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任意整理を自分で行える条件と注意点について

目次

借金の返済額を毎月少しでも減らしたいと考えた時には、任意整理が有効です。
一般的には弁護士などに依頼することの多い任意整理ですが、金銭的に余裕が無く自分で行いたい場合もあるでしょう。
法律上、任意整理は自分自身で行うことが可能です。
この記事では、その条件と注意点について解説いたします。

任意整理とはどのような方法か

任意整理とは、債権者と交渉することで毎月の返済の負担を軽くし、完済できるように和解を結ぶ手続きです。
基本的には、将来発生するはずの利息をカットし、借り入れた元本のみを3~5年ほどかけて分割で返済させてもらえるように合意を目指します。
また、利息制限法の上限を超える利率で貸し付けが行われていた場合には、利息を計算し直すことで、借金が減額することもあります。
裁判所を介さずに行うため、自己破産や個人再生と比べて手続きが簡単です。

任意整理を自分で行える条件

任意整理は債権者との合意で成り立つため、完済の意志を持っている事が大前提です。
その他、自分で任意整理ができる条件は以下の通りです。

  • 安定した収入がある
  • 原則3~5年で完済できる見込みがある
  • 毎月の返済額が手取り収入の2~3割程度に収まっている
  • 借金の返済実績がある
  • 債権者が個人からの交渉に応じてくれる


安定した収入があり完済の見込みがあれば、正社員に限らずアルバイトであっても任意整理が可能です。
しかし2回以上返済が滞ると、残りを一括で返済するように求められる事が一般的です。
収入に変動がある場合には、あらかじめ返済に備えた貯金をしておくと良いでしょう。
債権者のなかには個人からの交渉を受け付けていない業者も存在しており、その場合には自分で手続きができません。
また、自分で計算したり交渉したりするため、法律や交渉についての知識があると安心です。

任意整理を自分で行う場合の注意点

任意整理を自分で行う場合、弁護士などに依頼することで得られるメリットは受けられないため注意が必要です。
具体的な注意点を見ていきましょう。

手続き中も返済し続けなければならない

弁護士等に手続きを依頼した場合、依頼を受けた弁護士等は受任通知を債権者に送付します。
受任通知を受け取った債権者は、依頼人に対して直接連絡を取れなくなります。
督促や取り立ても禁止されるため、依頼人は交渉が終わるまで返済を行う必要がなくなります。
しかし自分で手続きをした場合、返済がストップすることはありません。
手続きの最中にも返済は続きますので注意が必要です。

開示された取引履歴について正確に確認する

これまでの取引履歴を確認するため、債権者に対して取引履歴の開示請求をします。
貸金業法により、貸金業者は開示請求に応じる義務がありますので、自分で請求した場合にも対応してもらえます。
ただし、正確な借金額を把握するためには、過去の取引履歴をすべて確認しなければなりません。
知識が乏しい場合には、開示された情報に不備や不足があっても気付かないことがあるため注意してください。

引き直し計算をする

利息制限法に基づき取引履歴を計算し直すことで、過払い金が発生しているかどうかを確認できます。
とくに2010年6月以前の借り入れでは、グレーゾーン金利と呼ばれる高い利息で借り入れている可能性もあり、注意が必要です。
ただしこの計算は非常に複雑であり、専用のツールを使用して計算することが一般的です。
自分で行う場合には、慎重に計算するようにしましょう。

自分で資料を用意し、債権者と交渉する

引き直し計算をした結果、すでに完済しているほどの利息を支払っていた場合には、多く支払った利息の返還を求めることが可能です。
また、完済するほどではなかった場合には、借金を減額するように交渉します。
過払い金がない場合には任意整理を行います。
しかし、一方的に要求を伝えても、簡単に応じてもらえるわけではありません。減額交渉に有効な資料を自分で用意する必要があります。
ただし、法律に関する知識が乏しいと、有効な資料を提出できないことや、正当な権利を主張できないことがあります。
分割回数が少なかったり、将来利息のカットに応じてもらえなかったりという不利な和解になる可能性があるため注意が必要です。

和解の合意書を作成する

債権者との和解合意後には、合意書を作成します。
統一されたひな形はないので、必要事項の書き忘れがないようにしましょう。

まとめ

任意整理を自分で行う場合、弁護士等に依頼するよりも安価で済むというメリットがあります。
しかし複雑な計算をしたり、難しい交渉をしたりと、注意の必要な場面が沢山出てきます。
また、業者によっては個人からの交渉を受け付けていない場合もあります。
確実に任意整理を行いたい場合や手続き中の返済を停止したい場合、計算や交渉が難しいと感じる場合には、弁護士に相談することをご検討ください。