらいやすく慰謝料を早く受け取れる
弁護士が交渉すれば主張を受け入れてもらいやすくなり、示談交渉もスムーズに進むので結果的に慰謝料も早く受け取れる可能性があります。
適正な休業損害を受け取れる
休業損害とは、交通事故のケガが原因で休業したことにより、収入が減ったことに対する補償です。
休業補償も慰謝料と同様に用いる算定基準によって金額が異なります。
そのため、弁護士に依頼した方が弁護士基準で算定してもらえるので、実態に見合った適正な休業損害の金額を受け取れる可能性があります。
加害者側が任意保険を使えないときでも適正に対応してもらえる
損害保険料率算出機構が発行している2023年3月末の統計によると、任意自動車保険の加入者数は全国で75.2%(対人賠償の普及率)となっており、5人のうち1人は任意保険に未加入です。
(参考先:損害保険料率算出機構 自動車保険の概要 第19表 任意自動車保険 都道府県別普及率表(2023年3月末))
加害者が任意保険に未加入だった場合、自賠責保険の支払い限度額を超過した金額(慰謝料など)に関しては本人に対して請求します。
弁護士に依頼すれば、たとえ加害者側が任意保険に未加入でも損害賠償手続きなど、面倒な示談交渉を任せられます。
また、加害者側が請求に応じない場合には、弁護士であれば民事訴訟にも対応してもらえます。
まとめ
今回は交通事故で示談を弁護士に依頼するメリットについて解説しました。
交通事故の示談交渉は、加入している保険会社同士が行うのが一般的ですが、弁護士に依頼すれば、相手側が提示した金額より高額の慰謝料を請求できる可能性があります。
そのため、交通事故の示談交渉を保険会社だけに任せるのではなく、状況によっては弁護士に依頼する方が保険会社以上のメリットを期待できる可能性があるので、まずは弁護士に相談してみましょう。